真・恋姫†無双~外史の運命を破壊する者~   作:ヒーロー好き

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拠点・どっちが正しい

「―――!」

 

 

朝、廊下を歩いていると何やら喧騒が聞こえてきた近づくと、それが怒声になっていき―――気になってしまったので、寄り道して見てみることにした

 

 

「うぬぬ、先程から言わせておけば・・・・・・」

 

「まったく、これだけ言っても分からないの?」

 

 

あそこに見えるは春蘭と秋蘭、そして、桂花何やら喧々囂々と言い争っているようだ

 

 

「どうした?」

 

「おお、翼か。お前こそこんなところでどうした?」

 

「いや、仕事の前に気分転換に外に行こうと思ったんだが・・・・・・どうしたんだ?」

 

「ああ、それがな・・・・・・」

 

 

チラッと横目で見る秋蘭の視線の先を見るそこでは俺に気づかずにまだ、言い争っている二人がいた

 

 

「だから、あなたはバカだって言うの」

 

「なにっ!もう一度言ってみろ!」

 

「何度だって言ってあげる。盗賊や小部隊と戦う時なら、あなたの突出は勇猛な突撃となるわ。だけど、大部隊が相手の時に無駄な突撃なんてされると、兵を消耗するし、下手をすれば戦線が瓦解するのよ」

 

 

ここまではいい。だがそこは荀文若。最後の止めを忘れない

 

 

「だからやめなさい、猪みたいな突進は、と。そう言ったの。理解してもらえたかしら?」

 

「ぐっ・・・・・・!きさまぁ!」

 

 

まぁ、流石は桂花。イヤミは忘れない。誰だって『猪みたいな~』なんて言われたらいい気分はしない

 

 

「落ち着け姉者。ここで声を荒げて何になる。それに桂花の言っていることも一理あるぞ」

 

「秋蘭・・・・・・」

 

 

秋蘭にバッサリ言われてしまい、今にも死にそうなぐらいに青ざめた表情になっている。まぁ、普通はそこまで気にはならないが、春蘭は秋蘭にベッタリだから余計にキクのだろうな

 

 

「そんな顔をするな。別に姉者の意見、全てが間違いと言っているわけでもない。・・・・・・なぁ、翼?」

 

「俺に振るかよ。・・・・・・そうだな、どういった状況の話かは分からないが、春蘭の突撃力は俺から見てもかなり脅威だよ」

 

 

まぁ、真正面から受けたらの話だが

 

 

「そんなのはただの賭けじゃないの。戦いに賭けを持ち込んでしまえば、勝ち負けは限りなく運になる。・・・・・・戦いはそんなに甘いものではないわ」

 

 

そんなことは百も承知だ。だからこそ、桂花の言いたいことも分かる

 

 

「では、どういうものが貴様の考える戦いだと言うのだ!」

 

「心理と思考の読み合い。そこから紡ぎ出される完璧な策こそが、予定調和としての勝利を華琳様に捧げることが出来るのよ」

 

「確かに戦いでは、力押しではどうにもならないこともある。策を弄し、敵を翻弄し叩くのは時には必然になってくる」

 

「へぇ、わかってるじゃないの」

 

「まぁな」

 

「・・・・・・はんっ」

 

 

この会話を聞いていた春蘭が小馬鹿にしたように笑う、おいおい、そんなことしたら―――

 

 

「何よ、その笑い方は!」

 

 

こうして桂花が突っかかるわけで・・・・・・

 

 

「予定調和としての勝利など無い。戦場は千変万化の生き物なのだからな」

 

「まぁ、それも一理あるな」

 

 

心理や思考と言っても常にそれが上手く行くとは限らない、最悪、その策が自軍の危機を脅かしかねない―――なんてことになる。まぁ、二人の言うことは、正しくもあり、間違ってもいるのでなんとも言い難い

 

 

「秋蘭、どうする?」

 

「ふむ……さすがに私では止められんぞ」

 

「止められるのは華琳だけか。だが、こんなことで呼ぶわけにもなぁ」

 

 

そうこうしているうちに、二人の口論は更に白熱してしまっていた

 

 

「とにかく!貴様のような甘い考えでは、華琳様に勝利を捧げられん」

 

「ふん。それこそ視野の狭い脳みそ筋肉のいいそうな台詞ね」

 

「だ、誰が脳筋だと!」

 

 

春蘭が腰の剣に手をかけた

流石に味方相手に剣を抜かせるわけにはいかない

 

 

「春蘭」

 

「何だ!今は貴様の相手など―――」

 

「また剣壊すぞ!」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「お前は、たかだか意見が合わずに馬鹿にされただけで剣を抜き、味方に刃を向けるのか?」

 

「ふ・・・・・・ふんっ!桂花が脳筋などと言うからだ」

 

「おいおい、そんなことで剣をいちいち抜いていたら華琳に怒られるぞ?」

 

「むぅ・・・・・・し、しかしだなぁ」

 

「二人とも言っている事は間違っていないんだ、答えは状況によっていくらでも変わる。だからここはおとなしく引いておけ、なぁ?」

 

 

俺は、春蘭の目を見ながら問いかける。春蘭は少し狼狽した表情で俺を見ていた

 

 

「ま、まぁ・・・・・・そこまで言うなら・・・・・・考えんでもないが・・・・・・」

 

「そうか、助かるよ」

 

「うむ、では私は用事があるのでこれで失礼する」

 

 

そう言って、春蘭は何かブツブツと言いながらどこかに行ってしまった。ま・・・・・・これで少しは分かってもらえたと思うが

 

 

「わざわざすまなかったな、翼」

 

「気にするな、好きでやったことだしな」

 

「うむ。では私は姉者を追いかけるので失礼する」

 

そう言って秋蘭は春蘭の後を追いかけていった。そして、この場には俺と荀彧のみ

 

「これから、どうするんだ?」

 

「特に用事がないなら私は行くわよ」

 

「そうか、じゃあね」

と離れようとした時

 

「ちょっと」

荀彧が呼び止めた

 

「何だ?珍しいな」

 

「何がよ」

 

「お前が俺を呼び止めるなんて」

 

「何、呼んじゃいけないの?」

 

「そういう訳じゃないけど」

 

「アンタ春蘭の剣を壊したことがあるって言ったけど何回あるの」

 

「1回だな」

 

「それ全部仮面ライダーになって」

 

「そうだよ」

 

「そう・・・・・・・・・・・」

 

「何だ!俺を見て」

 

「別に、それに変身しないと何もできない男だと思っただけよ」

 

「はぁーそうだろうね」

 

「それだけよ。早く離れてくれる。妊娠するから」

 

「しないよ。じゃあな!」

と俺は荀彧から離れた

 

「まったくやっといなくなったわ。早くいかないと」

と荀彧もその場から離れた

 

 

 

 

「(なんであいつを呼び止めたのかしら。特に用事もないのに・・・まさか私があんな奴。いやそんなはずわない。男なんて居なくなればいいのに)」


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