クロスアンジュ エクストリーマー    作:オービタル

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第3話:まつろわぬ魂 前編

「Dimensional Rift Attuned Gargantuan Organic Neototypes」(次元を越えて侵攻してくる巨大攻性生物)

頭の頭文字を取って付けられた名前は本当に存在していいのか.......その名は.......『DRGON』(ドラゴン)

 

「次元を越えて侵攻してくる巨大敵性生物、それが『ドラゴン』、そしてこのドラゴンを迎撃、殲滅し人類の繁斗を守るのが此処アルゼナルと私達ノーマの任務です」

 

講師がまだ幼い幼児達にドラゴンの知識を教えていた。

 

「ノーマはドラゴンを殺す兵器としてのみ生きる事を許されます。その事を忘れずにしっかり戦いに励みましょう!」

 

《イエス!マム!》

 

幼児達が元気よく挨拶する。その中にマサトともう一人........ミスルギ皇国第一皇女 アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギがいた。彼女は、洗礼の義で実兄 ジュリオ・飛鳥・ミスルギによって妹がノーマだと暴露され、マサトの横にいる。俺は初めて思った.......人間の方がノーマよりおぞましき傲慢な種だと言うことを.......

 

「分かったか?マサト、アンジュ」

 

「あぁ.....」

 

「........」

 

ジルとエマはマサトとアンジュが話を聞いているかを確認していると、

 

「も、....もうすぐミスルギ皇国からの解放命令が届くはずです.....」

 

アンジュはまだ諦めず、希望を見出そうとしていた。

 

「監察官、この二人を第一中隊へと配属させます....本日付けで.....」

 

「だっ!第一中隊にですか?!」

 

エマはジルの言葉に驚いた。

 

「ゾーラには既に通達してある、二人共さっさと付いて来い」

 

ジルはアンジュの手を掴み、無理矢理連れていき、マサトはその後を付いていく。

 

「ちょ!ちょっと! 離してください!」

 

「分かりました」

 

ちょうどその頃、幼児部の窓の外から、金髪の女性は赤髪の女性の身体をいじりながら舌を舐め、赤髪の女性は頬を少し赤くしながらつぶやいていた。

 

「ふぅ~ん、あれが噂の皇女殿下と男のノーマか、男の方はいいとして、皇女殿下はやんごとなきお顔に穢れを知らない甘くておいしそうじゃないか」

 

「新しく来た子なら誰でもいいんでしょう?」

 

「「うんうん」」

 

その後ろに、薄青と茶髪の女性二人が頷いた。

 

「なんだ? 焼いているのか~?」

 

「そ、それは…」

 

「可愛いなぁ~、お前達♪」

 

金髪の女性は3人の女性とじゃれあっていると、蒼い髪のツインテールの女性が注意する。

 

「隊長!スキンシップは程々に。身辺からも揉み方が痛いと苦情が....」

 

「はいはい、気を付けるよ。副長~」

 

金髪の女性は手をワキワキすると、蒼い髪のツインテールの女性は咄嗟にガードする。

 

「年上の新兵さんと男の人もいますが、新兵同志お二人共仲良くね♪」

 

「「は!はい!」」

 

ピンク色のロングヘアーの女性が、蒼い髪のツインテールの女性が持っていた名簿を取って、配属されていた新兵の二人にも声を掛けた。蒼い髪と深緑色の新人は緊張のあまり答えると、少しオレンジがかかった赤髪の少女が飛んでとないことを発した。

 

「ねえねえ!サリア! クイズしよう!誰が最初に死ぬのかな~?」

 

新人二人は少女の言葉に息を飲むと、サリアと言う女性はは赤髪の少女の頭をグリグリしながらしかる。

 

「死なせないようにするのが私達の役目でしょ!?」

 

「あいたっ!?...ご...ごめん」

 

そう言っている内にジルがアンジュとマサトを連れて来た。

 

「着いたぞ」

 

ジルに連れられたアンジュは未だに顔を俯かせており、マサトはアンジュの隣に立った。

 

「ゾーラ、後は任せたぞ」

 

「イェス・マム!」

 

ゾーラと呼ばれた金髪の女性とそのノーマ部隊の仲間であろう女性達はジルに敬礼する。

 

「死の第一中隊にようこそ。私は隊長のゾーラだ。後のメンバーの事は副長、紹介してやれ」

 

