真・恋姫†無双~外史の運命を破壊する者~   作:ヒーロー好き

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張三姉妹捕獲そして新たなる力

「華琳様、秋蘭達先発隊が行動を開始したようです。敵陣の各所から火の手が上がりました」

 

 

桂花が先発隊が行動を開始した事を華琳に報告する。

 

 

「秋蘭から伝令が届きました。敵の状況は完全に予想通り、当初の作戦通り奇襲をかけると。こちらも作戦通りに動いてほしいとの事です」

 

 

続いて春蘭が秋蘭から届いた伝令の内容を報告する。

 

 

「了解・・・・・・。桂花、決めておいた通りに動きなさい」

 

「御意!」

 

「しかし、先日はあれほど苦戦したというのに・・・・・・なんですか、今日の容易さは」

 

「それは春蘭がバカだからじゃないの?」

 

「なんだとぅ!」

 

 

春蘭は憤慨しながら桂花を睨み付け、怒鳴り散らす。

 

 

「少数の兵で春蘭程度を扱える器は居ても・・・・・・あれだけの規模の兵をまとめ、扱える器は居なかった。ただそれだけの事よ」

 

「なるほど。私程度を・・・・・・って華琳様! それは酷うございます」

 

 

春蘭は心底悲しそうな表情を浮かべながら言う。

 

 

「ふふっ、冗談よ」

 

「華琳様。そろそろ、こちらも動こうと思うのですが・・・・・・号令を頂けますか?」

 

「あら、もう? もう少し春蘭で遊んでいたかったのだけれど・・・・・・秋蘭達、張り切り過ぎではない?」

 

「向こうの混乱が輪をかけて酷いのでしょう。ともかく、こちらの準備は出来ていますので、お早くお願いいたします。急がなければ、張三姉妹がこちらではなく身内に殺されかねません」

 

「それはそれで問題ね・・・・・・分かったわ」

 

 

華琳は後方に控えている兵達にゆっくりと向き直り、力強い声を発し号令をかける。

 

 

「皆の者、聞け! 汲めない霧は葉の上に集い、既にただの雫と成り果てた! 山を歩き、情報を求めて霧の中を彷徨う時期はもうおしまい。今度はこちらが呑み干してやる番! ならず者どもが寄り集まっただけの烏合の衆と、我らとの決定的な力の差・・・・・・この私に、しっかりと見せなさい。・・・・・・総員、攻撃を開始せよっ!」

 

 

華琳率いる本隊の兵達が、雄叫びを上げ、激しく大地を揺らしながら黄巾党本隊目掛けて突撃を開始する。

 

 

「凪。華琳達の本隊が来たぞ」

 

「流石は華琳様。予定通りですね・・・・・・」

 

 

一糸乱れぬ動きで突撃する華琳の大軍団と混乱の極地にある黄巾党の大集団。その動きはまさに雲泥の差と言えるだろう。

 

 

「では、オレ達も合流するぞ。秋蘭と沙和の隊が右翼。オレ達は季衣と真桜と合流して左翼担当だ」

 

「はい。後は三人が来るのを・・・・・・」

 

「兄ちゃーん!」

 

「隊長、お待たせー」

 

「すみません。遅くなりました」

 

「おう、来たな。三人とも大丈夫だったか?」

 

「ぜーんぜん。なんや、こっちが一方的過ぎて悪いくらいやったわ」

 

「うん。で、華琳様も来たし、そろそろかなって真桜ちゃん達と」

 

「ああ。こちらも合流しようと思っていたところだ。丁度良かった」

 

「では隊長、号令をお願いします」

 

「オレが・・・・・・? まあいいが。・・・・・・オホン・・・・・・」

 

 

翼は後ろに控えている兵士たちに向き直り、軽く咳払いを一つ。

 

 

「これより我らは本隊に合流、本隊左翼として攻撃を続行する! ただし張三姉妹は生け捕りにせよ! 総員、今までの借りを思う存分に返してやれ!」

 

