クロスアンジュ エクストリーマー    作:オービタル

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第23話:極限の絶望

 

一方アンジュ達はその放送を聞いていたモモカは嬉しながらアンジュに言う。

 

「アンジュリーゼ様!助けです! 助けが来ましたよ!」

 

するとニコラスが、不安に思う。

 

「おかしい......」

 

「え?」

 

「おかしすぎる.......アイツ等は散々ノーマを差別してきたのに、急に助けに来るなんてあり得えない!」

 

「それは言える.....」

 

セリカが持っていた両手剣を抜刀する。

 

「私達は知っている......ミスルギ見た....下劣な行動を......」

 

「罠だな.....」

 

「罠ですね....」

 

パトリックとモニカも魔導杖を取り出す。

 

 

 

そして臨時司令部でパメラ達がその放送を見ていた。

 

「耳を貸すなよ、たわ言だ。」

 

パメラ達が振り返るとそこにジルがやって来て命令を言う。

 

「対空防御態勢!今すぐだ!」

 

「「「イエス・マム!」」」

 

ジルの命令と同時にアルゼナルは対空防御態勢へと入る。

アルゼナルの動きを知ったミスルギ艦隊、その事を兵士はジュリオに報告する。

 

「アルゼナル、対空兵器を起動!」

 

「やれやれ、平和的に事を進めたかったが…」

 

ジュリオは呆れると言わんばかりにマイクを取り、全艦艇に流す。

 

「旗艦エンペラージュリオ一世より全艦艇へ、たった今ノーマはこちらの救援を拒絶した。

これは我々....いや全人類に対する明白は反逆である、断じて見過ごすわけには行かない、全艦攻撃開始!」

 

命令と同時に全艦隊からミサイルが発射されて、それにいち早く察知したバルカンが吠える。

ジャスミンが皆に言う。

 

「坊主共!小娘共!来るよ!」

 

「え?」

 

モモカは何が来るか分からず、リクトが舌打ちする。

 

「やっぱりな!!皆!基地の中に戻るんだ!!」

 

リクトが言うと、皆に退避と命じ、それに皆は従い戻って行く。

 

アルゼナルにミサイルが降り注ぎ、それに対空兵器が撃ち落とすも、一部は防ぎきれずにアルゼナルに直撃する。リクト達は何とか爆風に巻き込まれずにアルゼナル内部へと退避した。

 

同時にアルゼナルに向かっているタスクは艦隊の攻撃を見て驚く。

 

「もう、始まったのか!無事でいてくれ......アンジュ、皆!」

 

タスクはフェニックス・ゼロの出力を上げ、急いでアルゼナルへ向かった。

 

 

 

 

 

 

基地内に避難したリクト達はアルゼナルを攻撃してくる艦隊に、ロザリーはその事に驚く。

 

「マジで攻撃して来やがった!」

 

「リクトの言った通りだ、救助なんて嘘だったんだ.....」

 

クリスはリクト達の予想通りの事に思わず言葉を漏らす。っとそこにジルの放送が流れる。

 

『諸君、人間の恐ろしさを理解しただろう。人間は我々を助ける気などない、物のように我々を回収し、別の場所で別の戦いを従事させるつもりなのだ...それを望む者は投降しろ。だが、抵抗する者は共に来い!....よって我らは人間の監視下を離れ、反攻作戦を実行する、作戦名『リベルタス』!』

 

っと聞いたサリア、メイ、マギー、ジャスミンの四人はそれに表情を硬める。

 

『共に来るものは、アルゼナルの最下層に集結せよ』

 

放送を終え、ジルは最下層へと続くエレベーターでパメラ達に向いて問う。

 

「お前たちはどうする」

 

「共に参ります!司令と!」

 

それに二人は頷き、着いた先に何やらブリッジらしき場所に着く。

 

「いつの間にこんな…?」

 

「パメラは操縦席だ、ヒカリはレーダー席、オリビエは通信席へと座れ」

 

ジルはそう三人に命令し、ジルはすぐにサリアに通信を入れる。

 

「サリア、アンジュは必ず連れてこい」

 

『分かってるわ、ジル』

 

そう耳にインカムで小さな声で話すサリアはアンジュを見てジルに言った。ジルの放送を聞いていたマティス達が言う。

 

「おいおい!リベルタスって何なんだ!?」

 

するとそこにアストラとマサトが来て、説明する。

 

「ノーマの反乱だ.......この計画はマサトも知っているが、アイツは今、この状態だ。お前達....人間達に牙を向く事になるが.........どうする?」

 

アストラはマティス達に問う。

 

「僕達も行きます!確かに、人間に敵対するのは初めてです。けど、何も罪もなく殺されることに、目が覚めました!」

 

「そうか......」

 

そしてアストラと一緒にいるマサトの胸ぐらを掴む。

 

「しっかりせんか!!マサト!!」

 

「っ!?」

 

「いつまで罪悪感に溺れているんだ!!ドラゴンは確かに人間だ!だが、そうさせたのは人間だ!殺るならドラゴンではなく、人間を殺れ!!そしてリナや俺、マティス達を守れるのは誰だ!!?それが出来ないなら、ずっと人間に支えていろ!」

 

「俺は........俺は!!」

 

マサトの輝きが元に戻り、深呼吸する。

 

「.........殺ってやるぞ、俺達を濃き使った事を........今、ここで後悔させてやる.....!」

 

マサトの目が鋭くなる。

 

「それでこそ、マサトだ.......マサトやナオミを含め!第四中隊は私に付いてこい!」

 

《はい!》

 

「これより、第四中隊は襲来してきた人間達の艦隊を叩く!良いな?」

 

