真・恋姫†無双~外史の運命を破壊する者~   作:ヒーロー好き

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遅れましたけど

あけましておめでとうございます


翼の軍旗と旗刺し勝負

それからしばらくし―――

 

翼は軍議に呼ばれていたので、軍議が行われる大きな天幕に向かった。そこには、既に華琳や夏侯姉妹、季衣と荀彧に凪と真桜もいた。沙和は物資の配給担当なので居なかった。そして、翼が来たところで軍議が始まった。因みに、凪達三人が翼の部下になったことで義勇軍の人たちも部下になって『紅隊』が出来た

 

 

「さて、これからどうするかだけど・・・・・・。新しく参入した凪達もいることだし、一度状況をまとめましょう。―――春蘭」

 

「はっ。我々の敵は黄巾党と呼ばれる暴徒の集団だ。細かいことは―――秋蘭、任せた」

 

「やれやれ・・・・・・」

 

 

これが、春蘭という個性なのだろう。武に強く、文に弱い―――というか、バカなのだ。秋蘭は少しため息をついて、説明に入った

 

 

「黄巾党の構成員は若者が中心で、散発的に暴力活動を行なっているが・・・・・・特に主張らしい主張はなく、現状で連中の目的は不明だ。また首領の張角も、旅芸人の女らしいという点以外は分かっていない」

 

「分からないことだらけやなぁ~」

 

「目的とは違うかもしれませんが・・・・・・我々の村では、地元の盗賊団と合流して暴れていました、陳留の辺りでは違うのですか?」

 

「同じようなものよ。凪達の村の例もあるように、事態はより悪い段階に移りつつある」

 

 

悪い段階―――最初のうちは、小さい集団でただバカ騒ぎをしていただけ。それが、同じような集団や盗賊団と結びつきを持ち、それが組織化されてきている。それがこの村を襲ったような大部隊になると、今までは春蘭や季衣の部隊だけで対処できたのが難しくなるのだ

 

 

「これからは、暴徒と言えど一筋縄では行かなくなったわ。ここでこちらにも味方が増えたのは幸いだったけれど・・・・・・これからの案、誰かある?」

 

 

まずは、荀彧が定石とされる手を述べた

 

 

「この手の自然発生する暴徒を倒す定石としては、まず頭である張角を倒し、組織の自然解体を狙うところ―――ですが……」

 

「張角ってどこにいるんですか?」

 

「もともと旅芸人だったせいもあって正確な居所は掴めていない。というより、むしろ我々のように特定の拠点を持たず、各地を転々としている可能性が高い」

 

「成程。本拠地が不明でどこからでも湧いて出る敵か……。ま、そりゃ苦労するわな、攻めようもないし」

 

「そうよ。でもだからこそ、その相手を倒したとなれば、華琳様の名は一気に上がるわ」

 

「(だが・・・・・・いくらなんでもそんな短期間で旅芸人にファンが付くものなのか?たしか、最初に見たときは人もそんなにいなかったし、熱狂的なファンも見なかった・・・・・・もしかして何か魅力を引き出す、又は人を魅了し惹き付けるアイテムでも使ってるんじゃ?・・・・・・ふーむ、よくわからんなぁ)」

と、翼が考え込んでいると俄に辺りが騒がしくなってきた。そこに、沙和が恐縮そうに入ってきた

 

 

「・・・・・・すいませーん。軍議中、失礼しますなのー」

 

「どうしたの、沙和。また黄巾党が出たの?」

 

「ううん、そうじゃなくてですねー」

 

「何だ。早く言え」

 

「街の人に配ってた食糧が足りなくなっちゃったの。代わりに行軍用の糧食を配っていいですかー?」

 

「・・・・・・桂花、糧食の余裕は?」

 

「数日分はありますが・・・・・・義勇軍が入った分の影響もありますし、ここで使い切ってしまうと、長期に及ぶ行動が取れなくなりますね」

 

「・・・・・・とはいえ、ここで出し渋れば騒ぎになりかねないか。いいわ、まず三日分で様子を見ましょう」

 

「三日分ですね。分かりましたなのー」

 

 

華琳の指示を受けて、沙和はすったかと天幕をでる。それを見送った華琳は桂花に視線を移して指示を与える

 

 

「桂花、軍議が終わったら、糧食の補充を手配しておきなさい」

 

「承知しました」

 

 

それを見ていた凪は、華琳に小さく頭を下げた

 

 