「「「応っ!」」」

 

「全軍突撃ーーーーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この辺りまで来れば……平気かな」

 

 

地和が後方を振り返りながら、周囲が安全かを確認する。

 

 

「もう声もだいぶ小さくなってるしねー。・・・・・・でも、みんなには悪い事しちゃったかなぁ?」

 

「難しい所だけれど・・・・・・正直、ここまでのものになるとは思っていなかったし・・・・・・潮時でしょうね」

 

「けど、これで私達も自由の身よっ! ご飯もお風呂も入り放題ねっ!」

 

「・・・・・・お金無いけどね」

 

「う・・・・・・」

 

「そんな物はまた稼げばいいんだよ。ねー?」

 

「そう・・・・・・そうよ! また三人で旅をして、楽しく歌って過ごしましょうよ!」

 

「で、大陸で一番の・・・・・・」

 

「そうよ! 今度こそ歌で大陸の一番に・・・・・・っ!」

 

「・・・・・・盛り上がってる所を悪いが、お前ら・・・・・・張三姉妹だな?」

 

張三姉妹の後ろにはいつの間にかマシンディケイダーにまたがってディケイドに変身している翼がいた。

 

「な・・・・・・っ!」

 

「く・・・・・・っ、こんな所まで・・・・・・!」

 

「どうしよう・・・・・・もう護衛の人達も居ないよー?」

 

「大人しく付いてくるなら悪いようにはせんぞ」

 

「・・・・・・付いて行かなかったら?」

 

「付いて行かなかったら?」

 

「地獄の果てまで追っかけてあげるよ!」

 

「ちぃ達、地獄に行くの!?」

 

「いや、例えだから・・・・・・」

 

 

「張角様、大丈夫ですか?」

 

「貴様、俺の張宝ちゃんになにを!?」

 

「・・・・・・・ごめん。眠って」

と翼はやって来た兵達を素手で倒した。

 

その様子を見て、張梁達は諦めを見せた。

 

「諦めましょう、姉さん。あんなのに当たったら無事では済まないわ。・・・いきなり殺したりはしないのよね?」

 

翼は変身を解いて元の姿に戻って言う。

 

「ああ。その点は保証してやる」

 

「・・・・・・ならいいわ。投降しましょう」

 

その言葉を聞いた姉二人は悲痛な表情になる。

 

「人和・・・・・・」

 

「れんほーちゃん・・・・・・」

 

「なら、付いて来い・・・・・・」

 

こうして張三姉妹は翼と共に華琳のいる本陣へと向かった。

 

 

 

「・・・・・・で、貴方達が・・・・・・張三姉妹?」

 

 

華琳は傍らに控えている秋蘭から張三姉妹に視線を移し、訊く。

 

 

「そうよ。悪い!」

 

 

捕らえられてる立場にもかかわらず、地和は高飛車な態度を取る。

 

 

「季衣、間違いない?」

 

「はい。ボクが見たのと同じ人達だと思います」

 

「あ、私達の歌、聞いてくれたんだねー。どうだったー?」

 

「すっごく上手だったよ!」

 

「ホント!? ありがとー♪」

 

季衣の答えに張角は心の中からうれしそうである

 

「しかし何でこんなことになったんだ? 前までそんな力はなかったように見えるけど・・・・・・」

 

「色々あったのよ」

 

「いや、その色々を聞きたいんだけどね・・・・・・」

 

「話したら斬る気でしょう! わたし達に討伐の命令が下ってるんだって、知ってるんだから!」

 

張宝の言葉はもっともであるが、華琳は呆れたように言う。

 

「それは話を聞いてから決めることよ。それから、ひとつ誤解をしているようだけれど・・・」

 

「何よ?」

 

「あなた達の正体を知っているのは、おそらく私達だけだわ」

 

「へ?」

 

張宝はあぜんとする。

 

「そうよね、桂花」

 

「はい。あなた達ここ最近、私達の領を出ていなかったでしょう」

 

