TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第百二十九席 群雄、于吉を討たんとするのこと(中編①)

劉備達が作戦を実行している頃

 

「おのれ…我が愛しき白馬を…」

 

後退した中軍の公孫瓚軍と袁紹軍は壊滅の危機に直面していた

 

「えいっ!」

 

「であっ!」

 

文醜と顔良の体力の限界が近いのか息を上げていた

 

「逃げ足だけは自信あったのに…」

 

「追いつかれたらあっという間……屈辱を晴らすどころか生きて戻れそうにないわねぇ」

 

二人は互いを見つめあう

 

「斗詩」

 

「猪々子」

 

覚悟を決めていると

 

「猪々子!斗詩!」

 

「「んっ?」」

 

声がしたほうに視線を向けると

 

「増援を連れてきましたわよ!!」

 

戦車(チャリオット)に乗った袁紹がやってきた

 

「麗羽姉様のじゃなくて、童の軍じゃ!」

 

隣にいる袁術がツッコミを入れる

 

「袁紹様が美羽様に頭を下げて、助力を請うなんて…このこと貴方が進言なさったとか」

 

前にいる張勲が隣にいる賈駆に聞く

 

「僕も力になりたかったんです!みんなのために……そして月のために」

 

 

「来てくれたんだ!」

 

「麗羽さま…来てくれたんだ」

 

援軍が来たことで表情が明るくなる文醜と顔良

 

「シャオ達が来てやったのも忘れないでね」

 

「助太刀します」

 

「螺旋の力見せたるでー」

 

隣には馬に乗った孫尚香と李典、さらに戦車(チャリオット)に乗った陸遜と周泰もやってきた

 

「この地を洛陽の最終防衛線とします」

 

「太平要術が封印されるまで耐えてください!!」

 

 

 

七星壇の階段を登り切った桃香は于吉と対峙していた

 

「……」

 

剣を振り上げ于吉に切りかかる

 

「…ふん」

 

妖気弾を浴びせ、桃香を吹っ飛ばす

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

「……あっ!」

 

七星壇から落ちそうになるが、台の淵を掴み、落ちずにすむが宝剣を手放してしまった

 

「ふん」

 

于吉は宝剣を蹴り、地面に落とす

 

「どうやって手に入れたのか知りませんが、竜の爪を携え…ここまで辿り着いたことは褒めてあげましょう」

 

于吉は片膝を着いて、見下ろす

 

「……」

 

「だがせっかくの宝剣も、貴方が使い手ではまさに宝の持ち腐れ………おまけに馬鹿馬鹿しい仮面まで着けて、一体どういうつもりです」

 

「そんなのきまってるじゃない…仮面をつけるのは」

 

すると張飛が背負っている荷物から何かが飛び出した

 

「何っ!!」

 

于吉は急いで仮面を取る

 

「うっ…」

 

「貴様は張角!では本物の劉備は!?」

 

「こっちよ」

 

「!?」

 

桃香は飛び上がり、宝剣を構える

 

「于吉!!覚悟!!」

 

思いを込めた宝剣は光り輝く

 

「うわっ!?」

 

于吉はその場から離れようとするが、張角に両足を掴まれてしまい仰向けに倒れてしまう

 

「はあぁぁあ!!」

 

桃香は于吉に向けて宝剣を投げる

 

「ぐはっ!」

 

剣は于吉のお腹に刺さる

 

「馬鹿な…こんな…こんなことが」

 

「驚いた!?これぞ…名付けて」

 

張角と桃香は並んで

 

「「ビックリ大作戦よ」」

 

この作戦は朱里が仮面を見て思いついたのである

 

「やったね!何処もケガはない?」

 

張角の心配をする桃香

 

「平気平気…それより早く!!」

 

張角は太平要術を指さす

 

「はっ!……華佗さん!封印お願いします」

 

桃香は下にいる華佗を呼ぶ

 

「ここは私に任せて早く!」

 

「わかった!」

 

華佗は急いで向かう

 

「おじちゃん!早くなのだ」

 

「おじちゃんではない」

 

華佗は七星壇の階段を上がる。後ろから愛紗と鈴々もやってくる

 

「華佗さん…早く」

 

張角は太平要術を手に持つ

 

「やったな!姉上」

 

「うん!!」

 

「お見事なのだ」

 

3人はハイタッチをする

 

「……」

 

華陀は鍼を取りだす。そして太平要術の一か所に小さい光が見えた

 

「見えた!!我が身、我が鍼と一つなり!一鍼同体!全力全快!天魔覆滅!散りとなぁぁれぇぇぇぇぇ!!」

 

太平要術に鍼を打ち込むことに成功する

 

「……」

 

が華佗は困惑した表情になる

 

「どうしました」

 

「どういうことだ?」

 

「何がなのだ?おじちゃん」

 