「すみません。我々の持ってきた糧食は、先程の戦闘であらかた焼かれてしまいまして……」

 

「気にしなくていいわよ。あなたがそれ以上の働きを見せてくれればいいのだから」

 

「(はーバックも持って来ればよかったなーそうすれば糧食を出せたんだけど・・・・・・ん?待てよ)」

と何かを考え出した

 

「(糧食の補充は相手もする。けどあれだけの部隊が居ると相当な糧食が必要となるから・・・いけるな)」

 

「ねぇー華琳」

 

「なに?」

 

「物資を探し出し叩くことした方が良いんじゃないかと思うのだが?」

 

「・・・・・なるほど」

 

「にゃ?」

 

「その手があったわね」

 

「ど、どういう意味だ?」

 

「えっとな、あれだけの部隊が動くには武器はともかく、糧食は現地調達じゃ無理があるはず。だからその糧食や武器ををどこかに集めてる集積地点があるはずなんだ」

 

「うむ。華琳様、すぐに各方面に偵察部隊を出し、情報を集めさせます」

 

「ええ。桂花は周辺の地図から、物資を集積できそうな場所の候補を割り出しなさい。偵察の経路は、どこも同じくらいの時間に戻ってこられるように計算して。出来るわね?」

 

「お任せ下さい!」

 

「他の者は、桂花の偵察経路が定まり次第、出発なさい。それまでに準備を済ませておくように!」

 

「はいっ!」

 

「わかりました!」

 

 

神出鬼没な黄巾党を仕留めるチャンスとあり、場は俄に慌ただしくなる

 

 

「相手の動きは極めて流動的だわ。仕留めるには、こちらも情報収集の速さが勝負よ。皆、可能な限り迅速に行動なさい!」

 

「はっ!」

と皆は集積地点を探すべく行動を始める。

 

「カンドロイド持ってくればよかった・・・」

 

「あるわよ」

 

「え!?」

と華琳はカンドロイドを見せた

 

「なんで持っているの?」

 

「貴方の部屋に行った時、見つけてねぇー。それでもって来たの」

 

「そうだったか、ありがとう」

 

「かまわないわ」

 

「さて、やるか」

と俺はカンドロイドに指示をした。そして春蘭が敵の陣地を見つけて、少し時間をおいて出発した

 

全部隊が出発し終えてから数刻後―――普通に行軍すれば、半日はかかるところを強行軍でわずが数刻で目的地まで駆け抜けた。そこは、山奥にぽつんと立っている古ぼけた砦だった。

 

「既に廃棄された砦ね・・・・・・。いい場所を見つけたものだわ」

 

「敵の本隊は近くに現れた官軍を迎撃しに行っているようです。残る兵力は一万がせいぜいかと」

 

「物資を運び出している・・・・・・ということは、ここを捨てるのか」

 

「きっと華琳様のご威光に恐れをなしたからに決まっているわ。だから、わざわざ砦まで捨てようとしているのだろう」

 

「まぁ、奴さんは捨ててあったものを使っているだけだからな。大事に使うって意識が薄いんだろうさ。多分、あと一日遅れてたらここもすっからかんだったろうよ」

 

「全く。厄介極まりない連中ね・・・・・・。それで秋蘭。こちらの兵力は?」

 

「翼の指揮下に入った義勇軍と併せて、八千と少々です。向こうはこちらに気付いていませんし、荷物の搬出で手一杯のようです。今が絶好の機会かと」

 

「ええ。ならば、一気に攻め落としましょう」

 

「(急いで動いたから、キツイなー。終わったら休もう)」

 

「華琳様。一つ、提案が」

 

「何?」

 

「戦闘終了後、全ての隊は手持ちの軍旗を全て砦に立ててから帰らせてください」

 

「え?どういうことですか?」

 

「この砦を落としたのが、我々と示すためよ」

 

「なるほど。黄巾の本隊と戦っているという官軍も、本当の狙いはこの砦。ならば、敵を一掃したこの城に曹旗が翻っていれば……」

 

「・・・・・・面白いわね。その案、採用しましょう。軍旗を持って帰った隊は、厳罰よ」

 

「(俺たちの隊は関係なさそうだな。まずもって、軍旗がまだ無いし)」

と思っていると

 

「ちょっと」

と後ろから荀彧が声をかけて来た

 

「何?なんのよ・・・・・!?」

見ると桂花と一人の兵士。その兵士が持っていたのは―――深紅の布に『紅』の文字―――いわゆる、軍旗だった

 

