本拠地見つかる
「・・・ということがありました」
現在、俺たちは荀彧からの報告を聞いていた
・・・・話を要約すると、[張曼成率いる黄巾軍が孫策軍に撃破された]という
「そう。・・・猿が英雄を飼うなど、不愉快千万だったけれど。それもそろそろ終わりそうね」
「・・・どういう意味でしょうか」
「言葉通りの意味よ。・・・・・・今、利に目ざとい諸侯たちは黄巾党本隊を探している。・・・それは黄巾党の命脈が尽きかかっていることを知っていうからでしょう?」
「はっ。大陸全土を見るに、すでに黄巾党は風前の灯火。・・・・・・多少、戦略眼がある人間ならば、この好機を逃さないでしょう」
「そう。報告を聞くと袁術は西方に向かった。・・・・・・つまり功名の場を放棄したということ」
「逆に孫策は募勢ながら賭けに出た。・・・そしてその賭けは成功した」
「(なるほど・・・)」
「そして賭けに成功した孫策の評判は、益々上がることになる。・・・・・・そうなれば、黄巾党の乱の後、大陸を覆うであろう群雄割拠の時代に有利となる」
「その好機を逃さず、独立を果たす。・・・・・・そうなるとお考えなのですね」
「ええ。さすが江東の虎と謳われた孫堅の娘。・・・・・・楽しみが増えたわね」
「御意。・・・・・・今後、孫策周辺に細作を放ち、情報を手に入れておきましょう」
「よろしく。・・・・・・・他に何か報告すべき意見はある?」
「いえ、今の報告で最後です」
「黄巾党はこちらの予測以上の成長を続けているわ。官軍はあてにならないけれど・・・私たちの民を連中の好きにさせることは許さない。いいわね!」
「分かってます!全部、守るんですよね!」
季衣は気合いを入れて言った。
「そうよ。それにもうすぐ、私たちが今までに積み重ねてきた事が実を結ぶはずよ。それが、奴らの最後になるでしょう」
まあ、手間をかけてきたからな。
「民衆の血も米も、ひと粒たりとて渡さないこと!以上よ!」
そして、その日の軍議は解散となった。
軍議が終わった後、俺と凪は部隊を連れて、情報収集のために郊外の森の道を進んでいる。
「凪、大丈夫か? 昨日、南から帰ってきたばかりだろ?」
凪は昨日まで黄巾党に苦戦していた官軍を春蘭と季衣と共に軍を率いて助けに行き、帰ってきたばかりなのだ。
「大丈夫です。鍛えてますから」
「そうか、無理して倒れたら元も子もないよ」
「隊長も人のことが言えませんよ」
「そうだね」
と話しながら進む
「それにしても、俺が魏の将になるとはなー」
「隊長の働きなら、普通に将になってもおかしくないですよ」
「そうだけど・・・イマイチ実感が湧かないんだよなー」
「そうですか・・・そういえば」
と凪は何かを思い出したかのように言った
「行く前に華琳さまと何の話をしていたのですか?」
「見てたの?」
「すいません。たまたま見てしまって・・・」
「別にいいよ。・・・・・・話していたのは新しい軍旗のことだよ」
「新しい軍旗ですか?」
「ああ、荀彧が用意した軍旗があまり気に入らなくてね。それで華琳に頼んで新しい軍旗を作ってくれと頼んだんだよ」
「そうだったんですか」
「ああ、もう少しで出来そうだって」
「そうですか。・・・・・・どんな軍旗か楽しみです」
「そっか。楽しみにしてくれ」
「はい」
と凪は笑った
「うーん」
「どうしました?」
「いや、凪は笑ってる方が可愛いと思ってさ」
「か、可愛……//////」
俺がそう言うと凪の顔が真っ赤になった。
「大丈夫?」
「隊長がいきなりあんなことを言うからです////」
と照れながら言った
「ごめん。・・・・・・ん?」
と俺は向こうに黄巾を巻いた者達の姿が見えた
「凪」
「敵ですね」
と凪も気づき戦闘体制に入った
「変身」
と俺はクウガに変身した
「行くぞ、凪!」
「はい!全員、周囲を警戒しながら続け!」
と凪と共に襲ってきた敵を撃退した。
「・・・お見事です、隊長!」
「それより誰か縄を持ってきてくれ!それ以外の者は敵部隊がいないか確認するため周囲の警戒を継続!」
と指示した
「さて、持ち物を調べるか」
と調べていると凪が黄巾の連中の持ち物から何かを見つけだしたのか俺に見せてきた。
「手紙……ですかね?」
「そうかもしれないな」
「じゃあ開けて見ましょう」
と開くと汚い字で文章と地図らしきものが書き込まれていた。
「(汚いなー・・・・・・けど)」
「集合場所の連絡か。ったく、厄介なことになってきたな……」
「厄介なことですか? 集合場所が分かったのですから逆に好機なのでは……?」
「確かにな。だが集合場所の連絡をとるようになったってことは、それだけ黄巾の連中が強大化してるってコトだ」
と俺がそう言うと凪はそれに気づいたようにハッとなっていた。
「(今まで捕まえた黄巾の連中は口頭での連絡は取り合っていたようだが、これだけしっかりしたのを見つけたのは初めてだな。まぁ、連絡事項間違えてた奴もいたことがあったけどな。けどこれでもっと重要な可能性があるな)」
と思った
「とりあえず情報収集の任務は達成だ。引き上げるぞ」
「分かりました」
こうして俺たちは情報収集の任務を終えて華琳の城に引き返していった
その日の軍議は、俺達が見つけた連絡文書が最重要課題として取り上げられていた。
「大手柄ね、翼」
「それはどうも」
「さきほど偵察に出した部隊が帰ってきました。連中の物資の輸送経路と照らし合わせて検証もしてみましたが、敵の本隊で間違いないようです」
「(やっぱりか)」
と俺の推測どうりだった
「・・・やはり、張角もいるのか?」
と秋蘭に言った
「ああ。張三姉妹の三人が揃っていると報告も入っている」
華琳が念を押す。
「間違いないのね?」
「何と言うか・・・・・三人の歌を全員が取り囲んで聞いていて、異様な雰囲気を漂わせていたとか」
「・・・何かの儀式?」
「詳細は不明です。連中の士気高揚の儀式ではないかというのが、偵察に行った兵の見解ですが」
「まるでライブだな」
「らいぶ?」
「隊長、それはどういうものなのですか?」
と凪が聞いてきた
「娯楽の一種で、歌い手の歌を聴く集会のようなものだ。俺のいた国では、千人や万人単位の集まりもあった」
「良く分からんな。そんなに集まっては歌声などまともに聞こえんだろう」
「確かに・・・けどそういうことが出来るカラクリでもあるんじゃないの?」
「そうね。ともかく、翼のおかげでこの件は一気にカタが付きそうね。動きの激しい連中だから、これは千載一遇の好機と思いなさい。皆、決戦よ!」
華琳の一言により俺たちは黄巾党を倒すべく、出撃した。