俺と一色の御近所付き合い   作:時雨日和

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第3話 雨の日の帰り道

あの一色いろは部屋間違え事件から約1ヶ月が経った。あれからはたまに俺が仕事から帰るとご飯を作りに来るようになった。まあ、そういうのは俺も凄い助かるから良いんだけど少し気が引けると言うか、それを一色に言ってはみたが。いろは「気にしないで下さい!これも練習ですから、先輩は練習台、言い換えれば実験台です!」なんて言ってたが、それも悪くないか……ってかあいつ練習の必要なんて無いくらい美味かったけど。

そしてゴールデンウィークが終わってまたいつもの社畜生活が始まり少しした時、いつものように無気力に出勤してから雨が降ってきた。そして昼には雨が止んで…

八幡「……天気が悪いと気分も悪くなるな、弁当も不味くなる…パンだけど」

いつも通り雨が上がった屋上で1人で昼飯を食ってる時メールが届いた。

八幡「ん?珍しいなまた何か変な迷惑メールか?」

いろは『今日はご飯出来そうにありません(´•ω•`)(*_ _)人ゴメンナサイ』

八幡「何だこのメール…って今までメールなんてして来なかったのにな、最近ずっと来てるからなのか?」

八幡『そうか、わざわざ悪いな。気にするなよ、こっちが世話になってんだから』

それからすぐに返信が来た。

いろは『いいんですよ~(*゚▽゚)ノ先輩は気にしないでください、私が好きでやってることですから(*´ω`*)』

なんだよこのやり取り、勘違いしちゃうじゃないかいろはす。とにかく今日は一色が来ないようなので帰りにスーパーで材料買って自分で作ることにして昼休みが終わり仕事に戻った。そして時間は経ち。10時前に仕事を終え電車で帰っている時。

八幡「(くそ…やっぱ少し残業しちまうか、まだスーパー開いてるなそこはラッキーだ)」

その時

ポツポツ

八幡「(雨か…ふっ、こういう時にも抜かりなく折りたたみ傘を常備している、社畜の基本なんて)」

雨は駅に出る時には本降りに変わっていた。

八幡「(はぁ、俺は天気にまで嫌われるとはな…もう10時過ぎか、早くスーパーいって早く帰ろう)」

折りたたみ傘を開き真っ直ぐスーパーへと向かい、ある程度必要なものを買いスーパーを出て帰る途中。

いろは「せーんぱーい!!」

最近聞きなれる声と呼び方が聞こえる方へと目をやると、案の定一色ともう1人友達らしき人が店先で立っていた。

八幡「はぁ……捕まった」

ため息混じりにその2人の方へと向かう。

八幡「…どうした?こんな所で」

いろは「それがですねぇ、今日友達の誕生日でそのお祝いでここのお店に来たんですけど雨降ってきちゃってぇ…」

八幡「そうか、ならタクシーでも使えよ。つかまえてやるから」

いろは「えぇでも家まですぐじゃないですかぁ、それはちょっともったいないっていうかぁ」

八幡「それでそっちの子は?タクシーつかうか?」

いろは「むぅ~、無視しないでください!」

八幡「はいはいあざといあざとい」

友達「あ、私は大丈夫ですよ。私は傘持っているんで、いろはが傘忘れたみたいなんで待ってたんです。最初は送っていくって言ったんですけど、悪いから良いって」

八幡「はあ?何で?」

いろは「いやぁ、もうそろそろで止むかなぁ、なんて」

八幡「お前…今日はこの後明け方まで降り続けるんだぞ、明け方まで待つ気かよ」

いろは「まあそうなったら…先輩を呼べばいいかなぁって」

八幡「おい、人をタクシーみたいに使おうとしてんじゃねぇよ。こちとら疲れてんだぞ社畜なめんな」

いろは「そんな所で威張らなくても」

八幡「しょうがねぇな…ほら傘貸してやるよ」

いろは「え?先輩は?」

八幡「俺はいい、走って帰る。それでそっちの友達は大丈夫か?」

友達「……は、はい私はこっちですので、それにここからすぐですから」

八幡「そうか」

いろは「それじゃ、また明日ね」バイバイ

友達「うんまた明日」バイバイ

八幡「ほれ傘、それじゃあな」

いろは「待ってください!」

八幡「…んだよ」

いろは「それじゃあ先輩濡れるじゃないですか」

八幡「良いんだよ俺は、お前が濡れるよりはましだ」

いろは「何ですか? それは俺がお前を守る的なあれですか?ちょっとグッと来ましたけどやっぱりちょっとまだ早いと思うので出直してきてくださいごめんなさい」

八幡「……はぁ、もう何が言いたいか分かんねぇよ」

いろは「とにかく、せっかく場所が一緒何ですから一緒に帰りましょうよ」

八幡「何お前、俺に歩いて帰って濡れろって言ってんの?」

いろは「違いますよ。つまりこういう事です!」

まだ渡していなかった傘に一色が入ってきた。

八幡「は?お前何してんの?」

いろは「え? 先輩知らないんですか? これは相合傘と言って」

八幡「そんなもんは知ってる、何で入ってるんだって事だ」

いろは「だって、一緒に帰るならこうするしかないじゃないですか~」ダキッ

八幡「おい何腕に抱きついてんだ、離れろ。あざとい」

いろは「何ですか? 先輩照れてます?」

八幡「ンなわけねぇだろ」プイ

いろは「あは、さぁ先輩行きましょ」

八幡「はぁ……しょうがねぇな」

2人で傘に入りながら歩き始める。

いろは「先輩今日のご飯どうするつもりだったんですか?」

八幡「あ?適当にチャーハンでも作ろうとしてたけど」

いろは「おぉ、先輩が料理してようとしてたんですね。偉いですよ!」

八幡「上からだな、まあお前に言われたからな、少しでも弁当とかに頼らないようにな」

いろは「へへ、そうですかぁ。あ、先輩」

八幡「ん?なんだ?」

いろは「お仕事お疲れ様です」

八幡「お、おう…」

いろは「って言うか、先輩何気に車道側歩いてるとかあざといです」

八幡「お前に言われてくねぇよ、雨の日の車道とか危ねぇだろ」

いろは「ならもっとこっちに寄ってください、先輩肩に雨当たってますよ」グイグイ

八幡「やめろ寄せんな(当たってるから当たってるからいろはす)」

そして2人で家に帰っていった。帰った後シャワーを浴びて着替えてチャーハン作って食べて寝る前。

八幡「はぁ……今日も疲れたな………また、明日も残業だろうなぁ……何かもの足りねぇ気分だ………」

 


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