ドラゴンボール超 全宇宙一武道会編(IF物語)   作:サクトン

22 / 51
♪テンテテーン テーテーテテーテーテテーテテーン

ナレーター「17号達とトランクスは、17号との18号の親が病気の為ブルマに特効薬を作ってもらい、無事に薬を打つことに成功した。」

ナレーター「一方ビルス様の星では、悟空と大神官サクリファイスと手合わせを行うことになり、サクリファイスは悟空そっくりに変異し、超サイヤ人ブルーとなった悟空を圧倒する。」

悟空「へっ、本当につえぇなサクリファイス様。いや、今はオラの姿になってんだっけ……こんがらがっちまうなぁ。」ザッ

悟空(サ)「わりぃわりぃ、けどやっぱサイヤ人はタフだなぁ、全然ヘッチャラって奴か?」

ナレーター「その頃第3宇宙では、惑星ポンポルにてたまたまワンドのおつかいを頼まれたバーダック達は、バーダックが予知で見た、サイヤ人の宇宙船が降ってくる場所へと移動していた。」

ギネ「来た……!!」

バーダック「間違いねぇ……サイヤ人のポッドだ……。あいつまだ星の地上げをやってやがったのか……もうフリーザはいねぇってのによ。」

ナレーター「そのポッドから現れたのは……なんと、バーダックの息子であり、悟空の兄でもあるラディッツだった……!」

パラガス「息子です……なんなりとお使いください。」

ギネ「アンタの息子はブロリーだろ……。」

♪チャチャチャン チャチャチャン


21話 悟空対決決着!?ブラックとエリサの王!!

    ~第10宇宙 ロッドの宮殿~

 

 

ロッド「zzz……zzz……ムニャムニャ……。」

 

ゴロン ロッド「……うーん……。」   ドサッ

 

スッ ロッド「いてて……ベッドから落ちちゃったのか。んー……どうやらルヴィス達まだ帰って来てないみたいだなぁ……。」ボー

 

???「ヒヒーン……。」

 

ロッド「あれ……予言馬じゃないか。君、起きるのこんなに早かったっけ?」

 

予言馬「ロッドがいつまでものオイラの事を忘れてるからヒヒン。それよりロッド、惑星エリサにルヴィスとザマスが行ったヒヒ?」

 

ロッド「うん、行ったよ?全王様が開く、全宇宙一武道会のメンバー集めにね。」

 

予言馬「そうですかヒヒン……。」

 

ロッド「それがどうかした?」

 

予言馬「いや夢で見たヒヒが、惑星エリサの者には少し気をつけた方が良いヒヒ。」

 

ロッド「……なんで?」

 

予言馬「知らないヒヒ。」

 

ロッド「知らないのかよ……。君さぁ……毎度毎度言ってるけどさ、予言するのは良いけど根っこが無いんだよなー。」

 

予言馬「だから言ってるヒヒ、夢で見たって。オイラはあくまで予言するだけヒヒ。」

 

ロッド「相変わらず使えない奴だなぁ。この前だって、君は近いうちに孫悟空と戦うって言ったけど、僕が第7宇宙に行かなかったら、孫悟空と戦えなかったじゃないかよー。」

 

予言馬「そこまではオイラも知らないヒヒ。そもそも神様だから予言されるって言うのがおかしいヒヒ。生きてる者皆平等と、オイラの中では決まってるヒヒ。」

 

ロッド「あのねぇ……念のために言うけどさ、一応君も神様だし、予知を誰よりも一番間近で見てるじゃないか。」

 

予言馬「そ、そんな事ないヒヒ!オイラは言い換えれば、予知夢を見るしかできない、その辺にいるしがない馬ヒヒ!!」(汗)

 

ロッド「へぇー?それじゃあ、馬刺にでもして食っちゃおっかなー?」チラッ

 

ビクッ 予言馬「…………マジで言ってるヒヒ?」

 

ロッド「大マジ☆」

 

予言馬「ヒヒーン!!お助けぇぇぇぇー!!!」ピューン

 

ロッド「プッ、アハハハ!アイツ嘘は予言できないんだよな、相変わらず面白い奴だねー。」

 

ロッド「それにしても……惑星エリサの連中に気を付けろ……か。一体どういう意味なんだろ。」

 

 

   ~第10宇宙 惑星エリサ 王の城前~

 

 

ブラック「……ここに、惑星エリサの王がいます。私が話をつけてくるので、ルヴィス殿はここで待っていてください……。」

 

ルヴィス「いや私も行く。ブラック、お前のように次元を行き来している者がいるならば、我はそれを確かめなければならん義務がある。」

 

