♀ポケに愛されて   作:愛され隊

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ミロカロス

ミロカロス

いつくしみポケモン

特性 ふしぎなうろこ・かちき

高さ6.2m 重さ162kg

 

世界一美しいポケモン。ミロカロスの美しい姿を見た者は争いの気持ちを忘れてしまうという言われている。

 

 

〜ポケモン図鑑より引用〜

 

 

 

☆月Ω日

 

 

ライモンシティを超えてやって参ったサザナミタウン。海に面した場所にあってかなり有名な別荘地とされている。証拠としてあの四天王カトレアの別荘があり、シンオウチャンピオンのシロナも訪れるという話も耳にする事ができる。その上ポケモンセンターには訪問の印としてカトレアやシロナ、その他有名なトレーナーのサインなどが飾られているのだ。

 

 

しかもこの世代だとマリンチューブもある為ジム巡り中のトレーナーは必ず訪れる地である。俺も一度は訪れた事のある場所でその際は夏だったから海で泳いだりと満喫させて貰った。

 

 

それで再びここを訪れた理由としては、1つにリーグ前の休暇を取る為。リゾート地なだけあってサービスも手厚くそういった施設も多い。因みにだが、ジムバッチを全て所持していると割引や追加サービスが発生してかなりお得だったりする。他にもジムトレーナー、引いてはリーグ関係者ともなればそのサービスはより良い物になる。それを狙って四天王を目指す者も居るくらいだ。

 

 

そしてもう1つは俺の手持ちのあるポケモンに海を泳がせてあげたいという気持ちがあったからだ。その美しさは空に浮かぶ月の輝きによって引き立てられ、滑らかな肌を滑る水の球が煌びやかに輝きを放つ。

 

 

思わずこの日記の記入を忘れてしまいそうになる程美しい。形容するものが見つからない。でも例えるとするならば__________

 

 

(今日の記入は此処で終わっている)

 

 

 

 

 

 

俺の眼前の海を泳ぐ肌色の皮膚、赤い触角、青と赤の美しい鱗のポケモン。いつくしみポケモン、ミロカロス。ヒンバスから育ててきた俺の大切な仲間。それが擬人化した存在。

 

 

ザブン!!

 

 

彼女が海深くに潜ってしまい見えなくなった。でも慌てることは無い。そろそろ彼女は海から上がってくる。

 

「ふぅ………ワタクシの為に有難うございます」

 

その彼女は潜ってから十数秒程度で海の中から上がってきた。触覚を模した赤く長いアホ毛に薄い黄色のロングヘアー、その中から伸びた2房の赤い髪。ミロカロスの鱗の柄をした水着とパレオが整った肉体美を強調していて周囲の目を惹くこと間違いなし。美女コンテスト優勝間違いなし。流石はミロカロス、ヒンバスの美しさを最大にして進化させただけあって圧倒的な美しさだ。

 

「いいよ別に、他の奴らは人の姿でリゾート街を満喫してるから」

 

今頃、コジョはオイルマッサージ受けてる頃だし、レディは南国の花々を取り揃えた花屋にいるだろうし、ムウは他の手持ちと一緒に何処かブラブラしていることだろう。因みにその他の手持ちも当然人の姿を装って居る。

 

「その点、お前はこれでいいのか?」

 

「何が………でしょうか?」

 

「いや、海で泳ぐだけで良いのか?別に金もあるし何か欲しがっても良いんだぞ?」

 

これでも俺はトレーナー戦をかなりこなしている為に金は有り余るほど持っている。だから彼女が好みそうなアクセサリーくらいなら買う事が出来る。でも、彼女は静かに笑い掛けながら俺の隣に腰を下ろす。

 

「いいえ、ワタクシはこれだけで充分です」

 

そっと俺の片頰に触れ、唇をそっと反対側の頰に落とす。これは彼女流のお礼、その美貌も相まって凄まじい破壊力を持つ。でも、これは俺以外の仲間にもやってるのでなんだかな〜って感じではある。決して嫉妬では無い、イイネ?