「―――え?」

 

「・・・・・・頑張りなさいよ」

 

「あら、翼の所の旗もあるのね・・・・・・いつ用意したの?」

 

「こうなることを予測して、私が用意させておりました」

 

「へぇ・・・・・・なかなかに機転が効くわね。偉いわ、桂花」

 

「いえいえ、私などこのようなことしか出来ませんので」

 

「せめて、何か絵を書いてよ・・・」

 

「うるさいわよ。自分で考えなさい」

 

「わかりました(何の絵にしようかな?)」

 

「なら、誰が一番高いところに旗を立てられるか、競争やね!」

 

「こら、真桜。不謹慎だぞ」

 

「ふん。新入り共に負けるものか。季衣、お前も負けるんじゃないぞ!」

 

「はいっ!」

 

「姉者・・・・・・大人気ない」

 

「そうね。一番高いところに旗を立てられた隊は、何か褒美を考えておきましょう」

 

「(勝ったら休みをもらおう)」

 

「狙うのは敵の守備隊の全滅と、糧食を一つ残らず焼き尽くすことよ。いいわね」

 

「はっ!」

 

「あの・・・・・・華琳様?」

 

「何?沙和」

 

 

ここで、沙和が華琳に質問した。もう終わるであろうと思っていた皆の視線が沙和に集まる

 

「その食料って……さっきの街に持って行っちゃダメなの?」

 

「ダメよ。糧食は全て焼き尽くしなさい」

 

「どうしてなの・・・・・・?」

その問いに俺が答える

 

「一つは華琳様の風評は上がるどころか傷付くこと。糧食も足りないのに戦に出た曹操軍は、下賎な賊から食料を強奪して食べましたと」

 

「けど……!」

 

「・・・・・・かと言って奪った糧食を街に持っていけば、今度はその街が復讐の対象になる。今より、酷く」

 

「―――あっ」

 

俺の言葉に沙和は、はっとなった。そう、ここで糧食を焼かずに回収すれば風評は地に落ちる。かと言って、それを街に持っていけば黄巾党の復讐の対象になる。それで街が襲われでもすれば、本末転倒。守ったはずの民がむざむざ殺されることになる。今度は軍が置いていった糧食が原因で、焼き払うのはそんな民のことを想った華琳なりの考えである

 

「確かに勿体ないけど、人を救うためだ。それにあの街には警護の部隊と糧食を送っているわ。それで復興の準備は整うはず。華琳はちゃんと考えているから・・・安心して」

 

「そういうこと。糧食は全て焼くのよ。米一粒たりとも持ち帰ることは許さない。それがあの街を守るためだと知りなさい。いいわね?」

 

「分かったの・・・」

 

「なら、これで軍議は解散とします。先鋒は春蘭に任せるわ。いいわね?春蘭」

 

「はっ!お任せ下さい!」

 

「この戦をもって、大陸の全てに曹孟徳の名を響き渡らせるわよ。我が覇道はここより始まる!各員、奮励努力せよ!」

 

 

 

軍議も終わり、部隊の配置の段階に入ったのだが―――義勇軍で構成された紅隊は凪達三人がやってくれるので俺はそれを見ているだけ、まぁ、まだ指揮や陣について勉強していない俺が口出ししても役には立たないだろうが

 

「(いよいよか、何とか体が持ってくればいいんだけど・・・)」

 

「隊長。楽進隊、布陣完了しました!」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・隊長?」

 

「ん?どうしたの。凪」

 

「いえ。布陣完了しましたので・・・」

 

「そっか」

 

「あの・・・」

 

「何だ?」

 

「その仮面ライダーのことについて教えてほしいのですが・・・」

 

「そうだな・・・さっき変身したのは仮面ライダーディケイドと言うんだ」

 

「でぃけいどですか?」

 

「ああ、天の国では、世界の破壊者、悪魔なんて言われていたんだ」

 

「世界の破壊者ですか?」

 

「ああ、まだ何も破壊していないけどな・・・」

 

「そうですか?けど私は隊長はそういう者ではないと思います」

 

「そっか」

 

「何や何や。なに、話しとるん」

 

「ずるーい!布陣終わったんだから、わたしも混ぜてなのー!」

 

「ただ、話をしていただけだよ。・・・そうだ!これが終わったら歓迎会を開くけどいいか?」

 

「良いのですか」

 