アストラは仮面を付け、コマンダー・フェニックスへと変身する。そしてマサト達はアストラに敬礼する。

 

「イエス!コマンダー!」

 

マサト達は急いで格納庫へと向かうと、マナの特殊部隊と遭遇する。

 

「敵だ!」

 

「ノーマの加担する人間は殺せ!!」

 

っと言わんばかりにマサト達に向けてサブマシンガンを撃って来る、それにマサト達は物陰に隠れる。

銃弾が飛び交う中でガイは特殊部隊を見る。

 

「マナの特殊部隊.......数は49人!」

 

「どうする?」

 

「決まっているだろ?......殺られる前に殺る!」

 

マサトが義手からブレードを展開し、それに続くように、アストラはスナイパーライフル、メイドのシアもリナを守るために、鋼糸とダガーを取り出す。マティス達もそれぞれの武器を取り出し、突撃する。

 

「皆!行くぞ!!」

 

《応!!》

 

その場から飛び出して行き、人間はマサト達に向けて撃つ。マサトはブレードでサブマシンガンの弾丸を弾き返しながら突き進み、ブレードを突き刺す。

 

「グアッ!!」

 

義手の力で、マナの光を吸収していると、もう一人の特殊部隊が狙っていた。

 

「!!」

 

特殊部隊の頭に矢が貫通し、倒れる。マサトは遠くから援護しているアイカに言う。

 

「サンキュー!」

 

「えぇ!」

 

アイカは特殊部隊の首や頭、胸に狙いを定め、矢を放つ。

 

ニコラスはマナの光の障壁で特殊部隊の銃弾を防御しながら接近し、ナイトブレードで切り裂く。

 

マティスはショットガンやショットガンピストルで特殊部隊に撃つ。

 

「取って置きだ!!」

 

マティスがショットガンに特殊弾を装填し、上へ目掛けて撃った。すると弾丸から散弾が飛び散ると同時に、弾が光だし、敵の死角へ直撃していく。

 

「見たか!俺、特製の弾を!!」

 

マティスが叫んでいる中、ガイは十文字槍で銃弾を弾き飛ばし、棒で足の態勢を崩させて、刺し殺す。

 

「武器を持っていない者や子供を殺して!それでも軍人か!!」

 

するとエルマが双銃剣を持って走り出す。ガイは十文字槍を伸ばし、エルマはガイの十文字槍の上を走り、飛び上がった。それと同時にマナの特殊部隊がグレネードランチャーを構えてきた。メリーがスパイクシールド構え、パトリック、モニカが魔導杖でメリーの周りに大障壁展開して強化する。

 

「撃て!」

 

隊長の号令と共にグレネードランチャーを撃ってきたが、飛び上がったエルマが双銃剣でグレネードランチャーを撃つ。グレネードが爆発し、エルマが特殊部隊の後方へと着地した。アストラは遠くからスナイパーライフルで特殊部隊の頭を狙い撃ちしていく。するとマナの特殊部隊の一人がリナを捕まえる。

 

「キャァァァァァ!!!!」

 

「動くなぁ!!」

 

「「リナ!」」

 

その直後、特殊部隊が宙に舞い上がった。

 

「ガァッ!!?」

 

メイドのシアがいつの間にか、鋼糸で特殊部隊の首を締め付けていた。

 

「お嬢様を傷付ける輩は.........私が許しませんわ♪」

 

シアは満面な笑顔でリナを見る。

 

セリカ、リクトが両手剣と刀を取り出し、奥義を放つ。

 

「獅子王爆焔斬!!」

 

両手剣が地面に叩き付けられると、両手剣から爆炎が吹き出し、その中から炎の獅子が吼えながら、特殊部隊を吹き飛ばした。

 

「轟雷旋風斬!!」

 

リクトが刀を振り下ろすと、刀から竜巻が起こり、それと同時に竜巻から雷が起こる。竜巻が特殊部隊を巻き込み、壁に激突させて殺した。特殊部隊の隊長はこの戦況により、怯えていた。

 

「あり得ない.......あり得ない!?コイツ等は何なんだ!?」

 

その直後、特殊部隊の隊長の首にエルマの双銃剣が刺さり、隊長は絶命する。

 

「私達は.......人間を止めた"悪魔"達.....」

 

エルマはそう言うと、死体からマナの光が現れ、マサト達のそれぞれの武器に吸収されていく。そしてマサト達はモビルスーツのある地下へと急いで向かっていった。

 

フライトデッキでは、ジルの命令を受けたメイ達が必死に撤収及び出撃準備を急いでいた。

 

「第三中隊機を先に上げる! ヴィルキスが優先的にエレベーターへ!弾薬の補給は後でいい!」

 

怒号を上げるメイに、整備班は強く応じる。ただでさえ、休む間もなくパラメイルの整備を行っていたために作業も鈍化しているが、今は急ぐしかない。

 

出撃が難しいヴィヴィアンのレイザー及びココとミランダのグレイブ、ゾーラのアーキバスがリフトに固定され、後方の地下へと直結するエレベーターホールへと移送されていく。

 

そこへ走り回る整備班を横にヒルダ達が飛び込んできた。

 

「メイ、発進準備は!?」

 

「ああ、いつでもいけるよ!」

 

「そうか、アンジュ達は?」

 

「え、まだ来てないよ」

 

その言葉に顔を顰める。マサト達とアンジュといい、何処にいるのか、考え込むヒルダに別の声が掛かった。

 

「ヒルダ隊長、ターニャ以下5名、出撃準備完了です!」

 

既にデッキに来ていた第三中隊の元メンバーのターニャ、イルマ、シャノン、カミラ、ナンシーが一斉に敬礼し、ヒルダも頷く。

 

