TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第百三席 孫尚香、務めを果たさんとするのこと

その日の夜、袁術が住まう城に、とある来客が訪れていた

 

「あら、随分ご無沙汰していましたけど美羽さん、私に似てまた美しくなったんじゃありませんこと?」

 

豪華な客間にて、袁術は客人である袁紹の膝に座らされ、長い金髪を手入れされていた

 

「れ、麗羽姉様も、お変わりなくて何よりなのじゃ……」

 

ソファーに腰かけており、両端には、側近である文醜と顔良も腰かけており、向かい側には張勲もいる

 

「お変わりないなんて嫌ですわ。私、前よりも何倍も美しくなってましてよ?」

 

「そ、それは結構な事なのじゃ……」

 

その表情は、どこか無理をしている様に見える

 

「所で美羽さん?」

 

「ん?」

 

「貴女、黄巾の乱を沈めた時の武勇談をお芝居にして上映してらっしゃるとか」

 

「美羽様の舞台、すこぶる民に好評で、順調に回を重ねております。しかも次回の公演は、新たな趣向を凝らした、特別興行を予定しているんですよ」

 

「それは楽しみですこと。私も是非、拝見させていただきますわね」

 

何かを閃めく張勲

 

「そうですわ!折角ですから、袁紹様もご出演なさってはいかがですか?」

 

その言葉に、袁術が物凄く嫌な顔をした

 

「うふ」

 

張勲はアイコンタクトで伝える

 

「あら、いいですわね。けど、私に相応しい役がありまして?」

 

「はい…もしよろしければ、曹操の役はいかがでしょう?」

 

「なっ!?どうしてこの華麗で優雅な私が、あの様な貧乳小娘の役をやらねばなりませんの!?」

 

思わず袁術の髪を引っ張り回してします

 

「いだだだ!麗羽姉様、痛いのじゃぁ……」

 

「ああ、後免遊ばせ」

 

謝罪する袁紹

 

「袁紹様…このお芝居では、曹操は張三姉妹にやり込められて這う這うの体で逃げ出すやられ役……その時の醜態を、袁紹様が殊更大袈裟に演じれば……」

 

「……あの忌々しい小娘の評判を地に落としてやる事が出来ますわね」

 

「はい!」

 

「猪々子!斗詩!舞台に出るわよ!」

 

「「えぇ~~!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

袁紹達が宿泊室に行った後

 

 

「やれやれ……麗羽姉様の相手は疲れてならんの」

 

謁見の間にて蜂蜜水で喉を潤す袁術。飲み干した後、肩を下ろす

 

「どんな相手も呆れさせ、げんなりさせてしまう美羽様も、相変わらず従姉の袁紹様だけは苦手なんですね」

 

「うむ!いつかギャフン!と言わせてやりたいのじゃが、他の者と違って麗羽姉様が相手だと、どうも調子が狂ってのぅ……しかし七乃、その麗羽姉様を何故なにゆえ、今度の舞台に出るよう勧めたのじゃ?」

 

「曹操とは犬猿の仲の袁紹様の事。ああいう風に勧めれば、曹操役をさぞかし無様に演じてくれる筈。ですが、実際に舞台で醜態を晒すのは紛れもなく袁紹様本人。果たして評判が地に落ちるのは……」

 

「成る程、そういう事か」

 

「それに、もしもこの事が曹操の耳に入れば、ただでさえ仲の悪い二人がますます悪くなるのは必定…上手くいけば、互いに争って共倒れってことも」

 

「おほほ!流石張勲!セコい悪知恵を働かせれば、中原一じゃのぅ!」

 

「はい!なんたって私は、美羽様の一の家臣ですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「えぇい、そこはそうではない!それでは迫力が足りぬ!もっとこう、グワ~!という感じじゃ!」

 

巨大なドーム状の舞台会場。その場内に、袁術がおり、観客席にて、舞台上の役者に指示を出すが、表現があまりに雑すぎる

 

「あの、困ります……練習中は部外者は入れるなと」

 

「いいから袁術に会わせなさいよ!」

 

その舞台会場に、来客が訪れる

 

「なんじゃ、騒がしい」

 

袁術の元まで近づき、指差す孫尚香

 

「袁術、やっと見つけたわよ!」

 

「誰かと思えば、孫家のチンチクリンではないか」

 

「誰がチンチクリンよ!シャオがチンチクリンなら、あんたはもっとチンチクリンじゃない」

 

「なんじゃと~!?」

 

「まあまあ二人とも」

 

愛紗が止めに入る

 

「むっ?お主は関羽ではないか。久しいのぅ」

 

「はい」

 

「どうした?義勇軍はやめて、孫家に仕える事にしたのかや?」

 

「いや、なんというか…今回…私は付き添いみたいなもので……」

 

