下手くそですが、よろしくお願いします。
「あと、少し」
血に染まり、刃の欠けた双剣、ツインダガー改を研ぎ直しながら、黒髪の青年は呟いた。
彼の防具や双剣に付着している血は、彼の血ではない。モンスターの血だ。
彼の周りには決して少なくない数のジャギィの骸が横たわり、遺跡平原の地面を赤く染めている。
彼が先ほど戦っていたのは、地面に横たわるジャギィと、ドスジャギィだ。あと一歩のところで逃げられたのだ。
研ぎ直した武器を仕舞い、次のエリアに向けて走り出す。
次こそ仕留めると、心に誓いながら。
☆☆☆
「はい、報酬の900zです!」
そう言って報酬金を渡してくる受付嬢。
ドスジャギィを無事討伐した俺は、様々なキャラバンが集まる移動する都市、バレバレへ帰還し、報酬金を受け取っていた。
「ありがとうございます」
「どうですかリオンさん?必要な素材は集まりました?」
彼女が言っているのは、防具の素材の事だ。
俺はここ1週間、ジャギィ装備一式を揃えるために、何度もドスジャギィ狩猟クエストを受けていた。
もちろん受ける場合、受付嬢に通さないといけないので、知っていたのだろう。
「はい、お陰様で素材全て揃いました」
「それは良かったです!」
受付嬢が元気に返してくる。相変わらず明るい人だ。
「そう言えば、最近ちょっと変なモンスターが確認されいるそうです。ハンターさんも気を付けて下さいね」
☆☆☆
リオンは鍛冶屋に防具生産の依頼を頼んだあと、宿に速攻で帰り、ベットへ飛び込んだ。
ふおおぉぉぉ……!
ベースキャンプのベットとは違い、優しい反発で受け止めてくれるベットに感動する。
防具の素材を集めていた時は、クエストから帰るとそのまま狩猟に必要なアイテム揃えてクエストを即受注。
ガーグァタクシーで寝るのが殆どだった。
そのままベットの上で伸びをして、仰向けに転がる。
「……あいつ、今頃何やってんだろ」
リオンは一緒バレバレに来た同世代のハンターの事を思い出していた。
ここに来る時、撃龍船に乗って来ていたのだが、その撃龍船がとあるモンスターに襲われたのだ。
そのモンスターは、超大型古龍、ダレンモーラン。
その時リオンは丁度寝ていて、起きて来たのは他のハンター達がダレンモーランに大砲やバリスタを撃って撃退した時だった。
リオンの同期のハンターは、ダレンモーランに襲われた時、ただ1人、インナー姿で戦闘準備が整うまで持ちこたえていたらしい。
バレバレでは《パンツ一丁で持ちこたえたハンター》と噂にもなった。
しかも、とある猟団に見込まれ、この前、次の目的地、鉱石の町、ナグリ村へ出発したのだ。
つまり俺はぼっち。ソロハンターである。
……なんかさみしくなってきた。
「……飲むか」
虚しい空気が室内を満たした。