「イェス!マム、第一中隊副長のサリアよ、こちらから突撃班のヴィヴィアン」

 

「ヤッホ!」

 

ヴィヴィアンは元気よく挨拶する。

 

「そしてヒルダ」

 

「フッ!.....」

 

ヒルダは威張りちらした笑みを浮かべていた。

 

「後、救護班のロザリーと「これ、全部ノーマですかか」」

 

茶髪の女性を紹介しようとした途中、アンジュは口を開くと、ヒルダが爆弾発言を放った。

 

「はんっ!私達ノーマは物扱いだ」

 

「このアマ!」

 

ロザリーが二人の発言に切れる型が、

 

「そうだよ。皆、マサトもアンジュも一緒のノーマ。仲良くしようね♪」

 

ヴィヴィアンは友好的にそう言って来る。

 

「違います!、私はミスルギ皇国の第一皇女、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ!。断じてノーマではありません!」

 

「おい、その辺に....!」

 

マサトがアンジュを落ち着かせようとする。

 

「でも使えないんでしょう?マナ」

 

ヴィヴィアンの言葉にアンジュは戸惑う。

 

「こ、此処ではマナの光が届かないだけです…此処から帰ればきっと.....」

 

すると、突然ゾーラが笑いだす。

 

「はっはは!ったく指令め、とんでもない者を回してきたか.....状況認識がなっちゃいない不良品じゃないか」

 

「不良品が上から偉そうにほざいてますわ」

 

「うわぁ...痛い.....」

 

「不良品は貴方方の方でしょう!」

 

すると、ヒルダがアンジュの足を踏んづける。

 

「痛っ! な…何をするのです!?」

 

「身の程をわきまえな!イタ姫よ」

 

「もう、いい加減に「まあまあそのくらいで♪」.....?」

 

マサトが止めにはいると、横からピンク色のロングヘアーの優しい女性が止めに入る。

 

「エルシャ、こういう勘違い娘は最初でキッチリとしめておいた方がいいんだよ」

 

「そうそう」

 

ヒルダとロザリーがエルシャの慰めの事に反するかのように言う。

 

「あらあら~そうなのぉ?」

 

「(あぁ......この人......天然だな.......)」

 

マサトは心の中で、呆れていた。

 

「サリア、期待の新人教育を任せるぞ、同じノーマ同志として.....」

 

「はい」

 

「これより訓練を開始する!エルシャ、クリス、ロザリーは一緒に来い!遠距離砲撃戦のパターンを試す!」

 

「「「イェス!マム!」」」

 

ゾーラの指示により部隊は動き出した。

 

「サリア、ヴィヴィアン、ヒルダは新人教育を任せる。しっかりやんな!」

 

「「「はい!」」」

 

「各自かかれ!!」

 

「「「イエス!マム!」」」

 

マサトはゾーラの命令に従い、サリアに付いていこうとしたが、

 

「何ボサッとしているの? こっちよアンジュ」

 

「何人たりとも皇女であるこの私に命令するなど!」

 

相変わらず態度を崩さないアンジュに対し、サリアはナイフホルスターからアーミーナイフを取り出して、アンジュの首に突き付けた。

 

「ここでは上官の命令は絶対よ、良い?」

 

サリアの威圧差にアンジュは首を縦に振る。

 

「マサト......あなたもよ?」

 

「言われなくても.....分かってる」

 

マサトはサリアの命令に従った。

 

 

 

 

 

 

 

マサトは急遽急遽配給された男性ライダースーツ(パイロットスーツ)に着替えた。赤と白のツートンカラーでヘルメットも赤と白のツートンカラーでバイザーが黄色で輝いていた。

(分かりやすく申しますと、マサトが着用しているパイロットスーツは"革命機ヴァルヴレイヴ"の主人公"時島ハルト"が着用していたパイロットスーツを赤と白とバイザーが黄色で塗られた感じです。)

 

「案外、格好いいなぁ.......ん?」

 

ヘルメットの後頭部に誰かの名前が付いていた。

 

「ロバート?」

 

このパイロットスーツが男が使っていたのが不思議なため、ロバートの名前を手で拭き取った。

 

「まぁ、良いか」

 

マサトはヘルメットを持ったまま訓練所に向かうと、女性が使う更衣室のドアの前に思わぬ姿のアンジュがドアを叩いていた。

 

