各地で時空融合が開始して、各地に甚大な被害が及んでいた。
それにはサラ達の世界も影響が及んでおり、アウラの民達は宮殿へと避難をしていたが、時空融合の嵐が宮殿にまで迫っていた。
ミスルギ皇国に居るネロスは大きな地図の上に人形を置いて、位置を動かしながら皆の行動を見ていた。
女神の人形を動かして、無数の船の方に動かし、それにネロスは笑みを浮かばせていた。
そしてインフィニティのブリーフィングルーム、マサト達はその様子を映像で見ていた。
ニコラスとリクトは思わず拳を握る。
「クソ!何でもかんでも作り直してやがる!」
「このままだと、本当に世界が......」
「ネロス....嫌、桐山の野望を打ち砕いてやる!」
マサトは左の義手で拳を握る。
「おいマサト!まだアンジュが戻ってないんだぞ! 先走るのは早いぞ!」
ヒルダはまだ戻らぬアンジュの事で怒鳴り、それにマサトは言う。
「心配ないさ。アンジュはタスクと一緒に戻って来るよ」
っとマサトがヒルダにそう言った時だった。
『...ちら...ジュ、応答せよ!』
《?!》
「な、♪」
海面上に低空飛行で飛んでいるタスク達がインフィニティに通信を入れていた。
『アウローラ!インフィニティ!返事しなさい!』
相変わらずの怒鳴りに通信を聞いていたレオン達は呆れてしまい、オルト達はインフィニティとアウローラを浮上させる。
浮上して来たインフィニティとアウローラを見て、タスクとアンジュはモモカを連れてインフィニティへと入って行った。
収納された三人は格納庫で待っているレオン達に向かい入れられる。
「「アンジュ!!」」
「お帰り!!」
すぐさまヒルダ達がアンジュの元に行き、アンジュは笑顔でヒルダ達に言う。
「ただいま皆、遅くなっちゃってゴメン」
「たくっ!何処ほつき歩いてたんだ!てめぇはよ!」
ロザリーが相変わらずの意地悪風な言い方でアンジュは安心し、マサト達はタスクに近寄る。
「待ってたぜタスク。随分と遅い帰投だったな、何があったんだ?」
「あはは....、ちょっと、色々あってね」
タスクは苦笑いをしながらマサト達に言う。
するとエマがやって来てモモカの姿を見て安心した。
「モモカさん!無事だったのね!」
「監察官さん! あっ...お酒やめられたのですね?」
モモカはその事をエマに言い。エマは目線を反らすも何とも情けない表情で言う。
「飲んでいる場合じゃないわ....、私もリベルタスに参加します!!知ってしまったもの....人間とマナの真実を!」
するとアンジュが格納庫にエルシャのレイジアとジョアンヌのイクスが収納されている事に驚く。
「あれって!?」
「ああ、エルシャ達が戻ってきたんだ。そしてジョアンヌもようやくネロスの本性に気付いたらしいんだ.....だけど、」
「だけど?」
アンジュが戻る半日前、牢屋に入っているエルシャとジョアンヌの所に、ガイとマサトが来た。エルシャの話を聞くと、ネロスが幼年部の子供達を利用されたことに、それで目が覚め、自分が子供を護る事しか何もない、浅くて薄くて...ちょろい女だって言う事に.....。しかし、ガイはエルシャはそんな女性じゃないと、おっとりしていて、いつも子供や皆を護ろうとした。そして何時だってアンジュの友達でいてくれたことを.....だから、エルシャは浅くも薄くも、ちょろくもない綺麗な女性と......。ガイの言葉にエルシャは大泣きしたが、本人は嬉しかったと......。問題は、ジョアンヌの方であった.......彼女の父であるエース...『アシュフォード』は.....ジョアンヌの母であるアリーシャを生き返らせたが、遺体もなく、他の人の体を生け贄にして生き返らせた死者は生者に襲い掛かる。そのアリーシャがエースに襲い掛かり、ジョアンヌにネロスの本性を伝えたと.......