「全然封印した手ごたえがない」

 

「手ごたえがない?」

 

「華佗さん…どういうことですか」

 

「うふふ…無駄ですよ」

 

于吉が立ち上がる

 

「于吉!」

 

「こいつ」

 

「やめろ!すでに虫の息だ」

 

于吉の体から煙があがり、崩壊し始めている

 

「それより無駄ってのはどういう意味だ?」

 

華佗は于吉に聞く

 

「それは」

 

言おうとした時、階段から誰かが上がってきた

 

「貴様は!」

 

現れたのは、全身に漆黒の鎧を身にまとい、真っ赤なマントを羽織っている仮面の男が現れた

 

「来ましたか」

 

仮面の男は于吉に向かう

 

「その本に貯めていた妖力はすべてこの男が物にしました。太平要術を封印するにはこの男を倒すしかないのですよ」

 

「な、何だと!」

 

「さあ、はやく私を治すのです」

 

「……わかった」

 

ザクッ!!

 

「なっ!?」

 

次の瞬間、仮面の男が剣で于吉を切り裂いた

 

「き、さま……なぜ……」

 

「貴様は用済みだ」

 

仮面の男は于吉を蹴る。そして真っ二つにされた于吉の上半身が、鞠のように弾み、台の片隅にその身を横たえた

 

「貴様ぁ!恩を仇で返すのか!!」

 

「お前には、感謝している。だから終わらせてやったんだよ」

 

「ふざけるな!貴様なんぞ」

 

「お前にはもうどうすることも出来ない。だからおとなしく死ね」

 

「おの……れ……偽劉備ぃぃいい!!」

 

断末魔を上げながら、于吉の体は崩れ去り、于吉を貫いた宝剣はその場に残った

 

「…ひどい」

 

「姉上!下がって」

 

「……さて」

 

仮面の男…いや偽劉備は仮面を外し、桃香達の方に向く

 

「久しぶりですね」

 

「貴様ぁ!」

 

愛紗は偽劉備に切りかかる

 

「もう」

 

偽劉備は弩(古代中国)を取り出す

 

「食らえ!」

 

そして愛紗に標準を合わせて引き金を引く。するとテニスボールサイズの妖力弾が放たれた

 

「ぐうっ!!」

 

偃月刀でガードするが後ろに飛ばされた

 

「愛紗!」

 

「愛紗ちゃん」

 

鈴々と桃香は愛紗に近づく

 

「大丈夫です」

 

どうやら大丈夫そうだ

 

「邪魔だ」

 

偽劉備は、マントを横なぎにマントをひるがえす

 

「「「「「「うわっ!!」」」」」」

 

すると強風が起こり、桃香達は七星壇から落ちてしまう。しかし下にいた星達が落ちてきた5人を受け止め、地面にぶつからずにすんだ

 

「さて」

 

偽劉備は于吉が座っていた椅子に座り、右手を上に上げる。すると赤い光が空に向かっていく。そしてその光が消えると空が黒い曇天に覆われた

 

 

同じころ

 

「……このままでは、全滅を待つだけです」

 

曹操陣営では、重大な決断を決めかねていた

 

「ご決断を!」

 

「ぐっ!?」

 

曹操に決断をしようとした、その時

 

「ご報告します!!」

 

典韋が陣幕に入ってきた

 

「何事かっ!!」

 

「外を…外をご覧ください!?」

 

曹操が陣幕から出て、外を見る

 

「……これは」

 

全兵馬俑が動きを止めていた

 

「止まったのじゃ」

 

「どうやら…うまくいったようなのです」

 

「それじゃあ!?」

 

「皆の者!勝どきを……」

 

曹操が勝どきを上げようとした

 

「お待ちなさい!!」

 

戦場に声が響き渡る

 

「まだ戦は終わっていませんよ」

 

「何だ?この声は!?」

 

「華琳様!上!」

 

上を見ると、空に偽劉備の顔が映し出されていた

 

「あれは偽劉備!なぜ奴が」

 

「ご機嫌よう…連合軍の皆さん。私の名前は劉備いや…偽劉備と申します」

 

「偽劉備?」

 

孫策軍もその様子をみていた

 

「この兵馬俑を操っていた于吉は私が殺しました」

 

「何っ?」

 

「そして今はこの私がこの兵馬俑軍団の大将です。我が…いや我らの復讐のために貴方たちに殺します」

 

兵馬俑の恐怖はまだ終わらない

 

「いよいよだな」

 

「ええ、この時をどれほど待ったことか」

 

「曹操め…貴様はこの私が」

 

「孫策…いや孫家の者どもめ」

 

別の場所でも二人の人物が復讐に燃えていた

 

「「貴様(ら)を殺す」」

 

一人は両手に持った大きな鎌を持ち、もう一人は影から黒い手をいくつも出現させながら


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