♀ポケに愛されて   作:愛され隊

8 / 21
アローラ地方編
始まり


終わりがあれば始まりもある。それはどんな事においても同じだ。勝負に勝ちがあれば負けがある様に、くじに当たり外れがある様に。

 

 

俺はイッシュを離れる事を決意した。両親は人型ポケモンを連れているのだからイッシュで次年のリーグを狙っても良いんじゃないかと言っていたが無視。

 

何処か巡るのに良い地方はないかとアララギ博士にお願いしたら「君ならそう言うと思ってたわ♪」と言って1つのパンフレットを見せてくれた。

 

 

『アローラ地方』

 

 

其処に書いてある名前に俺はギョッとして博士の方に視線を向けたら既に手配しておいてくれたのだとか。ついでで向こうの博士、ククイ博士に面倒をお願いしてくれているのだと言う。どうやらククイ博士は技を研究している博士だそうで、俺の人型ポケモンに大変興味を持っているらしい。しかも普段なら手に入らない四天王戦のビデオもククイ博士に研究させるという御題目で送ってあるのだという。これ向こうに行ったら俺のポケモン達が研究素材にされるとかないよな?

 

まあともかくそういう事は後々考えればいい。次は移動手段だ。

 

 

『御免忘れてたわ♩』

 

 

……その辺りは用意してくれていなかったとか巫山戯るなし。情報送る前に飛行機ぐらいチャーターしといてくれよ、せめて船取るとか。まあ、代わりにある物貰ったからいいっちゃいいんだが……。

 

「チル、悪いな」

 

「別に良いよ〜♬寧ろもっと頼って〜!!」

 

そんな訳でチルの飛行能力を使って数日かけて島々を経由しながらアローラを目指す羽目となった。因みに人型ポケモンは当然翼を持たない。ならどうやって飛ぶか?

 

「てか今更だけど、そのマフラーすげーな」

 

「えへへ〜凄いでしょ?」

 

チルの場合はマフラーを天女の羽衣の様にして空を飛んでいる。恐らくチルタリスのワタの様な翼をモチーフにしているからだろう。

 

 

というか、自分の今の格好がやばい……前世なら職務質問からの手にわっぱ掛かるワンセットが待っている。それだけ俺の今の姿が酷い。何せ周囲からすれば小さい子に抱えられて飛んでいる、まごう事なき変態にしか見えない。まあ、俺はまだ若いから大丈夫だがその内大きくなったらどうしよう。人型ポケモン、案外体の大きさ変更したりできないのかな?

 

「てか、待ち合わせ場所何処だ?」

 

今はメレメレ島上空を飛行中、ふわりふわりと飛びながら待ち合わせの場所を探している所だ。なんでも木製の祭壇のそばに降りてくれとのこと。

 

「あった〜!」

 

「おっ、マジか?」

 

俺には見えないが、チルには見えるらしく徐々に高度が下がって行く。そのままグライダーのように滑空しているとその祭壇というやつが見えてきた。

 

「よっと」

 

漸く足が地面に着き取り敢えず一安心。チルも無事に着地し息を吐く。

 

「お疲れチル、休んでてくれ」

 

「ハーイ!」

 

此処まで送ってくれたチルに感謝を込めつつボールに戻して周囲を見渡す。南国らしい生垣に太陽の日差し、海風から香る海の香り、全てがイッシュと異なる輝きを見せている。それがアローラ、俺がやってきた新天地。

 

「にしても………」

 

待ち合わせ場所は此処で合っている……はずなのだが、迎えが来ていない。ククイ博士が迎えに来ると言っていたのだが、早く着いたのだろうか?それとも木製の祭壇が他の場所にもあるのか?全く分からん。

 

 

バチバチ………

 

「ん?」

 

 

遠くから何かが近づいてくる。この音は……雷?

 

ドン!!

 

「おわっ!?」

 

近場にあった木製の祭壇の上に何かが落ちて来た。手に色鮮やかな殻を付けたそれは、今まで見てきたポケモンの中で上位に位置する威圧感を放っている。恐らくは伝説級、それもこの島に何らかの関連があるポケモン。

 

「チッ、リアス!!」

 

しかし此方とて今迄伊達に戦いを繰り返してきただけではない。それに奴は電気、つまりは地面なら相性優位が取れる。俺は咄嗟にリアスのボールを掴んで投げた。

 

「おっしゃぁぁぁッ!!」

 

ボールの中から雄叫びを上げながらリアスが飛び出し構えを取る。対峙した伝説ポケモンとリアス、互いに視線を絡め合う。それだけなのに息が苦しくなり威圧感が波の様に迫って来て心がざわつく。

 

「っ!大将、此奴フェアリー持ちだ!」

 

何もしていないのに突然そんな事を言い出すリアス。何処をどう見たらフェアリータイプだよと思わないでもないが、リアスの観察眼は優秀だ。ポケモン図鑑がアローラポケモンに非対応である以上は彼女の眼を信じるしかない。

 

「…………………」

 

目の前のポケモンは構えを取らず、ただ俺の眼をしっかりと見てくる。まるで俺を見定めている様な、そんな眼をしている。

 

「___________ッ!!」

 

どうやら見定め終わったのだろう。目の前のポケモンは何かを足元に置いて空高くへ飛んで行った。リアスはそれを一瞬追おうとしたが、謎のポケモンが落としていった石を拾い上げて俺のそばに寄ってくる。

 

「なんだろうな、これ………」

 

キラキラと輝いた石。何かは分からないが何か貴重な物の香りがする。俺は礼をリアスに伝えてから石を受け取り、ボールへと戻した。

 

「オーーーイ!!」

 

「ん?」

 

大きな声を上げながら1人の男性が走って近づいてくる。南国らしく黒く焼けた肌、上裸の上に着た白衣。そして熱血漢ぽい明るく元気な声。

 

「ククイ博士、どうも」

 

「ああ、コウヤ君!アローーラ!!」

 

アローラの博士、ククイ博士。俺がこれからお世話になる人物だった。

 

 




という訳でアローラ編スタートです。最初はフラグへし折ってカロスでも良いかと思ったのですがやっぱり此処は順当にという事で。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。