TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第百三十七席 群雄、勝利を収めるのこと

「………」

 

「終わったの?」

 

「そうみたいですね」

 

「偽劉備を倒したのだ」

 

「……合図をだせ」

 

「はい!」

 

合図を出す桃香

 

 

「倒したようだな」

 

「だね」

 

下にいた一刀と翼が気付く

 

「……皆のもの!我らの勝ちだ!勝どきを上げよ」

 

 

 

曹操がそういうと一斉に勝どきが上がった

 

 

「(……終わった)」

 

その声を聴くと同時に勇作は倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

本陣の一つの天幕の外で不安の様子でいる桃香達

 

「ご主人様……」

 

「……愛紗ちゃん」

 

「華佗のおじちゃんがいるから大丈夫なのだ」

 

 

七星壇で倒れた勇作。そして今、天幕に運ばれ、華佗に診察を受けている

 

「それにしても、華佗殿と一緒に入っていった二人は一体?」

 

「一人は曹操殿、もう一人は孫策殿を救ったそうですが」

 

「何者なのでしょう?」

 

「気になるのか?」

 

「はい……何もなければいいのですか」

 

そう思っていると華佗が出てきた

 

「華佗殿!ご主人様は!!」

 

「命に別条はない」

 

「本当ですか!!」

 

「ただ少しの間は安静にしておかないとな」

 

それを聞いて安堵する桃香達

 

「それであの二人は?」

 

「まだ中にいる……調べたいことがあるって」

 

「調べたいこと?」

 

すると一刀が出てきた

 

「貴方は確か……」

 

「北郷だ……聞きたいことがある」

 

「なんですか?」

 

「偽劉備の最後を見たのは誰だ?」

 

「私と愛紗ちゃんと鈴々ちゃんです」

 

「どんな最後だった?」

 

「ええと、なんか黒い水たまりに飲み込まれて」

 

「死んでか?」

 

「いいえ、まだ生きて」

 

「なんだと!!」

 

大きな声だし驚く北郷

 

「それは本当なのか」

 

「え…その……」

 

「答えろ!!」

 

「はいぃ!!間違いなく生きてましたぁ!!」

 

怯えながら答える桃香

 

「まじかよ……」

 

そういうと天幕に戻っていった

 

「姉上!大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよ」

 

「いったい何なのだ?」

 

「嫌な予感がします」

 

「……朱里」

 

「我らも天幕に」

 

そういうと桃香達も入っていた

 

 

 

 

「おい……それまじかよ」

 

中に入ると二人が会話していた。桃香達に気付かず

 

「ああ、間違いない」

 

「……そういうことか。……どおりで」

 

「……なんて説明する。劉備達そうだが、こいつにも」

 

「お前の力で何とかできないの?」

 

「出来るならとっくにやっているよ」

 

「そうか」

 

「……やむを得ないな、天の国に連れていくしかないだろう」

 

「やっぱりそうなるか」

 

その言葉に驚愕する桃香達

 

「おい!」

 

「「っ?」」

 

二人が後ろを振り向くと、愛紗が偃月刀を構えていた

 

 

「貴様ら!今のはどういう意味だ!!」

怒りの形相で二人を睨み付ける愛紗

 

「待ってくれ!」

 

「貴様らが何者か知らないが、ご主人様に近づくことは許さん!!」

 

「ちょっと落ち着いて」

 

「黙れ!」

 

完全に頭に血が昇りきった光の無い瞳をしている愛紗には届かなかった

 

「ちょっとこの人を止めて……え?」

 

一刀は周りに助けを求めるが

 

「それなら」

 

「説明を」

 

「してください」

 

「お兄ちゃんは渡さないのだ」

 

星、翠、紫苑、鈴々が武器を構え、威圧していた

 

「(やばいどうすれば…)」

 

 

「「いい加減にしなさい!!」」

愛紗を止めたのは意外な人物だった

 

「曹操殿!?」

 

「そんな武器を振り回して、周りが見えていないの?貴方達は」

 

「うぐぅ……」

 

「関羽の剣を収めて頂戴……貴方達も」

 

「孫策殿」

 

「わかったのだ」

 

そういうと武器を収める

 

「いったいどういう状況なのこれは」

 

「実は……」

 

朱里が説明をする

 

「つまり、そこの二人が貴方達のご主人様を天の国に連れて行こうとしたのね」

 

「はい、それで私も含め、皆さんがあの状態に」

 

曹操は二人の方を見る

 

「それで、貴方達は何者なの?それとさっきの言葉の意味は?」

 

