クロスアンジュ エクストリーマー    作:オービタル
<< 前の話 次の話 >>

33 / 39
第30話:地獄の涙


それは.......3時間47分38秒前に遡る.......。ローゼンブルム王国にて、『ミスティ・ローゼンブルム妃殿下誘拐事件』が流れ、国民は不安を抱いていた。そしてアンジェリカの父親アスバーン・ファリド公爵がアルバレアがミスルギにいるレヴァンネ・エリオン、ヴァンダルク・ログナーと話していた。

「そちらの方はどうなっている?」

「分からない、だが........学級会長から、トルーパーの話に奇妙な作戦の事を言っていた。名は「地獄の涙」と......」

「「地獄の涙」......何だそれは?」

「何処かの地形に、大量のミサイルを放つ事だ......だが、そんな大量で地獄にできるか?」

「.........っ!!」

「どうした?」

「...........まさかっ!!?」

突然、アスバーンが立ち上がり、ヴァンダルクは首を傾げる。

「今すぐ、七大名門達に知らせろ!......これより我等貴族連合はこの世界から脱け出す!急げ!!」

「「え!?はい!」」

レヴァンネとヴァンダルクは通信を切ると同時に、アスバーンは窓の向こうを見る。

「これが本当なら........もう既に、ネロスは「地獄の涙」を発令していると思う。これは赦しがたい事態だ........」

アスバーンは頭を抱え、直ぐに準備する。











そしてアルケミスト学院では、集会が始まり、ヴァンダルク学院長話を聞いた学院生達は急いで家に戻し、そしてそれぞれの学院生達の親も、ヴァンダルク学院長の話を聞き、急いで荷物を纏め、アルケミスト学院の広間や体育館、運動場に集合させる。すると、三ヶ所が動きだし、下へ降りていく。皆は慌てるが、先生や貴族連合の領邦兵が落ち着かせる。そして最下層に到着すると、目の前に何千メートルもある超巨大移民艦『ノア』があり、学生や親御さん達をノアに乗せる。

「合計3154人!これで全員か!?」

「はい!」

「良し!」

そしてハッチが閉まり、ブリッジにヴァンダルク学院長や先生達が、コンソールや操縦席に座る。

「注水を始めろ!」

「了解!」

ヴァンダルクの号令でハデス兵士が復唱する。それと同時に、アルケミストの学院や関係者を収容したこの移民艦に注水が始まった。

「アルケミスト内に生命反応なし。移民の収容、完了しました」

「メインエンジン臨界まで、後10秒」

「水位上昇80%」

「防水隔壁、全閉鎖を確認」

ブリッジでは、次々と報告や指示が飛び交う。

「フルゲージ!」

「拘束アーム解除。ゲート開け。微速前進」

エンジンに火が入る。そして、

「ノア、発進!」

ジルの号令と共に移民艦.....ノアはアルケミストを後にして発進した。そして数分後、移民を乗せたノアはローゼンブルム王国を脱出すると、同時に貴族連合艦隊と合流した。

「良し、特異点を開け!」

「ヴァンダルク司令!北緯三四度の方向から敵影を確認!!」

「っ!?」

モニター画面に映ったのは、海面の上や上空に、何千機もモビルアーマー『プルーマ』と『バグ』、ピレスドロイド、そしてディーラ艦隊が攻めてきた。

「嘘だろ!?」

そして、敵の艦隊の船長達が号令する。

「全艦攻撃開始!ドブネズミを駆除せよ!」

巡洋艦の主砲がノアや貴族連合艦隊に向けられ、発砲を開始した。艦隊の数隻、そしてノアの装甲に炸裂する。

「まずい!!全艦隊はノアを死守せよ!」

貴族連合艦隊が一斉に応戦を開始した。迫り来るプルーマとバグ、ピレスドロイドの大群が艦隊を無視して、ノアへ向かっていく。

「ノアを狙っている!」

貴族連合艦隊からグレイズ、グレイズリッター、レギンレイズ、ジムⅢ部隊が出動し、攻防戦が繰り広げられていた。プルーマがドリルでノアの装甲を削っていく。グレイズやグレイズリッター、レギンレイズが必死にノアを取り付いているプルーマを倒しいく。が、バグやピレスドロイドが貴族連合を翻弄していく。ブリッジでは兵士達が次々に報告してくる。

