TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第百六席 魏延、馬岱と喧嘩をするのこと

夕暮れ時

 

「焚火で服乾かしてたらすっかり遅くなっちゃったね」

 

崖道を歩く勇作達

 

「今夜は野宿か~」

 

「どこか良い場所があればいいのですが……」

 

ポロリ

 

すると、上から小石が転がってきた。

 

「ん?」

 

上を見上げる勇作と桃香と魏延

 

「げっ!!」

 

すると巨大な石がこちら目掛けて落下してきた

 

「まずい!!」

 

「危ないっ!?」

 

「きゃっ!」

 

咄嗟に、魏延と慌てる桃香を脇に抱え込み、落石素早く回避し、勇作は背中に挿してある妖刀を抜く

 

「ふん」

 

振り抜くと岩は真っ二つに切れ、そのまま崖下に落下していった

 

「!!」

 

魏延が上を見上げると人影らしきものが見えた

 

「桃香お姉ちゃん!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「う、うん。大丈…!!」

 

立ち上がろうとすると、鈍い痛みを感じる桃香

 

「どうした?劉備殿」

 

「ちょっと足首を捻ったみたいで」

 

「すまん…私のせいで」

 

「何言っているんですか!魏延が助けてくれなかったから私、岩に潰されてペシャンコになっていたかもしれないんですよ。だから謝ったりしないでください…ね!」

 

「劉備殿」

 

「ご主人様もありがとうね」

 

「………」

 

勇作にも御礼を言うが、反応がない

 

「ご主人様?」

 

「っ!ど、どうしたの?」

 

「いや…ボーとしていましたけど、どうしたんですか?」

 

「な、なんでもない」

 

と言うが

 

「(何だよ!この切れ味!妖刀ってこんなに切れるのか……これは使わないようにしよう)」

 

妖刀のあまりの切れ味に恐怖していた

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね…鈴々ちゃん」

 

あんなことがあったが一同は崖道を歩いていた

 

「姉妹の契りを交わした仲で水くさいことは言いっこなしなのだ」

 

鈴々は桃香を背負っていた

 

「それにおっぱいだけがプニプニの愛紗と違って、桃香お姉ちゃんはお腹も太もももプニプニで気持ちよさ倍増なのだ」

 

「そ…そうなんだ」

 

鈴々の言葉に苦笑いを浮かべる桃香

 

「!!…あれ見て!」

 

歩いている道中、たんぽぽは山の麓に煙が立っているのに気がつく

 

「よかった…あそこに行って泊めてもらえるかどうか頼んでみましょう」

 

小さな納屋にたどり着いた勇作達

 

「たのも~なのだ」

 

「突然押し掛けて、すみません」

 

一人の老人が出てきた

 

「ごらんのとおり、仲間の一人が怪我をしてしまって……ご迷惑でなければ、一晩宿をお貸にいただけないでしょか?」

 

「そりゃ、難儀な事じゃな。オラ一人で何のもてなしも出来んが、雨露くらいは凌げるで…はよ、上り」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

「ん~思ったよりひどいみたいですね」

 

室内で診察している朱里。桃香の右足首は、少し腫れており青くなっていた

 

「そんなにひどい?」

 

勇作は朱里に聞く

 

「ええ」

 

 

 

 

「ふん」

 

そして魏延とたんぽぽは薪割りをしていた

 

「ふん」

 

魏延が斧を振り下ろし、たんぽぽが薪を置く

 

「う~んも~…なんでたんぽぽが薪割りなんか」

 

「止むおえまい…一晩宿を借りるのだ。宿代代わりにこれぐらいして当然だ」

 

「しっかし、誰かさんがついてくる様になってからロクな事ないよね~」

 

「……貴様、何が言いたい」

 

「べっつにぃ~?」

 

「言いたい事があるならはっきり言ったらどうだ?もし言えぬと言うなら、体に聞いてやってもいいが?」

 

「なに?やるっていうの?」

 

「貴様に私とやり合う勇気があるのならなぁ?」

 

「なんだって!……いいよ!やってやろうじゃん!今日こそはあんたと決着つけてやるからね!」

 

それぞれ得物を持ち、対峙する両者

 

「(こいつ……やっぱり強い……!)」

 

「どうした?来ないのか?なら、こちらから行くぞ!」

 

鈍砕骨を振り下ろす

 

ドゴォォォォン

 

一瞬で地面が陥没し、砂煙が発生する

 

「でぁあああああ!!」

 

続けて攻撃をする

 

「くっ!」

 

たんぽぽは状態を反らし、ギリギリで回避する

 

「……」

 

距離をとり、対峙する

 

 

「でぁぁあああ!!」

 

再び鈍砕骨を振り下ろす魏延

 

 

ガツン

 

 

「!!」

 

魏延は驚愕の表情をする

 

「騒がしいと思ったらこれか」

 

それを勇作は右手で止めていた

 

「ご、ご主人様」

 

「……」

 

鈍砕骨を持つ魏延の手が震える

 

「……」

 

たんぽぽはその様子を見て、何かを言おうとした時

 

「二人ともいい加減にするのだ!!」

 

鈴々が大声を張り上げ、魏延とたんぽぽを叱りつける

 

「朱里が桃香お姉ちゃんの足をみてるんだから、うるさくしたら邪魔なのだ!!」

 

「って鈴々ちゃんが一番うるさいんですけど」

 

朱里がちいさくツッコミを入れるのであった

 

 

 

 

 

 

 

その夜

 

「えっ!温泉?」

 

「ああ、ここから、ちぃとばかし登った所に、小さな隠し湯があっての。傷や打ち身によう効く湯で、お連れさんの足にもええと思うがね」

 

「そうですね、確かに劉備さんの足には良いと思いますが……」

 

「桃香お姉ちゃんの事なら任せておくのだ。鈴々がおぶって温泉まで連れてってあげるのだ」

 

「ありがとう鈴々ちゃん」

 

「えへへ」

 

「(本音をいえばご主人様におぶってもらいたかったけど)」

 

視線を朱里に向ける

 

「どうしました?」

 

「な、なんでもないです」

 

「道は一本だから…あんたらだけども迷うことなくあるねえ……そいから隠し湯のそばには湯治客の為の山小屋もあるで。今夜は、そこで寝泊まりすればいいじゃろう」

 

「何から何まで、お世話になってすみません」

 

「なぁに、隠し湯は皆のもんだで…遠慮せんと使うがええ」

 

「よ~し!そうと決まれば早速温泉に出ぱ……あいたたた!」

 

喜ぶ余り、急に立ち上がる桃香。当然ながら、足に激痛が走り、踞る。それにより、場が和むが、ただ一人。魏延だけが、浮かない顔をしていた


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