真・恋姫†無双~外史の運命を破壊する者~   作:ヒーロー好き

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黄巾の乱編
張角の正体


「押せ!押せい!押しきれぇい!」

 

「春蘭様!敵、撤退していきます!」

 

「なに、もうか!?」

 

「・・・・・・はぁ。見ての通りです」

 

「ちっ。益体もない」

 

 

陳留から少し離れた場所で、春蘭と季衣は秋蘭と共に近頃になって現れ始めた暴徒の鎮圧を行なっていた

 

 

「追撃はどうしましょう?」

 

「そうだな、必要とも思えんが・・・・・・まあいい。隊列を整えた後、一応出しておけ。ゆっくりでいいぞ」

 

「はいっ!」

 

「相手はただの町人。殺さず、追い払うだけにせよ。分かっているな?」

 

「はい。・・・・・・今日だけで、三度聞きましたから」

 

「そうか。もう三度目か・・・・・・」

 

 

春蘭たちは、今日だけでも三度、暴徒の鎮圧を行なっていた。それだけに、二人の表情も流石にうんざりといった感じだ

 

 

「やれやれ・・・・・・。我々は、蜘蛛の子を散らす為に訓練をしているわけではないのだぞ・・・・・・」

 

「姉者、こちらも片付いたぞ」

 

「おお、秋蘭。どうだった?」

 

「桂花の言う通りだ。これを・・・・・・」

 

 

戻ってきた秋蘭が見せたのは―――黄色い布。暴徒を鎮圧する際、必ずと言っていいほど暴徒が身に付けているのだ

 

 

「やはりか・・・・・・。こちらもだ」

 

「何なんですかね、これ」

 

「ふむ・・・・・・」

 

「むー・・・・・・」

 

「うーん・・・・・・」

 

「ううー・・・・・・」

 

「むむむー・・・・・・」

 

「・・・・・・二人とも」

 

「ん、何だ?」

 

「分からないなら、分からないで構わんぞ」

 

 

流石に、秋蘭もこのままではずっと考えるだろう判断し、声をかけた

 

 

「・・・・・・そ、そうか。・・・・・・まぁ、それを考えるのは我々の仕事ではないからな。華琳様や桂花に任せるとしよう」

 

「はーい!」

 

「追撃部隊が戻ったら撤収するぞ!帰ったらすぐ、華琳様に報告だ!」

 

「了解した。ならこちらの隊も撤収を始めておこう」

 

「あ、ボクもお手伝いしますー!」

 

 

春蘭達は撤収の準備を始めた。そして、追撃部隊が戻ってきたところで早々に撤収した

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・というわけです」

 

「そう・・・・・・やはり、黄色い布が・・・・・・」

 

 

春蘭達が戻ってきた次の日、この日の朝議は、昨日の暴徒鎮圧の任の報告から始まった―――ここ最近、増えてきた謎の暴徒達、各々が黄色い布を身に付け、何の前触れも無く現れては春蘭達に悉く鎮圧されていく。そんな日々がもう数日は続いていた―――

 

 

「桂花。そちらはどうだった?」

 

「は。面識ある諸侯に連絡を取ってみましたが・・・・・・どこも陳留と同じく、黄色い布を身に付けた暴徒の対応に手を焼いているようです」

 

「具体的には?」

 

「ここと・・・・・・ここ、それからこちらも」

 

 

桂花は呟きながら広げた地図の上に磨かれた丸石を置いていく。文字を書き込んだりしないのは、地図が貴重な品ということもあったからだ。確かに、紙が貴重・地図が手書き―――とくれば、おいそれと使い捨てにするには勿体ない

 

「(今度バックから出そう)」

と心の中で思った

 

「それと、一団の首魁の名前は張角と言うらしいのですが……正体は全くの不明だそうです」

 

 

