真・恋姫†無双~外史の運命を破壊する者~   作:ヒーロー好き

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中編です


鉄球少女との出会い

現在俺達は賊討伐のため行軍をしている。

 

馬は、思ったよりもゆっくりと進んでいた。

 

予定期間の半分の行軍だっていうから、もっとペースを上げるものだと思ってたんだけど・・・・・いつもの行軍より、少し早い程度でしかない。

 

「それにしても、本当に馬より早く走れるのか?」

 

「走れるよ」

 

「そうか、そうなれるよう期待しているよ」

 

「ああ」

と今俺はバイクに乗り遅く走らせ、秋蘭話しながら進んでいた

 

「なあ、翼」

 

「なんだ?秋蘭」

 

「本当に良かったのか?桂花の真名に関してあんなこと言って」

 

「別にいいよ俺は。本人から呼んで良いって言うまでは」

 

「・・・・・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや。翼が良いのならそれで良いと思っただけだ」

 

「そっか・・・あ、噂をすれば」

と前方に荀彧の姿が見えた

 

「あら、何かようかしら?」

 

「別に姿が見えたから近いただけだけど?」

 

「あんまり、近かないでよ」

 

「そうかい」

と言っていると秋蘭が

 

「そこまでにしとけ」

と言ってきた。俺は荀彧に向けて

 

「それにしても兵糧を半分にするなんて、ずいぶん無茶をしたな」

 

「別に無茶でも何でもないわよ。今の曹操さまの軍の実力なら、これくらい出来て当たり前なんだから」

 

「そうなの?」

 

「華琳さまは知にも勇にも優れたお方だが、それを頼んで無茶な攻めを強いるお方ではないからな・・・・・正直、こういう強行軍を実戦で試すのは初めてだ」

 

「ここしばらくの訓練や討伐の報告書と、今回の兵数を把握した上での計算よ。これでも余裕を持たせてあるのだから、安心なさいな」

 

「そっか。まあ、万が一に備えて少し余裕を持たせているから大丈夫だし」

華琳が出した糧食量は様々な事態に余裕を持たせる量だ。いくら多くの面を短縮出来ても余裕はかなり減っている。

 

「まあ、その辺りの手並みはおいおい見せてもらうとしよう。それで華琳さまはどうだった?」

と秋蘭が言った

 

「思った通り、素晴らしいお方だったわ……。あのお方こそ、私が命を懸けてお仕えするに相応しいお方だわ!」

 

「そうか」

 

「何よ、その反応」

 

「別に」

 

「(やっぱり、こいつといると拒絶が少ない。何でなの?)」

と荀彧が思っている所に

 

「おお、貴様ら、こんな所にいたか」

 

「どうした、姉者。急ぎか?」

 

「うむ。前方に大人数の集団がいるらしい。華琳さまがお呼びだ。すぐに来い」

 

「分かったわ!」

 

「うむ」

 

「了解!」

と華琳のいる所に向かった

 

 

 

 

 

「……遅くなりました」

 

「ちょうど偵察が帰ってきたところよ。報告を」

 

「はっ!行軍中の前方集団は、数十人ほど。旗がないため所属は不明ですが、格好がまちまちな所から、どこかの野盗か山賊だと思われます」

 

「様子を見るべきかしら」

 

「もう一度、偵察隊を出したほうがよろしいかと」

 

「そうね、じゃあ、これを使いましょう」

と華琳はカンドロイドを出した

 

「曹操さまそれは?」

荀彧が聞いてきた

 

「これはカンドロイドと言って、翼が持っていた天の道具よ」

 

「これがですか?」

 

「ええ。翼、お願い」

 

「わかった」

と言い俺はタカカンドロイドとバッタカンドロイドのプルトップを開けた。

 

「なにこれ、動いてる」

と荀彧は驚いていた

 

「前方に何かの集団が居るから見てきて、あとその様子も撮ってね」

と指示し、前方に飛んで行った

 

「これで良し。じゃ見るか」

と俺は別のバッタカンドロイドのプルトップを開けた

 

「何しているのよ」

 

「これで、さっき行ったバッタカンドロイドが写したものが見れるんだ」

と言い俺たちは写されている様子を見た

 

「それにしても、これで通信も出来るから便利ね」

 

「確かにそうですね」

 

「何なのよこれ」

 

「後でお知えてやるよ」

と見ていると

 

「ん?・・・なんだこれ」

と映っていた物を見ると

 

「人!?」

と映ったのは人が高く上がっている様子であった。さらに映像を見ると

 

「誰か戦っているのか?いったい誰が・・・・・え!?こ、子供!」

 

「なんだと!?」

と俺が言ったと同時に春蘭が反応した

 

「おい、春蘭」

 