「よし、第一中隊出撃!」

 

『イエス・マム!』

 

号令に応じ、ターニャ達がパラメイルに搭乗していく。先行し、5機のパラメイルが発進すると、ヒルダはすぐに追うべく搭乗を指示する。

 

「マジで人間とやり合うことになるなんて……」

 

ロザリーは未だ現実感のない事態に困惑していたが、横にいたクリスが何かに気づいたように顔を上げた。

 

「何、あれ?」

 

空を指差すクリスにヒルダ達も思わず顔を上げると、空けた鉄骨の隙間から見える空一面に黒い物体が無数に浮いているのが見える。

 

怪訝そうに見やる一同の前で、黒い球体状の物体が側面に鋭利な刃物を展開し、高速回転しながら急降下してきた。それらはアルゼナルの壁面を抉り、カタパルトレールに刺さると高速回転しながら爆発した。

 

「伏せろ!!」

 

ヒルダが咄嗟に声を張り上げ、デッキにいた面々は反射的に身を屈め、巻き起こる爆風に身を縮める。濛々と立ち込める噴煙に咳込みながら顔を上げると、発進カタパルトが瓦礫によって塞がれ、完全に閉じ込められた。

その状況にヒルダは舌打ちするも、そこへ悲鳴のような通信が飛び込んできた。

 

『た、隊長!』

 

「ターニャ、どうした!?」

 

先程の勇んだ声とは打って変わったような切羽詰った声色に眉を顰める。

 

《空一面に、未確認の!何なの、こいつら.....!?》

 

悲鳴に近い声にますます混乱する。

 

「おい、どうした!? もっと正確に伝えろ!?」

 

再度呼び掛けた瞬間、別の周波数が割り込み、そこから別の悲鳴が飛び込んできた。

 

《隊長!イルマが!イルマが連れて行かれた!》

 

「連れて行かれた?おい、どういうことだ!?」

 

刹那、回線も雑音混じりに途切れ、デッキの照明が一斉に落ち、ヒルダ達はより混乱に陥った。その時、電力が突如落ちて、それに驚く。

 

「何だ?!」

 

そして船に居るジルはすぐさま聞く。

 

「砲撃による損傷か?」

 

「侵入者による攻撃です!」

 

マナの特殊部隊にアルゼナルの電力を落とされた事に、放送が流れる。

 

『アルゼナル全要員へ! 敵部隊がアルゼナルに侵入! 目的は、人員の抹殺!みんな!にげてぇぇぇぇ!!』

 

それを聞いたエルシャはその場から離れる。

ヒルダはエルシャの行動を見て問う。

 

「おいエルシャ!」

 

「ゴメン!!すぐ戻るから!!」

 

そう言ってその場を離れて行く。その時にジルから放送が来る。

 

『デッキ上の各員に告ぐ、敵の狙いはヴィルキスだ、デッキ上の下層へと運搬を最優先事項とする!』

 

聞いたメイはすぐさま整備班達に言う。

 

「整備班集合!ヴィルキスは手動で下ろす!」

 

《イエス!マム!!》

 

整備班の一人が手動で動かそうとした時に頭を撃たれてしまい、それを見たヒルダ達は再襲来してきたマナの特殊部隊と交戦する。

 

そしてアンジュはサリアに連れられて最下層へと向かわされていた。

アンジュの他にジャスミンも居て、モモカを担いで向かっていた。

 

「良いの?この基地が大変なんでしょ?」

 

「言ったでしょ、貴方には大事な使命があるって」

 

「関係ないわそんな事…、それにあんた達の使命なんて分かりたくもないわ」

 

リベルタスには協力する気はないアンジュ、それを言い聞かせようとするサリアも何とかするも駄目だった。

 

「では息を止めて下さい、アンジュリーゼ様!」

 

するとモモカがこしょうを振りまき、それに辺り一面こしょうまみれとなり、息が出来なくなった。

 

「アンジュ!何処なの!くしゅん!!」

 

その隙にアンジュとモモカは何とか逃げ出した。

モモカのとっさの行動にアンジュは感心した。

 

「随分大胆な事をするようになったわね、くしゅっ!」

 

「アンジュリーゼ様の影響で、くしゅっ!」

 

鼻をかみながらもその場から何とか逃げるアンジュとモモカ。

 

サリアの報告を聞いたジルは歯を噛みしめ、アンジュの捕獲の命令を与える。

 

「あの、司令.....外部から司令宛てに通信です」

 

「外部?」

 

予想外の言葉に眉を顰める。

 

「周波数153で繋がっています」

 

「私の回線に回せ」

 

「イエス・マム」

 

受信すると、通信機から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

『久しぶりだね、アレクトラ』

 

「タスクか」

 

今のこの状況で外部から、しかも、このアウローラに連絡を寄越せるとなれば限られてくる。ミスルギへアンジュの救出に向かわせて以来だが、タスクは通信越しに硬い声で話す。

 

『ミスルギ艦隊のことを伝えに来たんだが、間に合わなかったようだ』

 

やや忸怩たる気持ちで肩を落とす。

 

アンジュ達と別れた後、タスクは今一度ミスルギ皇国に戻り、ジュリオの動向を探っていた。そして、アルゼナルを攻めるという言質を確認し、慌てて引き返したものの、タッチの差で間に合わなかった。

 

艦隊の展開する海域と逆の位置からアルゼナルに取り付いたタスクはまず、昔の周波数を利用してジルに連絡を取っていた。

 

「間に合わないどころか、もうココも長くは保たん」

 

やや毒づくように返すと、タスクも通信機の向こうで苦く沈黙するも、すぐに気を取り直す。

 

『アンジュや皆は無事?』

 

