真・恋姫†無双~外史の運命を破壊する者~   作:ヒーロー好き

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前編です


賊退治編
違和感と王佐の才


現在俺達は賊討伐のための軍を編成している。そして俺は城壁の上にいる。

 

「それにしても、すごいなー」

城壁の下を走り回るのは、完全武装の兵士達。束ねられた槍は薪のように積み上げられ、その隣には槍束をふたまわり小さくした束がさらに大きな山を築いている。弓兵隊の使う、矢だ。武器に糧食、補充の矢玉。薬に防具に調理の鍋まで、戦に使う備品はその幅広さに事欠かない

 

「テレビなどで、このような様子は見たことがあるとはいえ、本物は初めてだな」

 

「何をしているの?」

とそこに華琳と秋蘭が来た

 

「ちょっと、考え事・・・あれ春蘭は一緒じゃないの?」

 

「姉者は装備品と兵の確認を行っている」

 

「そっか」

 

「翼。貴方やることが無いのでしょ。だったら糧食の最終点検の帳簿を受け取ってくる」

 

「俺が!」

 

「ええ、お願いね」

 

「わかった」

と言い向かう時、秋蘭に声をかけられた

 

「翼。監督官は、いま馬具の確認をしているはずだ。そちらに行くといい」

 

「わかった」

と言い馬具が置いてある場所に行った

 

 

 

 

 

「着いたけど、今思えば俺、監督官どんな人か知らないぞ」

と大事なことを思い出していた

 

「ま、誰かに聞けばいいか」

と探していると

 

「あの子に聞いてみるか」

と近ついた

 

「ねえ、君」

 

「・・・・・・・」

反応がない

 

「ねえ、糧食の再点検の帳簿を受取に来たんだけど・・・・・監督官って人がどけにいるか知らない?」

 

「・・・・・・・・」

あれ?

 

「ねえ、聞こえている」

 

「うるさいわよ!さっきから何度も何度も何度も何度も・・・・・いったい何のつもり!?」

 

「(なんで、怒るの)」

 

「さっき言っただろ。糧食の再点検の帳簿を受取に来たって」

 

「なんで、あんたに渡さなきゃいけないのよ」

 

「・・・・・何でって。華琳に頼まれたから」

 

「な・・・・・っ!・・・・・ちょっと、何でアンタみたいなヤツが、曹操さまの真名を呼んで・・・・・っ!」

 

「・・・・・いや、華琳自身から呼んで良いって言われてるんだけど」

 

「信じられない・・・・なんでこんな奴に」

 

「(なんで、こんなに言われなきゃいけないの)」

 

「あんた、天の御使いと同じ天界から来た胡散臭い奴でしょう」

 

「(胡散臭いね、確かにそうかも)」

 

「そうだよ、その胡散臭い奴だよ」

 

「あら、認めるんだ。胡散臭い奴って」

 

「それが当り前の反応だよ。まあ、孫策の所にも同じ人がいるけど」

 

「(何でなの、この男に近づいても、ほかの男より、拒絶しない。何この違和感)」

と考えていると

 

「あの、その再点検の帳簿っての、何処にあるの?」

 

「その辺に置いてあるから、勝手に持って行きなさい。草色の表紙が当ててあるわ」

 

「わかった」

と言われた場所に行くと帳簿はすぐ見つけ、確認した

 

「何、見ているのよ」

 

「念のため」

と帳簿を確認していた

 

「(何だこれ。指定した量の半分しか準備していない。どういうことだ?)」

と考えていた。

 

「(聞いてみるか)ねえ、これ本当に帳簿だよね」

 

「あたりまえよ!」

 

「わかった。渡してくる」

と華琳に渡すため、離れた

 

 

 

「何でこんなに少ないんだ」

と向かっている時、帳簿に書いてあることを考えていた

「こんなの華琳渡ったら、絶対呼ばれるぞ・・・まてよ!もし会うのが目的だとしたら、でも何で?」

と考えているうちに

 

 

 

「遅かったわね。何やっていたの?」

華琳のいる所に着いた

 

「ああ、ごめん。これ、再点検の帳簿!」

と華琳に渡した

 

 

「・・・・・・・・」

すぐにそれを繰って確認し始めた

 

 

「(何か緊張するな。俺が書いたわけでも無いのに)」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・秋蘭」

 

「はっ」

 

「この監督官というのは、一体何者なのかしら?」

 

「はい。先日、志願してきた新人です。仕事の手際が良かったので、今回の食料調達を任せてみたのですが・・・何か問題でも?」

 

「ここに呼びなさい。大至急よ」

 

 

 

「(やっぱり、呼ばれるか。でも何でこんなことしたんだろ?・・・・・でも待てよ、さっき秋蘭はなんて言った・・・そういえば以前)」

とあの時のことを思い出していた

 

 

 

 

 

「なあ、秋蘭」

 

「なんだ?」

 

「ここ、軍師の募集していないのか?」

 

「・・・確かに、募集していないな」

 

「でも、何で。秋蘭は試験官をやっていたんだろう」

 