「なんだ!・・急いでいかないと」

 

「落ち着きなさい」

 

「しかし、華琳さま!」

 

「とりあえず待ちなさい。翼。これ、本当に映っていることが起こっているの」

 

「間違いない」

 

「わかったわ、春蘭と翼はそこに向かいなさい。私たちも後から追うから」

 

「御意」

 

「あと、賊は全員倒さないこと」

 

「なぜですか?」

 

「あのな、全滅させるよりも何人か逃がした敵をこっそり追跡して、敵の本拠地を掴む事が得だろう」

 

「・・・・・・おお、それは良い考えだな」

 

「はあーとりあえず追跡にカンドロイドを使うからそれでいい」

 

「いいわ」

 

「よし」

と俺はバイクに乗った

 

「おい、乗れよ。春蘭」

 

「え?」

 

「いいから乗れ。こっちの方が早いから」

 

「わかった」

と言い後ろに乗った

 

「しっかり掴まれ」

と言いバイクのアクセルを全快にし向かった

 

「うわあああああ、早すぎる!」

と俺にしがみ付く

 

「なんて、早さなの!」

「た、確かに」

「嘘!?」

と3人は驚いていた

 

「私たちも向かうわよ」

 

「御意」

と華琳も向かった

 

 

 

 

 

 

「でえええええいぃ!」

 

ドガッ

 

「ぐはぁっ!」

 

女の子が巨大な鉄球を振り回し、その度に野盗たちが空を飛ぶ。

 

 

「まだまだぁっ!でやあああああああっ!」

 

ドゴッ

 

「がは・・・・・っ!」

 

 

「ええい、テメェら、ガキ一人に何を手こずって!数でいけ、数で!」

 

 

「おおぉぉ!」

 

だが、数の暴力の前に疲弊している。

 

「はぁ……はぁ……はぁ…。もう、こんなにたくさん……多すぎるよ……!」

 

「なんだ?」

 

「・・・え?」

と聞きなれない音が聞こえる方に体を向けた

 

「な、なんだあれは!?」

と見えたのはバイクに乗って向かって来る翼と春蘭だった

 

「間に合った!」

と俺はバイクを止めた

 

「おい大丈夫か、春蘭」

 

「何とかな・・・」

 

「何だ貴様ら!」

 

「おい、春蘭」

 

「あ、こんなことしている場合じゃない!」

とバイクから降り

 

「貴様らぁ!子供一人によってたかって……卑怯というにも生温いわ!てやああああああっ!」

と剣を振り下ろした

 

「さて、悪事を働く以上、当然覚悟は出来ているな?ああ、返答はしなくていい。どちらにしろ、やることに違いはないのでな!はああああああああっ!」

 

瞬く間に敵の数は減っていく。

 

「うわぁ……っ!た、たた、た退却!退却!」

 

「逃がすか!全員、叩き斬ってくれるわ!」

 

「おい待て、春蘭。さっき言われたこと忘れたのか」

 

「言われたこと?・・・・・・・・・・・・・・・・お、覚えているぞ!」

 

「(絶対、忘れていたな)」

と心の中で思い

 

「そうだ。おい、タカ君、悪いけどさっきの賊達の後を追いかけて。あとアイツらの本拠地を見つけて、あと見つけたら戻ってきて」

と指示し、飛んで行った

 

「これでよし」

 

「あ、あの・・・・・・・」

 

「ん?」

 

「おお、怪我はないか?少女よ」

 

「はいっ。ありがとうございます!おかげで助かりました!」

 

「それは何よりだ。しかし、なぜこんな所で一人で戦っていたのだ?」

 

「はい、それは・・・・・・」

 

女の子がそんな話をしようとすると、向こうから本隊がやって来た。

 

「あ、来たみたい」

 

「・・・・・・・っ!」

 

「翼。謎の集団とやらはどうしたの?戦闘があったという報告は聞いたけれど・・・・・」

 

「あいつらは春蘭の勢いに負けて逃げてったよ。それとさっき言われたとおりにしたから本拠地はすぐ見つかると思う」

 

「そう」

 

「あ、あなた・・・・・・!」

 

「ん?この子は?」

 

「お姉さん、もしかして、国の軍隊・・・・・・っ!?」

 

「まあ、そうなるが・・・・・ぐっ!」

と次の瞬間、鉄球と剣が甲高い音色を鳴り響かせた。

 

「え・・・・・・・っ!?」

 

振り下ろされたのは、女の子の持っていた巨大な鉄球だった。

 

相手が春蘭でなかったら、間違いなく吹き飛ばされていたにちがいない一撃。

 

「き、貴様、何をっ!」

 

「国の軍隊なんか信用できるもんか!ボク達を守ってもくれないクセに税金ばっかり持って行って!・・・・・・てやあああああああっ!」

 

ゴウッ!