「ああ、俺が料理を手作りするから」

 

「隊長、料理できんの?」

 

「まあな」

 

「意外なのー」

 

「そっか、良いか」

 

「はい」

「楽しみなのー」

「期待してるで、隊長」

沙和と真桜の二人は喜んでいた。まぁ、凪だけはそれほどに喜んでいるようには見えなかったが、表情がうっすらと嬉しそうな顔をしていた。

 

「(歓迎会を開かれて嬉しくない奴はいないか)」

と思っていると

 

「ん?何だ!」

突然金切り音が聞こえた

 

「(何だこの音!?)」

 

「どうしましたか?」

 

「ねぇ、何か音がしたけど、聞こえた?」

 

「いいえ」

「何も」

「聞こえなかったのー」

と沙和と真桜と凪は言った

 

「気のせいかな・・・」

 

 

 

 

「・・・・・・何をしているのだ、あの馬鹿どもは」

 

「さぁ?戦闘前の気合でも入れ直しているのではないの?」

 

 

そんな華琳と春蘭のもとに、季衣が駆け寄ってきた

 

 

「華琳様!秋蘭隊、布陣完了しました!」

 

「そう。なら、行くわよ」

 

「御意! 銅鑼を鳴らせ!鬨の音を上げろ!追い剥ぐことしか知らない盗人と、威を借るだけの官軍に、我らの名を知らしめてやるのだ!総員、奮闘せよ! 突撃ぃぃぃぃっ!」

 

 

こうして、曹操軍は黄巾党の物資集積地点を強襲した―――

 

「はぁ」

 

「ぎゃあ」

俺はディケイドに変身して戦っていた

 

「(あまり、体に負担をかけないように)」

オーズのコンボを使ってせいであまり激しく戦えないのである

 

「しかし、楽でいいや」

戦況は、非常に一方的だった。操軍の突撃がきれいに決まり、黄巾兵はなすすべなく蹂躙され、春蘭や季衣を先頭に曹操軍が続々と城に雪崩込んで行き、黄巾兵をまたたく間に屠り去っていく

 

「でえええええい!!!」

 

「どうした!この夏侯元譲に挑む者はおらんのか!?この腰抜け共が!」

 

「さて、俺も少し頑張ろう」

と俺はライドブックをソードモードからガンモードにして

 

「くらえ!?」

と頭を狙って撃つ

 

バンバンバン

 

黄巾党の人は頭から血を出して死んでいく

 

「た、助けてくれー」

と黄巾の奴らは逃げていく

 

「これぐらいで良いかな?」

 

「隊長!」

 

「どうした?凪」

 

「いえ、大丈夫ですか。すごい音がしたので・・・」

 

「問題ない、それより戦況は?」

 

「敵はほぼ掃討完了し、後は糧食を燃やすだけです」

 

「そうか」

 

 

翼と凪は、ここから見える庭に集められた糧食に火が付けられるのをじっと見ていた。翼は特に、感慨深くもなく、残念な気持ちもなく、ただ糧食の燃える焦げた臭いに眉をひそめるだけだった

 

 

「目的は果たしたぞ!総員、旗を目立つところに挿して、即座に帰投せよ!帰投、帰投ーっ!」

 

「さて、どこに旗を挿そうかな?」

と探してふと、上を見ると

 

「ん?あれは季衣・・・」

一番大きな建物の屋根にいる季衣を見つけた

 

「よく登ったなー。ま、あそこに刺せば間違いなく一番だな。よし季衣が降りた後に隣に刺そう」

と季衣が刺して、いなくなった後に、登り、隣に俺の旗を刺した

 

 

制圧した砦の外で―――華琳は翼達を集めて、簡単な会議を開いていた。特に急ぎの用事は無い。帰ったら片付けに専念してすぐに休めるようにという華琳の気遣いからだった

 

 

「作戦は大成功でしたね、華琳様!」

 

「ええ。皆もご苦労様。特に凪、真桜、沙和。初めての参戦で、見事な働きだったわ」

 

「ありがとうございます」

 

「おおきに」

 

「ありがとうなのー」

 

 

隊長として俺も鼻が高いな―――まだ、なったばかりだけど

 

 

「さしあたり、これでこの辺の連中の活動を牽制することができたはずだけれど・・・・・・」

 

「はい。暫くは大きな活動は出来ないでしょう。ただ、もともと本拠地を持たない連中のこと。今回の攻撃も、時間稼ぎにしかならないはずです」

 