やっぱり起こったか。まさかこんなに早く起こるとは・・・翼は地図を見ながら、張角という名前に耳のして口の端を上げ笑みを浮かべると、言っても知っているのは名前と張角が黄巾の乱の中心人物ということだけ、流石にどんな人物でどんな戦い方をしたかまではわからないのだ。まぁ、どこかのマニアが妖術を使う―――というのを耳にしたことがあるぐらいだ

 

 

「正体不明?」

 

「捕らえた賊を尋問しても、誰一人として話さなかったとか」

 

「……ふむ。剣を振り上げれば逃げ回るクセに、そこだけは口を割らぬのか。何やら気味が悪いな」

 

「黄巾党の奴らがデモと似ていることをしているとはな・・・・・・」

 

「黄巾党?」

 

「いつまでも暴徒じゃ読みにくいし黄色い布という共通点からそう呼ぼうとしただけだよ」

 

「ならそう呼びましょう」

 

「それより翼、でもとは何なんなのだ?」

 

「政治などに不満を持った民衆たちが、それを主張する集団示威行動のことだ。社会不満が民衆に溜まっている状況下では、無秩序に集まった結果として暴動に発展する傾向も強い」

 

「・・・まさに今の状況というわけね」

 

「問題なのは無秩序に集まったせいで、集団の目的がぶれてしまう場合だ」

 

・・・情報伝達技術が拙いこの時代なら起こりうる。そうだと本当に面倒になる。

 

「どういうこと?」

 

「無秩序なわけだから集団としての意思が統一されず、それぞれが好き勝手にやるかも知れないということだ。その結果、誰も制御しきれなくなる」

 

まして、乱世の時代だ。利用しようとしたり、便乗したりする悪党は必ずいるだろう。

 

「・・・そうだとすると、対処が面倒ね」

 

「まあ、似ているだけで、同一ではないだろう。だが、・・・制御しきれなくなる可能性があると考えていいと思うが」

 

「とにかく、まずは情報収集ね。その張角という輩の正体も確かめないと・・・」

 

「会議中失礼いたします!」

場の空気がふっと緩んだその時一人の兵士が慌てて場に駆けこんできた

 

「何事だ!」

 

「はっ!南西の村で、新たな暴徒が発生したと報告がありました!また黄色い布です!」

 

 

そんな火急の報せに孟は表情を引き締める。周りのみんなも既に表情をキリッとさせていた。こういうところは、女の子でもやはり軍人だ

 

 

「休む暇もないわね。……さて、情報源が早速現れてくれたわけだけど。今度は誰が行ってくれるのかしら?」

 

「はいっ!ボクが行きます!」

 

「ダメよ」

 

「何故ですか?」

 

「春蘭ならば、その理由がわかるはずだと思うが?」

と俺は春蘭に振った

 

「うむ。・・・・・・季衣。お前は最近、働きすぎだ。ここしばらく碌に休んでないだろう」

 

「だって春蘭様!せっかくボク、ボクの村のように困ってる村を、沢山助けられるようになったんですよ・・・・・・!」

 

「季衣、ここは秋蘭に任せて休んだほうがいいぞ」

 

「何!?私じゃないのか!?」

 

 

そんな春蘭の言葉が聞こえたが・・・・・・聞こえないフリをしておこう

 

 

「そんな・・・・・・兄ちゃん!ボク、全然疲れてないのに・・・・・・!」

 

「そうね。今回の出撃、季衣は外しましょう。確かに最近の季衣の出動回数は多過ぎるわ」

 

「華琳様っ!」

 

「季衣。あなたのその心はとっても貴いものだけれど・・・・・・無茶を頼んで体を壊しては、元も子もないわよ」

 

「無茶なんかじゃ・・・・・・ないです」

 

「いいえ、無茶よ」

 

「・・・・・・でも、みんな困ってるのに・・・・・・」

 

「そうね。そのひとつの無茶で、季衣の目の前にいる百の民は救えるかもしれない。けどそれは、その先の救えるはずの何万という民を見殺しにすることにつながることもある。・・・・・・分かるかしら?」

 

「だったらその百の民は見殺しにするんですか!」

 

