俺が戻ると全員が居た
「遅いぞ!翼」
「ごめん」
「何処に行っていたのよ!」
「ぶらーと歩いていたら、騒ぐ声が聞こえて、見に行っていたんだ」
「誰が騒いでいたんだ?」
「劉備と孫策だよ!」
「そう・・・」
「驚かないのか、華琳」
「さっき戻った斥候の情報から聞いたのよ。汜水関は劉備と孫策だと・・・」
「そんなんだ・・・あと呉にいる天の御使いとも会ったぞ」
「!?それ本当!」
「ああ、見た感じ強くはなかったけど、アイツの俺と同じ天の国から来たというのは間違いないな」
「そう、情報ありがとう」
「どうも・・・・・・」
「どうした、翼!顔が暗いぞ」
「ああ、ごめん(はあ、いい加減切り替えないと・・・それにさっき、北郷に対して敵対するって言ったしまった。別に言わなくてよかったのに、くそ!)」
「とりあえず、気を引き締めろ、そんなことでは、死ぬぞ!?」
「ああ、わかったよ」
「あれが汜水関・・・」
巨大な砦を俺は見ていた
「・・・始まりましたね。でも・・・でも・・・・・本当に見ているだけでいいのでしょうか?」
「いいんだってさ。指示あるまで戦闘態勢のまま待機って、華琳の命令だしな」
「まあ、今んところはこっちが有利みたいやし、大丈夫やろな・・・」
場所は変わって、ここは汜水関の防壁の上
「離せ張遼!あれほど嘘仮にされて、黙っているなど私には出来ん!」
「待ちってば!あんな見え透いた手ぇや!それに乗ってもーたら、それこそ敵の思う壺やで!」
「くっ・・・・・だが、今まさに奴らは私たちに武を愚弄しているのだぞ!それを許せるとでも言うのか!」
「許せん。許せんよ!せやけどウチらは何をしても汜水関を守らんとアカンねん!そのためやったら罵声ぐらいいくらでも耐えたる!だからおまえも堪えてくれ!」
「くっ・・・・・・うぁぁぁぁぁ!」
「けど、アイツも向こうにいるんやな・・・」
霞は連合を見ながら言った
「ああ」
華雄も見る
「真実を知っていても、逆らうことが出来へん」
「翼も、内心納得出来ていないと思う」
「そうやろな・・・」
「華雄将軍!連合軍先陣に新たな部隊!旗標は・・・・・・孫です!」
「なにぃっ!」
「汜水関守将・華雄に告げる!我が母、孫堅に破られた貴様が、再び我らの前に立ちはだかってくれるとは有り難し!その頸を貰うにいかほどの難儀があろう?・・・・・・無いな。稲を刈るぐらいに容易いことだろう!どうした華雄。反論は無いのか?それとも江東の虎、孫堅に破られたことがよほど怖かったのか?そうか怖かったか。ならば致し方なし・・・・・・孫堅の娘、孫策が、貴様に再戦の機会を与えてやろうと思ったのだがな!それも怖いと見える。いやはや・・・・・・・それほどの臆病者、戦場に居て何になる?さっさと尻尾を巻いて逃げるが良い・・・ではさらばだ!負け犬華雄殿!」
「い・・・・・言わせておけばぁ・・・・・!」
「待て待て待て待て!落ち着け!落ち着かんとアカンて!あんな見え透いた手に乗ってどうすんねんな!」
「我が誇りが傷つけられているのだ!例え何らかの策があったとて、罠など食い破って見せる!だから止めるな張遼!」
「アカンて!賈詡っちにも言われたやろ!長期戦に持ち込めばこっちの勝ちやって!ここで華雄が出て行ってどうするんねん!」
「奴らを蹴散らす!」
「そんな必要無いねんて!」
「うるさい!離せ張遼!」
「アカンっ!ウチかて悔しいの我慢して耐えとるねん!華雄ももうちょっと我慢してくれ!」
「うぅ・・・・・・あぁぁぁぁぁ!」
「華雄将軍!連合軍が寄せて参りました!」
「この状況で寄せてくるだと・・・・・・・!やはり我らを舐めているんだ、奴らは!」
「華雄将軍!我らは・・・・・・我らは最早限界です!このような謂われのない罵倒など、奴らの息の根と共に止めてしまいましょう!」
「そうです!あんな戯れ言、今すぐに吐けなくしてやりましょう!」
「わー!アホ、何言うてんねんおまえら!」
「良くぞ申した!それでこそ華雄隊の兵だ!我らが臆病者などでは無いということを、天下に示そうではないか!」
「応ーっ!」
「全軍出撃の準備をしろ!口先だけの敵なんぞ、鎧袖一触で吹き飛ばすぞ!」
「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおぉーーーーーーーーーーーーーっ!」
「くっ、アカン、これはもう止められん・・・・・・!」
said 翼
「あれ?砦から兵士が出てきたの・・・・・・」
「本当だ・・・・・・」
「恐らく、挑発に乗ってしまったのでしょう」
「確かに、何か言っていたな」
「守備隊の将ってどんだけアホやねん」
「そこまで、言うなよ」
「翼」
「秋蘭さま、どうしてこんな所に?」
「あまりに暇なのでな。伝令役を買って出た」
「華琳は何て?」
「汜水関が破られたら、直ちに追撃を開始する・・・・・・と恐らく汜水関の一番乗りは孫策だろう。その後に続くように行くぞ」
「そうか、わかった」
「よし、移動を開始するぞ」
said 孫策
「孫策さま!城門が開きましたよ!」
「旗印は漆黒の華一文字!華雄です!」
「ようやく釣れたか。後方に伝令!これから大物を引っ張って行くから、しっかり対応しろと命令しておけ!」
「御意ー!」
「続いて袁術にも伝令を出せ!前線に動きありと伝えておけ!劉備!作戦通り、華雄は私が。張遼はあなたが相手をする。それで良いな?」
「はい!」
「よし。さぁ孫呉の精兵たちよ!猪突してきた敵を殲滅する!その力、天下に示せ!」
「応っ!」
「全軍抜刀!」
シャキ!シャキ!シャキ!
「かかれーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
そして、両軍激突した