TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者 作:ヒーロー好き
そして肝心の周瑜はというと
「う~~~ん」
二日酔いで頭を押さえていた
「流石に昨日は飲みすぎたわね……」
「周瑜様っ!周瑜様っ!」
扉が開かれる
「小喬……大声出さないで……」
「周瑜様!大変です!黄蓋様が……黄蓋様が倒れられました!」
「何だとっ!」
その報告に周瑜は驚き立ち上がった
「二日酔いの時にも関わらず、朝から飲んでいたのですが」
周瑜と小喬は走りながら、黄蓋にいる部屋に向かっていた
「つまみにしていた塩漬けにしていたお肉が腐っていたらしく、激しい腹痛を訴えたられて」
小喬は走りながらも説明する
「お医者様の話では、おそらくもう助からないと」
「そんな…」
悲しい表情を浮かべなら、周瑜は廊下を駆け、黄蓋の元へと向かう
「黄蓋殿!」
部屋に入ると、孫尚香が寝台の横で看病しており、悲しげに首を横に振る
「そんな……」
寝台の上で、黄蓋は横たわっていた。
「黄蓋殿!」
「周瑜……か………」
顔色は悪く、見るからに弱り果てていた
「黄蓋殿!お気を、お気を確かに」
「どうやら、儂はもういかん……。お亡くなりになられた先代様の元へ参る時が来た様じゃ……」
後ろでは、二喬と合流あい周瑜の見えない所で、孫尚香は親指を立てた
「何お弱気な…先代様の頃より、数多の死地を乗り越え、今の孫家を築いた黄蓋殿ではありませんか。病ごときに負ける筈が」
「そうは言うても……寄る年波には勝てんよ……」
「た、確かに……」
「何ぃ!?」
思わずその身を起き上がらせる黄蓋。茫然とする周瑜の後方で、孫尚香が慌て出す
「……」
我に帰り、寝台に倒れ込む黄蓋
「周瑜よ……儂の命の灯火は、今正に消えんとしている様じゃ……最後に今際の際に、アレを一口……」
「分かりました!アレですね?しばしお待ちを」
急いでその場を後にする周瑜
「うふ」
周瑜が去った後、孫尚香と黄蓋は、互いに親指を立てていた
周瑜は、黄蓋が言ったアレのある蔵に向かった
「……」
そして中に入り、アレがある場所へと向かうと
「雪蓮!」
先客がいた
「冥琳!」
「雪蓮!あなた、どうして……」
「どうしてって、祭が今際の際にアレを一口飲みたいって言うから私」
「雪蓮、もしかしてあなたも?」
「けど、黄蓋殿は先にあなたが来ていた事など一言も」
バタンッ!と、扉が急に閉じられた。
「「!!」」
周瑜は慌てて門へと向かい、扉に手をかける。だが、びくともしない
「しまった、閂が!」
「ちょっと誰かいるんでしょ!ここを明けなさい!」
「雪蓮姉様、周瑜、ごめんね…これも二人を仲直りさせるためなの」
心の中では、謝罪してるが、その表情は笑っており、全然反省しているようには見えなかった
「ふ~ん」
後頭部で手を組み、鼻歌混じりで、去っていく孫尚香であった
「どうなるか分かってるんでしょうね!」
「策殿、無駄なことはおやめなさい」
孫策と周瑜は、音源の方へと顔を向ける
「祭」
蔵の壁にある、小さな窓穴から、病気で弱っていたはずの黄蓋が覗いていた
「黄蓋殿、これはいったい!?」
「あなた、病に死にそうじゃないの?」
「もしやこれは黄蓋殿のたくらみか?」
「いや…ワシがあれとしか言わなんだなのに、お二人ともそれが何かに気付いていただけたとは、うれしい限り」
「貴方が今際の際に飲みたい物といえば、私が生まれた記念に仕込んだっていう秘蔵の壺酒に決まっているじゃない!」
「しかし隠し場所までちゃんと覚えていたとは、家臣冥利に尽きすな」
「そんなことよりなんでこんなことを」
「そうよ!何で私たちを騙すような真似を」
「いやなに、お二人には少し頭を冷やしていただこうと思いましてな」
「ど、どういうことよそれ!」
「そうです!別に頭を冷やねばならむことは何も」
「やれやれ、素直に反省すればすぐにでも出してやろう思っていたがやはりしばらく閉じ込めておかねば」
そう言うと、黄蓋は窓穴から顔を隠した
「あっ!待って!」
「あっ!そうそう…厠に行きたくなった時は、たしか蔵のどこかにワシが子供に使っていたおまるがあるからそれを使われるがよかそう」
「あなたが子供の頃って」
「50年以上前のことではですか」
「そんなに前ではないわ!!」
声を荒げる黄蓋
「まったくあやつら、ワシをいくつだと思っているのじゃ。ワシとてその気になればまだまだひと肌もふた肌も」
踏み台から飛び降り、ぶつぶつ言いながら、その場を去る黄蓋であった
しばらく経ち
「日が暮れてきたわね」
辺りはもう夕暮れになっていた
「はあ~」
周瑜は、ため息をつく
「祭ってば、一体いつまで私達を閉じ込めておく気なのかしら」
「さあ……そう簡単には出してくれない様ですね」
「こうやっていると、なんか子供の頃を思い出すわね。昔はよく、悪戯をしたお仕置きに、二人で蔵に閉じ込められたっけ」
「なに呑気な事を言ってるんですか。今日はただでさえ、二日酔いで仕事が捗らなかったのに……」
