TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第百七席 魏延、命を狙われるのこと

その後、何事もなく辿り着き

 

「はあ~気持ちいい~」

 

桃香達が先に温泉へと入っていた

 

「こんな山の中でお風呂に入れるなんて、足も挫いてみるもんだね~」

 

「もう…でもまあ確かに月明かりの下で入る露天風呂は風情があっていいですが」

 

そんな中、たんぽぽのみ浮かない顔をしている

 

「どうしたんですか…馬岱ちゃん?何か気にかかる事でも?」

 

「ん……ああ、魏延の奴がなんで一緒に来なかったのか気になって」

 

「そういえば、そうだよね……出かける時になって自分は温泉に行かないと言い出して…何か理由があるんでしょか?」

 

「そんなの決まってるのだ。きっとお尻の青アザがまだ取れてなくて、それを見られるのが恥ずかしいのだ」

 

「やだもう、鈴々ちゃんたら」

 

鈴々の冗談により、その場に笑いが起こる

 

「そうですよ!これ聞いたら魏延さん、怒りますよ」

 

そんな状況でも、たんぽぽだけが笑っていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はここにお泊まりなのだ」

 

小屋に入ると

 

「あれ?どうして、こちらへ?」

 

そこでは老人が火を焚いていた

 

「アンタらが出かけた後、暫く経ってからお連れの魏延さんに、アンタらが大変なドジっ子揃いで、火の始末もおぼつかないから歩いて見てやってくれって言われも、万が一、山火事でも起こされたら大変だで、こうやって様子を見に来たんじゃ」

 

「いや、けど……」

 

「おかしいのだ。確かに朱里はドジっ子だけど、火の始末くらいは出来る子なのだ」

 

「ふぇ!?」

 

鈴々の言葉に驚く朱里

 

「なのに…魏延さん、どうしてそんな事を……」

 

そして何かに気付くたんぽぽ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして魏延はというと

 

「……………」

 

目を閉じ、山小屋で正座をして待機していた

 

「………来たか」

 

目を開き、鈍砕骨を携えて外に出る

 

「おい!いつまでも隠れてないで、いい加減に姿を現したらどうだ」

 

大声でそう叫ぶ魏延

 

「……」

 

すると、森の茂みの奥から、一人の少女が姿を現した

 

「……」

 

仲間と思える少女達が、それぞれ武器を手にして、姿を現し魏延を包囲する

 

「やはり貴様か……ゴツコツトツ」

 

「ゴツコツトツじゃない!兀突骨だ!」

 

「陰からこそこそと命を狙うとは、卑怯だぞ!ゴツコツトツ」

 

「兀突骨だ!!」

 

「貴様、何の恨みがあって私を狙う?」

 

「そんなの決まってるだろ!姉ちゃんの仇だ!」

 

「成程、それで陰から命を狙った挙げ句、一人では勝ち目がないと仲間を集めて闇討ちか。ご立派なやり口に、貴様の姉も草葉の陰で喜んでいる事だろうな」

 

「うるさい!不利だと思うんなら、お前も仲間を呼べばいいだろ」

 

「っ!!」

 

「……って言っても無理か」

 

「何っ?」

 

「お前みたいな嫌われ者と一緒に戦ってくれる奴なんか、いるわけないよな」

 

「……」

 

反論できず、拳を握り締める魏延

 

「あたい知ってるぞ。お前、生まれてこの方、真名を預け合ったのは師匠の厳顔だけで、その厳顔からも破門されたんだってな?」

 

「……」

 

「どうだ、魏延。お前には、共に戦ってくれる仲間がいるか?戦いの中で、背中を預けられる友がいるか!……そんな仲間がいるのか!!」

 

「ここにいるぞっ!!」

 

「っ!!」

 

「っ!!」

 

満月を背に、たんぽぽはやって来れ、立っていた岩から飛び降りる

 

「馬岱……貴様、何故!?」

 

兀突骨の仲間の間を抜け、魏延と向かい合う

 

「質問するのはこっちが先だ!魏延、一人でここに残ったのは、こうなる事が分かってたからなんだろう?」

 

「違う!これは…」

 

「こうなる事が分かってたから、仲間を巻き込みたくなくて、下手な嘘までついて、一人になろうとした!そうだろ魏延!」

 

「っ!!」

 

「お前がそんな風に思ったんなら、お前はもうたんぽぽの仲間だ!」

 

「え!」

 

「そしてたんぽぽは、仲間を絶対に見捨てない!」

 

「あっ!」

 

「お前、とつごつこつとか言ったな」

 

「兀突骨だ!」

 

「どっちでもいいけど、魏延の命を狙うなら、西涼にその人ありと言われた錦馬超の従妹!この馬岱が相手になるぞ!」

 

「ひ、一人増えたからって、なんだってんだ!みんな、二人まとめてやっちまえ!」

 

兀突骨の合図で、一斉に襲いかかる

 

「でぁあ!!」

 

たんぽぽは槍を巧みに扱い敵を倒す

 

「ああああああああああ!!」

 

兀突骨は魏延切りかかるが、魏延は鈍砕骨で、防御し、兀突骨と掛かってきた相手を吹き飛ばしていく

 

