MH:E’s   作:taktstock

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灼熱の火球が空気を焦がしながらリオンに迫る。

それをリオンは最低限の動きでかわそうとするが、火球から放たれる風圧でよろめく。

 

「ぐっ!」

 

 

そこへまた炎のブレスがリオンに迫る。

紙一重は無理だと判断したリオンは、右へ大きく前転回避する。

少し動き出しが遅かったが、からくも回避に成功する。

そしてリオンは視線をリオレウスに戻すと____

 

リオレウスの大きく開かれた顎が目の前にあった。

 

「っ⁉」

 

速いっ‼

 

無理やり身を捻る事で、そのままかぶりつかれる結末は逃れられたが、突進自体は躱す事が出来ず、ろくな防御姿勢もとれぬまま、猛スピードで迫るリオレウスと激突した。

 

ドスジャギィの体当たりやケチャワチャの突進とは比較にならない程の衝撃が、リオンの身体を襲っった。

リオンの身体は蹴り飛ばされた小石のように吹き飛び、力なく墜落する。

地面に身体を強かにぶつけ、それでも突進を受けた勢いは止まらず、ごろごろと数回地面を転がった。

 

 

身体中を襲う激痛を堪えながら、リオンは思考する。

 

なるほど。

強い。

 

さすがは飛竜。

このままでは勝てない。

 

リオンは一度離脱を考え、次の攻撃に備えるため、リオレウスを見ようと痛みを堪え起き上がるが、その姿が見えない。

 

「……あれ? 」

 

リオンは忘れていた。

リオレウスの空の王者たる由縁を。

 

辺りが突然影に包まれ、もしやと思い視線を上に向けると、リオレウスの毒を含む鋭い爪が目前に迫っていた。

 

 

☆☆☆

 

「いてっ」

 

ネコタクから乱暴に落とされる。

どうやらというかやはりというかベースキャンプ。

 

人生二回目のネコタク。

 

 

採取ツアーで人生初と二回目のネコタクを経験するとは思ってもいなかった。

 

 

そして、またベースキャンプからエリア1へ走ろうとして、止まる。

 

 

俺が遺跡平原の採取ツアーに来たのは、武器の性能を試すためだ。

 

本来の目的は十分達成できた。

これ以上行く必要はない。

 

「……どうしようか」

 

 

だけど、なんかこのまま引き下がれない。

でも負けは目に見えている。

ここはぐっと堪え、ネコタクチケットを納入し、そのままバレバレへ帰る方が正解なのだろう。

 

しかし、ここで遥かに強い相手との戦いを経験しておくことも大事だろう。

幸いクエストを失敗してしまっても、これは採取ツアー。

依頼主が困っている訳では無い。

 

というか、そもそも下位の採取ツアーにリオレウスなんかの大物が出現すること自体が異例だ。

 

「うーん……」

 

クエスト失敗はしたくない。

しかし、リオレウスと戦っておきたい。

 

 

 

 

 

 

それに、今この間も俺と一緒にバレバレに来た幼馴染ハンターは、まだ俺が戦ったことのないモンスターを討伐しているかもしれない。

 

 

……そう考えたら、なんか負けたくなくなって来た。

 

 

「……やっぱり、リベンジしよう」

 

あいつが帰ってきたら、何だまだそんな所なのか?とか言って、驚かせたいから。

 

俺はもう一度リオレウスに挑む。

 

 


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