「そうなのか?てっきりあの男にふ…」

 

「わああああ!!これ以上はいちゃだめ!!」

 

大声を出して言葉を遮る

 

「なんじゃ?うるさいの」

 

「袁術様、無礼の程は幾重にもお詫び申し上げます。少しで結構ですので、お時間を」

 

「お主、確か陸遜とか申したの?」

 

「はい」

 

「書き付けの件は、都合が付けば呼ぶと言ってあったであろう」

 

「ですが、我らもそういつまでも無為に時を過ごす訳には」

 

「とにかく!今は駄目じゃ!見ての通り、妾は舞台の稽古で忙しくての。特に次の舞台は新しい登場人物として、黒髪の山賊狩りを出そうと思っておるのじゃ」

 

「ん?」

 

黒髪の山賊狩りの言葉に反応する愛紗

 

「お主ら知っておるか?なんでも美しい黒髪を靡かせて、悪しき者を退治する絶世の美女だとか。ここらでも噂になっておって、舞台にも取り入れる事にしたのじゃが、その役に中々相応しい者が見つからなくての。美しい黒髪を持ち、妾程ではないしろ、それなりの美女でなければ観客も納得せんだろうし……」

 

噂の人がすぐ目の前にいるというのに、それに気づかす話す袁術

 

「ん?」

 

すると周泰を見た袁術は

 

「お主、美しい黒髪をしておるの」

 

「え?」

 

「うむ……顔立ちもまずまずじゃ…おし!次の舞台!お主が黒髪の山賊狩りをせい」

 

「えぇ!?でも私……」

 

「え、袁術殿…周泰殿も困っているようですし…そうした無茶ブリは」

 

「なんじゃ関羽。お主には関係のないことである…ん?髪型、眼鏡、髪の色」

 

袁術は愛紗、陸遜、孫尚香のそれぞれの特徴を見て、あることを思い付いた

 

「お主ら…三人張三姉妹の特徴に似ておるの!丁度良い。次の舞台、お主らが張三姉妹役で出演せい」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!なんでシャオ達がそんな事しなきゃなんないのよ!」

 

「もし、妾の舞台を手伝ってくれたら、例の書き付けを見てやらぬでもないぞ?」

 

「うう」

 

「どうする?出るのか?出ぬのか?はっきりせい」

 

「分かったわよ!出てやるわよ!出ればいいんでしょ」

 

やけくそ気味に、シャオは承諾する

 

 

 

 

 

 

 

 

同じこと別の場所

 

「いっただきます!」

 

翠と星がラーメンを食べていた

 

「泰山登るためは精をつけないよな…ん?」

 

星が急いで食べているのを見て

 

「誰もとりゃしなんだからそんなに慌てて食べなくてもいいじゃん」

 

「何を言う…ことわざにはメンマ急げをあるではないか」

 

「へぇ~そうなんだ」

 

関心のないようにラーメンを食べる翠

 

「いや…今のは、善は急げをもじった洒落で…ほら、善は急げ…メンマ急げ、似ているであろう」

 

「……」

 

「ってダジャレの説明をさせるな!恥ずかしいだろう!!」

 

恥ずかしくなったのか大声を出す星

 

「何?急にキレているんだよ」

 

星は荷物の中から小さな布を取り出し、それで口の回りを拭いた

 

「…いつもそれを使っているが洗濯しなくていいのか」

 

「うむ」

 

「大丈夫なのか」

 

「心配ない」

 

「そうか」

 

「(洗濯はせんよ…これは泰山に向かう旅の前に主が使ってた布だからな…匂いが取れたら嫌だからな…フフフ」

 

心の中で言う目の光がない星

 

「恥ずかしいと言えば」

 

「うん?」

 

「翠よ…寝言でご主人様ご主人様って言っているが何の夢をみているのだ」

 

「な!ななな、何だよそれ」

 

「私が知るか」

 

「つうか!アタシがそんなこと」

 

「……」

 

「なあ…嘘だと言ってくれよ!おい!」

 

「主に会えなくて寂しいのは分かるが…毎晩はどうかと」

 

「嘘だと言ってくれ!!!!」

 

「(やはり翠をからかうのは面白いな…まあ毎晩ではないが寝てるときに主の事を呼んでいるのは本当だがな)」

 

心の中でそう思う星であった

 

「(主…私は貴方に早く会いたいですぞ…こんな布ではなく直接…主主主主主主主主主主主主主主主主主主)」

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所

 

 

 

ゾクゾク

 

「……ひぃ」

 

寒気に体を抑える勇作

 

「どうしました?」

 

「い、いや…今…寒気が」

 

「??」

 

「(今度は星や翠の居るほうから寒気が……チームに分かれての解毒剤探し、今更だけど間違いじゃないよね)」

 

心に不安を覚える勇作であった


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