「そう二人が....」
「あぁ、ジョアンヌもエルシャも.....一緒に戦ってくれると.....」
達に説明によりアンジュは納得する。
「何も知らないのは貴女だけですよ?」
っとそこにサラ達がマサト達の元にやって来て、それにアンジュは振り向く。
「サラ子!」
「アウラの民とノーマ、そしてハデス、鬼の民、貴族連合に反ディーラ派である者達が集い、今こそ立ち上がる時です」
「フッ。そうね」
そう笑みを浮かばせてサラと握手をするアンジュ。
っとアンジュはサラ達の後ろに居るリィザを見て、リィザは少しばかり目線を反らす。
「....モモカから聞いたわ、居場所を教えてくれたですってね。忙しくなるわよ?あの男を抹殺しなきゃいけないんだから!」
アンジュが言った言葉にリィザは振り向く、謝罪の言葉は後回しで良いと言う事に....。
「アンジュリーゼ....様」
聞いたマサト達とサラ達は笑みを浮かばせ、モモカは笑顔で微笑む。アンジュはマサト達やサラ達の中にアレクトラがいないことに気付く。
「あれ?....司令は?」
「司令なら.....」
マサトはアンジュにアレクトラの事を話した。
事実を知ったアンジュはアレクトラを謹慎している司令室に入る。
「良く帰ってこれたな....」
「えぇ、皆のおかげよ.....」
「んで、私を笑いに来たのか?」
アレクトラはそう言うが、アンジュは、
「聞いたわよ、マサトから.....ネロスの手込めにされていたそうだね」
「っ.....」
「ま、貴女みたいなお馬鹿な人は、漬け込まれるからね」
「喧嘩を売りに来たのか?」
「聞きたいことがあるのよ......ネロス....桐山 次郎の殺し方を教えて」
「何?」
「アイツは1100年も生きて、死ぬ度に多重存在と入れ代わる......タスクやマサトが言っていたわ.......貴女、言ったわよね...ヴィルキスじゃなければ殺せないって....」
アンジュの問いに、アレクトラは返答する。
「.....その不確定世界の何処かに、奴の本体があるんだ...」
「そう、それで?これから貴女はどうするの?」
「......私はもう、司令官の任を剥奪されたよ」
アレクトラの言葉に、アンジュが怒鳴り、アレクトラの胸ぐらを掴む。
「腑抜けた事を言ってるんじゃないわよ!貴女の勝手な復讐のせいで、何れだけの死人が出たと思っているの!!?」
「フンッ!私に何が出来ると言うのだ.....革命にも失敗したこの私に....」
パシュッ!!
アンジュはアレクトラの頬を平手打ちし、あることを言う。
「私を助けてくれたの.......サリアよ」
「何?」
「.....哀れだったわ......貴女を忘れようと、あの堕天使に漬け込まれちゃってるわ......責任...ないとは言わせないわ........アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ....」
アンジュはそう言い、司令室から出ていく。
その頃、格納庫では、決戦に備えて、準備がチャクチャクと進められていた。
「良し!最後に電磁パルスを起動すれば完成だ!」
ハデス兵士や整備上達がマサトが過去から持って帰ってきたデータを元に、秘密兵器が完成しようとしていた。それを見ていたマサト達は見物していた。
「ほぇ~!これが対モビルアーマー殲滅兵器か.....」
「そう、奴等は恐らく.....女王蟻の命を受けているように様になっている」
「女王蟻?」
「プルーマとバグ、ピレスドロイドは恐らく.....随伴機だと思う」
「え!?それってつまり、アイツ等はモビルアーマーを護るための飾り物って言うのか!?」
「あぁ、多分....随伴機を突き動かしている母体があると思う.......それで、これを使うのさ♪」
「その兵器は.....一体何を出すんだ?」
「......超短波だ♪超短波で、奴等の動きと連携を乱し、激しくぶつかり合う......そうすれば、それを危機に母体が姿を現す。そして母体を破壊すれば、」
《随伴機が動けなくなる!》
「そう.....そうなってしまえば、切り札であるモビルアーマーは使えない、ゲームオーバーさ♪」
「ほぉ~....面白いことを考えるなぁ」
マサト達の所に、回復が順調中のジュライが車椅子に乗って現れた。
「ジュライ陛下」
「モビルアーマーの女王蟻を殲滅か.......流石、ユリウスとイリスの息子さんだ♪」
「え!?父さんと母さんを知っているのですか!?」
「知っているとも.....彼等は良き友であった.....」
「知らなかった.....本当の父さんと母さんにはアンジュのお父さんと知り合いだったなんて....」
「ソフィアもな♪」
ジュライとマサトが話し合っていると、
「お父様!?」
マサト達の所に、アンジュが現れた。アンジュは処刑され、死んだと思われた父を見て、驚く。
「何で.....ここに!?」
「.....アンジュ」
するとアンジュの目に涙が溢れる。ずっと死んだと思われた実の父親と....やっと再会出来た事に。
「お父様!」
そしてアンジュはジュライの膝の上で泣き崩れ、ジュライも我が子を抱きしめ、泣く。
「生きていたんだね!お父様!」
「あぁ!....ずっとお前の事を心配していた!貴族連合の者達が....ネロスによって幽閉されていた私を助けてくれたんだ!」
アンジュと父 ジュライの再会に、涙を流す者達もいた。