ブラック「そうですか……では私に話を合わせてくださいね……。さっきも言いましたが、辺りに充満しているこの禍々しい気は、恐らく別の私とここの王が手を組んでいる証拠……私も、未来で手を組んでいる私に合わせますので。」

 

ルヴィス「ふむぅ……そんなまわりくどい事をせずとも、普通に言えば良いのではないか……?」

 

ブラック「ここの王は極端に、今の私のような人間と会うのを嫌います。私も初めて王に会った時は、かなり毛嫌いされてましたからね……。」

 

ルヴィス「惑星エリサもしかり、ここの王とやらもしかり……未来で死んだ者の魂をこんな辺境の星へ集めて……一体何を企んでおるのだ……。」

 

ブラック「さぁ……?私と行くのならば直接聞いてみたらどうです……?まぁ、教えていただけるかは解りませんが。」

 

ルヴィス「……そうだな。」

 

ブラック「フフッ、では行きましょうか……王のところへ。」

 

 

    ~惑星エリサ 王の間へ続く階段~

 

 

ツカツカ ブラック「もう少しで王がいる場所に着きます……。」

 

ツカツカ ルヴィス「しかしすんなりと入れたな……この星に来てからもそうだが、異形の者以外誰とも会っておらんぞ。」

 

ツカツカ ブラック「私が未来でここへ来た時も、王と側近しかいませんでしたからね……この時代でもそうなんでしょう。」

 

ツカツカ ルヴィス「……。」

 

ツカツカ ブラック「どうしました……?」

 

ツカツカ ルヴィス「ここの王とやらは……もしや神か……?」

 

ツカツカ ブラック「フフッ……中々鋭いですねルヴィス殿。半分正解で半分不正解……と言った所ですか。」

 

ツカツカ ルヴィス「……どういう意味だ?」

 

ツカツカ ブラック「私が何故人間0計画の際、この星の王と手を組んだのか……?本来ならば、私は有無を言わさずこの星も消しているはず……私は彼に興味を持ったんですよ。※元神※という事でしたからね……。」

 

ツカツカ ルヴィス「元神だと……!?」

 

ブラック「そう……そしてここが、元神だった王のいる部屋です。」ザッ

 

ルヴィス「……ブラックよ、ここの王が元々神だったとは……一体どういう事だ?」ザッ

 

ブラック「天使さんもご存じなかったようですね……。この先にいるのですから、直接聞けば良いじゃないですか。……さぁ、行きますよ。」スッ

 

ルヴィス「……。」

 

    ギ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ

 

 

      ~惑星エリサ 王の間~

 

 

スタスタ ブラック「……久しぶりだな、王様よ。」

 

側近「……。」

 

ルヴィス(こやつが、この惑星エリサの王か……。)

 

王「ザマスか……お前がここに来るとは……一体何のようだ?」

 

ブラック(なるほど……やはりこの世界の王と未来の私は既に……なら最初の方に合わせた方が良いな。)

 

ブラック「少し顔を見に来たんですよ、最初に会った時からしばらくでしたからね。」

 

王「余計なことだ……で?そっちの方は……?」

 

ルヴィス「破壊神ロッド殿の付き人ルヴィスだ。惑星エリサの王よ、お前にいくつか聞きたいことがある。」

 

側近「破壊神ロッドの付き人だか何だか知らないけど、口の聞き方に気を付ける事だねぇ……!」

 

王「黙ってろエリフィア。俺と付き人さんが話しているんだ……お前は口を出すな。」

 

側近「フン……わかったよ……。」スッ

 

王「で、この私に聞きたい事とは何です……?破壊神様の付き人さん……。」

 

ルヴィス(こやつ……ロッド殿の名前が出ても微動だにせんとは……恐らくブラックの言っていた元神というのは、どうやら本当らしい。)

 

ルヴィス「お主の目的は一体なんだ?何故未来にいるブラックと手を組み、未来からこの地へ死した者の魂を集める?お主も元神ならば……銀河法というのは知っているだろう。」

 

王「フッ……ザマス、お前が話したのか?」

 

ブラック「えぇ、わざわざ隠す必要も無いでしょう?ちなみに私達がここへ来たのは、全宇宙一武道会に出場するメンバーを集めるためですから。」

 

王「全宇宙一武道会……?」

 

ルヴィス「その件は後だブラック。王とやら、まず我の質問に答えてもらおう。」

 

王「ルヴィスさん……でしたね、私でも銀河法は知っていますよ。しかしそれはあくまで、過去へ行く事を禁じられている筈ですが……?」

 

