俺と一色の御近所付き合い   作:時雨日和

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第9話 サプライズ

10月中旬夕方

いろは「おじゃましまーす」

と、先輩から貰った合鍵を使って入ってきたので誰もいないんですけどね。今日も先輩は遅いんですかね、ならご飯の準備でもしてますかね。今日は何にしましょう。

それからしばらくして玄関のドアが開いた。わたしは急いで玄関に向かった。

いろは「おかえりなさい先輩!」

八幡「おう…ただいま」

いろは「お疲れ様です。ご飯準備してますから先にお風呂に入ってて下さい」

八幡「ああ、悪いな」

いろは「それは言わない約束ですよ」

八幡「あ、ああ…」

照れてますね〜、先輩。いっつもこんな感じなのに慣れないんですね、さて先輩がお風呂に入ってる間にちゃっちゃと用意しちゃいますかね。

そして用意が終わって先輩がお風呂から上がって一緒にご飯を食べる。うん、何か夫婦みたいですね。言ったら先輩照れて否定しますけどね。

八幡「ん?何か味噌汁の味がいつもと違うような?」

いろは「あ!先輩気づきました?実はいつものとお味噌を変えてみたんですよ、お口にあいました?」

八幡「ああ、いつものも美味いがこっちも美味いぞ」

いろは「先輩って結構細かい所気づいてくれるんですね、それって結構嬉しいものですよ」

八幡「そ、そうか?」

いろは「でも!先輩からキスしてくれないのはポイント低いです」

八幡「っ!!そ、そんな俺から出来るわけねぇだろ?!もし仮にやったとしたらお前キモイとか言いそうだし」プイッ

めちゃくちゃ照れてますね、顔そらしてますけど耳とかで赤いの丸わかりですからね。こういう先輩は可愛いですね、ていうかそんなこと言いそうですかね?……言いそうですね。

いろは「まあ、先輩ですからしょうがないですね。でも、いつかは先輩からちゃんとして下さいね?」

八幡「…………いつかな」

いろは「待ってますから!!」

八幡「はいはい…」

しばらくしてご飯も食べ終わり、後片付けも終わってすこしだけまったりしている時。ある一つの事を思い出しました。

いろは「そうだ先輩!忘れてました!!」

八幡「んだよ、あんま大きい声を出すな何時だと思ってんだ。壁ドンとか来たらどうすんだよ」

11時前ですねはい。壁ドン?わたし今どきの女の子なので壁ドンは恋のシチュエーションしか知りません。先輩いつかやってくださいごめんなさい。まあ無視しますね。

いろは「来週わたしの大学文化祭なんですよ〜、水曜日から金曜日の3日間なんですけど?先輩どれかで来れますか?」

八幡「来週か……」

と一言呟いてメモ帳を確認してます。こう見ると仕事出来る男みたいでかっこいいですね、目は腐ってますけど。

八幡「あー…悪い日曜とかなら空いてたけどな」

いろは「そうですか…ま、仕方ないですね。先輩にはこれからの為に稼いで貰わないといけないですからね、頼みますよ!」

八幡「はいはい」

いろは「まあもし何かの為に教えておきますと、わたしのところはカフェやりますから」

八幡「またありきたりな」

いろは「いいんです!」

そして時は流れ流れて文化祭の日、1日目、2日目共にお店的には大好評でしたが、わたしの心は何とも言えない感じですね。この2日間朝は早くに行かなきゃならないので先輩に"行ってらっしゃい"も言えませんでしたし、やたら口説いてくる人が多かったですし…何とも言えないと言いましたが、実際最悪ですね。やっぱりあざといろはだとこうなっちゃうんですね。そして3日目です。いつものように早めに家を出て準備します。何かもう準備してる最中からも一緒に回ろう的なことを言って誘ってきてわたしの気分は最悪です。そして9時に開始された。開始されて何分か置きに色んな人からお誘いが来ましたよ、その度にお店の他の人たちに"いろはちゃん、お客さんだよ"って言われました。ほんとごめんなさい、とりあえず来た人には笑顔でばっさりお断りしてますから、一応問題は無いんですけどね。そしてお昼前そろそろピークかな?って所でさっきまで少しだけおとなしくなっていたお誘いが来たようだ。わたしの方に微妙なかおをした店の人が

「いろはちゃん、またお客さんだよ」

って言ってきました。まったく、そろそろ忙しいって時に…はぁ、早くお断りしてもど…ろ……う……!?

いろは「せ、せ、先輩!!?」

八幡「よ、よお…どんだけ驚いてんだよ。声デカイわ」

いろは「だ、だって先輩今日はお仕事だって…」

八幡「あー、何か日曜に人が少ないみたいでな、その日に行くことになって、代わりに今日が休みになったって今日の朝に連絡が来たんだよ」

え、嘘?!先輩がいる。どうしよう、すっごい嬉しい…大丈夫かな?今のわたし、顔にやけてないかな?

いろは「そうでしたか、じゃあせっかくなんで入って下さい!サービスしちゃいますよ!」

と言って先輩の手を引いて無理矢理中に入らせました。

八幡「おい引っ張るな」

いろは「はい、先輩こちらに座ってください。ご注文お決まりでしたらわたしを呼んでください」

八幡「お前限定かよ」

いろは「だって先輩。わたし以外だとキョドって気持ち悪いですもん」

八幡「おい、ストレート過ぎんだろ。つーか、何かテンション高くないか?」

いろは「良いじゃないですかー、わたしだってテンション高くなるんです!」

八幡「まあ、文化祭だしな。無理もないか」

いろは「むー、いいですそういう事にしておきます。それじゃごゆっくりお決め下さい」

先輩からちょっと離れます。

友達「ちょっ!いろは?!どうしたの?今までの人達とは全然対応が違うんだけど?」

いろは「えへへー、まあね。あの人は別だからね」

友達「うわ、笑顔なのにあざとくないいろはだ。何なの誰なの?」

いろは「わたしの高校の時の先輩で、わたしのアパートのちょうど上の階に住んでる目の腐ったわたしの彼氏だよ」

友達「えぇぇ!!!いろはの彼氏!!!?」

近くにいる人たちお客さんも含めて全員こっちを向きましたね、すごい恨めしそうな顔で。

いろは「ちょっとー?声が大きんだけど?まあ別に良いけどね」

友達「へぇ…いろはに彼氏ねぇ」

いろは「なに?何か不満?」

友達「いーやー?ただ何かいろはって自分のステータスとか気にしてそうな感じなのに、全然そういうふうな感じのしない彼氏だから意外だなって」

いろは「あー、そういうのは高校の時で辞めたんだよね。わたしも本物が欲しくなっちゃってね」

そう言って私はあざとく先輩の方に向かっていった

 


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