マサトはアルゼナルの食堂にて、今日の献立を貰っていた。
「わぁー!」
ココが今日の献立のデザートのプリンを貰って大喜びすると、新人のミランダは呆れる、
「またとっとくの?たかがプリンでお子様だなあ~」
「もうお姉さんぶらないでよ。あ!マサトさんにアンジュさん!」
ココとミランダはマサトとアンジュが座っている席を見つけ、そこに向かおうとしたが、
「おや?これはこれは痛姫さま。あんなに何でも出来ちゃうお方が好き嫌い~?」
そこにヒルダとロザリー、クリスの三人がやって来て、マサトの隣にロザリー、アンジュの隣にクリスが座って来た。
「しっかり食べないといざっていう時に戦えないよぉ?」
ロザリーがアンジュの食事を取って自分の皿に移し、からの皿をアンジュに渡す。
「(こりゃ、ひでぇ.......)」
マサトが思い込んでいると、
「......あなたもよく食べられますわね。それ....」
「あらあら、しっかり食べないといざっていう時に戦えないよぉ?」
アンジュの放った言葉にロザリーの手が止まり、ヒルダがアンジュの方を向いて、言うと、ロザリーがアンジュの発言と態度にキレた。
「お高くとまってんじゃねえよ!」
ロザリーはアンジュに水をぶっかけようとしたが、アンジュの反応速度に容易く避けられた。
「テメェ!」
ロザリーはアンジュの胸元を掴むと、ヒルダが言う。
「止めなロザリー」
ヒルダはアンジュの方を向き言い続ける。
「イタ姫さま一つ忠告しておくわ。
此処はもうアンタのいた世界じゃない......早く順応しないと........死ぬわよ」
ヒルダはそう言うとロザリー、クリスと一緒に席を離れた。マサトとアンジュも席を離れると二人の前に、同じ新人のココとミランダが現れ、ココはアンジュにプリンをあげている。二人はとても仲が良く、笑っていると、ココとミランダはアンジュとマサトに礼をする。
「新人同士これからよろしくお願いします!」
「.......」
するとマサトはココの表情を見て、故郷にいる妹の事を思い出す。
「どうしたんですか?」
「ん?いや......故郷ににいる妹の事を思い出して.....」
「妹さんがいらっしゃるのですか?」
「うん.......五歳年下の妹なんだけど.....」
「「けど?」」
「酷く虐められてるんだ......兄であるノーマを隠し続けて.......結果、家で引きこもりになっちゃったんだ........妹を守る筈の俺がこんな有り様になって.......」
「そうだったんですか........あの、すみません思い出させてしまって.....」
「いや、良いんだ.....ココを見てたら......何だか笑顔で溢れていたあの頃のリナの事を思い出して......」
するとミランダはココを連れて、何やらひそひそ話をした。
「それなら、ココ....お願いしてみたら?」
「そうだね!」
「ん?」
「あの、マサトさん!」
「何?」
「あの、私.....マサトさんの事を"お兄ちゃん"と呼んでも良いですか?」
「........何?!」
「駄目ですか.....お兄ちゃん?」
ココのキラキラ目にマサトは心を撃ち抜かれた。
「(ハウッ!)......良いよ♪」
「やった~!」
「やれやれ、」
ミランダは呆れると、マサトは二人を見る。
「(何事もなければ良いんだが........兄貴として、頑張らないとな!)」
それからマサトはアルゼナル優位つの市場"ジャスミン・モール"の品物を見て回っていた。
「へ~、色々あるなぁ........ん?」
マサトはあるものに目が入った。それはカプセルのような機械で、マサトは中に入ると何かの操縦席と緑色をしたロボットと目の前に大画面だけであった。
「(何これ.........カプセル型のシュミレーション?)」
マサトは変な機械から出ると、アンジュがやって来た。
「あなたも買い物をしてたのですか?」
「まぁな......そっちは.......紙とペン?」
