いろは「ご注文はお決まりですか？先輩？」
八幡「あざとい…まあいいや、この多分オムライスっぽいものを1つ」
いろは「そんな変な言い回ししなくてもちゃんとオムライスですよ。かしこまりました。少々お待ち下さ〜い」
ルンルンと簡単な厨房みたいな所に行った。
いろは「ねえ、わたしが作ってもいいかな？」
友達「は？何でいきなり？」
いろは「だって、せっかくなら作ってあげたいから」
友達「はあ…まあせっかくだからね、こういう時に手料理とかいろはも乙女だね。さあどんどんアピールしてやりなさいな！」
いろは「いやぁ…まあいつも作ってあげてるんだけどね」
友達「は？」
苦笑いしながら言ったらすんごいポカンとしてる。わたしはそれを尻目にオムライスを作った。もちろんケチャップでハートも忘れずにね。
いろは「お待たせしました先輩！こちらオムライスになりま〜す♪」
トレイで持ってきたオムライスを先輩の前に置いた。
八幡「おう、オムライスだな」
いろは「何当たり前のこと言っちゃってるんですか？とうとう馬鹿になったんですか？」
八幡「おい、前々からいずれなるだろう的な反応やめろ、そうじゃなくてだな…なんかこうこういう所って、変にアレンジ効かせてちょっとおかしなものが出てきそうだったからな」
いろは「む〜…先輩酷いです！そんなことしませんよ、ここは普通なんですから」
八幡「普通じゃなかったらやんのかよ。さて…あれ？おいスプーンが無いぞ？」
お？やっとですか。
いろは「大丈夫です。ここにありますから」
そう言ってわたしはスプーンを取り出した。
八幡「おう、サンキュー」
先輩が手を伸ばしてきた。それをわたしは手を前に出して制止する。
いろは「待った！！先輩、待てです！」
八幡「俺は犬か、何だよ。食えねぇだろ？」
いろは「大丈夫ですって」
わたしは先輩の座ってる対面に座って持っているスプーンでオムライスをすくい、先輩に差し出し
いろは「はい先輩、あーん」
八幡「ぶっ！！？ば、馬鹿お前！！何考えてんだ！？」
いろは「何って、先輩に食べさせてあげようかと思いまして、ほらサービスするって言ったじゃないですか」
八幡「いらねぇよこんなサービス！自分で食うわ恥ずかしい」
いろは「いいじゃないですか〜、家ではやってるんですから〜」
八幡「ぶっ！！！そ、そんなにやってねぇよ！」
段々視線を集めるようになっちゃいましたね。でもまだまだ終わりませんよ？
いろは「完全には否定しませんでしたね？まあそうですよね、実際しましたしね」
八幡「いや、あれは不可抗力だろ！」
いろは「ほら先輩早く〜、大丈夫ですって、先輩の事なんて誰も見てませんから〜」
八幡「嘘だろ、めっちゃ見てるもん、こっちを凄い恨めしそうに「えいっ！」んぐ！？」
はい大成功です♪
八幡「………おい、一色」
いろは「えへへ、だって先輩ずっと口開けてくれそうに無かったんですもん。なら無理やりかな〜って」
八幡「そこに行き着くところでおかしいだろ…」ﾌﾟｲｯ
案の定真っ赤になった先輩を見れて満足なので、スプーンを先輩に渡してわたしは他の接客に戻りました。
そして先輩が食べ終わる頃、店の奥で友達にこう言ってみた
いろは「あのさ…もう仕事抜けていいかな？」
友達「え？うーん…まあ、ピークもそろそろ終わるしいいんじゃない？せっかく最後の文化祭なんだし、彼氏さんと回ってきなよ」
いろは「ありがとう！千華(ちか)！先輩の次の次の次の次くらいに好きだよ！」
千華「それは喜んでいいのか微妙なラインなんだけど…」
千華に手を振って先輩の元に向かう。
いろは「先輩♪わたし、もう仕事抜けれるので一緒にまわりましょう！」
八幡「ん？ああ、まあいいけど」
いろは「ならすぐに行きましょう♪」ｸﾞｲｯ
八幡「わかったから、引っ張んなっての…あざとい」
いろは「素ですよ〜」
と言って腕を組みながら(わたしが一方的に)文化祭を先輩と一緒にまわりました。わたしの大学生活最後の文化祭は、今までで1番の文化祭になりました。