「するわけ無いでしょう!」

 

「・・・・・・っ!」

 

 

華琳の強い一言は季衣だけでなく皆をも身を縮こませた。そして、そんな季衣に春蘭が小さく語りかける

 

 

「季衣。お前が休んでいる時は、私が代わりにその百の民を救ってやる。だから、今は休め」

 

「ううー・・・・・・」

 

「今日の百人も助けるし、明日の万人も助けてみせるわ。そのために必要と判断すれば、無理でもなんでも遠慮なく使ってあげる。・・・・・・けれど今はまだ、その時ではないの」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

春蘭の言葉にも、華琳の言葉にも、季衣は下を向いたまま、季衣の気持ち以上に春蘭や華琳の気持ちがよくわかる―――

 

 

「―――というか、華琳」

 

「・・・・・・なにかしら?」

 

「この任務の性質上・・・・・・行くなら季衣じゃなくて秋蘭だろ?」

 

「・・・・・・何故?」

 

「華琳は黄巾党の情報が欲しい。けれど、民を見捨てるつもりも無い。そうなると、季衣や春蘭よりも秋蘭の方がこの任務を完遂できると思うが?」

 

「ならば、季衣ではなく秋蘭を推したのは―――」

 

「俺は別に人道的見地だけで意見は言ってないつもりさ。この任務に一番適した人物を推薦しただけだよ」

 

「・・・・・・桂花、編成を」

 

「御意。・・・・・・では秋蘭。今回の件、あなたが行ってちょうだい」

 

「決まりね。秋蘭。くれぐれも情報収集は入念にしなさい」

 

「は。ではすぐに兵を集め、出立いたします」

 

「秋蘭様!」

 

 

華琳からの命を受けた秋蘭を季衣が見上げる。そんな季衣を秋蘭は笑顔で見る

 

 

「どうした?」

 

「あの・・・・・・えっと・・・・・・・・・・・ボクの分まで、よろしくお願いしますっ!」

 

「うむ。お主の想い、然と受け取った。任せておけ」

 

そして、皆がこの場から退室し、翼も行こうとしたとき

 

 

「翼。ちょっと」

 

「んぁ?何だよ」

 

 

華琳が呼び止めたので、そちらを向く、更に、手招きするので華琳の近くまで歩いていく

 

「貴方も行くと言いそうだったのに言わなかったね」

 

「どうせ行ったってさっきのように止められると思ったからだよ」

 

「そう」

 

「まあ、俺もいざと言う時は無理をして人を助けるよ」

 

「死ぬことがないように」

 

「わかりました」

と俺は部屋を出た

 

 

 

 

 

 

 

「ここにいたのか」

秋蘭達の出発を見送ろうとする季衣の姿を見つけ、俺は城壁の上にあがった。

 

「あ、兄ちゃん」

 

「隣座るよ」

 

 

と、翼は季衣の返事も聞かずに隣にどかっと腰をかける

 

 

「元気ないねぇ。もしかして華琳に怒られたのが効いたか?」

 

 

季衣は城壁の上に腰をかけて、ぼんやりしながら足をブラブラさせている。見るからに落ち込んでいる。魏のムードメーカーの二つ名が泣いている。……そんな二つ名は無いが

 

 

「うん・・・・・・。ボク、全然疲れてなんかないのに……。そりゃ、ご飯はいつもの倍は食べてるけどさ」

 

「・・・・・・そ、そうか」

 

 

季衣の思いがけない言葉に孟は苦笑した・・・・・・魏の食糧事情が妙に心配になってきた。俺の手料理でも食べさせるか

 

 

「でも、良かったじゃないか。怒ってくれてさ」

 

「え?」

 

「それだけ愛されている証拠だよ」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ。・・・・・・・・・俺は逆に羨ましいよ。俺にはそういうふうに怒ってくれることがなかったから」

 

「ふえ?兄ちゃんなんか言った・・・・」

 

「何でもないよ」

 

「ん?」

 