「マサト達の方は無事だが、たった今、アンジュに逃げられたところだ。お前も捕獲に協力しろ。アンジュを保護すれば、合流しろ」

 

『......分かったよ。』

 

タスクは通信を切り、アンジュの捜索へ移行した。

 

 

 

その頃、マサト達は地下に行き、謎の通路を歩く。そして辿り着いた場所は何かのブリッジであった。

 

「兄さん、ここは?」

 

「知りたいか?なら、この艦の格納庫のレオスに乗るがよい♪」

 

アストラはそう言うと、シアとパトリック、メリーに命令する。

 

「シアは操縦席、パトリックはレーダー席、メリーは通信席、ナオミとリナは補佐席に座れ。」

 

四人は指定された席に座る。

 

「第四中隊!準備は出来ているか!?」

 

《はい!》

 

アストラの問いにマサト達は言う。

 

「良し!これより第四中隊はアルゼナルにいる総員をアウローラに移行の手助けをする!阻害する敵艦の迎撃に当たる!」

 

《イエス!コマンダー!》

 

皆が敬礼すると、アストラが叫ぶ。

 

「『インフィニティ』!浮上!!」

 

海底の岩が崩れ、中からミスルギ艦隊より数倍大きな戦艦が出てきた。『インフィニティ』かつて、トリスタン連邦が国家を護るために造られた高速戦艦。【分かりやすく申しますと、"ヴァルヴレイヴ"のARUSの戦艦の様な】

 

ミスルギ艦隊の下からインフィニティの影がゆっくりと浮かび上がり、海中から浮上した。ミスルギ艦隊の旗艦"エンペラージュリオ一世"に乗っているジュリオやミスルギ艦隊はインフィニティを見て驚く。

 

「な!何なんだあれは!?」

 

ミスルギ艦隊が驚く中、メリーがレーダーで敵戦艦の数を報告してくる。

 

「浮上を確認!インフィニティの周囲に8隻の艦隊を確認したよ!」

 

「なら、二隻を撃沈させるか......!!」

 

インフィニティの船体から三連装砲が出て来て、一列に並んでいるミスルギ艦隊の二隻に向ける。

 

「標的を確認!照準良し!」

 

シアが報告すると、既にコンソールの主砲の発射スイッチが出てくる。

 

「発射ぁぁっ!!!」

 

「発射します!」

 

アストラの号令と共にシアが発射スイッチを押した。主砲の砲口から閃光を発し、収束ビームが発射された。そして収束ビームがミスルギ艦の二隻の船体を貫き、激しい爆発を起こし、撃沈された。ブリッジにいるパトリックとメリー、リナが興奮する。

 

「「「やったぁ!!」」」

 

 

 

同じ頃、たったの一撃で二隻を撃沈されたことに、ジュリオは驚く。

 

「そんな馬鹿な!?二隻をたった一撃で!!?」

 

するとインフィニティの2台の主砲がエンペラージュリオ一世に向けられる。

 

「ヒィッ!!」

 

「敵戦艦より通信です!」

 

操縦士が報告すると、ジュリオの元にマナの通信が出た。

 

『よぉ、ミスルギの皇帝さん.........何しに来たんだ?』

 

アストラはジュリオに問う。

 

「だ!黙れ!反乱分子めが!」

 

『反乱を起こしたのはそっちの方じゃないか.......ジュライ・飛鳥・ミスルギを地下に監禁し、王位の座に付いて、妹やノーマを痛め付けやがって、今度は虐殺か?......これ以上ノーマを虐殺するんなら、このインフィニティの粒子砲が貴様等に振りかかるぞ......』

 

「クッ!......」

 

するとジュリオが何かを閃いたかのように、笑う。

 

「私は神聖皇帝ジュリオだ!秘密兵器ならとっくにある!!」

 

するとエンペラージュリオ一世の船体からピレスドロイドよりも大きな円盤が無数に出てきた。

 

「っ!!まさか!」

 

アストラはエンペラージュリオ一世から出ている起動兵器を見て驚く。

 

円盤はインフィニティに接近すると、側面に鋭利な刃物を展開し、高速回転する。その兵器を見たアストラは言う。

 

「"バグ"だ!!対空防衛システム起動!」

 

インフィニティの船体から対空パルスレーザー砲が出てきて、迫り来るバグと応戦する。

 

 

 

 

そしてその頃、食堂に付いたアンジュとモモカ、モモカはマナの光で灯りを照らしていた。

 

「こちらですアンジュリーゼ様、ここから行けそうです」

 

灯りを前に向けた途端二人は息を飲む、そこには焼け焦げた人が沢山いた。それにアンジュはまたしても嘔吐し、それにモモカは駆け寄る。

 

「アンジュリーゼ様! み!水!!」

 

すぐさま食堂のキッチンに向かったモモカ、アンジュはあたりを見渡していると。

 

「大切な物は失ってから気づく、何時の時代も変わらない心理だ。全く酷い事をする、こんな事を許した覚えはないんだがなぁ.......」

 

そこに謎の男が居て、それにアンジュは振り向いてみる。

 

「君のお兄さんだよ、この虐殺を命じたのは」

 

「えっ?!」

 

その事にアンジュは驚き、ネロスは言い続ける。

 

「北北東14キロの場所に彼は来ている、そしてそこにはマサト君達が戦っていて、君を八つ裂きにする為にね、この子等はその巻き添えを食ったようなものだ.......」

 

「きゃあああああああ!!」

 

その瞬間キッチンから銃声がし、モモカの悲鳴が聞こえてアンジュはすぐに向かう。

 

