TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第百十七席 賈駆、後悔の念に苦しむのこと

「賈駆…後宮の増築工事が遅れているようだけどどうなっている?」

 

洛陽の後宮のとある部屋、そこに賈駆がおり、ある人物に報告していた

 

「ここの所、函谷関の大改修工事を始め、大規模な土木工事が続いております。働き手を奪われたうえに費用を捻出するための過酷な税の取り立て、既に民は怨嗟の声を上げており流石にこれ以上は…」

 

「賈駆……僕が聞きたいのはそんな返事じゃないんだけど」

 

「くっ!」

 

「賈駆…もう一度聞く…後宮の増築工事すぐにも進めるんだろうねぇ」

 

ある人物は張譲であった。報告書を見ながら賈駆に聞く

 

「……」

 

賈駆は悔しそうに手を閉じ強く握る

 

「仰せにままに……張譲様」

 

「うむ…あと袁紹に命じた賊退治の件は?」

 

「何度も催促しておりますが未だ兵を出した様子はございません」

 

張譲は椅子から立ち上がり

 

「かつて三光を出した名門か何か知らないがここまで朝廷の威信を汚されては、もうそのままにはしておけないな!」

 

怒りを露にする張譲

 

「袁紹の官位を剥ぎ、すぐに都に呼び出せ!わが身に縄を打ち、許しを乞うならよし!そうでなければ逆賊として討つと!」

 

「はっ…直ちに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮廷の廊下

 

「……」

 

陳宮が歩いており、ある部屋に入った

 

「ん?あぁぁぁぁ!!」

 

部屋に入るなり、大きな声を上げる

 

「ん?」

 

そこにいたのは張遼だった

 

「張遼!勤務中の飲酒は厳禁だとあれ程、申したですのに!!」

 

「そんなん言われても、酒でも飲まないとやっとられんわな」

 

そういって酒を飲む張遼

 

「董卓言うたら、始終匈奴とがんがんやりおうとるっちゅうから急いで配下になったのに」

 

酒瓶をテーブルに叩きつける。テーブルの上には酒瓶が6本開けられていた

 

「何をやらされるかと思ったら、囚人を工事現場まで連れて行ったり、年貢払えん奴をとっ捕まえたり、これじゃ借金取りの用心棒してた時と変わらんがな」

 

そう言ってまた酒を飲む

 

「別にねね達だって好きでそんな仕事をしてるわけではないのです。なのに貴様は新参者のくせに生意気なのです!!」

 

怒りと悲しみの表情を浮かべる陳宮

 

「恋殿は…恋殿は…お前なんかの百倍も千倍も辛いのに文句ひとつ言わず意に染まぬ任務をこなしておられるですのに…入ったばっかで事情も知らないくせに!」

 

「陳宮…何を騒いでいるの?」

 

すると賈駆が入ってきた

 

「賈駆!この新入りの無駄おっぱいが仕事中に飲んだくれておったのです」

 

陳宮は張遼を指さしながら言う

 

「おいおい、行く所行ったら豊パイパイと聞くだけで泣く子も黙るウチの胸を無駄おっぱいとは失礼な!!」

 

「ええいい!まだそんな減らず口を!」

 

「陳宮、もうよしなさい」

 

「ですけど!!」

 

賈駆は張遼の肩に手を置き

 

「張遼…あなたも程々にね」

 

「あ…ああ」

 

「悪いけど今日はもう帰らせてもらうからね」

 

そう言って部屋を出る賈駆

 

「はいです」

 

二人は賈駆を見送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(かつてはいんしんを極めた花の都も今ではこのざまか)」

 

馬車に乗り、帰路につく賈駆

 

「街を行くのは食い詰めて故郷の田畑を捨てた流民か物乞いばかり」

 

洛陽の様子を見ながら心の中で呟く

 

「(あの時と…あの時と同じだ。あの時を同じで僕が見通しを誤らなければこんなことにはならなかったのに)」

 

後悔の念に晒される賈駆

 

「(あの戦に敗れた時、華雄将軍は命を懸けて僕を守ってくれた!なのに僕は命より大切な月を守れなかった!!)」

 

思い出すのは華雄のこと、そして董卓のこと。そして自分のせいでこうなってしまった自分自身への怒り

 

「(僕たちは張譲の手駒に、悪政はすべて月に擦り付け)」

 

目に涙を浮かべる

 

「(これが最初っから奴が企んでいたことだったんだ!そうとも知らずに僕は…僕は……)」

 

一人の人物とすれ違う

 

「……」

 

その人は馬車を見た後、また歩き出した。手に茶碗を持ちながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして

 

袁紹の屋敷

 

「麗羽様!!」

 

「大変です!!」

 

袁紹の部下の文醜と顔良が入ってきた

 

「なんですの?騒々しいですわね」

 

袁紹は侍女によるマッサージを受けていた

 

「くつろいでいる場合じゃないですよ!」

 

「とにかく読んでください」

 

顔良から手紙を渡され、袁紹は開く

 

「え~何々」

 

手紙を読む袁紹。すると表情が段々険しくなってきた

 

「むがああああ!!」

 

袁紹は手紙をクシャクシャにして地面に叩きつけた

 

「麗羽様、落ち着いて」

 

「そうですよ。今、面白い声が出ていましたですよ」

 

「何が至急参内して弁明せよよ!!しかもわが身に縄を打てですって!」

 

手紙を踏みつけながら怒る袁紹

 

「うがああああ!!」

 

そして手紙を蹴り捨てた後

 

「猪々子!斗詩!すぐに檄を飛ばしなさい!!」

 

「はぁ!」

 

「檄?」

 

「打倒董卓の檄を飛ばして袁家の旗の元に諸侯を集めるのよ!そして逆賊董卓を討つ」

 

拳を高く上げ、宣言する袁紹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ぃい!!袁紹めが反乱の兵を上げた!?」

 

賈駆から反董卓連合のことを聞かされ驚く張譲

 

「逆賊を討つと称して諸侯に檄を飛ばし、すでに曹操や袁術らがそれに応じて兵を動かしております。さらには江東の孫策も」

 

「くっ!!朝廷に弓を弾く身の程知らずめ!!」

 

「すでに汜水関に呂布を向かわせておりますゆえ…ご心配には及ばぬかと」

 

「いや…虎牢関にも董卓の残りの兵をすべて詰めよ」

 

「ですが、それでは洛陽の守りが手薄に」

 

「構わぬ。宮廷は近衛兵が固めておるし、汜水関と虎牢関が抜かれぬ限り大群が洛陽に迫ることはできぬ」

 

「しかし」

 

「それとも手近な所から兵がいなくなるのは困るか?」

 

「いえ…そのようなことは決して」

 

「ならばすぐに兵を出せ…良いな」

 

「…御意」

 

「それと賈駆」

 

「はい」

 

「その連合にはあいつもいるのか?」

 

「あいつとは?」

 

「あの天の御使いのことだ!」

 

「御使い?高杉のことですか?」

 

「そうだ」

 

「報告では参戦するようで」

 

「そうか…呂布に伝えろ。そいつは必ず殺せと」

 

「必ずですか」

 

「そうだ」

 

「しかし」

 

「賈駆よ、これは命令だ!背いたらどうなるかわかるね」

 

「…わかりました」

 

そういって部屋から出ていく賈駆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよ…か」

 

その様子を仮面の男が聞いていた

 

「いよいよ復讐できる……奴は俺が必ず……だが念のため俺も向かうか」

 

仮面の男も汜水関に向かった


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