広間に連れられたマサトは鬼の大将と話を聞く。彼等はかつて、神を崇めていた集団であったが、神の御加護によって、この寺院......『天都ノ神殿』で生きており、女性や子供も彼らの特徴である角が生え、トリスタン連邦の総統"ユリウス"と奥方の"イリス"と共に、この寺院や主君を護りし、そしてタスク同様の古の一族。誇り高き『鬼の民』と呼ばれるようになったと.....鬼の民はマサトの実の両親に仕えていた一族で、二人からトリスタン連邦の高度な技術を学んでいたと.....。
「つまり、アンタ達は........ユリウスとイリス......つまり、俺の本当の父さんと母さんに仕えていた者なのか?」
マサトの問いに、鬼の民達は頷く。
「あ~、言葉分かる?」
「大丈夫.......日本語.......ユリウス様カラ、教ワッタ......」
「そっか、.......それで、話は何?」
「マサト・ブライス子爵様........ワレラ、鬼ノ民ノ..........指導者トシテ、道ヲ示シテクレ」
「ええっ!?」
突然の言葉に、マサトやタスク、アンジュ、ナオミは驚く。マサトは考える......確かに、鬼の民の技術力なら、解放組織ハデスやアウラの民、貴族連合の加担勢力になる........けど、そんなことを兄さんや義姉さん、父さんと母さんは許すのか?.........嫌、どちらにしてでも、嫌々!、あ~!も~~っ!!.........そうだ!
マサトは何かを閃き、鬼の民達に言う。
「分かった......アンタ達を導いてやるぞ」
マサトの言葉に鬼達は歓喜を上げると、ある条件を言う。
「お前達を導く.......その代わり、絶対にアウラの民に悟られないようにしてくれ.......貴族連合は何をやらかすのか、分からない......そこで、父さんと母さん達に話し合う。............どうかな?」
「...........ウロダイイ♪」
鬼の大将は無気味な笑顔を見せ、マサトと握手で交わす。帰りは、馬で帰ると良いと言われた。馬に乗って帰るマサト達はアンジュ達と話していた。
「良かったの?あんな恐ろしい化物を味方につけて?」
「本当の父さんと母さんの事を知っていたんだ......見た目は確かに恐ろしいが、心は在るべき綺麗な心を持っている........それに、アイツ等をリベルタスで戦わせたくないしな♪」
「優しいんだな、マサトは.......」
「ま、褒められて当然だ♪」
マサトとタスク、アンジュが笑っている中、ナオミがマサトを見詰める。
「........(良かったね、マサト...........家族に似た親戚に出会えて♪..........)」
するとナオミの胸が急に熱くなり、鼓動が高ぶる。
「.........(何だろう.......マサトを見ていると、胸が急に高ぶる.......何でだろう......?)」
ナオミの頬がマサトを見るたびに赤くなる。実は、それが人を愛する気持ち"恋"と言う事に本人やマサト達はまだ知っていなかった。
アウラの都に帰ってくると、不思議なことに、まだ儀式は終わってなく、儀式の蝋燭が空に浮かんでいた。まるでこの時間だけ、時が停止していたかの様に.......。マサトは早速、アストラ、オルト、マナミアに鬼の民と会ったことを話す。
「本当か!?鬼の民に会ったのか!?」
「うん.......赤い少女を追っていたら、峡谷の寺院に辿り着いて、そこで鬼の民達に会えたんだ......皆、俺の本当の父さんと母さんの事を良く知っていた。」
オルト達は、鬼の民の存在に驚く。
「まさか、鬼の民........『隠れキリシタン』の残党がいたとは.......」
「隠れキリシタン?.......何それ?何かの宗教?」
アンジュは問うと、オルトが説明する。
「彼らの話を良く聞いていなかったのか?.......昔に実在した最高指導者『天草四郎』が率いる宗教団体であった.......恐らく1638年も者達だと思う。」
「つまり..........1500年前!?」
「そうなるな、」
マサト達は鬼の民の年齢差に唖然する。
「どれだけ長生きしているの!?」
「......長いだろうなぁ」
「.......俺って、飛んでもない親戚に出会ったと言うことか.......」
「......ま、そう言う事になるだろう。今日はもう寝ろ♪」
オルトがそう言い、マサトは部屋で休む。
「ハァ~........(俺が鬼の民を率いる次期最高指導者か.......)」
暗い部屋の中、マサトは寝静まる。
一方、アンジュ達のいる世界......アンジェリカはミスルギ皇国からアンジュの父"ジュライ"を救出し、護衛と共に、ローゼンブルム王国にあるアルケミスト学院へ向かっていた。
「もうすぐ着きます!」
アンジェリカがジュライに到着の知らせをする。
「(アンジュよ、待っておれ........お前に伝えなければならない事が山程ある.....)」
ジュライは首にかけてある翠の宝石が付いたペンダントを見ると、ブラッドハウンドが停車する。
「どうしたのだ?」
「.........ジュライ陛下、離れないでください!!」
アンジェリカはナイトブレードを抜刀し、護衛のグレイズリッターがバトルアックス、ナイトブレードを抜刀し、シールドを構える。前方にエイリアンアーマーをした黒いガンダムがいた。
「黒い悪魔!?」
黒いガンダムは手からビームサーベルを放出し、黒いガンダム......『ガンダムメフィスト』のパイロット.....デシルが叫ぶ。
「さぁて!貴族連合の玩具を潰すか!!」
ガンダムメフィストの両肘・両膝に、バックパックから、Xトランスミッターが展開され、赤黒く発光する小型のビームの球体"メフィストビット"を多数放出し、アンジェリカの部隊を攻撃してきたのであった。