TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者 作:ヒーロー好き
勇作達は呂布に話を聞くため、洞窟の前で焚火をするかのように円となって座り、勇作は呂布に昨夜拾った犬の装飾品を渡した。
「村人に食べ物を貢がせていたのは、犬のエサにするためのですか・・・」
「自分でエサ代を稼ごうとした事もあったけど・・・///」
若干顔を赤らめる呂布が言うには・・・
それはメイド喫茶で働いていた時だった。
〈ガラガラッ〉
『あ、あの・・・・・・・・・・』
『お帰りなさいませ、ご主人様』
無表情な呂布の接客に入ってきた客は気まずい顔をした。
注文取りにおいても、
『ええと、俺、炒飯と餃子ね』
『俺も同じの。ただし、炒飯は大盛りで』
『俺は坦々麺。あと、春巻も』
『俺は、回鍋肉に白飯。それから玉子スープ』
『・・・・・・・・・コクッ・・・・・・・・・ラーメン四丁』
『『『『えぇ!』』』』
と言った具合で、仕事が続く訳が無くクビとなった。
「全然、ダメダメなのだ」
「お前が言うな」
前科のある鈴々が言える事では無いと、関羽がツッコム。
「しかし、子犬一匹飼うのにあれだけの食べ物はいらぬだろう?」
と星が言うが
「それは、どうかな・・・」
「どういう事ですか?」
「呂布、一匹だけじゃないんだろ・・・」
「え?」
「・・・・・・・コクッ」
呂布は口笛を吹くと、洞窟の中から二十匹近くの犬達が出て来た。
「こ、これは確かに」
「友達、たくさん。皆捨てられたり、怪我したりかわいそうで、ほっとけなかった」
呂布は自分と同じ赤いスカーフをした犬を抱き、暗い顔をした。そんな呂布にどう声を掛けるべきか、悩んでいると馬のいななく声が聞こえた。
「(誰だ!?)」
「あっ! 月っ!」
「あら、詠ちゃん」
近くに馬を止め、賈駆が駆け寄ってきた。それに気付き、トントンも立ち上がる。
「あら、詠ちゃんじゃないっ! 連絡が来るまで僕がどれだけ心配したか」
「ごめんなさい」
「下々の声を直接聞きたいとは立派な事だけど、もし危ない目にでも遭ったりしたら」
「それなら大丈夫。今回はこの方達に助けて貰ったから」
トントンは勇作達の方を向いて言った。
「って、 危ない目に遭ったの!?」
「うん、少しだけ」
「えぇ!?」
「お取り込み中、申し訳ないが、お主は一体?」
話が全く分からない関羽が声を掛けた。
「我が名は賈駆、字は文和。こちらにおられる太守の董卓様にお仕えしている者だ。」
「「「えぇ!?」」」
「(なっ、何!?、この子が董卓だと!?)」
関羽、鈴々、星はトントンがまさかの太守だと知り驚愕した。勇作も正体を知り驚いてた。驚くのも無理はない。自分の思っている董卓と全然違うのだから
「それで、化け物の件は?」
「もう解決しちゃった♪」
「ああ、そう」
笑顔で答える董卓に拍子抜けの賈駆であった。
董卓の屋敷
やがて一同と呂布、そして庄屋は屋敷に招かれた。
「皆さん、お待たせしました」
しばらくして現れたのは・・・高貴な衣装を身に纏ったトントン、改め董卓だった。その高貴な中にも清純なたたずまいに、一同も感嘆の表情になる。
「なるほど、そう言うことでしたか」
と庄屋は今までの董卓の行動に納得していた
「確かに呂布さんのした事は良くない事です。ですが、それは全て傷つき捨てられた犬達を救うため、決して悪心から出たことでは無いのです。門前の岩もすぐ退けますし、出来る限りの償いをするそうです。そうですよね、呂布さん?」
「・・・・・・・・コクッ」
呂布はしっかりと頷いた。
「分かりました。既に本人からも謝って貰ったことですし、村人からも私の方から話をして見ましょう」
「そうして頂けると助かります・・・・・・・・・・所で、詠ちゃん。役所では、化け物が出て困るという訴えを取り合わなかったとか」
「えぇと、それは」
ふと、役所での一件で賈駆を叱る董卓。
「董卓さま、その事は既に済んだ事ですので」
「いいえ、良くありません。どんな些細なものであれ、民の訴えを疎かにせぬのが政の基本なのですから」
庄屋の言葉も構わず、董卓は知らないところで起こっていた自分の失態を反省している。見た目はか弱い少女ではあるが、太守としての風格を醸し出している証拠だった
「かしこまりました。今後、そうした事がないよう全ての役人に厳しく申し付けます」
「良いでしょう。それから・・・・・・・・・」
董卓は扉の前に居る犬達に顔を向けながら言い出した。
「あの子達、私の所で飼ってあげる訳にいかないかしら?」
「って、あの犬全部を!?」
董卓の要求に驚く賈駆。董卓は手を組み、お願いをする。
「詠ちゃん。この間から最近、街の治安が悪いのは、警備の兵士が足りなからだって言ってたでしょ? だから、あの子達をちゃんと躾けて街の警備の手助けをして貰うの。どう良い考えでしょう?」
「そりゃあ、ちゃんと躾ける事が出来れば泥棒除けにはなるかもしれませんが・・・・・・・・・・・」
「それなら、大丈夫。呂布さん、犬達の躾けお願い出来ますか?」
「・・・・・・・・・・コクッ」
董卓の問い掛けに頷く呂布。
「待って、月! 僕はまだ飼って良いとは・・・・・・」
「ダメ、なの?(ウルウル)」
「うっ」
潤んだ瞳で賈駆を見上げる董卓。
「お願い・・・・・・(ウルウル)」
「うっ、いや、それは」
呂布と犬達も一斉に賈駆を潤んだ瞳で見詰める。
「・・・・・・・・分かった。飼うよ~」
「詠ちゃん! だぁ~い好きぃ♪」
了承を得た董卓は賈駆に抱き着き、頬ずりをする。
「ちょっ、月! だぁ~い好きって・・・・・・・・・・・・い、言っとくけど、こんな無茶なお願いは今回だけだからねっ! 本当にもう絶対に・・・・・・・・・・ちょっと、何だ!?」
突然、無言で抱き着き、頬ずりをする呂布に賈駆は戸惑った。
「きっと、お礼の気持ちを表しているのだ」
鈴々が何も言わない呂布に代わって言った。
「って、だったら口で言え!・・・・・・・・・懐くなっ!」
ずっと賈駆に頬ずりを董卓と呂布にその場に居た皆は笑いあった。
「(ま、これでめでたし、めでたしだな。・・・・・・それにしても、呂布と董卓と会うとは・・・・今までで、一番驚いたかも・・・)」
と勇作が思っていると
「・・・ん?」
と賈駆に抱き着いていた呂布が近づいてきた
「どうしたの・・・」
「・・・・・・・やろう」
「何を?」
「・・・戦いの続き」
「・・・・・・・・・・え?」