「それは、あれだけ周りの捜索や国境の警備が厳しくなったら・・・出て行きたくてもいけないでしょう」

 

「ですから現状、首魁の張角の名前こそ知られていますが…他の諸侯達の間でも、張角の正体は不明のままです」

 

「どういうこと?」

 

「誰を尋問しても、張三姉妹の正体を口にしなかったからよ。大した人気じゃない」

 

「そんな・・・・・・!」

 

その言葉に張三姉妹は驚きを隠しきれなかった。

 

「それに、この騒ぎに便乗した盗賊や山賊は、そもそも張角の正体を知らないもの」

 

「そいつらのでたらめな証言が混乱に拍車をかけてね・・・、今の張角の想像図は・・・桂花」

 

「これよ」

 

その絵には身長が三メートルあるだろうひげもじゃの大男の絵だった。しかも腕が八本、足が五本、おまけに角と尻尾まである。

 

「(こんな怪人見たことないよ)」

 

「えー。お姉ちゃん、こんな怪物じゃないよー」

 

当の本人は頬を膨らませて憤慨する。まあ、当然の反応だろう。

 

「いや、いくら名前に角があるからって、角は無いでしょ・・・・・・角は」

 

「まあ、この程度という事よ」

 

「何が言いたいの?」

 

華琳の意味深な言葉に、人和がメガネに手を当て、眉間に皺を寄せながら聞く。

 

「黙っていてあげてもいい、と言ってるのよ」

 

「・・・・・・どういう事?」

 

華琳の真意が理解できていない地和は怪訝な顔で聞く。

 

「貴方達の人を集める才覚は相当なモノよ。それを私のために使うというのなら・・・・・・その命、生かしてあげてもいいわ」

 

「・・・・・・目的は?」

 

「ちょっと、人和!」

 

「私が大陸に覇を唱えるためには、今の勢力では到底足りないわ。だから、貴方達の力を使い、兵を集めさせてもらうわ」

 

「そのために働けと?」

 

「ええ。活動に必要な資金は出してあげましょう。活動地域は・・・・・・そうね。私の領内なら、自由に動いて構わないわ。通行証も出しましょう」

 

「ちょっと! それじゃ、私達好きな所に行けないって事じゃないのっ!?」

 

「・・・・・・待って。ちぃ姉さん」

 

「何よ」

 

「・・・・・・曹操。貴方、これから自分の領土を広げていく気なのよね」

 

「それがどうかした?」

 

「そこは私達が旅が出来る、安全な所になるの?」

 

「当たり前でしょう。平和にならないのなら、わざわざ領土を広げる意味は無いわ」

 

「・・・・・・分かったわ。その条件、飲みましょう。その代わり、私達三人の全員を助けてくれる事が前提」

 

「問題ないわ。決まりね」

 

「ちょっと人和! 何勝手に決めて・・・・・・! 姉さんも何か言ってやってよ!」

 

「えー。だってお姉ちゃん、難しい話って、よく分かんないし・・・・・・」

 

「あーもう役に立たないわねっ!」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

三姉妹のやり取りを見ていた秋蘭が、春蘭に意味深な視線を向ける。

 

「・・・・・・どうした秋蘭。なぜ私を見る」

 

「いや・・・・・・何でもない」

 

「(お前の気持ちはよーく分かるぞ、秋蘭)」

 

秋蘭の心中を察するように、翼は心の中で大きく頷いていた。

 

「ちぃ姉さん。もともと選択肢なんか無いのよ。ここで断れば、私達はこの場で殺されるわ」

 

「むぅ・・・・・・っ」

 

「生かしてくれる上に、自由に活動するための資金までくれて、自由に歌っていいなんて・・・・・・正直、破格の条件だと、私は思う」

 

「・・・・・・だって、コイツの領地だけなんでしょう」

 

 

地和は不満を口にする。生かしてくれるとはいえ、行動が制限されるのが彼女は不満なのだ。

 

 