ルヴィス「銀河法では確かにそうだが……今我が聞いているのはそういう事ではない。」

 

王「未来の死者の魂を何故ここに集めるか……でしたか。私はこう見えても元は神でね……そこにいるザマスと手を組んだのは、奴は人を殺してもその後の処理のやり方を知らないんですよ、だから私が受け持ったんです。解りますか?」

 

ルヴィス「解らんな。魂ならば、本来閻魔大王の所へ行くと決まっているであろう。」

 

王「ルヴィスさん……貴方は天使だから解らないかもしれませんが、人間という者は死した時……魂だけが残るんじゃないんですよ。その時まで生きてきた過去や未来、未練に後悔……そういった物が怨念となって、その場に残ってしまうのです。そしてまだ生きとし生けるものに対し、迷惑をかけてしまう……。」

 

王「ですから私は、彼が未来の世界で殺した者を未来へ残さないよう……こちらの世界へ持ってきて浄化し、天へと召しているのです。今私達がいる現代では、閻魔大王やそう言った神がおりますが……そちらにいるザマスは未来で、そういうのを供養する神さえ手にかけたらしいですから。」

 

ルヴィス「では我等がこの星に来た時に襲ってきた、あの異形の者は……。」

 

王「あれも未来で死した人間の一部になります。こちらで浄化はしてはみたのですがあまり効果は無く、未来でもかなりの悪党だったらしいので、この星に来る侵入者に攻撃するように設定したんです。」

 

ブラック「フッ、人間の中でも更に罪深き者に相応しい末路だな……。」

 

ルヴィス「なるほど……だがこの周辺の状態や惑星を見るに、あまり浄化というのは上手く行っていないようだな?」

 

王「いえ、浄化は順調ですよ。純真な殺された人間達は、すぐに浄化され天へと昇っていきますが……この私の城の周りにある禍々しい気は、先程も言った悪党達の怨念が集まったもの……宇宙にはそれだけ悪党がいると言うことです……だから彼の行動に、私も賛同しました。」

 

王「ちなみに……そこにいるザマスは彼なりに、自分が手にかけた人間や神をちゃんと悼んでいます。だから彼は黒の衣を纏っているんですよ……喪服という意味でね。」

 

ルヴィス「……だからお前は黒の服を身に纏っていたのか……。」チラッ

 

ブラック「これでも神ですから……その辺はちゃんとしているつもりですよ。」

 

ルヴィス「ふぅむ……ちなみに、その未来から魂を集め浄化すると言う方法はどうやっている……少し見せてもらおうか。」

 

王「ルヴィス殿……それは企業秘密と言う奴ですよ。誰にでもあるでしょう……隠したい事の1つや2つは。貴方にもあるんじゃないですか?その破壊神様に隠している事とか……。」

 

ルヴィス「我にそんな物はない。良いからさっさと見せるのだ、疚しいことが無いのなら見せられるだろう!」

 

側近「……。」スッ

 

スッ ブラック「……ルヴィス殿、目的を忘れてはいけませんよ。我々がここへ来た理由は、そんな事を確認するためでは無い筈ですが……?」

 

ルヴィス「……むう……そうだったな。浄化の件はもう良い……だが最後に1つだけ質問する。」

 

王「なんです……?」

 

ルヴィス「ブラックもそうだが……何故そこまで人間にこだわる?別に放っておいてもバチは当たるまい。」

 

王「人間だからこそですよ、ルヴィス殿。人間は常に神へ助けを求めているんです…………この私も。」スッ

 

ルヴィス「お主も……だと?」

 

王「これでも、私と私の側近である彼女は……貴方達神様と違って、※元は人間※なんですよ。元が人間であるからこそ、人間の苦しみを誰よりも理解できるのです。そして私は元神の力を使い皆を浄化し……浄化できぬ悪の者には罰として、永遠にこの惑星エリサへと留めるのです。天へと昇った純真な者の邪魔をしないように……。」

 

ルヴィス「つまりお主は、元は人間だからこそ人間の事を理解し、元神だからこそ人間を裁く……と言うことか。」

 

王「まぁもっと詳しい事情がありますが……話せば長くなりますかね。別にこの世界には全く影響はしませんのでご安心を……まぁ、私とザマスの神様ごっこと言ったようなものですから。」(^-^)

 

ルヴィス「そうか……閻魔大王以外は、私達には関係の無い事は確かか。くれぐれもこの邪気のようなオーラを、外へ垂れ流すのだけはやめるのだぞ。」

 

