♀ポケに愛されて 作:愛され隊
R月§日
俺、警察のお世話になりました。
こう書くとまるで俺が犯罪者みたいな字面になる。勿論本当に犯罪を侵した訳ではない。この地方ではポケモンによる無断飛行を禁止しており、島で育てられたライドポケモンか、審査を通ったポケモンしか乗る事ができないらしくチルで飛行していた俺は見回りをしていたライダー警察にしょっ引かれたのだ。それでまあ初犯である事や規則を聞かされていなかった事もあって罰金とライドポケモンの申請手続きだけで済まされた。もし刑務所入りとかなったらマジ笑えなくなる。
その代わり申請所のお姉さん方にはチルを連れてた所為か冷たい目で見られました。Mでも変態でもないからその視線は効くのなんの。まるで養豚場の豚を見る目で肝が冷えた。結局人型ポケモンの説明や飛行能力のテスト、それらに1日費やしましたとさ。結構疲れた。今日はこれで終わりにしよう。
R月!日
メレメレ島しまキングのハラさんのお宅にお邪魔して今日はこれを書いてる。スクールで会ったことのあるノーマルの使い手イリマが出す試練と格闘タイプの使い手でしまキングのハラさんが出す大試練を1日で攻略した。ハラさん曰く中々の速さらしく最速は半日(自己申請の為真偽不明)だったらしい。いやオカシイだろと思った。
特にイリマの用意した茂みの洞窟は電気石の洞窟程ではないが中々広々としておりゲーム内だと30分程度で済むであろうマップ探索がこっちでは平気で半日近くかかる。コラッタ(リージョンフォルム)が巣穴を転々と移動する所為でまるで捕まえられる気がしなかった。最後は突如乱入してきたスカル団のしたっぱのお陰だったし。スカル団に対する印象は悪いままだが、負けてもアッサリした感じで悪人になりきれてない感が漂っていたのは良かった。アニポケのムサシやコジロウの様なキャラは嫌いではない。
だってサトシのピカチュウを執拗に追っ掛ける執念深さと時に顔を出す良識人としての一面。ああいうキャラは個人的にグッとくる。映画じゃ綺麗なジャイアンみたいにサトシ達助けるし。ルギア爆誕の時の活躍は眼を見張るものがあった。知らないならチェックするべきそうすべき。
まあそんなこんなでぬしポケモンが敵討ちと言わんばかりに現れて戦闘。残念ながら指示者の有無と人型のスペック差というべきか、余裕勝ち。これにはイリマも驚いていた。というかあのぬしポケのラッタ、イリマが育てて野生に放った物らしい。通常野生の生態系で人が育てた生き物はその生存権を握れず死んでいくのが常だ。イリマは余程あのラッタを野生レベルの残忍さで育てたのだろう………書いてて寒気してきた。
そしてしまキングハラさんとの勝負。これまた余裕勝ち。まあ島巡り最初のしまキングだからか、相当に手を抜いている様でどのポケモンもまだ未進化のマンキー、マクノシタ、マケンカニ。それでも十分な素養を感じた辺り流石はしまキングのポケモンだと尊敬の念を感じた。
それで、ノーマルZとカクトウZを貰ったのだが使い方を分からずムムッと考えていたらハラさんがZリングという物が必要で、それはメレメレ島の守り神カプ・コケコから授かる石で作り出すのだという。それならと俺は島に到着した時に出会った伝説のポケモンから貰った石を見せるとハラさん糸目をギョッと開いて仰天。ブツブツと何か言っていたがカプ・コケコの石で合っていたらしく、Zリングを翌日までに作ってくれるらしい。それでハラさん宅にお邪魔している訳だ。
先程まで夕飯をご馳走になったりハラさんの孫であるハウとポケモン勝負をしたり、楽しいひと時を過ごさせて貰った。昨日のあの出来事もとうに昔の事の様に感じる……訳でもないが気にしない事にしよう。
明日からはいよいよ第二の島。ライドポケモンの申請も明日には終わる。これで島間の移動も楽になるし明日の内に試練の1つか2つはクリアしたい所だ。だからいつも以上にしっかり寝ておこう。
◇
「寝れねぇ………」
「ガァ〜〜」
「ゴォ〜〜」
隣で轟くハウとハラさんのいびきの所為で寝れるわけがない。下手したらケッキングやカビゴンの騒音紛いのいびきと同レベルなのではと思える程だ。
「此奴らは此奴らで快眠しやがって……」
俺の手持ち達は防音機能のあるボールの中に篭って寝てるからお陰様で俺だけ目が冴えてしまいテラスに出て夜空を眺めている。
「にしても、やっぱり綺麗だなぁ……」
そこに広がっているのは満天の星の絨毯。星の並びや名称など俺は全く知らないがそんな事気にならない。そう思えるくらい圧巻の光景だ。
「………メイ達どうしてるだろ?」
そう言えば彼奴別れ際に何か言ってた様な………なんだったっけ?