「まぁ、それは置いといて。世の中には適材適所というものがある。場所や状況において一番適した人材を選び任せることだ」

 

「うん」

 

「この件に関しては、季衣は適材では無い。俺はそう思う」

 

「・・・・・・ん~・・・・・・言ってることがよくわかんないよぉ」

 

「まぁ、つまりは・・・・・・季衣が本気を出すのはこの場面じゃなく張角たちの正体を見破って―――それからだ」

 

「うん・・・・・・」

 

「だから今は、きちんと休んで、この騒動を起こした連中をぶっ飛ばすだけの力を溜めておけってこと」

 

「・・・・・・分かったよ」

 

 

季衣は元気よく答えると、ひょいっと城壁の上に飛び乗った。そして、そのまま城壁の上で歌を歌い始めたまぁ、大声を出すだけであんまり上手くはない。それでも季衣の元気を分けてもらっているようで……聞いているだけで自然と笑顔になってしまう。それが聞こえたのか、下の秋蘭隊の兵士達がこちらを見上げて手を振ってくる。翼と季衣はその元気を分けるかのように力一杯手を振って見送った

 

 

「と、言うか・・・・・・どこかで聞いたことがある歌なんだが。しかも割と最近。何て歌なんだ?」

 

「さぁ?ちょっと前に、街で歌ってた旅芸人さんの歌なんだけど・・・・・・。確か、名前は張角・・・・・・」

 

「なんだとっ!?」

 

「あっ!兄ちゃん!」

 

「すぐ華琳に報告するぞ!」

 

「うん!」

 

その日の晩遅くに、討伐から戻った秋蘭を含めた主要メンバーが集められ、緊急報告会が開かれた。

 

「その旅芸人の張角という娘が、黄巾党の首魁の張角ということで間違いはないようね」

 

季衣の報告は秋蘭、桂花の裏付けにより確定された。

 

 

「確かに今日行った村でも、三人組の女の旅芸人が立ち寄っていたという情報がありました。恐らく、季衣の見た張角と同一人物でしょう」

 

「ボクが見た旅芸人さんも、これに映っている女の子の三人組でした」

 

「季衣の報告を受けて、黄巾の蜂起があった陳留周辺の幾つかの村にも調査の兵を向かわせましたが……大半の村で同様の目撃例がありました」

 

「その旅芸人の張角という娘が、黄巾党の首魁の張角ということで間違いはないようね」

 

「これで正体は分かった・・・・・・」

 

「まさか、あの時写真にとった人物が張角だとは・・・・・」

と俺はあの時撮った写真を見た

 

「それがカメラで撮られた写真?」

 

「そうだよ」

 

「見せて」

と俺は写真をみんなに見せた

 

「良く撮れているわね」

 

「確かに」

 

「季衣この人たちに間違いないわね」

 

「はい!」

 

「正体が分かっただけでも前進ではあるけれど・・・・・・。可能ならば、張角の目的が知りたいわね」

 

「目的ねぇ・・・・・・案外、周りが暴走してんじゃない?張角がうっかり『わたし、大陸がほしいのー』とか言って」

 

「何?それ」

 

「だとしたら余計にタチが悪いわ。大陸制覇の野望でも持っていてくれたほうが、遠慮無く叩き潰せるのだけれど」

 

「―――ということは」

 

「ええ。夕方、都から軍令が届いたのよ。早急に黄巾の賊徒を平定せよ、とね」

 

「遅すぎるな」

 

「ええ」

 

流石に俺もため息をつかざるを得ない余りにも初動が遅すぎる。ここまで騒ぎを起こさせておいてよくもまぁ。だけど

 

「これが今の朝廷の実力ということか」

 

「そういうことよ。まぁ、これで大手を振って大規模な戦力も動かせるわけだけど」

 

・・・・ここまで、大騒ぎになるまで動かないようでは・・。この国はもう長く持たないな。

 

「華琳様っ!」

 

「どうしたの、春蘭。兵の準備は終わった?」

 