「それにしても、武人の祭にこうまでしてやられるなんてね~」
「腐肉を食らったと言って、味方の我らを欺くとは、なんたる卑劣な策……そんなものに引っ掛かってしまうとは……この周公瑾、一生の不覚!」
周瑜は悔しさを露にし、壁に拳をぶつける
「ねえねえ冥琳、一杯食わされた仕返しに、祭の壺酒飲んじゃおっか?」
「駄目よ雪蓮。元はと言えば、それはあなたが生まれた時に黄蓋殿が、いつか自分にも子が出来たら、その祝いとして飲むつもりで仕込んだ大事な壺酒なのよ?それを勝手に飲んだりしたら、後でどんな目に遭わせられるか……」
「でも正直な所、祭はその辺はもう望み薄な訳じゃない?だったら」
「それ、黄蓋殿の耳に入ったら、このまま蔵に火をつけられるわよ?それにしても、この状況でそんな事を思い付くなんて……本当お酒に関して人一倍意地汚いんだから」
「むぅ……」
「まあ、人に届いた荷物を勝手に開けて、中のお酒を飲んじゃうあなただから、そうだった事は分かってたけど」
「しつこいわね冥琳!あのお酒の事なら、もうちゃんと謝っ……てなかったわね」
思い出したかの様に、孫策は空を仰ぐ
「ごめんなさい……流石にあれは私が悪かったわ」
「雪蓮……」
「けど冥琳も、たかがお酒一瓶の事で、いつまでもグチグチ言って、ちょっとしつこいんじゃない?」
「……」
「そりゃあ確かに、あなた宛に届いたお酒を勝手に開けて飲んじゃったのは私が悪いけど、だからってあんなに怒らなくても」
「あれは……あのお酒は特別だったのよ!」
「特別って……美味しい事は美味しかったけど、そんなに貴重な物だったの?」
「そうじゃなくて……今年で、丁度、十年目だから……その日になったら、記念に二人で飲もうと思って……それでわざわざ評判の名酒を取り寄せて」
「十年目の記念?それって何の?」
「何のって、それは、その……」
モジモジと、壁に指を滑らせる周瑜
「私と冥琳が初めて会ったのって10年以上前だし、私たちの初陣から10年…わけでもないわよねぇ…とすると」
そして、孫策は思い出した
「あ、そっか!私と冥琳が初めてや」
「バカ!!」
言いかけた瞬間、周瑜が口を塞いだ
「契りを結んだとか、愛を結んだとか、もっと他に言い方があるでしょう!?」
「そっか……それで拗ねちゃってたんだ?成る程ね」
「わ、悪い?そりゃあ、あなたにとってはどうでもいい事だったかもしれないけど、私にとっては……私にとっては、とても、大切な」
段々と小声になっていき、涙ぐむ周瑜
「もちろん、私にとっても、大切な思い出よ」
「えっ……?」
「冥琳、あなたの気持ちに気づいてあげられなくて、ごめんなさいね」
「いや、その……」
「私、あなたがいつも側に居てくれる事に、甘えちゃってたのかな」
「……」
「貴方の傍にはいつも貴方がいて貴方のそばにはいつも私がいる…ずっと前からそうだしこれからもずっとそう。どちらがいなくなるなんて考えられない強い交わり…それがあるからって私、油断してしたのかも」
「もうそれ以上言わないで…そう言って貰えただけでも私、私……」
「冥琳……」
二人は、強く抱き締め合う
そして此度の作戦を実行した黄蓋達はというと
「ほお、もう日が沈むか」
屋外でお茶をしていた
「二人とも、そろそろ仲直りをした頃合いじゃな」
「それじゃあ、もう蔵から出してあげてもいいんじゃない?」
「やれやれ、ませたこと言ってもまだまだ寝んねじゃのう」
「ちょっと!どういう事よそれ」
「仲直りしたからこそ、もうしばらく二人っきりで閉じ込めてやるのよ」
「??」
翌日
「お待たせして、申し訳ない」
孫権と愛紗はとある蔵の前に来ていた
「昨夜遅く、呂蒙がようやくこの蔵に江東丸がある事を突き止めて…確か、こっちの一番奥の棚にしまってあるとっ!!」」
孫権と呂蒙の案内により、その蔵の中に入り棚の角を曲がり、一同は、目撃してしまった
「…………」
衣類を身に付けず、生まれたままで抱き合いながら眠っている孫策と周瑜の姿を
「こ、これは……」
一同は顔を赤くし、言葉が出ない
「ん…んん…」
すると、周瑜が目を覚ました
「もう、何よ……朝からうるさ…あっ」
眼鏡をかけ、状況を把握し、とても、かなり、気まずい空気が、その場を支配するのであった
そんなこんなで、江東丸を手に入れた愛紗
「関羽殿、道中の無事を祈っています」
見送りに、港には孫権、孫尚香、陸遜、周泰、甘寧、呂蒙が来ていた
「お世話になりました、孫権殿」
「おっぱい10番勝負のことちゃんと張飛に言っといてよ」
そんなこんなで、船に乗り込み、出航した
「甘寧…貴方は」
「良いのです。私が言うべきことは別の人物なので」
「そう」
そして船の上では
「(これで江東丸は手に入った。皆も探している物を手に入れられていればよいが)」
そんなことを考えながら帰路につくのであった
「(はあ~ご主人様…帰ってきたらたくさんほめてください、ふ、ふふ、フフフフフフフフフ)」
目に光もなく、怪しい笑みを浮かべながら