向かうと二人の特殊部隊がモモカを狙っていて、モモカは左肩を撃たれていたが、動ける右手でマナの光の障壁を出して防御をしていた。

アンジュは銃を取り出し、一人を撃ち殺して、もう一人は両肩を撃ち抜く。

 

「あなた達がやったの? お兄様の命令で?」

 

「お、お前は!....アンジュリーゼ!」

 

すぐに銃を構えるも、アンジュに手を撃たれてしまう。

 

「う、撃たないでくれ…我々は…隊長とジュリオ陛下の命令でっ!!」

 

問いの途中にアンジュは撃ちまくり、弾切れになっても引き続けていて、それを見たモモカは慌ててアンジュを止めた。

 

「大丈夫です!モモカはここに居ます!!」

 

アンジュはすぐに後ろを見る、あの場所に居たエンブリヲの姿は無く、それにアンジュは決心する。

 

「行かなきゃ…!」

 

「えっ?」

 

モモカはその事に意味が分からずであったが、アンジュは構わずヴィルキスのある格納庫へと向かう。

 

そして格納庫では、ヒルダ達が特殊部隊に対して猛反撃をしていた。

 

部隊の一人がグレネードを投げ、そのグレネードがロザリーのグレイブの右の連装砲に直撃して吹き飛ぶ。

それにロザリーが悲鳴をあげる。

 

「ああ!!新しい連装砲が!!」

 

「この野郎!!」

 

ヒルダとロザリーはマシンガンで撃ち返すが、その隣でクリスが絶望するかの様にひそめていた。

 

「もう駄目だ、私達死ぬんだ」

 

それにヒルダが反論する。

 

「死の第一中隊がこんな所で死んでたまるかってんだ!」

 

「今さら隊長づらしないで!!」

 

「はいはい…」

 

クリスの嫌みを流すヒルダだったが、一人の特殊部隊が狙っているのに気付き、それにヒルダがクリスを庇う。

 

「危ない!!」

 

ヒルダが庇うと、左肩に銃弾を受けて仕舞う。

 

「く!!このくそぉぉぉぉっ!!」

 

撃たれた事にキレ、ヒルダは敵に向けてライフルを撃ちまくり、相手は穴だらけとなり海に落ちて行った。

クリスは自ら庇ったヒルダに唖然とする。

 

「どうして.....!?」

 

「アタシ等は仲間だよ、誰も死なないしもう死なせないってな!」

 

その事にクリスとロザリーはただ黙ったまま聞いていた。

するとそこにアンジュとモモカが駆け付けた。

 

「アンジュ!」

 

「てめえ、どこで道草喰ってたんだよ!」

 

危うく死ぬかと思っただけに、ロザリーも気色ばむ。エルシャも銃撃戦の最中、アルゼナル内部に向かったため、戦力も低下していた。なにより、先に出た第三中隊の面々との通信も途切れており、すぐに出撃しなければならない。

 

だが、アンジュは鬼気迫る表情で睨み、ロザリーは声を引き攣らせて慄き、ヒルダも思わず圧倒される。そんな様子に構わず、アンジュはヴィルキスへ乗り込む。

 

「おい、アンジュ!?」

 

ただならぬ様子にヒルダが声を掛けるが、アンジュは険しい面持ちのまま、ヒルダを見やった。

 

「モモカを頼むわね。私、行かなくちゃいけないから!」

 

エンジンを起動させ、ヴィルキスが起動するとアンジュは操縦桿を強く握り締める。

 

「おい、滑走路は使えねえぞ!」

 

わざわざ言うまでもないことだが、発進ゲートは完全に塞がれており、このままでは発進できないが、アンジュは知ったことかとばかりに前方の瓦礫を睨む。

 

「邪魔」

 

小さく吐き捨てると、操縦桿のスイッチを押し、ライフルのグレネードを一斉射し、突然の砲撃にヒルダ達は反射的に身を低くする。

 

グレネードがゲートを塞いでいた瓦礫と特殊部隊を吹き飛ばし、ゲートが開けると不敵に笑う。

 

「進路クリア!」

 

確認するや否や操縦桿を引き、ヴィルキスは瞬時に急加速でゲートから飛び出していった。漂う粉塵に咳き込みながらヒルダ達は悪態をつく。

 

「ったく、相変わらず無茶苦茶な奴だなぁ」

 

だが、結果的にはこれで進路は確保できた。その時、別の機体が飛び出していく。頭上を過ぎる機影と突風に頭を押さえる。それはサリアのアーキバスであった。

 

 

 

 

 

 

インフィニティの方では、カタパルトからマサト達が出撃し、迫り来るピレスドロイドやバグを破壊していく。エンペラージュリオ一世にいるジュリオがレオスを見て言う。

 

「紅い悪魔.....あれか.....パイロットも!」

 

ジュリオは笑みを浮かばせ、命令する。

 

「旗艦、エンペラージュリオ一世に告ぐ!敵艦からレオスを確認した!ピレスドロイドとバグを駆使して、レオスに集中攻撃!」

 

ピレスドロイドとバグがマティス達からマサトとレオスの方に向かってきた。

 

「チッ!」

 

マサトは舌打ちすると、ビームサーベルを抜刀し、回転させる。そしてちょうどそこにヴィルキスが駆け付けてきた。

 

怒りに猛る感情のまま、アンジュはヴィルキスを駆り、ピレスロイドを破壊していく。

 

背後に回り込むピレスロイドが撃ち落とされ、ハッと振り向くとそこには、サリアのアーキバスが急接近してきた。

 

「戻りなさい、アンジュ! 戻って使命を果たして!」

 

金切り声を上げて叫ぶサリアをうるさ気に一瞥し、アンジュはピレスロイドを破壊する。ヴィルキスの前へと回り込むアーキバスが対峙し、サリアはなおも叫ぶ。

 