「いえ、それが・・・・・・また件の黄巾の連中が現れたと。それも、今までにない規模だそうです」

 

「・・・・・・そう。一歩遅かったということか」

 

「ああ。しかも、こんな夜にとはな」

華琳は、後手に回らされたのがよほど悔しいのだろう。イライラした様子で、怒りを吐き出すようにため息一つ

 

「・・・・・・ふぅ。春蘭、兵の準備は終わっているの?」

 

「申し訳ありません。最後の物資搬入があすの払暁になるそうで・・・・・・既に兵に休息を取らせています」

 

「間が悪かったわね・・・・・・。恐らく連中は、幾つかの暴徒が寄り集まっているのでしょう。今までのようにはいかないわよ」

 

「・・・・・・一つ二つならいいが、報告から推測するに十数か数十の集団が集まっているということになる。・・・・・・これは偶然じゃぁないな」

 

「集めた奴・・・・・・指揮官がいる―――ということか」

 

「そういうことだな。まぁ、仮に居なくても、数十の集団が集まれば一人や二人はそういう能力をもった奴がいる。それは自ずと指揮官に祭り上げられるだろうがな」

 

「翼の言うとおりだわ。ここは万全の状態で当たりたくはあるけれど、時間もないわね・・・・・・さて、どうするか―――」

 

「華琳様!」

この状況で、今まで黙っていた季衣が手を挙げた

 

「華琳様!ボクが行きます!」

 

「・・・・・・季衣!お前は暫く休んでおけと―――」

と春蘭が言った

 

「華琳様、おっしゃいましたよね?無理すべき時は、ボクに無理してもらうって!それに百人の民も見捨てないって!」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「華琳様!」

 

「・・・・・・そうね。その通りだわ」

 

「華琳様・・・・・・」

 

季衣は、頷いた華琳を見て嬉しそうにその顔を見ていた

 

「春蘭。すぐに出せる部隊はある?」

 

「は。当直の隊と、最終確認をさせている隊はまだ残っているはずですが……」

 

「季衣。それらを率いて、先発隊としてすぐに出発なさい」

 

「はいっ!」

 

「華琳、俺も行っていいか」

 

「兄ちゃん」

 

「・・・そうね。お願いするわ」

 

「了解」

 

「それから、補佐として秋蘭を付けるわ」

 

「え・・・・・・?秋蘭様、が・・・・・・?」

 

「秋蘭にはここ数日無理をさせているから、指揮官は任せたくないの。やれるわね?季衣」

 

「あ・・・・・・は、はい・・・・・・。秋蘭様、よろしくお願いします」

 

「うむ。よろしく頼むぞ、季衣」

 

「へへ・・・・・・っ、なんか、くすぐったいです・・・・・・」

 

「但し、撤退の判断は秋蘭に任せるから、季衣と翼はそれに必ず従うように。すぐに本隊も追い付くわ」

 

「御意」

 

「わかりました」

 

「了解」

 

「桂花は後発部隊の再編成を。明日の朝来る荷物は待っていられないわ。春蘭は今すぐ取りに行って、払暁までには出立できるようになさい!」

 

「「御意!」」

 

「今回の本隊は私が指揮します。以上、解散!」

 

こうして、華琳はそれぞれに指示を出し解散となった。そして俺と季衣は準備を早々に済ませた

 

「(俺は指揮官をやったことが無いから言わなかったのか)」

と俺はバイクに乗った

 

「どうしたの?兄ちゃん?」

 

「何でもないよ」

 

「・・・・・・・・ねぇー兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「後ろに乗っていい?」

 

「どうして?」

 

「乗りたいから」

 

「帰りはどうするの」

 

「兄ちゃんに乗せてもらうよ。それに兄ちゃんの背中温かいし」

 

「そっか。いいよ」

 

「やったぁーーー」

と季衣は後ろに乗った

 

「よし、行くよ」

 

「うん!」

と俺は季衣を乗せ出発した

 

 

「(さて、あの時もらったベルトを使うか)」


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