真・恋姫†無双~外史の運命を破壊する者~   作:ヒーロー好き

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反董卓連合への誘い

「袁紹に袁術、公孫賛、西方の馬騰まで・・・・・よくもまあ、有名どころの名前を並べたものね」

 

「董卓の暴政に、都の民は嘆き、恨みの声は天高くまで届いていると聞いております。先日も董卓の命で官の大粛正があったとか・・・・・・」

 

「それをなげいた我が主は、よをただすため、董卓をたおすちからをもったえいゆうのかたがたに・・・・・・」

 

「手本なるぐらいの棒読みだなぁ・・・・・・」

 

「持って回った言い方は止めなさい。あの麗羽の事だから・・・・・・どうせ、董卓が権力の中枢を握ったことへの腹いせなのでしょう?」

 

「う・・・・・・・っ」

 

「その大粛正も、都で悪い政事をしていた官の粛正しただけだと聞いているわよ?・・・・・統制の取れていない文官がやりたい放題にしている事を、董卓の所為にしているだけではなくて?」

 

「(なっ!?)」

 

「・・・・・・よく知ってますねー」

 

「あまり知りたくないけどね。どう思う、桂花」

 

「は。顔良殿、先ほどあげた諸侯の中で、既に参加が決まっている方々は?」

 

「先ほど挙げた皆様は既に。今も、流れを見ていた小勢力や、袁家に縁のある諸侯たちを中心に、続々と参加の表意を受けております」

 

「(なんてことだ。まさかと思っていたが、こんなことになるとは・・・・・・)」

と心の中で思う翼。城に戻り、華琳達は袁紹の発した文を聞いていた

 

「(十常侍を倒したから起きないと思っていたが、くそ、甘かった!?)」

 

「桂花。私はどうすればいい?」

 

「ここは参加されるのが最上かと・・・・・」

 

「(えっ!?)」

 

「華琳さま、これだけの英傑が一挙に揃う機会など、この先あるとは思えません。ここで大きな手柄を立てれば、華琳さまの名は諸侯の間に一気に広がります」

 

「待てよ!董卓は悪いことはしてないんだぞ。攻撃する必要あるのか?」

と翼が言うが

 

「董卓自身は悪くなくても、官を制御出来ないなら同じ事よ。それに私達が動かなくても、既に回りは動いているわ。ならば、それに乗るのも一つの道」

と荀彧が言った。そしてその言葉を聞き、華琳は

 

「そうね。顔良、文醜。麗羽に伝えなさい。曹操はその同盟に参加する、と」

 

「はっ!」

 

「ありがとうございます!これであたい達も、麗羽さまにおしおきされないで済みます!」

 

「(袁紹も文醜たちにおしおきするのか。この界隈、そんなんばっかなのか?・・・・・げど俺はどうすれば良いんだ)」

 

「・・・・・・・」

悩んでいる翼の姿を華琳は見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって森の中

 

「この辺だと聞いたんだが・・・・・・」

 

森を進んでいくと、木々の間から轟音が聞こえてきた。金属の塊がぶつかり合うような、明らかに異様な音

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・・・・・」

 

「ふぅ・・・・・・・・・・ふっ・・・ふぅ・・・・・・ふぅ、ふぅ・・・・・・・・・」

 

「どう?調子は」

 

「あ、華琳さま。見ての通りですわー」

 

「やるなら徹底的にやれ、ねぇ・・・・・・。ホントに全力でやっていたのか。あいつら」

 

「ウチ、何度死ぬ思うたか、教えたろか?」

 

「・・・・いや遠慮しておく」

 

そんな話をしている間も二人の激闘は終わらない

 

「(思ったけど、一撃必殺だぞ。あれ)」

 

「・・・・・・・・・・・・流琉、おなかすいた」

 

「・・・・・・作ってあげるから、降参しなさい」

 

「・・・・・・・・・・・・・・やだ。流琉をぶっ飛ばして、作らせるんだから!」

 

「言ったわね!なら、季衣を泣かして、ごめんなさいって言わせるんだから!」

 

「ちょぉりゃあああああああああああああああーーー!!」

 

「どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」

 

「・・・まだやるのかよ」

 

バキ

 

「(あ。木が吹っ飛んだ)」

 

「さっきから、すーっとあのノリやで」

 

「あれでいいのよ。下手にしこりが残るよりは、余程ましだわ」

 

「どっちか一人しか生き残ってなかった・・・・・・とかないだろうな」

 

「どちらも加減しているもの。平気でしょう」

 

「あれで!?」

 

「で、隊長。その面会とやらはどうなったん?」

 

「これからみんなで、都へ遠征することになった。もう凪と沙和には準備してもらっているよ」

 

「都かぁ・・・・・・」

 