「何が不満なの!? アンタは、アンタはアレクトラに選ばれたのよ! 私の役目も、夢も、居場所も全部奪ったんだから.......そのくらい!」

 

顔を上げたアンジュの瞳に悲哀と怒りの入り混じった色が浮かぶ。アンジュの指輪が光り、剣を抜きサリアのアーキバスに迫る。

 

「私...ここが好きだった。なのに壊された....あいつに!」

 

アンジュはアルゼナル生活を壊された事を話し、息を呑むサリアの前でアーキバスの腕を斬り落とす。

 

「だから、私は行く.....!」

 

返し手で振り上げた一撃がもう片方の腕を斬り飛ばし、体勢を崩すアーキバスを睨む。

 

「邪魔をするなら......殺すわ!」

 

身を捻って蹴りでアーキバスを弾き飛ばし、海面へと落とす。刹那、明滅していた指輪が輝き、コンソールに光が灯る。眼を見開くアンジュの前でヴィルキスは全身を真紅に染め上げる。

 

「アンジュ!.....アンジュ.....!」

 

海面へと落下してくアーキバスのコックピットでその光景を見たサリアは絶望と敗北感に打ちのめされる。

 

「赦さない.....勝ち逃げなんて、絶対に赦さないんだから! アンジュの下半身デブ......!」

 

落ちていくサリアは叫びながら海中へと水没していった。

 

 

 

 

 

カタパルトデッキでは、生き残っている整備班が最後の作業を進めていた。

 

「ヒルダ、発進準備完了だよ!」

 

疲労を隠せない憔悴した面持ちながら、自身の役目を全うしたとメイはサムアップする。

 

「ああ、あとは任せて早く逃げな」

 

「分かってるよ」

 

既に生き残りの面々は地下ドックへと向かっている。ヒルダ達を射出した後は施設を放棄するだけだ。メイが機体から離れると、操縦桿を握るヒルダにクリスが声を掛けた。

 

「ヒルダ……ううん、行こう――隊長」

 

その言葉にやや眼を剥くも、横に居るロザリーもぎこちなくだが頷いている。その様子にヒルダも小さく笑い、頷き返す。

 

「ああ―――ヒルダ隊、行くぜ!」

 

「「イエス・マム!」」

 

ヒルダのグレイブが発進すると同時にロザリーとクリスの機体もまた発進していく。それを見送るメイだったが、瓦礫の中に負傷した特殊部隊の一人が生き残っており、サブマシンガンを乱射した。

 

「え....?」

 

クリスは一瞬、何が起こったか分からなかった。彼女の頭から血が噴き出し、ハウザーは制御不能のまま墜落した。

 

その光景に飛び出したヒルダとロザリーは眼を見開いた。

 

「「クリス!?」」

 

予期せぬ状況にヒルダは動揺し、ロザリーは半狂乱になったアルゼナルに舞い戻ろうとする。だが、それを阻むかのようにピレスロイドとバグが襲いかかってくる。

 

慌てて応戦しながらも、ロザリーは通信機に向かって叫ぶ。

 

「待ってろクリス! すぐに助けにいってやるからな!」

 

『う、うん……ありがとう.....ロザ、』

 

通信から聞こえるクリスのか細い声が消え、同時にハウザーのエンジンが火を噴き、既に耐久性を失っていたカタパルトに致命傷を与え、ゲートが崩落する。その中へクリスは呑まれていった。

 

「クリ、ス......?」

 

粉塵が包む光景にロザリーは上擦った声で名を呼ぶも、もはや反応はなかった。その瞬間、ロザリーは眼に涙を浮かべ、口を強く噛み締める。

 

「ちっくしょぉぉぉぉぉ!てめえら全員!ぶっ殺してやる!!!お前らの方が化け物だぁっ!!!!」

 

怒りに駆られ、ロザリーはライフルと連装砲を狙いもつけず撃ちまくり、ピレスドロイドとバグを破壊していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瓦礫の中に埋もれているクリスの元に、ネロスは鼻歌をしながら近付く。

 

エルシャの方は、特殊部隊の火炎放射機によって全身黒焦げになっている幼年部の姿に、絶望していた。

 

「ごめんなさい......ごめんなさい......」

 

絶望するエルシャの元にネロスが来る。

 

 

 

 

 

 

アンジュは敵艦隊を攻撃して行く中で、光の障壁がある事に気が付く。

 

「光の障壁?なら!」

 

ヴィルキスが飛翔形態へと変形し、アンジュはその障壁を利用して敵艦隊へと突っ込んで行き、その障壁で次々の敵艦隊を撃破して行く。

 

「俺も......俺も負けていられないな!」

 

マサトがそう言うと、レオスが新たな姿へと変わる。

 

『ファンネル進化状態!"アイオス・フェース"!!』

 

レオスの背部に紅い翼が生え、マサトの髪の毛が白く染まり、瞳の色が緑へと変色した。

 

「行こう、レオス!皆を守りに!!」

 

レオスは翼から8基のアイオス・ファンネルを展開した。

 

「行け、ファンネル!!」

 

マサトは脳波でファンネルに指示を出し、ファンネルに命令した。ファンネルは高速で行動し、ピレスドロイドとバグに目掛けて、ビームを発射する。ピレスドロイドとバグがファンネルに撃墜されると、マサトは次に、アルゼナルの方を向く。

 

「システムログイン.....ID『ALICE』.....接続」

 

アルゼナルの地下にある三機のモビルアーマー『ガデラーザ』のツインアイが発光する。それと同時にGNドライブから大量のGN粒子が吹き出る。

 