「経歴を偽って申告する輩も多いのでな。個の武勇なら姉者あたりが揉んでやればだいたい分かるのだが・・・・・文官はよほど名の通った輩でない限り、使ってみないと判断がつかんからな」

 

「そうなんだ。・秋蘭も色々大変だな。武官をやったり文官をやったり、新人の面接官をやったり」

 

「なに、これくらい大丈夫だ」

 

「そっか」

 

 

 

 

 

 

「(と言っていたよな・・・・・ん?ちょっと待てよ。(指定した量の半分しか準備していない)・(こんなの華琳に渡ったら、絶対呼ばれるぞ)・(先日、志願してきた新人)・(文官はよほど名の通った輩でない限り、使ってみないと判断がつかんからな)・(もし会うのが目的だとしたら)

と俺はこれまでのことをまとめていた

 

「(この帳簿は先日、志願してきた新人が書いたもの。だが指定した量の半分しか準備していない。もしこれが華琳に渡ったら絶対呼び出すだろ。だがもし自分を軍師として売り込むこと、それが目的だとしたら。その様なことするのは、これしかない)」

と俺はある仮説を華琳に言った

 

 

「なあ、華琳」

 

「何よ?」

 

「多分なんだけど、これ書いた人、自分を売り込むための布石だと思うんだ」

 

「え?」

 

「この帳簿を確認して問題があったら、呼ばれる。だがもしそれが目的だとするなら、これを書いた人はこれから行く賊討伐に対して何か策を考えていると思うんだ」

 

「・・・確かに、ありえるわね」

 

「うん、でもこれはあくまで俺の仮説だけどな」

 

「そう・・・」

と話している時に

 

「華琳さま。連れて参りました」

戻ってきた秋蘭に連れられてた人を見ると

 

「(あれは、さっきの女の子)」

 

「おまえが食料の調達を?」

 

「はい。必要十分な量は、用意したつもりですが・・・・・何か問題でもありましたでしょうか?」

 

「必要十分って・・・どういうつもりかしら?指定した量の半分しか準備できていないじゃない!このまま出撃したら、糧食不足で行き倒れになる所だったわ。そうなったら、あなたはどう責任をとるつもりかしら?」

 

「いえ。そうはならないはずです」

 

「何? ・・・どういう事?」

 

「理由は三つあります。お聞きいただけますか?」

 

「・・・・説明なさい。納得のいく理由なら、許してあげてもいいでしょう。」

 

「・・・・ご納得いただけなければ、それは私の不能がいたす所。この場で我が首、刎ねていただいても結構にございます」

 

「・・・・二言はないぞ?」

 

「はっ。では、説明させていただきますが・・・」

と説明しようとした時

 

「華琳さま、装備品と兵の確認が終わったので最終報告をしに来ました」

と春蘭が来た

 

「あ、春蘭」

 

「ん?・・・何をしているのだ」

 

「糧食の再点検の帳簿で問題があったから、これを書いた人に理由を聞くところなの」

 

「そ、そうか」

と納得した

 

「では、改めて説明させていただきます」

 

「・・・・まず一つ目。曹操さまは慎重なお方ゆえ、必ずご自分の糧食の最終確認をおこないます。そこで問題があれば、こうして責任者を呼ぶはず。生き倒れにはなりません。少し想定外もありましたが、結果に違いはなかったはずです」

 

「な!・・・・貴様、華琳さまをバカにしているのか!」

と春蘭切りかかろうとしていた

 

「やめなさい!」

 

「しかし」

 

「とりあえず、首を刎ねるのは後でもできるわ。判断は残り二つの理由を聞いてからでも、遅くはない」

 

「わかりました」

 

「それで、次は何?」

 

「次に二つ目。糧食が少なければ身軽になり、輸送部隊の行軍速度も上がります。よって、討伐行全体にかかる時間は、大幅に短縮できるでしょう」

 

「ん・・・?なあ、秋蘭」

 

「どうした姉者。そんな難しい顔をして」

 

「行軍速度が早くなっても、移動する時間が短くなるだけではないのか?討伐にかかる時間までは半分にはならない・・・よな?」

 

「ならないぞ」

 

「良かった。私の頭が悪くなったのかと思ったぞ」

 

「そうか。良かったな、姉者」

 

「うむ」

 

「まあいいわ。最後の理由、言ってみなさい」

 

「はっ。三つ目ですが・・・私の提案する作戦を採れば、戦闘時間はさらに短くなるでしょう。よって、この糧食の量で十分だと判断いたしました」

 

「(やっぱりか)」

 

「曹操さま!どうかこの荀彧めを、曹操さまを勝利に導く軍師として、麾下にお加え下さいませ!」

 

「(へ?・・・荀彧。あの王佐の才と言われた)」

 

「な・・・・・っ!?」

 

「何と・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「どうか!どうか!曹操さま!」

 

「・・・・荀彧。あなたの真名は」

 

「桂花にございます」

 

「桂花。あなた・・・・・この曹操を試したわね?」

 

「はい」

 

「な・・・っ!貴様、何をいけしゃあしゃあと・・・・。華琳さま!このような無礼な輩、即刻首を刎ねてしまいましょう!」

 

