クロスアンジュ エクストリーマー    作:オービタル

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第15話:パンドラの箱

 

今日は年に一度の休日『マーメイドフェスタ』が祝祭されており、アルゼナルの皆は水着を着て楽しんでいた。幸いにアストラ兄さんがⅡ年Ⅳ組やリナやシアにそれぞれの水着を持ってきており、マサト達はありがたく水着を着て楽しむ。(因みにシアは水着を着なかった。理由はメイド服無しだと、護身用やリナや俺とアストラ兄さんを守るための鋼糸とダガーをしまえないからと.....)ココとミランダ、リナが海辺で海水を掛け合う。

 

「あんまり、はしゃぐなよ♪.......これがフェスタか.....」

 

マサトが椅子に座っているとアンジュとモモカ、そしてナオミと一緒にいるサリアが説明する。

 

「人間達が私達に唯一休みをくれた日の事よ。訓練は明日まで免除、何をして遊んでも許されるのがこのフェスタなの。過酷な明日を生きるための、希望の一日なんだから、楽しみなさい♪」

 

「奴隷のガス抜きってことね.......でも、これは何....?」

 

アンジュの水着は赤のビキニでナオミは昔ながらのスクール水着(略して"旧スク")を着ていた。

 

「伝統よ、制服やライダースーツじゃ息が詰まるって」

 

「.......恥ずかしくないの?」

 

アンジュは呆れた目でサリアを見ると、サリアが頬を赤くし、胸元を隠す。

 

「水着でいることが、よ」

 

サリアはその事に肩を垂らす。マサトは二人の話を聞いて笑っていた。

 

一方、館の方ではエマ監察官はローゼンブルム王国王女『ミスティ・ローゼンブルム』と話していた。

 

「宴の遥々、よくぞお越しいただいてくれました。ミスティ・ローゼンブルム妃殿下」

 

「アルゼナル管轄は、我がローゼンブルム王国の責務ですから♪」

 

「無事終えられたのですね、洗礼の儀.....おめでとうございます、これで立派な王家の一員に「一つ、御伺いしてもよろしいでしょうか?」」

 

「はい、なんなりと」

 

「ここに......マサト・ラスタル様とアンジュリーゼ様がいらっしゃると....」

 

ミスティはマサトとアンジュに話がしたいと事にエマ監察官は誤魔化そうとする。

 

「そ、そのような方....ここには「では、探してください!」」

 

ミスティは心配そうな表情になり、鍵がかけられた木箱を取り出す。

 

「アンジュリーゼ様とマサト・ラスタル様に会いたいのです.......どうしても......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マティス達はロザリーとの競豚での勝負をしていた。ロザリーは『豚骨インパクト』、マサトは『ロースブレイカー』に何と何十万のキャッシュを注ぎ込んでいた。

 

「行け~~っ!ロースブレイカー!!」

 

「そこだ~!行け~~豚骨インパクト!!」

 

二人が競豚に興奮している中、クリスはヒルダを探していた。

 

「ヒルダ.....どうしちゃったんだろう?」

 

「貯めろ!末脚を貯めるんだ!私のキャッシュを「ロザリーッ!!」」

 

「ん?」

 

「ヒルダ....何処にいったんだろう?」

 

「はぁ?多分、どっかにほっつき歩いてんだろ?」

 

すると競豚を見ている観客達が騒ぎ足す。

 

「ヒルダが何を考えているのは昔からそうじゃないか!?」

 

ロザリーは豚骨インパクトの状況を見る。結果、豚骨インパクトの順位が最下位から二番目、ロースブレイカーが2位になっていた。

 

「おっしゃ~っ!!2位!ありがとよ!ロースブレイカーッ!」

 

「あ~~っ!!??なにさらされてんだよ!?豚骨インパクト~~~!!」

 

マティスは喜び、負けたロザリーは持っていた豚券をばらまいた。

 

エルシャはアイカのマッサージで極楽気分になっており、サリアとナオミは一緒に映画鑑賞していた。

 

マサトはパトリックとセリカ、ニコラス、リクトと一緒に飲み物やたこ焼を飲食していた。

 

「この光景......思い出すなぁ、学院際を......」

 

「あぁ、」

 

マサトは前の学院際を思い出していると、アストラがマサトの所に来る。

 

「マサト....」

 

「兄さん?」

 

「エマ監察官からお呼びがあった.......ミスティ・ローゼンブルム妃殿下がお前に会いたいそうだ.......」

 

「ミスティ様が!?」

 

マサトは驚くと、ニコラス達も驚く。

 

「ミスティ様がここに!?」

 

「アストラさん!それって!?」

 

「年に一度のフェスタでは、必ず王家の者が来る......今回は洗礼の義を終えたミスティが要らしている。マサト......顔を見せたら?」

 

「う~ん......兄さんがそう言うなら.....」

 

マサトはジャケットを着て、アストラに連れられ、ミスティの元へと向かった。

 

「ミスティ様.....アストラです。マサトを連れてきた。」

 

アストラはドアを開け、マサトを中に入れされた。

 

「マサト様.......」

 

「お久し振りです.....ミスティ様」

 

「話はアストラ教官から聞きました......最後まで隠しきれなくてすみません......」

 

「いえいえ、別に対した事はありませんから」

 

「.......左腕の方は....」

 

「これですか?ちょっとしくじっちゃいまして........気にしなくても良いですよ♪」

 