 

しかしやられる側の対応を見るのもまた楽しい。レディはキャピキャピと嬉しそうに振る舞い、コジョは普段のクールさは吹っ飛び顔を赤らめて見るな見るなと恥ずかしがり、ムウは真っ赤っかになって黙り込んでしまう。他の手持ちもそれぞれの反応があってみんな可愛い(確信)

 

「そっか」

 

彼女が良いというなら俺が無理を強いる必要もない。彼女は昔からきっちりした性格で思った事考えた事はちゃんと突き通す。それはヒンバスの時から何も変わっていない。見かけや振る舞いが変わっても変わらない物は確かにある。

 

「……貴方はどうしてそんなに優しいんですか?」

 

「ん?」

 

水平線に反射する月を見ているとミロは俺にそんな事を尋ねてきた。肌の上を滑る水の球が光り輝き彼女をより引き立てている。

 

「見ての通り、今はこの様な姿になれて感謝しています。でも、時々分からなくなるんです」

 

彼女が吐露したのはヒンバスの頃の不安感。自分みたいなみすぼらしい自分を仲間に加えてくれた意味が分からず、いつかは見限られるのではないかという恐怖が募っていった。優しくされる度に、気を使われる度に胸が締め付けられる思いを味わった。今でもいつか捨てられてしまうのではないかと……信頼くれている俺を信じられない自分が嫌で嫌で仕方ない。

 

「………はぁ」

 

なんていうか、変なところ大胆なのにこういう所は繊細というか……。俺にミロが懐いてくれたからこそ彼女は人の姿形を得ることが出来た。それは俺の事を信頼している事に他ならない。そうでなければ人の姿形に変化はしない。

 

「良いか、ミロ」

 

主様(ぬしさま)………?」

 

俺はミロの肩を掴んでしっかり目を合わせる。

 

「俺はお前らを愛してる」

 

よくもまあ、こんな小っ恥ずかしい事が言えたもんだ。思わず顔が熱くなる。それを隠す為に顔を逸らすとミロは目尻から少し涙を流しながら笑っていた。

 

「………ワタクシも愛しております、主様」

 

そう言い、俺の唇にミロの唇が近づけられる。えっマジ?ちょっと待て!?いきなり過ぎて逃げるタイミングを失った俺は彼女の手から逃げる事が出来ずその場に停止してしまった。

 

「主様がいけないんです。そんな優しい言葉を掛けられて我慢なんて……」

 

顔が徐々に近づいてきて唇が触れ合______?

 

「ミロよ、抜け駆けは卑怯だぞ?」

 

「あら?」

 

触れ合う前にミロの肩をコジョが掴んでいた。その為近づいていたミロの動きが止まり、ファーストキス喪失は免れた。それでも、何処か残念に思ってしまうのは彼女が美しいからだろう。

 

「あらあら、せっかく良い雰囲気でしたのに」

 

「ふっ、この程度で良い雰囲気とは片腹痛いな」

 

ゴゴゴゴゴッというオーラが溢れている気がする。美人と美人の啀み合い、聞いてるこっちの胃がキリキリしてくる。

 

「マスター!」

「ご主人ー!」

 

どうやら、他の子達も戻ってきたらしい。俺はこれ幸いと2人を放置してその場を離れる。宿に戻った後、2人に怒られてしまったが膝上の上に座ったレディとムウを撫でて乗り切りましたとさ。

 

 




という訳で今回はミロカロス回。DP時代にヒンバスゲットの為に山の中の泉を一マスずつ釣っていた記憶が蘇りました(遠い目)。さて主人公の手持ちは後2体。何が来るか予想してみてください。

竹嶋えくさんのイラストを参考にしています。
詳しいキャラクターデザインの方はニコニコ静画にどうぞ

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