♀ポケに愛されて   作:愛され隊

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コジョンド

コジョンド

ぶじゅつポケモン

特性 せいしんりょく・さいせいりょく

高さ1.4m 重さ35.5kg

 

腕の体毛をムチのように扱う。両腕の攻撃はめにもとまらぬ早さ。連続攻撃をはじめたら誰も止められない。

 

 

〜ポケモン図鑑より引用〜

 

 

 

*月B日

 

 

疲れた。何が疲れたってもう何もかも疲れた。手足は勿論、全身の節々や重要な臓器全てが痛い様な感覚が俺を支配する。

 

 

ヒウンシティはイッシュでも有名な大都市で其処には多くのショップや食事処が点在しており、其処に店を構えるヒウンアイスは俺にパーティーメンバーの好み問わず共通の好物となっている。今回の訪問ではまだ買えていないので明日にでも買いに行こう。

 

 

まあそれはどうでも良いだろう。今の状況は俺の幼馴染のメイと先輩トレーナーのベルさんに連れ回されたのが原因だ。あの野郎共、ライブキャスターで俺のこと呼んだと思ったら買い物に付き合わせやがって。しかも買った物を俺に持たせた上、数時間町中を引きづり回し、挙げ句の果てには自分達だけケーキバイキングなんて行くもんだから怒りが最高潮。甘い物好き相手に生き地獄かクソが。

 

 

あまりの苛立ちに別れ際に「痩せろ」と言ったらバシャーモみたいに真っ赤になって飛び膝蹴りを食らった。その威力はポケモンのそれと同等な威力で真面目に死ぬかと思ったのは完全に余談だ。

 

 

お陰様でわざわざソウリュウシティから飛んで来たのに無駄骨だった。しかもついでにと寄りたかったところに寄れず、これを書いている時はベットの上で痛みに耐えながらゴロゴロしている。お陰で裏路地にある例のカフェに行くことも出来ず、近くの砂漠のポケモンと戯れる(戦闘)も出来なかった。近くにある遺跡に稀に現れる隠れ特性のウォーグルともやり合えなかった。まあでも………。

 

 

それでも嬉しい事もあるもんだ。

 

 

 

 

 

 

「主よ、どうだ?」

 

「ああ、気持ちいよ」

 

「そうかそうか、それは良かった」

 

俺の背中に跨った女性が腰の辺りに手を押し当てギュッギュと押してくれる。それだけなのに強張った筋肉が解れていく感覚と心地良さが身体中を包み込み、俺から疲労感を抜き取っていく。思わず声が漏れそうになるが男の喘ぎ声とか誰得だよと思いながら枕に顔を埋めて声が漏れない様にしている。

 

「それにしてもコジョのマッサージ気持ちいな。やっぱ『かくとうタイプ』だからなのか?」

 

「いや?この間主が我々に受けさせてくれたマッサージを自分流に改良してみた」

 

「マジかよ………」

 

唯の一度受けただけのマッサージを覚え、それを俺の為に改良してくれたと思うとマッサージの心地良さとは違う気持ち良さが心を満たす。自分は誰かに尽くすのに向いた人間だと思っているが、誰かが俺に尽くしてくれると言うにはやはり嬉しいものだと思いながら俺にマッサージを施してくれている彼女の姿を見るべく視線を動かす。

 

 

薄い紫がかったショートヘアー、前髪に微かに入ったオレンジのメッシ、耳の様な癖毛。衣服はチャイナドレスと呼ばれる物で、彼女の原型たるコジョンドの様な長い袖余り気味のチャイナドレスに、下半身には濃い紫色のダボっとしたズボンを履いている。その姿は各地で何度か対戦を持ちかけられた格闘家の女性に似て_________!?

 

「いででででっ!!」

 

「主よ、今我ら以外の女の事を考えてたな?」

 

いとも容易くバレテーラ。

 

「はぁはぁ、よく分かったな………」

 

「主は気配に出やす過ぎる。他の(おなご)は騙せても、我は騙せんよ」

 

そう言いながら俺にその豊満な胸を押し付け、耳元にフゥと息を吹きかける。その見た目、10代後半の身体を象ったコジョの体は全体的に整っていて、俺のパーティー内でかなり肉つきが良い。その割に下半身はしっかり隠されているのに上半身は胸に何も付けず、服の横が空いてる所為で横乳が見えてしまっている。いくら外見が12、3歳でも中身は元々二十代の男、ドキドキしないはずがない。

 

「ふふふっ、冗談だ。我は主の付き人(ポケモン)、お主が結ぶ人との交友関係に口は出さん」

 

だがなと、コジョは一息置いて俺の耳元で呟く。

 

「我らを捨てる様な事は、決してしないでくれ………」

 

掠れそうな声で告げるコジョの言葉に、俺は起き上がり静かに笑いながら涙の伝う頰にそっと触れる。彼女は今こそこうやって明るく振舞っているが、実はちょっとした過去を抱えていたポケモンだ。でもまあ、その話はまた今度にしよう。

 

「大丈夫、俺は絶対にお前らを手放さない。もしもお前らから離れていっても、来るなと言っても付いていくし引き戻す。安心しろ」

 

俺はしっかりコジョの目を見ながら告げる。潤んだ茶色の瞳が更に揺らぎ、それを隠す様にキュッと瞼を閉じて目元を擦る。

 

「主……」

 

コジョは感極まって俺に抱きつく。女性らしい肉つきの体が伝わって来て心地よい。香りも男の俺とは違いさっぱりとした爽やかな香りがする。武術派のポケモンなのに筋肉質の感じは余りしないので不思議な感じだ。

 

「絶対、離さないからな………」

 

「ああ」

 

視界の端で俺のボール達がガタガタと揺れる。後で彼奴らになんて言い訳しよう、そんな事を脳の片隅に置いやり今はコジョをギュッと抱きしめた。

 




という訳で今回はコジョンドでした。この子は完全に擬人化イラストに惚れました。余裕あるお姉さんキャラにしようと思ったら甘えん坊キャラみたいになっていたでござる。………ドウシテコウナッタ?

竹嶋えくさんのイラストを参考にしています。
詳しいキャラクターデザインの方はニコニコ静画にどうぞ

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