♀ポケに愛されて   作:愛され隊

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愛する者達
ドレディア


ドレディア

はなかざりポケモン

特性 ようりょくそ・マイペース

高さ1.1m 重さ16.3kg

 

頭の花飾りの香りはリラックスさせる効果がある。手入れを怠けると枯れてしまう。美しい花を咲かせるのはベテラントレーナーでも難しい。セレブに人気のポケモン。

 

 

〜ポケモン図鑑からの引用〜

 

 

 

 

○月□日

 

 

三日坊主の激しい俺が日記を付けているとライブキャスター越しに家族へ言ったことで、周囲から病気扱いされて辛い。

 

 

母は「辛くなったら帰って来なさい」と慈悲深い目で言われ、父親には「今すぐ帰って来なさい!」と急かされた。何か?俺が日記を書いてる事は天変地異の前触れとでも言うのだろうか?確かに両親の前ではあまりそういった趣味を見せず、習い事もすぐに辞めていたし。否定する材料もなく、否定する意味を見出せなかった俺は適当に話を終えた。無駄だしな。なんたって俺は、あの2人の"本当の子供"ではないのだから。

 

 

おっと、日記に何度も書いてきている事だが改めて此処にしたためておこう。俺は元々この世界の生まれではない。今では記憶も定かでない何処か遠くの世界から俺はこの世界に幼子として生まれ落ちた。お陰様で知識は前世の物を引き継ぎ、精神年齢も記憶がある限りの20台前半。その所為で今まで土台を担っていた物、歴史などの一部知識は音を立てて崩れ切った。その上精神年齢が高い所為で幼児プレイとか頭がおかしくなりそうだったし、(身体年齢)同世代の子供との付き合いも非常に苦労した。

 

 

ポケットモンスター、その名前が引き金となり俺はこの世界に希望を見出した。俺が昔から好き好んでプレイしていたゲーム、アクションゲームが苦手でゲーム友達からも「お前弱すぎwww.」と草を生やされるレベルだった俺が唯一彼らに勝ったもの。個体を厳選し、只管に戦術を探り、掛け合いを制する。やり込みの度合いがはなから異なり、唯一俺の得意としたゲーム。その世界に、俺は生まれ育った。

 

 

当然だがこの世界ではゲーム時代とは様々な事が大きく異なる。

 

まず1つ目、あらゆる攻撃を"一応"回避出来るというものでゲーム上100%の命中率を誇る技も躱す事が出来る事。勿論、必中技などは何らかの効果で追尾し、何らかの策を講じなければ喰らう。だがそれ以外の技は『避けろ!』だったり『躱せ!』と指示すれば可能な限り回避してくれる。勿論その状況などによって色々変わってくるが、それはその場合場合すぎて俺は言及できない。恐らく言及しようとすれば出来なくもないが、この日記帳に書くほどでもないだろう。

 

 

2つ目は、技の使用用途や応用力が半端ではなく戦略の幅が圧倒的に広いという事。例えば分かりやすい例として10まんボルトを引き合いに出すとすれば、一本に纏めて高威力の一撃にするか、拡散させて低威力の広範囲攻撃にするか。はたまた一部の部位に集約して何かしらの動作に上乗せする事が出来る。勿論それだけではない。ダブルバトルなら水ポケモンの水攻撃に乗せて流したり、鋼タイプの味方ポケモンの体に帯電させる事で擬似ゴツメの様な事まで出来る。

 

 

そして3つ目、レベル上限という概念が存在せず、それ以上の何かが存在する事。確かにゲーム世界のように地域ごとにパワーキャップみたいな物が決まっているようで、俺が出発したカノコタウン付近はまだまだ初心者やその場で捕まえたポケモンを手にしたばかりの人が勝負を挑んでくる。しかし冒険中に気づいた、いや気づかされてしまった。それはテレビでやっていたイッシュリーグ優勝の挑戦者VSイッシュ地方四天王の1人目"カトレア"との勝負。普段では公開されないそれを、今回は生放送されるという事で誰もが食い入って見ていたそれを俺も一緒になって見ていて、絶句した。一方的な蹂躙に、あれはポケモンの技なのか?そう疑問を抱かずにはいられない程大規模かつ繊細な真に化け物じみた攻撃。まるで見せしめを見ているような非情な現実がこれを見たトレーナーの上にのさばった。地面が隆起し腕のようにポケモンを掴み上げ動けない所をサイケ光線で一撃、そもそもサイケキネシスを受ければ逃れる間も無く瀕死まで持っていかれていた。結局、カトレアはゴチルゼルだけでチャレンジャーを打ち破ったのだ。

 

 

誰もが恐怖していた。俺だって恐怖した。何たって予選リーグの優勝者、一般トレーナーの頂点とも言える挑戦者が何も手足の出ないままボコボコにされたのだ。まだそこまで至れもしていない自分達にあの化け物が倒せるのか?どれだけ自信過剰なお坊ちゃんでも、伝説のポケモンを所有している者でも、その長い鼻をへし折られた事だろう。

 

 

でも俺が感じたのはそれだけではなかった。確かに彼女のポケモンは強い。それこそ今の俺では到底届きはしないだろう。でも、まだ諦めるには早すぎる。なんせまだ俺は伸び代がある。試していない事も、出来ていない事も多すぎる。その日から俺の世界は今までに無い程の輝きを放ち始めた。

 

 

 

 

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

日記帳を閉じた俺の背後から声がした。最初こそ戸惑いがあったが、既に慣れきった俺はその声の主に視線を向けるべく机に向かっていた体を彼女の方に向ける。

 

「何でもないよ、レディ」

 

「そうですか?」

 

見かけ年齢十代前半の少女。緑のセミショートの髪、そのアクセントに被った花を模した大きな帽子。衣服は緑でロングなバブルスカート、アクセントに黄色のエリが付いている。

 

 

 

こんな可憐な少女を『ポケモン』だなんて、誰が思うだろうか?

 

 

 

はなかざりポケモン、ドレディア。俺が御三家ポケモンの誘惑を振り払い、初期の頃から共に戦って来た大切な仲間の1人。そんな彼女が人の形を取った姿である。

 

「そうだ!マスター、見てください!」

 

レディは後ろに隠していた手を前に出す。その手にはカゴが握られており、中には色取り取りの木の実が盛られている。モモンにオボン、挙げ句の果てにはスターやチイラの実なんかも入っている。近くの森からとってきたのだろうか?しかし残念、俺達は今はソウリュウシティのポケモンセンターに宿泊中な為、近場にきのみが豊富になっている森は存在しない。何処から持って来たと思わないでもない。

 

しかしこれは今回だけの事ではなく、かなりの頻度で起きている事だ。因みに、どこから見つけて来たか聞いてもいつもはぐらかされてしまう為、聞くのは諦めた。

 

「良くやったな、偉いぞ」

 

「えへへ〜〜♬」

 

俺が頭を撫でると嬉しそうに表情を緩める彼女が愛らしく、ついつい時間を忘れて撫で続けてしまうのは俺の悪い癖かも知れない。決して特殊性癖の持ち主では無いので悪しからず。

 

 




というわけで1匹目はドレディアです。同時の私は彼女を手に入れる為にホワイトを買ったと言っても過言では無かった。それだけ作者の印象深いモンスターです。

竹嶋えくさんのイラストを参考にしています。
詳しいキャラクターデザインの方はニコニコ静画にどうぞ

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