「えぇ、悪いですか?」
「......いや」
すると、そこにココがやって来た。
「あの、アンジュさんとマサトお兄ちゃんは外の世界ではどうやってお買物とかしてたんですか?」
「........望めば何でも手に入りました。望んだ物が手に入り、望んだ自分になれる。格差、暴力、差別もなく、困った事は何も起きない。全ての闇から解放されたマナの光に祝福された世界......」
アンジュは何気なく説明しているが、マサトは何でもお見通しであった。
「......(嘘だな........ノーマなら暴力と差別するくせに........何が祝福された世界だ......俺のダチと家族の方がまだマシの方だ......)」
「マサトお兄ちゃんは?」
「え?.....俺の方は、マナがなかったけど、アストラ兄さんとリナや友人達がいつもマナを使用していたからなぁ.......つまり、マナは便利が良いって事だ.....」
「本当にあったんだ、魔法の国!」
ココは外の世界の事で目を輝かせた。
「ありがとうございました」
アンジュはココにお礼をし、マサトは自分の部屋に戻ろうとした。
「俺はもう部屋に戻っておく、それじゃ」
「あ、あの!また、明日.....アンジュ様、マサトお兄ちゃん......あと、プリン食べて下さいね」
ココはマサトとアンジュに挨拶した。
「あぁ♪」
「アンジュリーゼです!」
二人はそう言うと、自室へと戻った。すると、マサトに異変が起きた。耳から金属同士がぶつかり、反動してかん高い音が響いた。
《キーーン!》
「.........耳鳴り?.......」
マサトは分からないまま、自室へと戻った。
数時間後、アンジュは買ってきた紙とペンで嘆願書を出してくれるようにと頼み込んでいたが.......結果は同じであった。
「まだ分かっていないの貴方は.......」
流石のエマは呆れていた。
「いやはや困ったものですよ。そいつの頭の固さには」
ゾーラも呆れていた。
「教育がなってないぞゾーラ」
「それはどうも.....だが、少年の方がしっかりとしてますがね~」
「.......フッ」
マサトは鼻で笑うと、
「では、皇女殿下をお借りします」
ゾーラが突然アンジュを強引に連れていった。
「キャ!?ちょ、ちょっと!?」
マサトはアンジュを見て、心の中で語った。
「(あ~......これは隊長の"あれ"をさせられそうだなぁ........皇女さん......頑張って行け.....!)」
すると、指令室の電話が鳴り、エマがとる。
「はい......なんですって!?司令!」
「来たか!」
「「エマージェンシー!第一種攻勢警報発令!」」
ジルはエマに冷静に警報を流すようオペレーターのパメラ、ヒカル、オリビエに言うように促した。
「マサト、お前も早く準備するんだ!」
「了解!」
マサトはジルに敬礼し、直ぐに発着場へと向かった。
格納庫に行くと、整備班長である少女"メイ"が量産型パラメイル『グレイブ』通称"ノーメイク"が出されていた。
「全電源接続!各機、ブレードエンジン始動!弾薬装填を急げ!」
マサトはライダースーツに着替え、第一中隊の所へ行く。
「アンジュ!貴方は後列一番左のパラメイルに、マサトは一番右のパラメイルに搭乗するのよ!」
サリアが指示を出し、マサトノーメイクに騎乗した。
『第一中隊は各自準備完了次第対応せよ!』
「準備完了!いくぞ!」
エマの指示にゾーラが言う。
「生娘共、少年、初陣だ!訓練通りにやれば死なずに済む.......お前達は最後列から援護隊列を乱さぬよう落ち着いて状況に対処せよ!」
「いぇ、イェス!マム!」
「了解!」
ゾーラの指示にアンジュ以外の皆が命令を受けた。
『全機発進準備完了!誘導員が発進デッキより、離脱次第発進どうぞ!』
「よし!ゾーラ隊出撃!」
オペレーターの発令に、誘導員達が離れたのを確認した直後、ゾーラ隊長が号令しベテランパイロット達が一足先に出撃した。