王「もちろん承知しておりますよ。ところで話を戻しますが……ルヴィス殿とザマスは何故このエリサへ?先程、全宇宙一武道会がどうとか言っておりましたが……?」

 

ルヴィス「あぁ……全王様が開催する、全ての宇宙の強豪が集う武道大会だ。神以外の自身の宇宙でそれぞれ5人抜擢し、出場するというルールでな。ロッド殿の宇宙が参加するには、あと4人メンバーが必要なのだ。」

 

王「4人……1人はもう決まっているのですか?」

 

ブラック「私だ……その破壊神ロッド様から直々に指名されてな。」

 

王「ザマスが?……しかしルヴィス殿の話では、神の参加は不可能な筈だが。」

 

ブラック「今の俺は神ではない……ポタラや時の指輪も外している。つまり……只のサイヤ人だ。」ニヤッ

 

ルヴィス「中身は神だがな……ちなみに武器の使用はありだが、神の神器を使うのは禁止だ。ブラックは全宇宙一武道会の間だけ、ポタラと時の指輪を外してもらっている。」

 

王「なるほど……ルールは理解しました。でしたらこちらで他のメンバーを手配しましょう。丁度ここに、出場させたいメンバーもおりますしね。」

 

ルヴィス「……もしやお主か?」

 

王「いえいえ、私はそういう物には興味ありません。私の側近である彼女……エリフィアを行かせましょう。彼女も元々は人間で神に成り上がった者……今は私と同じく堕落しておりますが実力は相当の者です。きっと良い結果を残してくれますよ。」

 

スッ エリフィア「さっきは失礼な事を言っちまって悪かったね。エリフィアだ、宜しく頼むよ。」

 

ブラック「フッ、こちらこそ……。」

 

ルヴィス「して、他の3人は何処にいるのだ?」

 

エリフィア「私が案内してやるさね、2人とも付いてきな!」スタスタ

 

ルヴィス「……急に偉そうになったな。」

 

ブラック「彼女もああ見えて元は神らしいですからね……まぁ放っておきましょう。触らぬ元神に祟り無しですよ……。」

 

 

     ~第6宇宙 シャンパの星~

 

 

ボタモ「も……もう限界だぁ……。」ドテッ

 

マゲッタ「シュポォォォ……」ズズーン

 

フロスト「はぁ……はぁ……くっ……ここまで……かっ……!」ドサッ

 

キャベ「ぼ……僕はまだ……やれるっ!はぁぁぁぁ!!!」ドヒュゥゥゥゥゥン

 

 

キャベは一気に気を解放し、少し青みの帯びたオーラを纏った。それを見ていたヴァドスは、静かにゆっくりと構えをとり、迎撃体制へと移る。

 

 

ヴァドス「ほらどうしました?私に一撃当てる事は、やはり無理ですか?」クイクイ

 

キャベ「いえ!次は必ず……当てますっ!!!」ダ ンッ

 

 

ヴァドスが手招きをしてキャベを挑発すると、キャベは一気に気を高め、高速でジグザグに動いてヴァドスを翻弄しながら気弾を放った。だがやはりシャンパの付き人、キャベの気弾を華麗に白のポニーテールを揺らしながら、紙一重でかわしていく。

 

 

キャベ「くっ!」ダ ン ッ

 

 

キャベは気弾がよけられ悔しい気持ちを抑えつつ、その場で一気に上空へ飛び、両足に気を溜め始めた。

 

 

ヴァドス(なにかするつもりですね……。)

 

キャベ「当たれぇぇー!!」ブ ォォォ ンッ

 

 

キャベがヴァドスに向け、足に気を纏いながら空中で思いきり両足を振るう。すると、キャベの足から無数のかまいたちのような気弾が飛び出し、ヴァドスへと一気に襲いかかった!

 

 

ヴァドス「フフッ、これは高速で放たれた気の刃……さすがにガードはできませんね。」

 

 

ヴァドスはニッコリと笑いながらも、キャベが放った気の刃も華麗にかわし、瞬時にキャベの背中へと回り込んだ。

 

 

キャベ「消えた……!」

 

ヴァドス「後ろですよ?」ヒ ュ ッ

 

 

呆気にとられていたキャベをよそに、ヴァドスは後ろからキャベの首に手刀を入れようとするが、キャベの方が少し早かった。

 

 

キャベ「! そこだぁ!!!」ブ ォ オン

 

ヴァドス「えっ……?」

 

 

