♀ポケに愛されて   作:愛され隊

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ポ二島巡り

ゞ日ゞ日

 

 

島巡りが忙しいかつ疲労困憊でここ数日書かなかったからいろいろ書きたい事はあるが、今更何日前に何したのか忘れてしまったから今日は今日の事を纏めたいと思う。

 

 

出会いは唐突だった。

 

 

これはポニ島での試練と大試練を終えた俺たちは全試練攻略完了を祝い、ポニ島の海上レストランで周囲の客を巻き込んで盛り上がり、ポケモンセンターに戻る道すがらの事だ。海辺に1人、少女が倒れていた。

 

 

青い縁取りの為された白フリルの水着、華奢で病人の様な真っ白な手足。そしてそれと同じぐらい真っ白でボリューミーかつ長い髪。靴は履いておらず、泣き所に掛かるくらいの長めの白い靴下。靴は履いていない。

 

 

あまりに通常から逸脱した容姿に、直ぐに普通ではないと気づいた。それと同時に自然と体が動き、彼女を抱え上げてポケモンセンターへと走り出していた。何故向かう先がポケモンセンターだったのか、瞬時にどうしてその方向に走り出したのかは覚えていないが、直感的に体が理解していたのだろう。彼女はポケモン、しかも俺の手持ちと同類の人型ポケモンだという事に。

 

 

結果を言うなら助かった。しかし何が原因か分からず仕舞い、一応安静という事でベットに寝ている。今は俺の隣でぐっすりだ。おかげさまで今夜はソファーで寝ることになったが、彼女の安静のためとなっては今更場所を移すわけにはいかない。

 

 

しかし………何か運命的なものを感じた。もしかしたらこの出会いは神様が仕組んだものかもしれない。

 

 

 

 

 

 

Θ月Θ日

 

 

翌日、彼女が目を覚ました。体調も良好なようで昨日のようなぐったりとした感じはなかった。

 

 

それで事情の確認を取ろうとしたのだが、彼女は一言もしゃべらない……というより喋ることができないようだった。口をパクパクしていたが何と言っているのか、聞き取れなかったのだ。だから間に通訳としてきもちポケモンのラルトスを立たせることで感情を読み解き、成り立たせている。そこで初めに何者なのか、どこから来たかを問うた。

 

 

結果は困惑している、という。そこで、記憶がないのだろうかと考えた。それなら道端で倒れていたことにも説明がつく。そこで次は一気に話を進めるべく何か覚えていることはないかと尋ねた。

 

 

今度の回答は悲しみ、察するに何も覚えていないのだろう。さてはて困った。この様子では何を聞いても答えはまともに返ってこない。それにそもそも自称聴取は意識の確認と疑問の解消程度の考えで気にするべきは彼女のこれから。彼女がトレーナーのポケモンでない事は先ほどジョーイさんから伝えられた。野生ポケモンの人化は現段階で発見されていない。そうなってくると彼女は何らかの異常(イレギュラー)で発生した存在という事になる。

 

 

そんな存在がいたらコレクターや希少なポケモンを捕獲するハンターなどに捕縛されて、行きすぎたら研究材料として研究所に……なんてこともある。ゲームではそういった描写はあまりないが、この世界ではそういったブラックな面も当然存在する。だからと言って記憶がない彼女をどうすればいいかなど俺にはわからない。

 

 

ここはやはり、そういった道のプロに任せるべきだろう……そう考えた。ポケモンセンターは警察や政府などからは独立していてよほどの事がない限り、何者の関与を受けない。それにポケモンを教育して野生に戻す活動もしている。任せるに越したことはないはずだ。そう考えてジョーイさんに考えたことを伝えると賛同してくれ、ハイパーボールを取り出し彼女の額にスイッチ部分を押し当てた。彼女の体は赤い光に代わってボールの中に納まった。普段ならそこでスイッチ部分が数回点滅し、最後に一段大きく発光したらゲットになる。

 

 

しかしそうは問屋が卸さないらしい。ビシッという嫌な音を立てながらボールに大きな亀裂が入り、木っ端みじんに砕け散り、一度収まったかに見えた彼女はボールから飛び出してしまった。あまりの事にジョーイさんもラルトスもびっくり。俺も結構驚いた。

 

 

今調べたことだから言えるが、この世界では各ボールごとに入れられる容量のようなものが決まっているらしく、それに納まらないポケモンはゲットできないらしい。ハイパーボールといえば伝説ポケモンすら収めることができる容量を誇る。それで収まらないという事はとんでもないことだ。その後何度か試したが納まることはなかった。

 

 

偶然ではない、そう分かったがそれはそれでとんでもないことだ。詰まるところ彼女は通常の伝説すら逸脱した存在ということになる。もう、ただ自然に返すという方法は失われたしだからと言って、どうにかできる具体的な案があるわけでもない。

 

 

どうしたものかとみんな揃って頭を抱えていると、彼女はベットから降り俺の腕に抱き着いてきた。その感情はラルトスによって読み取られた

 

 

『戸惑い』と『安堵』

 

 

それを聞いた瞬間、俺の中で一つの案が浮かび上がり、それを実行するためなら少なくとも自分が面倒ごとに巻き込まれることは容認できると感じた。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「これで良し」

 

俺は自分の荷物の中からパーカーを取り出し少女に着せる。背丈の違いから彼女の足はひざ下くらい隠れあまりおかしい感じはしなくなった。彼女もあまり嫌がる様子は見えず、どこか安心しているように見える。俺はその様子に一安心しつつ荷物を肩に担ぎ彼女の手を取る。

 

「さあ行こう、イド!」

 

イド、それは学者フロイトが提唱した精神分析の用語で本能的衝動の貯蔵所を意味する。なんだかその名前が彼女にぴったりなような、そんな感じがした。

 

「………」

 

彼女は一つとして表情を変えない。でも、どこか嬉しそうな気がした。




今回のポケモンはぬるはけ100さんのイラストをモデルにしています。

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