♀ポケに愛されて 作:愛され隊
O月V日
今日もまた一日中忙しかった。キャプテンのカキとマオの試練の攻略としまクイーン、ライチとの大試練。チルの飛行能力のお陰で移動時間を大幅に短縮。登山なども危険な道は同じく陸用ライドポケモンの認定を受けたムウに捕まって移動したりと危なげなく突破。
カキの試練ではエンニュート、マオの試練ではラランテス。ぬしポケモンなだけあって他のポケモンとは違い驚異的な力を持っていたが、それでもうちのメンツが負ける通りなどない。余裕勝ちだ。
因みにアマージョはラランテス撃破後、お別れした。彼女は離れたがらなかったし、マオもゲットしてあげれば良いのにと言っていたが最初から連れてくるだけの予定だったし、彼女から『側においてるとヤバい』という嫌な予感がヒシヒシと伝わって来たのでジャングルのクイーンにでもなって貰おうと思って押しつ……コホン、送り出そうと考えた訳だ。
結果的に見れば成功。ただ俺は大切な物を失った………ファーストキスだけど。お陰様でやっぱ、ポケモンとの付き合いって難しいなと改めて思い知らされた。
そして3人のキャプテンを倒した後はいよいよしまクイーンのライチさんとポケモン勝負。カプ・テテフの眠る遺跡前で準備万端……だったのだが。乱入して来やがった不届き者が現れやがった。プルメリとか言ったか?ド派手な髪色とファッションのファンキーなスカル団の女幹部。どうも、俺がぶちのめした下っ端共の敵討ち?に来た様子だった。なぜハテナが付くかというと下っ端の為に来た割にはあまり敵意を感じなかったのだ。どちらかと言うと腕利きのトレーナーと戦いたい、戦闘狂に近い何かを感じた。
当然ぶちのめした。ポケモンの構成も下っ端達の傾向から粗方察していたから技範囲の広いムウにお任せ。ゴルバットを電気技で落とし、ヤトウモリを岩技で落としてハイ終わり。はっきり言ってプラズマ団に比べたらまだまだ、統一された思想を持たない不統一な団を纏めてる程度じゃこの程度かとスカル団の評価を更に下げた戦いだった。勿論何もさせない、2体とも一撃必殺で決めた。
最後に捨て台詞を吐いて引いていく小物を見送り、ライチさんにバトルを申し出ると拒否られた。流石に勝てる気がしないだとか……諦めるなよ!?というのは冗談で、スカル団の幹部に余裕勝ちした功績を讃えてのものだという。これは嘘をついている匂いだと思ったが黙ってイワZを受け取った。
それじゃあこの島からおさらば、と思ったのだがそうは問屋が卸さない。エーテル財団のザオボーと名乗る奴から誘いを受けて海洋の人工島、エーテルパラダイスへ向かう事に。なんでもポケモン保護を掲げる団体の施設だとか………胡散くせぇ。そういう信念掲げてまともだった団体とかあるか?
それでも其処での出会いは俺にとって有意義だった。代表のルザミーネさん、その愛娘のリーリエ(兄が居るそうだが家の規則が嫌で家出中だという)、副支部長のビッケさん、その他職員の方々。ポケモン保護を掲げるだけあってその行動は理にかなっている様に思えた。今回ばかりは、信頼しても大丈夫だと思いたい。
というか、ルザミーネさん40歳とか嘘だろ!?美魔女とかそういう域悠々超えてるんだけど!?素で「代表さんお若いですね」とか言っちゃったよ。思い切り的外れでクスクス笑われて少し恥ずかしかった。リーリエも此れには苦笑いを浮かべていた。ビッケさんだけは「誰でも代表の年を最初で当てられた事はない」と言ってくれたがその慰めはいらないです。
◇
「すいません、代表の御客人なのに手伝わせてしまって……」
「いえ、別に客人って意識はないし気にしないで」
俺はエーテルパラダイス内の一室を今日の宿として借りる事になった分何か恩返しがしたいと職員達に混ざって仕事をこなしていた。今はポケモンに与えるきのみの保管状況の確認中。
「少し、聞いてもいいですか?」
「はい?」
俺は仕事が終わり掛かった頃合いを見てその職員に代表や副支部長の印象を聞いてみた。こういう組織は上が1番の黒幕である事が多いという経験則からだ。
「代表は素晴らしいお方です!身寄りのない捨てられたポケモンや酷いトレーナーに怪我を負わされたポケモンに心を傷まれ、この地方で誰よりも先に保護を始めたんです。この人工島も財団の規模拡大に合わせて作られたのだとか!後他にも色々な活動を________」
うん、さっきまで疑い深くなっていた俺が恥ずかしい。ルザミーネさんめっさ良い人やん。掌返すようで申し訳ないけど、話している彼女の態度や目の輝き、彼女のやってきた事を聞いたら完全良い人すぎて泣きそう。洗脳されている、話を盛っている、一般職員だから裏事情を知らないだけで実は……という可能性も見た感じなさそうで本当恥ずかしい。これで洗脳でしたとか言われたら俺もう誰も信じられなくなる。
それにビッケさんも良い人すぎ。メッチャ職員に慕われてる。しかも誰にでも平等だし職場環境の管理もビッケさんの役割だそうで今の環境見たら信じざる得なくなる。本当疑った事に対する罪悪感がやばい。申し訳ない気持ちでいっぱいになってくる。
もうエーテル財団シロでも良いよね?と俺の頭の中で採決が取られようとしている。こうなったらついでに聞いとけとザオボーさんの事も聞いてみた。
「あぁー……ザオボーさんね?」
だが帰ってきた反応は優れない。なんでも、彼はポケモン保護に積極的ではなく内業が殆どで、外回りも保護は一般職員に任せきりで自分は何もしないという。此処まで聞いただけならただの無能上司かと思っただろう。だがその次は聞き逃さなかった。
「何か分からない研究をしているって噂があるの……」
おk、把握した。これはクロだ……しかも中々稀な幹部が1番の悪役パターン。ルザミーネさんやビッケさんが彼を警戒しているようには見えなかったから、一枚噛んでいるか、もしくは気づいていないか。その辺はまだ分からない。でも、1つだけ確信できる事がある。
「(彼奴はいずれ尻尾を掴んでみせる)」
怪しい奴が見つかったからにはマークして行動を起こしたらボコす。それは俺のやり方だ。