キャベは背後から一瞬だけ神の気配を感じ取り、すぐさま体を反らし後ろへ左腕を振るった。ヴァドスは反撃を予想していたが、キャベの反応があまりに早かった為ガードが間に合わず、ヴァドスはギリギリの所で体を反らしてかわすが、頬を少しかすめてしまった。

 

 

キャベ「おしぃっ……!」グッ

 

ヴァドス「っ……!おしおきですっ……!」ス ッ

 

 

ヴァドスは少しムッとなり、少し力の入ったチョップをキャベの背中に叩き込んだ。キャベはチョップをまともにくらってしまい、地面に叩きつけられてしまった。キャベが倒れている背中の上に、ヴァドスは木の葉が落ちるようにそのまま座り込む。

 

 

キャベ「ぐ……くそ……!」ググググ

 

スッ ヴァドス「すみませんねキャベさん。私としたことが、少し本気になってしまいました。」

 

キャベ「さ……さすがヴァドスさ……ん……。」ガクッ

 

ヴァドス「キャベさんも成長はしたのですが、未だに打たれ弱いのが少し欠点ですねぇ……。」

 

 

ヴァドスは自身の長いポニーテールの髪を、指でクルクル弄りながらそう言ったが、キャベはそのまま気を失ってしまい、ヴァドスはキャベの背中から立ち上がってもう1人の方へと視線を移す。最後に立っていたのは、第6宇宙の生ける伝説の異名を持った、殺し屋ヒットだった。

 

 

ヴァドス「ところで、貴方はどこまで成長しましたか?ヒットさん。」

 

ヒット「さぁな……試せば解ることだ……。」スッ

 

ヴァドス「そうですね、では始めましょうか。」スッ

 

 

他の第6宇宙のメンバーが倒れている中、ヒットとヴァドスは互いに構えたまま動かない。両者は一点に相手の方を見て集中し、相手の動き方を見ていた。最初に動きを見せたのはヒットだった。

 

 

ヒット「……いくぞ。」ブゥゥゥン

 

ヴァドス「?……どうしたんです?かかってこないのですか?」

 

ヴァドス(あの気……嫌な感じがしますね。)

 

 

ヒットは紫色の自身の気を纏っただけで、じっとしたまま動かなかった。それを見たヴァドスは、ヒットが纏った気の正体に違和感を持ちながらも問いかける。だがヒットはヴァドスの発言を無視し、スッと右腕を自分の方に曲げて、パンチをする前の姿勢を取る。

 

 

ヒット「……俺は今から本気でアンタを殺しにかかる……良いか……?」

 

ヴァドス「良いですよ。それぐらいしないと、私に一撃当てる事は出来ないでしょうから。」

 

ヒット「一発だ……姑息な手は使わん、真っ正面から行く。」

 

ヴァドス「そうですか……解りました。」ス ッ

 

ヴァドス(どうやら本気で私を殺すつもりですね……フフッ、殺意がここまで感じるなんて……。)

 

 

ヴァドスとヒットの距離は約5㍍ほどある。ヴァドスはヒットの本気の殺意を感じとると、不思議にも心の中で笑っていた。ヒットはパンチを撃つ瞬間にまで姿勢を変え、ヴァドスに狙いを定める。そして……!!

 

 

ヒット「はぁっ……!」ド ッ ッ ッ ッ

 

ヴァドス「……!!」バ ッ

 

 

  ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン …………

 

 

ヒットが右腕の拳をヴァドスに向けて放った瞬間、ヴァドスは第六感から身の危険を感じすぐさまかわした。ヴァドスがかわした瞬間、後ろの大きな岩場が大きな音を立てて崩れ落ち、一気に崩壊していった。

 

 

シュゥゥゥ ヒット「……外したか、孫悟空にも通用すると思ったんだがな……。やはりアンタ程の達人では、ギリギリの所でかわされるか……。」

 

ヴァドス「さすがヒットさん……普段の時飛ばしだとこの距離でも一瞬の隙が出来るので、そこを攻めようと思ったのですが……まさか新しい技を編み出すなんて驚きです。」

 

ヒット「……当たらなくては意味がない……。」

 

ヴァドス「そんな事ありませんよ。日々修行をしていけば、その新しい技も極まり、より完璧となっていくと思いますが?」

 

ヒット「……そうか……。」

 

タッタッタ シャンパ「おい!なんだぁさっきの音!!俺ビックリして、宮殿の天井で頭打っちゃったじゃねぇかよ!!」

 

ヴァドス「それはそれはシャンパ様、誠に申し訳ありません。何分皆さんの稽古を担当していたものですから加減が難しくて。」

 