「メインエンジン オーバーライド........各部損傷なし.........」

 

そしてマサトは大きく息を吸い、叫んだ。

 

「モビルアーマー『ガデラーザ』起動!!自立モードで敵艦を殲滅しろ!!」

 

ガデラーザは機首にある大型ビーム兵器『GNブラスター』を展開し、シャフトごと破壊した。破壊した穴から海水が流れ込むと同時にGNドライブの出力を最大値上げ、格納庫から出撃し、海面へと突き出た。アストラ達はガデラーザがアルゼナルから出た事を確認すると、ジルに通信を入れる。

 

「アイオス・フェースに覚醒したか.....」

 

アストラがインフィニティから見ている中、ピレスドロイドとバグが迫っていた。ヴィルキスは光の障壁を展開し、突撃する。レオスはアイオス・ファンネルをを展開すると、ガデラーザに命令する。

 

「ファング!!」

 

三機のガデラーザの下部のコンテナからマサト達の機体並のサイズを持つ兵器"大型GNファング"14基が射出される。更に大型GNファングの中から小型のGNファングが10基も射出される。他の二機も大型GNファングと小型のGNファングを射出し、大型、小型、アイオス・ファンネルを含めて、合計470基のファングとファンネルが浮游する。

 

「何なんだあれは!?」

 

ジュリオが驚いていると、ファングからビームサーベルが放出される。コックピットの頭上からVRヘッドが下りてきて、マサトの顔を被う。さらに左右のコントローラーが変形し、指でのコントローラーへとなった。マサトはコントローラーを握ると、ハロが報告する。

 

「敵識別確認!敵識別確認!敵機をロックオン!」

 

マサトは浮遊しているガデラーザに命令する。

 

「殲滅!」

 

三機のガデラーザのGNドライブが粒子を放出し、高速戦闘を開始した。迫り来るバグやピレスドロイドにガデラーザのファングが襲い掛かる。ガデラーザは護身用為に隠し腕からフレキシブルGNビームガンを四つ展開し、マシンガンのように連射する。マサトもレオスと共にアイオス・ファンネルで敵艦の主砲や対空兵器の死角を狙いを撃沈させる。アンジュも負けていられなれないと思い、ヴィルキスで敵艦に突撃する。次々にピレスドロイドとバグが撃墜されていき、艦隊もアンジュによって撃沈されていく光景にジュリオは怯える。

 

「あ....あ....悪魔だ....!」

 

すると兵士たちはジュリオに報告する。

 

「ディファイアント!マリポーゼが撃沈!ウォウジュネイト!オーベルトが大破しています!」

 

「っ!!な、何をやっている!早くっ!」

 

っとそう言った途端にブリッジの半分が割れて、ジュリオの前にヴィルキスとレオスに乗ったアンジュとレオスが現れる。

その隙にリィザはその場から離れて行く。

 

「あ、アンジュリーゼ!」

 

ジュリオの足に銃弾を撃ち込むアンジュ、それにジュリオはもがく。

 

「今すぐ虐殺をやめさせなさい!! 死にたくなければ!!」

 

それにジュリオはすぐにマナの通信で部下達に虐殺をやめるように指示を出す。

 

「神聖皇帝ジュリオ一世だ!全軍全艦艇は直ちに撤収を!」

 

『撤収!?ノーマ達は!?』

 

命令を言ったジュリオはすぐにアンジュに言う。

 

「止めさせたぞ!早く医者を!」」

 

するとアンジュはヴィルキスに乗りラツィーエルを振り上げ、マサトもファンネルを構える。

 

「まっ!?待て!!話が違う!?早まるな!要件は何でも聞く!だから殺さないでくれ!」

 

「生きる価値のないクズめ!くたばれぇぇぇ!!」

 

アンジュは渾身を込めたラツィーエルを降り下げた。

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 

アンジュがサーベルを振りかぶろうとしたその時、アンジュの目の前に紅いアーマーを装着した蒼いエクストリームが現れ、マント状のウィングシールドでラツィーエルを防御する。

それにアンジュは目の前の光景に驚く。その蒼いエクストリームのコックピットにネロスが乗っているのだ。

 

「貴方....さっきの!?」

 

「蒼いレオス!?」

 

「ネロス様!! そいつ等を!アンジュリーゼをぶっ殺してください!! 今すぐ!!!」

 

「「ネ...ロス?」」

 

アンジュとマサトはその男がネロスだと知って呟く。

 

「未確認機を確認!」

 

インフィニティのブリッジでシアが報告し、マサトとアンジュの目の前に蒼いエクストリームとネロスが写る。

 

「アイツは......!!」

 

アストラが10年前の過去を思い出す。かつてタスクの一族『古の民』、貴族連合のイシュー家とウォーレン家、共に戦った仲間達を殺したネロスを見て、怒りが込み上がる。

 

「アンジュ、君は美しい…。君の怒りは純粋で白く何よりも厚い。理不尽や不条理に立ち向かい…焼き尽くす炎の様に、気高く美しい物。つまらない物を燃やして、その炎を燃やしてはいけない」

 

アンジュはネロスが何を言いたいのか意味が分からず、ただ唖然としていた。

 

「だから.....私がやろう」

 

「え?」

 

「君の罪は...私が背よう......」

 

するとネロスはジュリオの方を向く。

 

「ジュリオ君........言ったよね?『すべての『ラグナメイル』とメイルライダー及び、レオスとレオスのパイロットが揃えば。』と.........何で、他は虐殺するのかなぁ~?」

 

ネロスは不気味な笑みを浮かばせる。ジュリオは慌てて、謝罪する。

 

「も!申し訳ございま「君にはがっかりしたよ.....」え?」

 