「あんたは黙っていなさい!私の運命を決めていいのは、曹操さまだけよ!」

 

「ぐ・・・っ!貴様ぁ・・・・!」

 

「待て。落ち着け!」

 

「ぐぅぅ・・・・」

 

「桂花。軍師としての経験は?」

 

「はっ。ここに来るまでは、南皮で軍師をしておりました」

 

「・・・・そう」

 

「(何だ、今の間は?)」

 

「秋蘭。南皮って・・・・・?」

 

「南皮は袁紹の本拠地だ。袁紹というのは、華琳さまとは昔からの腐れ縁でな・・・・・」

 

「あーなるほど」

 

「どうせあれのことだから、軍師の言葉など聞きはしなかったのでしょう。それに嫌気が差して、この辺りまで流れてきたのかしら?」

 

「・・・まさか。聞かぬ相手に説くことは、軍師の腕の見せ所。まして仕える主が天を取る器であるならば、その為に己が力を振るうこと、何を惜しみ、ためらいましょうや」

 

「・・・・ならばその力、私のために振るうことは惜しまないと?」

 

「ひと目見た瞬間、私の全てを捧げるお方と確信いたしました。もしご不用とあらば、この荀幾、生きてこの場を去る気はありませぬ。遠慮なく、この場でお切り捨てくださいませ!」

 

「華琳・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「華琳さま・・・・・」

 

「春蘭」

 

「はっ」

 

「(ん?何をする気だ)」

 

「桂花。私がこの世で尤も腹立たしく思うこと。それは他人に試されるということ。・・・・分かっているかしら?」

 

「はっ。そこをあえて試させていただきました」

 

「そう・・・・。ならば、こうする事もあなたの手のひらの上という事よね・・・」

そう言うなり、華琳は振り上げた刃を一気に振り下ろした

 

「(まずい!?)」

と俺は背中に差していたメダジャリバーに手をかけ止めようとしたが

 

ブォン!

 

その場に立ったまま。そして血は、一滴も飛び散りはしなかった

 

「寸止めか!」

 

退いた刃の先に絡んだ淡い色の髪の毛は、荀幾の髪だろう。ほんの少しでも荀幾が動いていたら、そのまま真っ二つになってもおかしくはなかった。

 

「当然でしょう。・・・けれど桂花。もし私が本当に振り下ろしていたら、どうするつもりだった?」

 

「それが天命と、受け入れておりました。天を取る器に看取られるなら、それを誇りこそすれ、恨むことなどございませぬ」

 

「・・・嘘は嫌いよ。本当の事を言いなさい」

 

「曹操さまのご気性からして、試されたなら、必ず試し返すに違いないと思いましたので。避ける気など毛頭ありませんでした。・・・それに私は軍師だあって武官ではありませぬ。あの状態から曹操さまの一撃を防ぐ術は、そもそもありませんでした」

 

「そう・・・」

と言い大鎌をゆっくり下ろした

 

「・・・・ふふっ。あはははははははは!」

 

「か、華琳さま・・・っ!?」

 

「最高よ、桂花。私を二度も試す度胸とその智謀、気に入ったわ。あなたの才、私が天下を取るために存分に使わせてもらう事にする。いいわね?」

 

「はっ!」

 

「ならまずは、この討伐行を成功させてみせなさい。糧食は半分で良いと言ったのだから・・・もし不足したならその失態、身をもって償ってもらうわよ?」

 

「御意!」

 

「それにしても、翼」

 

「何?」

 

「まさか、貴方の仮説通りだったわね」

 

「そうだな」

 

「華琳さま、どういう事ですか?」

 

「実はね、秋蘭」

と荀彧を連れてくるまで俺の言ったことを話した

 

「ということがあったのよ」

 

「嘘、こんな奴に私の策が見破られるなんて」

 

「大げさだな、秋蘭があのことを言わなかったら全然わからなかったよ」

 

「だけど、貴方は見破った。それだけは誇りに思いなさい」

 

「そうしとくよ」

 

「そうだ、桂花。貴方ここにいる人たちに真名を預けなさい」

 

「な!2人はともかくこんな奴に」

 

「(はあー相当男嫌いだなこいつ、まあ、あっちでも同じようなことがあったし、いいか)」

 

「あら、貴方の策を見破ったのに」

 

「そ、それは・・・」

 

「華琳」

 

「何?」

 

「真名だけど、俺はいいや」

 

「え!?」

 

「いいの?」

 

「良いよ、無理して真名預けなくても、俺は構わない」

 

「貴方がそういうなら、良いけど・・・」

 

「荀彧が自分の口から呼んで良いと言った時はその時は呼ぶよ。まあ、ないと思うけど」

 

「当り前よ、そんなこと」

 

「そうかい」

 

「それで良いのね」

 

「いいよ」

 

「わかったわ」

 

「じゃ俺は持ってくるものがあるから」

と言い俺は華琳達から離れた

 

 

 

 

 

 

「(やっぱりほかの男より、あまり拒絶しないわ、でも何で・・・まあ、あんな奴に私の真名が呼ばれないから良いけど、でもやっぱり違和感があるのは何で、何なのよあの男)」


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