マサトは隣に並んでいるココとミランダに言う。
「準備は良い?......ココ、ミランダ?」
「「はい!」」
二人がマサトに返答した直後、また耳鳴りした。
「?」
『その子達を助けろ.......』
突然謎の声がマサトの耳に響き渡ると、ココとミランダ、そして先に出撃したゾーラが光出す。
「どうかしましたか?」
ココがマサトを心配すると、マサトは言う。
「え?いや、何でもない.......(今の声は誰なんだろう.........取り合えず、あの声に言う通りに従ってココとミランダを助けるか......)」
「ゾーラ隊!マサト機ボックスアウト!(出撃する!)」
ココとミランダと共にマサトも出撃し、空高く舞い上がった。空へ飛び立った第一中隊は指定されたポイントに進んでいた。
「モノホンのパラメイルはどうだ?振り落とされるんじゃないよ!」
「は!はい!」
「了解!」
「『目標視認距離まで後一万!』」
指定されたポイントをオペレーターが報告すると、ゾーラが言う。
『よーし!各機、戦闘態勢!フォーメーションを組め!』
《イエス!マム!》
各機はフォーメーションを組むとサリアがアンジュとマサトに指示を出す。
「位置について、マサト、アンジュ」
「了解!」
マサトはサリアの指示に従った直後、突然アンジュが離脱した。
『アンジュ機、離脱!』
オペレーターが言うと、マサトは暴言を吐こうとした。
「あのやろっ『あの子を助けろ!......そして我が名を呼べ.......!』何?!」
突然、マサトの耳からまた謎の声が響き渡った。
「......チッ!」
サリアは舌打ちするとアンジュを追いかける。マサトもサリアに続いて追いかけた。
「アンジュ戻って!もうすぐ戦闘区域なのよ!?」
「私の名前はアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギです。私は私のいるべき世界、ミスルギ皇国へと帰るのです!」
「諦めの悪い皇女だ......!!」
「持場に早く戻りなさい!でないと貴方を命令違反により今此処で処罰するわよ!」
サリアがホルスターからハンドガンを取り出し、アンジュを脅すのだが、
「アンジュリーゼ様! 私も、私もミスルギ皇国へと連れて行って下さい!」
なんとココがアンジュに近づいて、連れて行ってほしいと頼みに入ってきた。
「え!?な、何を言ってるの、ココ!?」
「私も魔法の国に!」
「ココ!今はそんなことを言っている場合じゃ『そこだ、その子を助けろ.......!』また?!.....そうか!ここだ!」
また謎の声がマサトの耳に響き渡ると、光っていたココの色が青から赤へと変わり、直ぐ様ココに近寄り、マサトの後ろに乗せた。
「マサトお兄ちゃん?!」
その直後、レーザーのようなものが、ココのパラメイルを破壊し水柱が上がる。
そして中空間に歪みが生じドラゴンの群が出現する。
『ドラゴンコンタクト!』
「ようやくお出ましかぁ......"ドラゴン"!!」
「なに、これ......?」
アンジュも酷く混乱し、マサトは野獣の様な瞳を輝かせると、ドラゴンは雄たけびを上げて、マサト達を睨んでいた。
その頃、アルゼナル格納庫では......
「時は......満ちた.......」
白と赤の人型の機体の目が緑色に発光すると、格納庫のシャッターこじ開けた。その光景にメイや整備員達も驚愕していた。メイは急いで、ジルに通信を入れる。
「ジル!」
『どうした?』
「ヴィルキスと一緒に収納していた"人形"が勝手に動いた!」
『何!?』
すると、赤と白のバーニアから火が放出された。
「
エクストリームガンダムと名乗る機体は出力を上げ、第一中隊のいる空域へと飛んでいった。指令部から見ていたジル達は茫然していた。
「極限の名を持つ機体か......面白い!」
ジルが微笑みながら言うと、煙草を持ち、灰皿に煙草を押し潰した。
次回、極限の希望が乱舞します!