シャンパ「ったく……しゃあねえな!おいお前ら、もう今日の修行は終わってろ!全員武道大会に出るまでの出来る限り修行はしたと思うからなっ!後はお前らで勝手に寝るなり、修行するなり好きにしておけ!ヴァドス、俺様は腹が減ったから飯の用意をしろ!」

 

ヴァドス「私がですか?私先程まで、皆さんの稽古をつけていたのですが……。」

 

シャンパ「良いからさっさとやれぇ!杖でチョチョイノチョーイで出来るだろうが!!」(`Δ´)

 

ヴァドス「はいはい……では皆さん。全宇宙一武道会まであと4日ありますが、シャンパ様のお許しが出たので残りの日は各自自由行動を取ってもらって構いませんよ。但し、武道大会までに万全な体勢をとっていてくださいね、では。」シュン

 

ヒット「……。」

 

ボタモ「も、もう動けねぇ……。」ベタッ

 

マゲッタ「シュポォ……。」

 

フロスト「……キャベさん、もう一度私と勝負してみませんか?」

 

キャベ「え……あ……はい。でも今は少し疲れましたので……ちょっと休みませんか?」

 

フロスト「解りました。でしたらその間、私の宇宙平和賞を受賞した話でも致しましょう。」

 

キャベ「け、結構です……。」

 

ググ ヒット「……」(孫悟空……お前は今、何をしている……修行か……?……それとも……。)

 

 

    ~第7宇宙 ビルスの宮殿前平原~

 

 

  ズドォォン  バゴォォン  ズガァァン  ガガァァァン

 

 

ビルス「あいつら、いつまでやるつもりなんだ?」

 

ウイス「さぁ……どうなんでしょうね?」

 

 

ガガガッ 悟空「だだだっ!!」

 

ガガガッ 悟空(サ)「どしたっ!動きが鈍くなってきてっぞ!」

 

悟空「だぁりゃぁぁ!!」ブ ォ ォ ン

 

バ シ ッ 悟空(サ)「そんなもんかっ!」

 

 

悟空が強烈なラッシュをお見舞いする中、サクリファイスは冷静に悟空の攻撃を全てガードし対処していく。気づけば辺りの地面は穴だらけで草木はひっくり返り、完全な戦場と化していた。

 

 

ビルス「完全に悟空が押されているようだな……。」

 

ウイス「無理もありません。サクリファイス様は大神官でも最も強いお方。そんな方が、私達より力の劣る悟空さんが相手ですからねぇ。」

 

ビルス「それもあるが……奴は今、変異した悟空の通常状態だ。今の悟空より力は完全に劣るはず……なのに悟空を圧倒している。」

 

ウイス「それほどサクリファイス様は、サイヤ人のように戦い慣れていると言うことでしょうか……。」

 

ビルス「昔は凄く泣き虫だったアイツがな……奴の宇宙で何かあったか……?」

 

キーンキーンキーン ウイス「おや、通信機が反応してますね。」

 

ビルス「ん?……誰?」

 

ウイス「どうやらブルマさんのようですね。」

 

 

バキッ 悟空「くっ……!」ズザザザ

 

悟空(サ)「もうおしめえか?だったらオラの勝ちだな!!へへっ!!」

 

悟空「オラの超サイヤ人ブルーのフルパワーを……さすが大神官様の中で一番つええな……。しょうがねぇ……また使っちまう事になっけど……こんなきけえ2度とねえかんな……!」スゥー

 

 

悟空は一旦深呼吸し落ち着きを取り戻す、そして再度気を溜める体勢に入った!サクリファイスはその様子を少し観察し、じっくりと身構えている。

 

 

悟空(サ)(……何をするつもりなんでしょう……。)

 

悟空「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ゴゴゴゴ

 

悟空「界王拳……10倍だぁっ!」ドヒュゥゥゥゥゥン

 

悟空(サ)(界王拳……!?)

 

 

悟空の気が瞬時に高まり、今まで青だったオーラに赤のオーラが加わり、赤と青の混ざった気が大きく悟空の体から迸った!

 

 

悟空(サ)「な……なんだ?ありゃあ……!」

 

悟空「サクリファイス様、これがオラのとっておきさ……!時間がねぇから一気に行くぞ!!!」ド ン ッ

 

悟空(サ)「なっ……!?」バッ

 

 

悟空は超サイヤ人ブルーのまま、界王拳を発動した姿でサクリファイスに向かっていく。サクリファイスは念のために全方位を集中させて身構えていたが、背中からいきなり衝撃が走った。

 

 

ド ッ 悟空(サ)「がはぁっ!!」(う、後ろに……!)