「これから曹操が勝手に広げてくれるわ。それに、最終的には大陸全部が曹操のものになるのなら・・・・・・安全になるまでは、曹操のために歌ってあげてもいいでしょう。・・・・・・そういう考えで良いのよね?」

 

「ええ。貴方達は、私の広げた領土の中で自由に歌ってくれればいい」

 

「用が済んだからって、殺したりしないわよね?」

 

「用済みになったら支援を打ち切るだけ。でも、その頃には大陸一の歌い手になっているのでしょう? せいぜい私の国を賑やかにしてちょうだい」

 

「・・・・・・面白いじゃない。それは、この張三姉妹に対する挑戦とい事でいいのよね?」

 

華琳の言葉に、地和が不敵な笑みを浮かべる。

 

「そう取るのなら、そう取ればいいわ」

 

「よし! なら決まりだわ!」

 

「・・・・・・えーっと。結局、私達は助かる、って事でいいのかなぁ・・・・・・?」

 

「それに、また大陸中を旅して回れるのよ! 今度こそ、あの太平何とかって本が無くても、大陸の一番を獲ってみせるわよ!」

 

「え、やったじゃなーい♪ またみんなで歌って旅が出来るんだね♪」

 

「(これが黄巾党の長ね・・・・・・・・・ん?)」

 

「・・・・・・ちょっと待ちなさい」

 

「何?」

 

「さっき、太平何とかって・・・・・・・」

 

「太平要術?」

 

「貴方達、それをどうしたの!」

 

華琳が凄まじい剣幕で詰め寄り、鋭く叫びながら三姉妹に問いかける。

 

「んー。応援してくれる、って人に貰ったんだけどー。逃げてくるときに、置いてきたの」

 

「私達の居た陣地に置いてるはずだけど・・・・・・恐らく、もう灰になっているはず。・・・・・・それがどうかしたの?」

 

「いえ。・・・・・・そう、あの書は灰になったのね」

 

「華琳様。探して参りましょうか?」

 

春蘭がそう言うが、華琳は首を横に振る。

 

「・・・・・・不要よ。それよりあの陣にもう一度火を。誰かに拾われて悪用されては、また今日のような事態になりかねないわ」

 

「承知いたしました」

 

「おい、いいのか? ずっと探していたのに」

 

「いいわ。それがあの書の天命なのでしょう」

 

「そうか。・・・・・・ところでその手に持っているの何?」

 

「え!?」

人和が答えた

 

「これ、逃げていく時に拾ったんだけど、使い方がわからなくて、何か知っているの?」

 

「ああ、寄こして」

と渡してきた

 

「(やっぱり、変身音叉音角だ)」

 

「翼、それ何?」

 

「ああ、変身音叉音角って言うんだ」

 

「え!?」

 

「何につかうのだ」

 

「説明するより、見た方が早いよ」

と俺は変身音叉音角を揺らし、その揺れた変身音叉音角を自分の額に近づける。すると翼の額にはなにやら小さい鬼の飾りが現れ、翼の体を紫混じりの炎が包み込む。

 

「どうなっているの?」

 

「わかんないよ」

 

「大丈夫なの?」

 

「はあっ!」

翼が自分の体に待とう炎を掃う。そこには仮面ライダー響鬼へと姿を変えた翼の姿がある。

 

「!?」

当然のことに皆、ビックリした

 

「何それ!?」

 

「兄ちゃんが鬼になった!?」

 

「鬼じゃないよ。仮面ライダー響鬼だ」

 

「響鬼・・・」

 

「じゃあ、さっきのは響鬼に変身するための道具だったの・・・」

 

「ああ」

 

「すごいな・・・」

 

「それは、どうも」

 

「翼・・・」

 

「ん?何だ春蘭?」

 

「その響鬼と手合せしたいのだが・・・」

 

「いいよ。城に帰ったらやるか」

 

「おう!」

 

「そうね。なら、帰りましょう」

 

こうして黄巾の乱は終結し、翼達一同は帰路に着くのだった


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