「お前何やってんだ?」

 

「キャッ!?み、見ないでください!!」

 

アンジュは直ぐにしゃがんで、なんとか裸を隠すとマサトはドアをノックする。

 

「副長.....マサトだ」

 

「あら、終わったの?」

 

「何であいつ、裸で追い出されているんだ?」

 

「その子が、『そんな服を着るくらいなら、裸になった方がマシです!!』っと言ったから要望に応えただけよ」

 

「ふ~ん」

 

アンジュのライダースーツを見ると、血痕が残っており、そこに"ナオミ"と書かれていた。

マサトは自分が着用しているパイロットスーツも誰かの物と思った。

そして結局アンジュは、自分で着替えた事がないためサリアに手伝って貰って着替える事ができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ジルはアルゼナル医務室でマギーと言う女性に腕の治療を受けていた。

 

「あ~ら、こんなに真っ赤に腫れ上がっちゃってぇ~、ジュクジュクになってるじゃない~」

 

「ぐ・・・痛っ!?」

 

「あら痛い?痛い?痛いよねえ!」

 

マギーはジルの痛がる様子に興奮していた。

 

「酒臭いよ、マギー!」

 

「あいたっ!?ゴメンねえ~」

 

自身の腕を治療しているアルゼナル軍医マギーのおふざけにジルは鉄拳する。

 

「ジャスミン、そっちはどうなの?」

 

ジャスミンと言う老婆はジルの義手を修理していた。

 

「外側のボルトが全部イカレちまってる。ミスルギ皇国製の奴に替えとくからちょっと値が張るがね」

 

アルゼナルの唯一の市場"ジャスミン・モール"の店主ジャスミンがジルの義手の修理して結果を伝えてくる。

 

「指令部にツケとくよ」

 

「ヒヒヒ、毎度あり、だけどもうちょいデリケートに使って欲しいものだねえ.....そいつはアンタ程頑丈に出来ちゃあいないんだ」

 

「いつも悪いね...じゃじゃ馬が暴れてさ」

 

ジャスミンの注意に申し訳なさそうにジルは言う。

 

「ああ、例の皇女殿下かい?」

 

「いいのかねぇ?皇女殿下と貴重な男のノーマを第一中隊なんかにブチ込んじゃって?」

 

「それでも駄目なら死ぬだけだよ.....それに.....ラスタル家のガキもな.....」

 

ジルがマサトの旧姓の名を言うと、マギーもジルの話に入る。

 

「まさか、ラスタル家の若造がここに来たときは、ビックリしたよ、あの夫婦はあれを残し去ったのも若造が来るって言うことが分かっていたんじゃないのか?」

 

「分からないね~、あの夫婦は私達や、彼等も知らない人物達だから.......」

 

「アイツ等の行動は分からないが.........言えることが一つ..........マサト・ラスタル....."魔女の子"だ....」

 

ジルは持っていた煙草を義手で握りつぶすと同時に、不穏な笑みを浮かばせた。

 

 

 

 

そしてアルゼナル訓練所では、新人二人が訓練を開始していた。

 

「パラメイルデストロイヤーモード起動!シュミレーター起動!フリーダムチャンバー、チャージ完了!」

 

「フリーダムチャンバーチャージコンプリート!」

 

「アレスティングギアリリース!」

 

「あ・・アレスティングギアリリースコンプリート!」

 

訓練場に着くと既に訓練は開始されていた。

マサトとアンジュはマシンに座り、サリアが説明をする。

 

「へぇ~、これに乗り込んでドラゴンと戦うのか......」

 

「そう、パラメイル.......私達ノーマの棺桶よ」

 

「..........棺桶」

 

「何をさせようというのですか?この私に.....」

 

アンジュもサリアの棺桶発言を気に出来ない程混乱しているようだった。

 

「最初から出来るなんて思ってない。後は飛ぶ感覚を体に叩き込んで」

 

「......分かった」

 

サリアはマシンのドアを閉めて操作する

 

「リクエストリフト・オフ!アンジュ機、マサト機、ゴーフォールド!ミッション07スタート!」

 

サリアの号令で景色が一変する。

 

「ぐっ!!」

 

「うきゃああ~!?」

 

次の瞬間、凄まじいGが二人に襲い掛かってきた。

 

「シュミレーターでこれだけのGがかかるのかよ.....?!」

 

「な、何なのですかコレは!?」

 

たかがシュミレーターと侮りGの負荷に驚き、手を離しそうになったが耐える。

一方のアンジュは悲痛の声を上げ、操縦桿を手離してしまう。

 

「アンジュ、操縦桿から手を離さない!上昇!そして旋回!