 

悟空「まだまだぁ!!!せやぁ!!」ビ ュ オ

 

悟空(サ)「させっかよっ……!」ブ ン ッ

 

 

サクリファイスはすぐさま振り返り、悟空のパンチを自分のパンチで相殺させようと試みるが、互いの拳がぶつかった瞬間、悟空の力が圧倒的に強すぎて相殺できず、悟空の拳がサクリファイスの顔に直撃した!サクリファイスは負けじと悟空に応戦するが、悟空の攻撃は止まらない。

 

 

ガガガガガ 悟空「うおらぁぁぁぁ!!!」

 

バキッ ドコッ ガスッ 悟空(サ)「ぐがっ!ぶへぇ!」

 

悟空「おりゃぁぁぁ!!!」ブ ン ッ

 

バ キ ィ ィ 悟空(サ)「うわぁぁぁっ!!」キーン

 

 

  ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン

 

 

サクリファイスは、悟空の姿のままでは為す術がなく、界王拳の超サイヤ人ブルー悟空の蹴りによって、一気に岩山に吹き飛ばされた。

 

 

悟空「はぁ……はぁ……!」ドヒュゥゥゥゥゥン 解除

 

ゴキッ バキバキ 悟空「いちちちちぃ……!!!や、やっぱ短期間で界王拳使っちまったら……体が持たねえかぁ……!!」ドサッ

 

 

ビルス「おい、悟空!」

 

ピクピク 悟空「な……なんだよビルス様……オラ、界王拳の反動で動けねぇんだからよ……。」

 

ビルス「そんなの知るか。お前が後の事も考えずに意地張るからだ、バカタレ。」

 

ウイス「先程ブルマさんから通信が入りまして、悟空さんに伝言をと言っておりました。」

 

ピクピク 悟空「ぶ……ブルマが……?」

 

ウイス「はい。そしてこれが、ブルマさんからの伝言です。」スゥー

 

ウイス「孫くん!!!!アンタまた修行に行ったでしょ!!!最後の全宇宙一武道会のメンバーどうすんのよっ!まだもう1枠余ってんだからね!!皆で相談するからさっさと帰ってきなさぁぁぁいっ!!!……です。」

 

ピクピク 悟空「す、すっげえなウイスさん……ホントにブルマが目の前で……言ってるみてえだったぞ……。」

 

ウイス「これでも物真似には、結構自信があるんですよ。ね?サクリファイス様。」

 

サクリファイス「そうでしたね……そう言えば、私がまだ小さかった頃に、よくウイスさんが物真似をして笑わせてくれたのを、私まだ鮮明に覚えてます。」

 

ピクピク 悟空「あ……あれ……?おめぇ……何で……?」

 

サクリファイス「さっきの攻撃凄かったですよ、貴方に変異しているとはいえ、全然敵いませんでしたから。ですが、あの力は諸刃の剣そのもののようですね……そこまでになってしまうのなら、使わない方が良かったと思います。」

 

ピクピク 悟空「へへ……サクリファイス様……何で……こっちにいんだぁ……?……それに……傷もねぇしよ……。」

 

ビルス「サクリファイスはな、他の人間に変異している時に受けたダメージを、元の姿に戻る時に全て無かった事に出来るんだよ。」

 

ピクピク 悟空「ま……マジかよ……そんなん反則じゃねぇか……。それさ……オラにもそれやってくれよ……。」

 

サクリファイス「す、すみません……これは私だけの能力になりますので、他の方には……。」

 

ビルス「自業自得だバーカ。ニハハハハ!」

 

ウイス「悟空さん、仙豆は持ってないのですか?」

 

ピクピク 悟空「あったかなぁ……わかんねぇ……サクリファイス様ぁ、ちょっとオラの腰巻きのとこ……手突っ込んでくれねぇか……?」

 

サクリファイス「えぇ!?な、何でよりによって私なんですか……!?////」

 

ピクピク 悟空「なんでって……さっき戦った仲じゃねぇか……ほら、試合後の挨拶もしねぇと……いけねぇしさ。」

 

サクリファイス「で、ですが……。///」

 

悟空「た、頼むよぉサクリファイス様ぁ……。」

 

サクリファイス「わ……わわ……私には出来ませんっ!!///」 ブンッ

 

ドスッ 悟空「いぎゃあ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」

 

サクリファイス「あっ…!も、申し訳ありませんっ!」(汗)

 

ビルス「悟空っ!貴様なにサクリファイスに変な事やらせようとしてんだっ!!!」

 