「「……」」

 

互いに背中を預け、敵を倒していく

 

 

 

 

 

 

「な、なんだこいつら!」

 

「強すぎ……話が違うぞ!」

 

「こんなの相手にしたら、命がいくつあっても足りねぇや!」

 

武器を手放し、恐れをなして兀突骨の仲間たちは逃げ去っていく

 

「お、おい待て!勝手に逃げるな!」

 

聞く耳持たず、森の中へと逃げていく

 

「どんぐりやっただろ!?後、茸と山鳥も」

 

「どつこつごつ」

 

「兀突骨だ!!」

 

「お仲間はみんな逃げちゃったけど、まだやる気?」

 

「当たり前だ!」

 

兀突骨は再び魏延に切りかかるが

 

「であ!」

 

再び吹き飛ばされる

 

「くそ!!」

 

兀突骨は立ち上がろうとする

 

「何だこれ?」

 

「!!」

 

兀突骨の後ろから声が聞こえ、後ろを振り向くと

 

「凄い音してたけど、これはいったい?」

 

「ご主人様!!」

 

「高杉!!」

 

勇作がいた

 

「ん?」

 

「……」

 

視線を下に向けると少女(兀突骨)が倒れていた

 

「大丈夫?」

 

勇作が手を伸ばそうとすると

 

「来るな!!」

 

兀突骨が剣で勇作を切りにかかる

 

「っ!!」

 

シュッ!!

 

突然の事に加え、覇気が使えない上に完全に油断していたために

 

「ご主人様!」

 

「高杉!」

 

傷は負わなかったが右目に巻かれていた包帯が切られてしまった

 

「ちぃ!」

 

勇作はたんぽぽと魏延に移動する

 

「ご主人様」

 

「大丈夫だ」

 

右手で右目を抑えながら言う

 

「貴様!!」

 

たんぽぽは槍を兀突骨に向ける

 

「落ち着け!」

 

「けど!!」

 

「とりあえず状況の説明をお願い」

 

「………そいつが魏延を殺そうとして」

 

「えっ!!」

 

驚く勇作

 

「何で魏延を殺そうとした!?」

 

勇作が兀突骨に聞く

 

「………そいつはあたいの姉ちゃんを殺したんだ!」

 

「「えっ!!」」

 

「だから、絶対……絶対に仇をとるんだ!」

 

「魏延……こいつの姉ちゃんを殺したって、本当なの?」

 

「………あれは、桔梗様が四年に一度の武闘大会を開いた時のことだった」

 

「(4年に一度ってオリンピックか?)」

 

 

 

 

4年前

 

「「はっ!!」

 

特別席に厳顔、観客席には観客。大勢の視線を浴びながら、魏延は相手の女性と対峙していた

 

「……」

 

「……」

 

この相手こそが、兀突骨の姉だ

 

『さあ、巴群武闘大会もついに大詰め!この決勝戦を制した方が優勝です!!』

 

「あれは本当に激しい……戦いだった……少しでも気を抜けば、こちらがやられていた事だろう。だから、最後の一撃を打ち込んだ時、おもった以上の深手を負わせてしまって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

「その時の傷が元で姉ちゃんは病にかかって、すごい熱が出て、それでそれで」

 

「(亡くなったと)」

 

「お前、試合の時に何かズルしたんだろっ!卑怯な手を使ったのに、領主の弟子だからって、みんな見て見ぬ振りしたんだ!でなきゃ、あたいの姉ちゃんが負ける筈ない!!」

 

「魏延は卑怯な真似なんかしてない!」

 

「絶対にした!そいつが良い証拠だ!」

 

そう言うと勇作に剣を向ける

 

「俺が証拠?」

 

「そうだ!そこの妖術使いを使って卑怯なことをして」

 

「ちょっと待て!!俺は妖術使いじゃない!!」

 

「絶対そうだ!でなきゃ、あんなことが」

 

「あんなこと?」

 

たんぽぽは聞く

 

「あたいは見たんだ!そいつがそいつが妖術を使った瞬間を」

 

「いつ?」

 

「とぼけるな!あの川を二つに割ったり、大岩を真っ二つに切るなんて妖術しか考えられないだろう!!」

 

「…っ!!あの丸太と岩は貴様の仕業だったのか」

 

「そうだ!」

 

「あれは妖術じゃなくて」

 

「うるさい!!おまえみたいな妖術使いは死んじゃえ!!お前みたいなやつは生きる価値もない!!」

 

 

 

ピキ

 

 

兀突骨の言葉に勇作の心に痛みが走り、左手で胸を抑える

 

 

 

「……まえ」

 

「ん?」

 

「黙れ!!」

 

たんぽぽは兀突骨に殺気を放つ

 

「ひぃ!!」

 

すまじい殺気を肌身に感じ、兀突骨は後ろに下がる

 

「馬岱」

 

魏延は驚きを隠せないでいた。さっきまで背中を預け合って戦っていたのに、まるで別人に感じていたからだ

 

「貴様がどう思っているか知らないけど、ご主人様のことを馬鹿にする奴はたんぽぽは絶対に許さない!!さっきの言葉…取り消せ!」

 