「恐らくこの戦で、都の権力は完全に失われる。大陸ももっと混乱することになるはずよ・・・・・・」

 

「黄巾の時よりも?」

 

「あれが凪の海だと思えるくらいにね」

 

「なんやて・・・・・・!?じゃあなんで華琳さまは、そんな戦いに行くん?守るための力を溜めた方が、ええんとちゃう?」

 

「変化の波にむざむざ呑まれるよりも、波の頂にいたいと思ったからよ」

 

「・・・・・・・ごめん。ウチ、海って見た事ないねん」

 

「混乱が起こるのを外から見るより、内側からしっかり見届け、確実に収めたい、って事か」

 

「まあ、そんな所ね」

 

「・・・・・・ああ。そういう言い方やったら、なんか分かる気がするわ」

 

「ちょぉりゃああああーーー!!!」

 

「どぉりゃぁぁぁぁぁーーー!!!」

 

そして森を揺らすのは、森の誰も聞いたことのない快音だ

 

「・・・・・・・・・きゅう」

 

「・・・・・・・・・うみゅぅ・・・・・・」

 

「あ、終わった・・・」

 

「やれやれ。向こうも終わったようね」

 

「・・・・・・ゴメンね、流琉。ボク、流琉と早く一緒に戦いたかったから・・・・・・手紙、きちんと書けなかったんだよね」

 

「・・・・・・いいよ。わたしも季衣と早く働きたかったから・・・・・・州牧さまの所で将軍をやってたのは、びっくりしたけどね・・・・・・」

 

「じゃあ、ご飯、作ってくれる?」

 

「うん。一緒に食べよ」

 

「ようやく決着が着いたようね。二人とも」

 

「あ、華琳さま・・・・・・」

 

「曹操さま・・・・・・」

 

「立ちなさい、典韋」

 

「はい」

 

「もう一度誘わせてもらうわ。季衣と共に、私に力を貸してくれるかしら?料理人ではなく、一人の武人・・・・・・武将として」

 

「わかりました。季衣にも会えたし・・・・・・季衣がこんなに元気に働いている所なら、わたしも頑張れます」

 

「ならば私を華琳と呼ぶ事を許しましょう。季衣、この間の約束・・・・・・確かに果たしたわよ?」

 

「はい、ありがとうございますっ!」

 

「約束・・・・・・?」

 

「季衣の願いを一つ叶えると約束していたのよ」

 

「だからボク・・・・・・流琉を呼んでもいいかってお願いしたんだよ」

 

「もっとも、あなたほどの人物と知っていれば、そんなものがなくても招いていたでしょうけれどね」

 

「ありがとうございます・・・・・・華琳さま」

 

「季衣。流琉の件はあなたに任せるわ。流琉も分からない事は季衣に聞くようにね」

 

「はいっ!」

 

「わかりましたっ!」

 

「これにて一件落着か・・・」

 

「それと翼」

 

「何だ?華琳」

 

「今晩、王座の間に来なさい」

 

「えっ!何で?」

 

「良いから来なさい!」

 

「・・・・・・分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、別の場所

 

「ふぅ・・・・・・ただいま」

 

「お帰り・・・・・・首尾は?」

 

「上々・・・・・・上々し過ぎて拍子抜けしちゃったわ」

 

「どういうこと?」

 

「初めは袁紹が発起人ってことで渋ってたんだけど、皇帝になれるかもって言っただけで、あっさり参加を決めちゃった。・・・バカ過ぎるわ」

 

「さもありなん。強勢を張っているとはいえ、袁術はワガママの孺子でしかないからの」

 

「そうだけど。でも、もう少し張り合いが欲しいんだけどね。・・・復讐する対象なんだから」

 

「相手が愚かであればあるほど、それだけ楽が出来ると言うものよ」

 

「それは分かってるけど、私の魂が満足してくれないのよ」

 

「贅沢なこと言わないの」

 

「はぁ~い。・・・ま、袁術がバカだったお陰で、独立の好機が巡ってきたのは僥倖ってやつかな」

 

「・・・・・・いよいよね」

 

「うん。いよいよ・・・・・・ううん、ようやく孫呉独立に向けて動き出せるわ」

 

「いよいよですね・・・・・・・」

 

「ええ。だけどまだまだ。・・・反董卓連合に参加し、諸侯の動きを見極める必要があるわ」

 

「この戦の後にくる割拠の状況によって、我らが取るべき道も変わる、か」

 

「そういうこと、・・・皆、ここからが正念場。頼りにしてるわよ」

 

「応っ!」

 

「はっ!」

 

「「「はいっ!」」」

 

「(いよいよ独立に向けて動き出せる)」

 

孫策の所にいる天の御使い、北郷一刀。そして孫策たちも動き始めていた


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