「だから......君はもう、王家ではない♪よって僕からの聖なる罰を下す。」

 

ネロスはそう言うと、イクスのアーマーが変わり、紅いアーマーから、2門のキャノンを装備したアーマー『カルネージ・フェイズ』を装着し、上昇させて、ネロスは何かを歌いだす。

 

「♪~♪~♪~」

 

その歌にアンジュとジュリオは聞き覚えがあった、その歌は『永遠語り』であった。

 

「あれは....!?」

 

「永遠語り!?何故、ネロス様が母上の歌を....!?」

 

アンジュの元に背中に気を失っているヴィヴィアンを乗せたタスクとインフィニティとマティス達が来る。

 

「あれって.....まさか!」

 

『そうだ!......ネロスと"双極の蒼い悪魔 『イクス』"だ!』

 

同時の外に出ているリィザは【謎の翼】を出して飛んで、ネロスを睨む。

 

「ネロス…」

 

そしてネロスが操るイクスの2門のキャノンが露出展開され、ヴィルキスと同じ物が出て来る。

 

「「ヴィルキスと同じ武器......!?」」

 

アンジュが驚いてる中でイクスは2門のキャノンを発射して、ジュリオが乗っている旗艦へと直撃する。

 

「う!!うう!!うわあああああああああああああああ!!!!!!」

 

アンジュとマサトが目の前の光景に驚きを隠せず、ただ跡形もなく消え去った旗艦を見て唖然する。

ミスルギ艦隊の姿は影も形もない。あとは、自動操縦のピレスロイドとバグが僅かに飛ぶ戦場のなか、ジュリオごと旗艦を消滅させたネロスはイクスに対峙するように相対するレオス。

 

「おい、お前!その機体は何だ!!?.....答えろ!」

 

「フフ......!?」

 

その時、横からの攻撃に気付き、すぐに回避するとタスク達がマサトとアンジュに向かってくる。

 

「アンジュ!マサト!ソイツは危険だ!!」

 

「タスク!」

 

「離れるんだ!今すぐ!」

 

「無粋な.....!」

 

するとネロスは目標をタスク達に向け、歌いだす。

 

「♪~♪~♪~」

 

「いけない!」

 

アンジュは急いでタスク達の元へ向かい、マサトは砲撃を阻止しようと、ガデラーザに命令する。しかし、イクスの周りに、リフレクターシールドが展開されており、ファングやファンネルが通用していなかった。

 

「クソッ!!」

 

マサトは三機のガデラーザと共に、急いでタスク達の所へと向かう。そしてイクスのキャノンから竜巻状のビームが発射され、真っ直ぐに襲い掛かる。

 

「ダメぇぇぇぇっ!!」

 

その時、アンジュの指輪が強く光だし、ヴィルキスの色が青く染まった直後、レオスのファンネルが回転し始め、ヴィルキスと共にタスク達やインフィニティ、マティス達が消え、レオスや三機のガデラーザも消えた。

 

竜巻状のビームは海を割り、水柱を立ち上らせた。ネロスは上空で微笑む。

 

「詰まらぬ筋書きだが、悪くはない♪」

 

するとネロスの元に、モビルアーマー『α・アジール』に乗っているディーラの幹部"クローバー"が現れる。

 

「ネロス様.....スペードから報告があります。」

 

「どうしたのかね?」

 

「....貴族連合の一人がローゼンブルム王国の妃殿下を誘拐されてしまいました。恐らく、彼女にもこの世界の真実をお見せするつもりなのでしょう.......」

 

「......まぁ、良い........時間はたっぷりあるからなぁ♪あ、念のため.......ローゼンブルム王国を取り囲んでおくれ........彼等は僕の大事な人質として役に立って、もらなわければならない。それとアルケミスト学院の者達も.......♪いいね?」

 

「分かりました ネロス様........直ちにトルーパーを配備させます。」

 

クローバーはそう言うと、特異点を開き、ネロスと共に姿を消した。

 

 

 

 

 

 

雷雨が降る、暗闇に微かな照明が灯る。まるで中世の石造りのような階段の奥には、壁面に備えられた部屋と思しきくぼみには鉄格子が張られており、檻を形成していた。複数の檻が並ぶも、一切の気配がなかったが、一つの檻の中にアンジュの父"ジュライ・飛鳥・ミスルギ"が囚われていた。

 

「.........」

 

その時、階段から誰かが下りてくる音がした。ジュライは警戒すると、現れたのは七大名門貴族のファリド家の令嬢"アンジェリカ・ファリド"であった。

 

「君は.....アンジェリカ!?」

 

「お久し振りです。ジュライ皇帝陛下......」

 

アンジェリカはレジスタンスのコンバットスーツのポーチから、金具を取り出し、鍵穴に差し込む。

 

「開く.......かな.....?」

 

ガチャン!

 

鍵が解除され、アンジェリカはジュライ皇帝陛下を保護する。

 

「すまない.....」

 

「話は後です。一刻も早く真実の地球に貴方を送らなければ、奴等の思う壺です。」

 

「あぁ、分かっている.....」

 

階段の出入り口に待機している貴族連合の領邦軍兵やハデス兵が銃剣とブラスターライフルを構えながら、ジュライ皇帝を護衛する。

 

監守や近衛兵を気絶させ、隠してあったブラッドハウンドや61式戦車6台、さらにグレイズリッター4機を出す。

 

「此方へ...!」

 

ハデス兵の一人がジュライ・飛鳥・ミスルギをブラッドハウンドに乗せ、護衛の戦車やグレイズリッター、そしてアンジェリカ専用レギンレイズが動き出す。

 




さてさて、マサト達はこれからどうなるのやら........次回もお楽しみに!

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