「でしょうね。だから、連中の動きが鈍くなった今のうちに、連中の本隊の動きを掴む必要があるわ」

 

「成程。だが、本拠地のない奴さんの本隊をどうやって突き止めるんだい?」

 

「・・・・・・地道に情報を集めて回るしかないでしょう。補給線が復活すれば、優先順位の高い順に補給を回していくでしょうし」

 

「それしかないか・・・・・・決定的な手掛かりがない今はそれが一番の手段ということだな」

 

「そういうこと。暫くは小規模な討伐と情報収集が続くでしょうけれど、ここでの働きが、黄巾を私たちが倒せるかどうかが決まると言ってもいいわ。皆、一層の努力奮闘を期待する!以上!」

 

 

皆が、大きく返事をしてこの場を離れようとする。だが、華琳が思い出したように皆の足を止めるように声をかける

 

「ああ、そうだ。例の・・・・・・旗を一番高いところに飾るという話だけれど・・・・・・結局誰が一番だったの?」

 

「あーっ。なんか忘れとる思うたら、それか!」

 

「はっはっは。初めての戦で、そこまでの余裕はなかったか!まだまだ青いなぁ!」

 

「それで誰が一番だったのかしら?」

 

「華琳さま、おそらくアレかと・・・・・・」

秋蘭は呆れたように指を砦のてっぺんに向けながら、華琳に伝える。そして秋蘭の指の先には二つの旗が刺さっていた。

 

「あれは、翼と季衣の旗」

 

「兄ちゃんいつの間に刺したの?」

 

「季衣が刺し終わった後に、隣に刺したんだ・・・」

 

「どうやって刺したの?」

 

「普通に登って・・・」

 

「ボク、木登り得意なんですよ」

と言った時に皆静かになった

 

「あれ、何かまずいことでも言ったかな?」

と思っていると、

 

「旗刺し勝負は季衣と翼の勝ちで良いわね。季衣、何か欲しいものはある?」

 

「うーん・・・・・・特に、何もないんですけど・・・・・・」

 

「欲のない子ね。何でも良いのよ?」

 

「何かあるだろう。食べ物とか、服とか・・・・・・」

 

「え?どっちも今のままで十分ですし・・・・・・」

 

「領地まではさすがにあげられないけど・・・・・・何かないの?」

 

「そんなものいりませんよー」

 

うーむ、真桜と沙和も見習って欲しいものだ

 

「まぁいいわ。なら、季衣はひとつ貸しにしておくわね。何か欲しい物が出来たら、言いなさい」

 

「はいっ!ありがとうございます!」

 

「それで、翼は何か欲しいものある」

 

「これっと言ってないけど、休みをくれ」

俺が言うと何故か沈黙が走ったんだが、俺ってばなんか変なことでも言ったか?別に割と普通なことを言ったような気がするんだが、何故何だろうか?

 

「アハ、アハハハハ。」

と華琳がいきなり笑い始めた。同じように秋蘭も微笑を浮かべてるし、春蘭や桂花に至っては勿体ないといいたげな顔をしていた。

 

そして微笑を浮かべていた秋蘭が言ってきた。

 

「欲のない男だな。今ならもっとましなことを頼めるのだぞ?」

あぁ、なるほど。ようするにこいつらは、せっかく何でも頼めるのに休みをくれ、なんつー頼み事をしたからそんな風になってるのか。だけど俺としたら随分と贅沢なご褒美なんだけどなぁ。今の俺の状態を考えると

 

「いいわ。じゃあ翼には少しばかりだけれど、休暇を与えるわ」

 

「あぁ、ありがとよ」

 

「じゃあ、皆帰れるわよ」

と華琳が言うと、帰る支度をした。とその時

 

「(ん?まただ。しかもさっきより強い)」

また金切り音が聞こえた

 

「どうしたの、翼?」

 

「いや、何か聞こえないか?」

 

「何も」

と皆が頷くすると

 

「も、申し上げます」

一人の兵士がやってきた

 

「どうした?」

 

「と、ととと砦に・・・」

 

「何だ!生き残りでもいたのか!」

 

「違います」

 

「じゃあ、何だ」

 

「そ、それは・・・」

と言いかけた時

 

グオオオオオオオオ

 

と声がした

 

「(この声、まさか!?」

と天幕から出ると、上空に赤い龍が居た

 

「やっぱり現れたか!無双龍ドラグレッダー」


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