「その方が、早いかもな」

 

「……俺は北郷一刀、こいつは紅翼」

 

「そこにいる高杉勇作と同じ天の国から来たものだ!」

 

「「…………ええええええぇぇ!!!!!」」

 

一同は驚愕した

 

「貴方達も、天の御使いってことになるの?」

 

「御使いなんて大げさだよ。同じ国の出身ってだけだから」

 

「それで、貴方はどうしてこの世界に来たの?」

 

「高杉の師匠に頼まれたからだよ」

 

「ああ、高杉に掛かっている呪いが天の国にも少し影響がでているから…なんとかしてくれって」

 

「それで俺たちが来たわけ」

 

「まあ、大方可愛い弟子を援護してくれってことだと思うけど」

 

「俺もそう思う」

 

「なるほど……貴方達の目的は分かったわ」

 

「けど、なぜそれがご主人様を連れて行くことになるの」

 

「まだ解けてないんだよ…呪いが」

 

「「「「「「え?」」」」」」」

 

「まだ呪いは消えていないんだ」

 

「消えていないって、偽劉備は倒したから…ご主人様の呪いは解けるはずじゃあ」

 

「それは違うよ」

 

「え?」

 

「呪いが解けるのは偽劉備が死んだ時だ!」

 

「けど、貴方達は言ったよね。偽劉備はまだ生きていた。それで消えたって」

 

「……」

 

「話を聞く限り、偽劉備は永遠に苦しむだろう。あいつにはふさわしい罰だからな」

 

「だがそれにより、呪いを解く機会を永遠に失ってしまったってことだ」

 

「……そんな」

 

「なんとかならないのですか?」

 

「はっきり言うけど、無理だ!」

 

「悪いが、劉備の持っている宝剣をでも呪いを解くことはできない。もう天の国に戻る以外に方法はない」

 

「そんな」

 

その言葉に地面に座り込んでしまう桃香

 

「……るな」

 

「ん?」

 

「ふざけるな!!」

 

愛紗が怒鳴った

 

「そんなことが信じられるか!!」

 

「落ち着けよ」

 

「これが落ち着いていられるか!!ご主人様の呪いが解けていないなんて!!」

 

「気持ちは分かるが、事実だ」

 

「黙れ!!」

 

「愛紗ちゃん!ダメです!!」

 

「止めるな朱里!私は信じないぞ!!」

 

「関羽」

 

「なんだ!」

 

「お前がどう思おうが勝手だけどよ……このままほっておげば、高杉は偽劉備と同等あるいはそれ以上の虐殺をするんだぞ」

 

その言葉に皆が驚愕する

 

「それはどういう事ですか!?」

 

「この呪いはいずれは高杉の意識を支配する。そうなれば敵味方区別なく、襲いかかり目に映る全てを破壊しようとする怪物になる。そうなったらもう止められない」

 

「そ……そんな」

 

「けど、皆の力を合わせれば」

 

「出来ると思うか」

 

「え?」

 

「あんた達は一番よく知っているだろう、こいつの強さを……そして経験しているはずだ。暴走してどうなったか」

 

「経験ってどういう」

 

「劉備さんは知らないだろうけど、一度怪物みたいに暴れたんだよ。そして関羽たちにも襲い掛かったからな」

 

「襲い掛かって、そんな覚えはないのだ」

 

「忘れたのかよ!高杉が5千人の賊を返り討ちにした時のことを」

 

「「「「「!?」」」」」

 

一刀の言葉に、愛紗、星、翠、紫苑、鈴々は思い出しだ(第四十七席)での出来事を

 

「方法はわからないが…その時は、高杉の師匠が何とかしたみたいだけど、今度はそうはいかないからな」

 

「お前らだっていやだろう!大切な人が、仲間が、友人が、家族が、罪のない人々が目の前で虐殺する主の姿が!!」

 

「っ!!」

 

「そんな……」

 

「そんなことに……」

 

「そんなの嫌なのだ」

 

「ご主人様ぁ……」

 

「だから俺たちが来たんだ!」

 

「天の国に連れていけば呪いを解いてやることが出来る。信じてくれ」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

しばらく沈黙が続いた

 

「どれくらい掛かるのですか?」

 

「ん?」

 

桃香が聞く

 

「ご主人様の呪いが解けるにはどれくらい掛かるのですか」

 

「……」

 

「2年」

 

「えっ!!」

 

「約2年は覚悟した方がいい」

 

その時間に驚愕する桃香達であった

 




次回最終回

12月31日に投稿予定


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