 マサト、ちゃんと前を見て!実践はこんなもんじゃないわよ!」

 

サリアの更なる号令により機体の動きが変わる。

必死についていこうと踏ん張る。

 

「最後に急降下訓練に移る!降下開始!」

 

「急降下!?くそっ!!」

 

「ひゃああああ~!?」

 

「急いで!地面に激突してしまうわよ!機器を上げて!」

 

サリアは万が一の時の為に緊急停止ボタンに手を伸ばしておいたが、

 

「何だろう?......この感覚.......何か懐かしい様な......良しっ!」

 

マサトは操縦桿を握り、一気に機体の高度を上げた。

 

「(この感覚は......エアリア!!)」

 

アンジュはスポーツのやり方に似てすぐに機体を立て直し、遥か上空で停止したのを確認した。

 

 

「何なの.......この二人は.....!?」

 

サリアは初めてのシュミレーションなのに、二人の結果に驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練を終えた第一中隊はマサトを除いて、汗をシャワーで流していた。

 

「いやあー、大したもんだな皇女殿下とマサトは。初めてのシュミレーターで漏らさないなんてなあ!なあ、ロザリー?」

 

「っ!い、いえ私の初めてはそのですね....」

 

ゾーラの質問にロザリーは目が泳ぎつつながら、返答すると隣にいるヒルダが代わりに返答した。

 

「気に入ったみたいねあの子と彼が.....」

 

「あぁ、悪くない.....」

 

ゾーラは笑みを浮かべる。

 

「ねえねえ!サリア! アンジュとマサトって何? 超面白いんだけど~♪」

 

ヴィヴィアンにそう質問され一番端側でシャワーを浴びているアンジュと今はこの場にはいないマサトの能力を見て感想と評価を言う。

 

「今はそう、凄いの一言しか言えないわね」

 

そして女子達のシャワーが終わり、マサトは一人で汗を流し、浴室から出るとサリアが来た。

 

「マサト」

 

「副長、どうしたんですか?」

 

「今からあなたの部屋に案内するわ」

 

「俺の部屋?」

 

マサトはサリアに部屋に案内される、部屋に到着したマサトはサリアから鍵を渡される。

 

「あとこれで最低限必要な物資は揃う筈だから」

 

「ありがとうございます.....」

 

サリアから最低限のキャッシュを渡されて、マサトに言う。

 

「それと起床は明朝5時だから、寝坊しないようにね......」

 

「分かりました.......」

 

そう言ってサリアはその場を去って行き、マサトは鍵を使って開けて部屋に入る。部屋にはベッドが二つあり、窓はなかった。マサトはベッドに座ると、10年前の事を思い出す..........父親のオルトと母親のマナミヤが我が子がノーマだと隠し続けてきた。勿論、実兄アストラ・ラスタルと妹のリナ・ラスタルやマサトのアルケミスト大学学院で出会った友人達や教師達も隠してくれた...........マサトはベッドから立ち上がり、窓のから見える海を眺めていた........

 

「(父さん.....母さん.....兄さん.....リナ....皆..........俺、どうしたら..........)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、格納庫でエマはジルにアンジュとマサトのテスト結果を見せる。

 

「例の新人二人ですが基礎体力、反射神経、近接対応能力、更に戦術論のリタイヤ全てにおいて平均値を上回っております。特にマサトは飛んでもない数値を跳ね上げており、皆より上を行っています......」

 

「優秀じゃないか.......」

 

「"ノーマの中では、"ですね......」

 

それからエマはジルは見て敬礼し、別れた。そしてジルは格納庫にいた。

 

「パラメイルの操縦敵性.....特筆すべきものがある....か。ならば…」

 

アンジュから取った指輪を取り出して見て、そして彼女の目の前に二機の機体があった。一つは錆び付いておるが白い機体で、もう一つはパラメイルより大きく人型で白と赤のカラーをしており、白と黄色に別れたVの字のアンテナが輝いていた。




次回は.........やっぱりあの子達を死なせたくないです!
と言うことでフラグ回避付けます!

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