 

「・・・・・くうっ!」

 

「だから君は一人で戦ってたのか・・・・・?」

 

「そうだよ!ボクが村で一番強いから、ボクがみんなを守らなきゃいけないんだっ!盗人からも、おまえたち・・・・・役人からもっ!」

 

「くっ!こ、こやつ・・・・なかなか・・・・・っ!」

 

「(嘘だろ、春蘭が、押されてる!?。ん?この子なんて言った・・・・・まさか!」

 

「おい、ここは華琳の治めてることじゃないのか?」

 

「この辺りの街は、曹操さまの治める土地ではないのよ。だから盗賊追跡の名目で遠征して来てはいるけれど・・・・・その政策に、曹操さまは口出しできないの」

 

「(やっぱりか)」

 

「・・・・・・・」

 

「華琳さま」

 

「でえええええええええええええいっ!」

 

「ぐう・・・・・!仕方ないか・・・・・いや、しかし・・・・・」

 

「(まずい!・・・変身するか)」

と変身しようとした時

 

「二人とも、そこまでよ!」

と華琳の声が場を支配した

 

「え・・・・・・・・っ?」

 

「剣を引きなさい!そこの娘も、春蘭も!」

 

「は・・・・・はいっ!」

その場に歩いてくる華琳の気迫にあてられて、女の子は軽々と振り回していた鉄球を、その場に取り落とした。

 

ズウンッ

 

「(おい、どんだけ重いんだよ)」

と心の中で思っていた時

 

「・・・・・春蘭。この子の名は?」

 

「え、あ・・・・・」

 

「き・・・・・許緒と言います」

 

こういう威圧感のある相手を前にするのは初めてなんだろう。

 

「そう・・・・・・」

 

そして、華琳の取った行動は・・・・・・。

 

「許緒、ごめんなさい」

 

「・・・・・・・え?」

 

許緒に頭を下げることだった。

 

「曹操、さま・・・・・?」

 

「何と・・・・・・」

 

「華琳さま・・・・・・」

 

「華琳・・・・・」

 

「あ、あの……っ!」

 

「名乗るが遅れたわね。 私は曹操、山向こうの陳留の街で、刺史をしているものよ」

 

「山向こう……? あ…それじゃっ!? ご、ごめんなさいっ!」

 

「な・・・・・?」

 

「山向こうの街の噂は聞いています!向こうの刺史さまはすごく立派な人で、悪いことはしないし、税金も安くなったし、盗賊もすごく少なくなったって!そんな人に、ボク……ボク…!」

 

「構わないわ。 今の国が腐敗しているのは、刺史のわたしが一番よく知っているもの。 官と聞いて許緒がが憤るのも、当たり前の話だわ」

 

「で、でも……」

 

「だから許緒。 あなたの勇気と力、この曹操に貸してくれないかしら?」

 

「え……? ボクの力を……?」

 

「私はいずれこの大陸の王となる。けれど、今の私の力はあまりに少なすぎるわ。だから……村の皆を守るために振るったあなたの力と勇気。この私に貸して欲しい」

 

「華琳さまが、王に・・・・・・・?」

 

「ええ」

 

「あ・・・・・・あの。 曹操さまが王様になったら・・・・・ボク達の村も守ってくれますか?盗賊もやっつけてくれますか?」

 

「約束するわ。 陳留だけでなく、あなた達の村だけでもなく・・・・・・この大陸の皆がそうして暮らせるようになるために、私はこの大陸の王になるの」

 

「この大陸の・・・・・・みんなが・・・・・・」

 

「(ん?戻ってきたな)華琳、盗賊団の本拠地を見つけたらしい」

 

「判ったわ・・・・・ねぇ、許緒」

 

「は、はいっ!」

 

「まず、あなたの村を脅かす盗賊団を根絶やしにするわ。まずそこだけでいい、あなたの力を貸してくれるかしら?」

 

「はい!それなら、いくらでも!」

 

「ふふっ、ありがとう・・・・・春蘭、秋蘭。許緒はひとまず、あなた達の下に付ける。分からないことは教えてあげなさい」

 

「はっ」

 

「了解です!」

 

「あ、あの・・・・・・夏侯惇、さま・・・・・」

 

「ああ。さっきの事なら気にせんで良い・・・・・・それより、その力を華琳さまのためにしっかり役立ててくれよ?」

 

「は・・・・・はいっ!」

 

「・・・・・・では総員、行軍を再開するわ!騎乗!」

 

「総員!騎乗!騎乗っ!」

 

 

 

 

「(いよいよ、戦うのか・・・けど俺に人を殺すことが出来るのか?)」


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