ウイス「悟空さん、今のは悪意があるとしか思えませんよ?大神官様に対して失礼極まりないです。」

 

サクリファイス「わ、私は別にそこまで思ってませんけど……孫悟空さんも一応その……やましい気持ちで言ったわけじゃなさそうですし。////」カァァ

 

ビルス「いーや!コイツは油断したらとんでもない事をやらかすんだ。悪いことは言わん、これ以上悟空と関わらん方が良いぞサクリファイス。」

 

ウイス「そうですね、彼と関わったら本当に色々とろくな事がありませんよ?」

 

サクリファイス「は……はぁ。」(汗)

 

ピクピク 悟空「な……なぁ……頼むから……誰か仙豆あっか……見てくれよっ……。」

 

ウイス「やれやれ。悟空さん、少々お待ちを。」ブゥゥゥン

 

ビルス「あるか?仙豆。」

 

ウイス「んー……どうやら悟空さんの言っている所に、今回も仙豆は入っていないようですねぇ。」

 

ピクピク 悟空「マジかぁ……オラ……もう無理だぞ…。」

 

ビルス「おーい、死んだら武道会出れないぞ。」

 

サクリファイス「仙豆とは……一体何なんですか?」

 

ビルス「何だ……お前そんな事も知らんのか?大神官の癖に。」

 

サクリファイス「し、知りませんよそんなのっ!そんな四六時中、他の宇宙を見てる訳ではありませんっ!」

 

ウイス「仙豆とは、この宇宙の地球と言う星のカリンの塔で取れる不思議な豆なんですよ。一粒食べればあら不思議!傷などがたちまち治っちゃうんです!」

 

サクリファイス「そんな豆があるんですね……私の宇宙にある地球でも調べてみましょうか。」

 

ピクピク 悟空「や……やべぇ……なんか……お花畑っちゅうのが……見えてきた……ぞ……。」

 

ウイス「んーむ……残念ですが、今回は悟空さんの自業自得ですからねぇ……時を戻すにしろもう3分経っちゃってますし。」

 

ビルス「僕は破壊神だからね、そんなの持ってないよ。」

 

サクリファイス「だ、大丈夫ですか孫悟空さん!こんな時に風神さんがいてくれたら……。」

 

 

     ド ヒ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ン

 

 

???「あっ~!いたいた~サクリファイス様~。」ヒューン

 

???「ふむ……確かにサクリファイス様のお姿だ。風よ、お前の予想珍しく当たっていたな。」ヒューン

 

ビルス「ん……?」

 

ウイス「あの方達は……確か。」

 

サクリファイス「風神さん、雷神さん…!良かった……!」

 

ピクピク 悟空「ん……誰だぁ……。」

 

ザッ 風神「風に~乗って~風に~去りぬ~、その名は!風神~です~!」ビシッ

 

雷神「探しましたぞサクリファイス様、いきなりどこかへ行かれるものですから苦労しました。」

 

ビルス「おっ、お前ら風神雷神コンビじゃないか!懐かしいなおい!」スタスタ

 

雷神「おぉビルス様!お久しぶりでございますなぁ!何世紀ぶりであろうか?」

 

ビルス「忘れたよ、そんな昔の事。」

 

ウイス「どうも風神さん、お元気そうですね?」スタスタ

 

風神「えへへ~でしょ~?いつも~元気だよ~。」

 

ピクピク 悟空「こ……こいつらいってえ……?」

 

サクリファイス「安心してください孫悟空さん、彼女達は私の付き人である風神さんと雷神さんです。風神さんこっちに来てください!すぐに孫悟空さんの治療をお願いします!」

 

風神「ん~?」チラッ

 

 

ナレーター「こうしてサクリファイスと悟空の戦いは、なんとも言えない決着となってしまい、悟空が死にかけてしまうと言う結果になってしまった。果たして悟空は、無事に復活することは出来るのだろうか?」

 

ナレーター「そして、第10宇宙の残りのメンバーとは……!?」

 

 

ラディッツ「って終わりかよ!?俺の事は!?」

 

パラガス「腐☆腐、NAI!!」

 

ブロリー「おわリーです……。」

 

バーダック「俺達は次だな……。」

 

ギネ「たぶん……。」




これで21話終了になります。
なんだか結構進展した感じがします!!
ここまで見ていただきありがとうございました!!
あ、あと皆さんに質問なんですが、第7宇宙の最後のメンバー誰にしようか正直迷ってます……(汗)
リクエストあればくださぁぁぁい!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。