「やべぇ……」
まるで思い出せない。あの時は次に待つ四天王戦にばかり意識が行ってて細かい事忘れてる。これ、今度会った時怒られるかも。
「まあ、なんとかなるだろ」
楽観的に考えとけばなんとかなるもんだ。無理に悩み過ぎても変わらない。決してメイが怖いから現実逃避している訳でもないし向かってきてもウチの手持ちがなんとかしてくれる筈……いや、もしかしたら同じ性別として共感し合って共闘戦線を張ってくる可能性が?
「暑い筈なのに震えてきた……」
何故だ、今まで彼奴には人間版インファイト食らったりアーボックツイスト決められたくらいだ。何を怖がる必要がある?人に破壊光線を打つ様な奴もいるんだから此れくらいこの世界じゃ普通だ。……普通とは、いったい?
「カジィ?」
「そうか、お前も分かってくれるのか?」
赤い木の実の様な形のポケモンが俺の肩上で小さく声を掛けてくれる。それと同時に広がる甘い香りが俺を癒してくれる気がする。
「…………てか、お前誰?」
「カジ?」
完全にこの世界に毒されて反応が遅れたが俺の肩上に乗っているのはポケモン、しかも俺が知らないという事は新ポケモンの筈だ。俺はそいつが逃げないようにそっと、ククイ博士にアップロードして貰ったポケモン図鑑を翳す。
アマカジ
フルーツポケモン
タイプ・くさ
美味しそうな香りが身体中から漏れ出している。匂いに誘われたドデカバシに丸呑みにされる。
匂いで誘って返り討ちもしくは捕食じゃないんかい!!お前が喰われるんかい!!
「カジカジィー!」
「なんでそこまで誇らしげなの?」
もしかして捕食から逃げ延びる事がアマカジ達の生き甲斐なのか?というかアローラ食物連鎖激しスギィ!!何種類かのポケモンに対立関係について言及されてるし!
「てかお前ここ周辺の出身じゃねぇじゃん」
分布表を広げてもメレメレ島に印は1つとしてついていない。代わりに隣の島に印が付いている。
「アーカラ島?」
丁度次行く島が主な生息地じゃないか?そこのシェードジャングル……パンフによると試練の場所か。もしかしたら子供のこいつを、鳥ポケモンは食べる為に捕まえたけど食い出がないから放置したのだろうか?それか捕まえたけど要らなくなって捨てたクソトレーナーがいるのか。
「お前、住処に戻りたいか?」
「カージィー?」
丸っこい体に愛嬌のある顔。あら可愛い、じゃねぇな。子供みたいだし自分の置かれてる状況が分かってない様だ。もしかしたら、親が血眼で探しているかも知れないし、連れ帰ってやりたいと思った。
「なあ、アマカジ」
「カジッ?」
「付いてくるか?」
「! アッマー!!」
俺の肩から降りてピョンピョン飛び跳ねるアマカジ。それにしても、夜なのに元気だなーと、気づけば眠気でボンヤリとしてきた意識の中でそんな事を考えていた。
現在エーテル団の扱いを少し悩んでます。個人的には服装通り真っ白潔白(仕事は