「たんぽぽ」

 

「……もう一度言うけど、魏延は卑怯な真似なんかしてない!」

 

「し、試合を見てもいないお前に、なんでそんな事が分かるんだよ!」

 

「分かるよ!」

 

「っ!!」」

 

「武術というのは、心に疚しい所があれば、それが気の濁りとなって現れる。たんぽぽは魏延と何度か立ち合った事があるけど、武器を構えた時は、いつだってこいつの心気は澄んでいた。確かにこいつは口は悪いし、性格も曲がってて、すっごく付き合いにくい奴だけど」

 

「(思いっきり悪口言ってない?)」

 

「武術に関してだけは、絶対に卑怯な事をする奴じゃない!」

 

「け、けど……もし、そうだとしても、魏延!お前は姉ちゃんの仇だ!それに変わりはない!」

 

「……確かにそうだな」

 

「魏延」

 

「だが、今の貴様の腕は、姉の足元にも及ばん。それでは何度やっても私を倒すのは無理だ」

 

言い返せずに歯噛みする兀突骨

 

「兀突骨、修行して強くなれ。強くなって、正々堂々と私の首を取りに来い」

 

見つめ合う、魏延と兀突骨

 

「強くなる……強くなってやるからな!」

 

兀突骨は、その場を去っていった

 

 

 

 

 

 

「あんな事、言って良かったの?あいつどっかで修行して、いつか仇を取りに来るよ?」

 

「その時はまた、叩きのめしてやるまでだ。それに、何かに打ち込むことで悲しみが忘れられるなら、それもまたいいだろう」

 

「……魏延」

 

「(かつて、自分が姉を失った時の悲しみを、武術に励む事で紛らわせた様に)」

 

「(まあ、そうなったらたんぽぽがあいつを倒せばいいか…ご主人様を…好きな人を馬鹿にした報いは受けないと)」

 

「所で、ずっと気になっていたんだが、貴様どうして裸足なんだ?」

 

「あっ!い、いや~慌てて飛び出してきたから、靴履くの忘れちゃって」

 

「何やっているだよ」

 

そんな光景を目にし、魏延は笑みを溢す

 

「それよりもご主人様はどうしてここに?」

 

「…皆が風呂に行っている間、捻挫に効く薬草を探しに森に入ったは良いけど、迷ってしまって」

 

「迷ったって」

 

「けど、白い服を着た人に道を教えられて、歩いていたら音が聞こえて何事かなって向かったら」

 

「ここに来たと」

 

「ああ」

 

「さて、包帯汚れてなきゃいいけど」

 

勇作は切られた包帯を取りに行く。幸いなことにまだ使えるようだ

 

「馬岱……実は貴様に、ちょっと話があるんだが」

 

「奇遇だね……たんぽぽもちょっと話があるんだ」

 

「それに高杉……いえ、お館にも」

 

「ん?お館って俺の事?」

 

右目に包帯を巻きながら魏延の話をきくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明け、勇作達は崖道を歩いていた

 

「や~ま~があ~るか~ら山な~のだ~」

 

「捻挫して~も気にし~ない~」

 

鈴々と桃香は歌を歌っていて

 

「しかし、薬草の力というのは凄い物だな。劉備殿の捻挫が一晩で治るとは」

 

「隠し湯の近くに、サロンパ草が生えてて助かりました」

 

「(俺の苦労はいったい?)」

 

「もっとも、温泉で充分に温まった所に貼ったから普通よりも効いたようですけど」

 

「焔耶の性格を直す薬草もどっかに生えてればいいんだけどね~」

 

「おい!たんぽぽ!どういう意味だ!」

 

「どういう意味って聞いたとおりの意味だけど」

 

「何だと!!」

 

「はわわ!二人とも、喧嘩は駄目ですよ!喧嘩は」

 

「あわわ、落ち着いて下さい……」

 

「たんぽぽ、どうやら貴様とは一度きっちりとケリをつける必要があるようだな!」

 

「それはこっちの台詞だ焔耶!」

 

「はわわ、駄目ですよ駄目ですよ」

 

「はいはい、そこまでしなよ…たんぽぽ、焔耶」

 

「ご主人様」

 

「お館」

 

「あれ、魏延さんと馬岱ちゃん、いつの間にか真名で呼び合ってない?」

 

真名で呼び合っていることに気付く桃香

 

「本当なのだ」

 

「それにご主人様も魏延さんことを真名で呼んでいるし、魏延さんもご主人様のことを」

 

「あ!?」

 

互いに顔を背け合う二人。しかし、その表情はどこか、微笑んでいる様にも見えた

 

「(なにはともあれ、これはこれでありなのかな)」

 

昨日、真名を交換し終え、二人を見る勇作であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死んじゃえ!!お前みたいなやつは生きる価値もない!!

 

 

 

勇作は昨日の事を思い出すが直ぐに思い出さないようにするが、

 

「(………くそ)」

 

思った以上に心に刻まれているにであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さま……予定どおりです。…はい……例の……。成功です……続けます」

 

 

そして謎の人物も勇作達に気付けれないように後を付けるのであった


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