「艦長!リフレクターシールドが50%に低下!このままだとノアが潰されます!」

「今さら引き返すわけには行かん!何としてでも、ローゼンブルム王国の地域から脱出しなければ!ノアを潜水させろ!」

「イエス、キャプテン!」

そして、ノアが潜水し始めると、プルーマやピレスドロイド、バグが撤退し始めた。

「逃がすなぁ!砲撃し続けろ!」

ディーラ艦隊が潜水するノア目掛けて、艦砲射撃してきた。ノアはそのまま海中へ潜水し、ローゼンブルム王国から離れる。




そして、ディーラトルーパーがローゼンブルム王国と繋がる高速道路を封鎖する。

「何で通れないんだ!?」

「患者がいます!そこを通してください!」

車や観光バス、さらに救急車までも、通してくれなかった。すると、ディーラトルーパーが天へ目掛けてブラスターを放ち、威嚇する。逃げ惑う人々がディーラトルーパーから去ると、ディーラトルーパーが急いで逃げ、高速道路の下にいるトルーパーがシールド発生装置を起動した。人々がシールドを叩くがびくともしなかった。その頃、ローゼンブルム邸では、ローゼンブルム国王が事態に気付く。

「何があっているのだ!?」

王国を取り囲むシールド、すると、上空に一機のオルガノスがミサイルランチャーを構えていた。

「地獄の涙よ........害虫や子ネズミを灰にしろ♪」

ディーラトルーパーはそう呟き、ミサイルを放った。ミサイルは閉じていくシールドに入り込み、そしてシールドがローゼンブルム王国を囲んだ直後、ミサイルが着弾し、眩い光がローゼンブルム王国を照らした直後、

「っ!?」

王国にいる人達が核の炎で皮膚が溶け、やがて燃えていき、街や川、森、全てを焼き付くした。
爆風が街を破壊し、大地が割れ、放射能の毒が空気を汚染する。そして立ち上ぼった爆煙が茸雲を作る。

それは正に、"地獄の涙"とも言える光景であった。

ローゼンブルム王国から逃げ延びたアルケミスト学院の乗っているノアや貴族連合艦が激しく揺れる。

「来たぞぉぉぉぉっ!!!!」

「全員!!何かに捕まれぇぇ!!」

艦内で悲鳴や叫び声が響き、揺れが収まる。そして核の閃光はミスルギ皇国とがリア帝国は現在、夜中なのに、昼間になったことで、大騒ぎになっていた。海上へ浮上したノアは核爆発の光景に見とれていた。ヴァンダルクやアスバーン、レヴァンネはローゼンブルム王国を塵にした核爆発を見て、呟く。

「夜中の夜明けなど、あってはならない歪みだ........」

「あぁ......まさか、地獄の涙は.....『核弾頭』を投入することだったとは.......」

「惨い........」

そしてシールドが消え、爆煙が広まると同時に、ノアは核の炎で焼き付くされたローゼンブルム王国へ上陸した。領邦軍やハデス兵士が防護スーツやコンバットスーツ、パイロットスーツを着用し、生存者の捜索へ開始した。

まだ燃えている場所もあるが、彼等は必死に捜索を続け、大人:187人 子供:67人 新生児:8人が瓦礫の中で助かっていた。その中にミスティの母親であるローゼンブルム王妃も助かっていた。しかし、彼女は夫が目の前で焼き付く事に、酷いショックを受けており、植物状態になっていた。生き残ったローゼンブルム国民を乗せ、ローゼンブルム王国を脱出した.........















アルバレアからの話を聞いたアストラ達が核と言う存在を耳にして、背筋が凍り付いた。

「ローゼンブルム王国を......核で!?」

「.......そうだ」

アルバレアはそう呟くと、ミスティがあまりのショックで倒れた。

「ミスティ!」

セルジオが倒れたミスティを抱き上げ、医務室へ連れていく。

「それで、生き残った者達は?」

「まだ海中にいる」

「........"彼処"へ送ろう」

「"彼処"...って、まさか!?」

アルバレアが驚く。

「ちょっと待って、アストラ.......確かにそこなら安全かもしれない。......だけど良く考えてみろ、人間達が彼処の文明やテクノロジー、技術を身に付けてしまったら、反乱が起きて、彼処を国にしてしまうんだぞ!?」

「分かっている!だが、彼らをこのまま海中に居らせて、窒息死させるわけには行かないのだ!」

「まぁ、.....それは確かに......」

「やるんだよ!」

「うぅ~.......分かった」

アルバレアはそう言うと、部屋へ戻っていった。