「そうですか......」

 

「それで、ミスティ様......俺を呼んだのは?」

 

「はい、実はマサト様の御自宅の、あらゆる遺品を没収されていた時、奇妙な箱を見つけたのです」

 

「奇妙な箱?」

 

「はい、マナの光で持ち運ぼうとしても、マナの光が崩れたのです......さらにどんな鍵職人でも抉じ開けることができなかったのです。」

 

「え?」

 

ミスティはマサトにその箱を見せる。

 

「これがその?」

 

「はい、マナの光を崩してしまう開かずの箱です」

 

マサトはその箱を受け取った直後、箱の隙間が光出した。

 

「「っ!?」」

 

ミスティは側にいたメイド守られ、マサトとアストラは光る箱から離れる。すると箱から綺麗なメロディーが鳴る。

 

「オルゴール?」

 

「だけど、ネジ穴はありませんでした!?」

 

「.........」

 

オルゴールは綺麗なメロディーを鳴らしながら、ゆっくりと開いた。中に入っていたのは見たことのない文字で書かれているメモ帳と写真であった。

 

「これは?」

 

マサトは写真の方に目をやる。それはオルト・ラスタルとマナミア・ラスタル....そして他の二人が写っていた。男性の方はマサトと同じ髪の色をしており、マスクを付けていた。女性の方はこの世とは思えない美しい紫色をしたロングヘアー、耳にルビーのピアスをしていた。マサトは

 

「この人......何処かで......」

 

その時、アストラが写真を取り上げ、落ちていたメモ帳を没収する。

 

「すみません、ミスティ・ローゼンブルム妃殿下.....私とマサトはこれにて失礼します。」

 

「えっ!?ちょっ!?」

 

アストラはマサトの腕を掴み、部屋から出る。ミスティは心配そうにマサトの事を思う。

 

部屋から出たマサトはアストラに言う。

 

「ちょっと、兄さん!どう言うことなんだ!?説明してくれ!何で写真を取り上げたんだ!?」

 

「悪いがそれは関係ない話だ......」

 

「関係あるよ!あのオルゴール.....俺が触れた途端に光だして開いた、そして入っていたあの写真とメモ帳「need not know!」っ!?」

 

「.......知らない方が身の為だ」

 

アストラはそう言い、何処かへ行った。

 

マサトは皆の所に戻り、写真のに写っていた男性と女性の事を考える。

 

「.........」

 

するとマサトの足元にハロが転がってきた、

 

『マサト?マサト?』

 

「ん?.......大丈夫、ちょっと考え事をしていただけだよ♪」

 

マサトはそう言うと、ハロを幼年部達の所に渡し、遊ばせた。

 

「........」

 

「マサト!」

 

「はい?」

 

マサトの所に疲れはてたエマ監察官が来た。

 

「アンジュを見ましたか!?」

 

「え?いいえ......見ていませんけど......」

 

「も~っ!!ミスティ様がお待ちなのに、何処にいるの~~!!??」

 

エマはそう言いながら、アンジュを探すのであった。その後、午後からの賞金を懸けた大運動会が開かれていた。大運動会にはセリカやメリー、アイカ、ロザリー、クリス、エルシャ、ヴィヴィアン、ナオミも参戦していた。

て言うかジャスミンの奴、無茶苦茶でハレンチな競技を考え付くなぁ......第一競技の『恐怖!溶ける水着でパン食い競争』と第五競技の『挟んで運べ!○っ○○卵』って.......

 

マサトは競技の事を考えていると、第一競技が始まった。マサトやマティス達は溶ける水着で女子達のあれを見ないように後ろを振り向き、目隠しする。

 

「あ~.....彼女達のあれが見られないなんて.....残念だ~!」

 

マティスが残念そうな言葉を吐くと、ガイが注意する。

 

「止めなさい、変態か?お前は」

 

「だってよ~!」

 

するとパトリックがマサトに問う。

 

「そう言えば、マサト......ミスティ様と何を話していたの?」

 

「ん?......自分の事やお前達の事......」

 

マサトは皆に嘘を言うと、皆はそれを信じた。

 

「はぁ~、俺たちもミスティ様に会いたかったなぁ~」

 

「そうだね、ミスティ様はマサトを優位ノーマだと言うことを隠してくれた恩人だから......」

 

皆が目隠ししながらミスティの事を話していると、いつのまにか第五競技が始まっていた。

 

「第五競技は!『挟んで運べ!○っ○○卵』だ!さぁ~!誰が一番に着くのかな~?よーい.........スタート!」

 

ジャスミンの号令と共に参加者達が一斉に何個もの卵を○っ○○に挟んでリレーをする。その光景にマサト達は呆れていた。

 

「.......何だ、この競技?」

 

その中に一番苦戦していたのはサリアの方であった。胸が小さいせいか、卵一個に苦労していた。メリーはやっぱり脱落、セリカやアイカも負けていなかった。一方ロザリーとクリスは.....

 

「あぁっ!!くそっ!」

 

ロザリーは次々と卵を落としていくと、クリスが何個かの卵を挟み、ロザリーのキャッチした。

 

「任せて!」

 

クリスは凄い早さで、ゴールまで向かっていった。ロザリーや参加者、マサト達はクリスの素早さに驚いていた。

 

《早っ!!?》

 

そして競技が終わりに近くなっているとき、マサトの元にまたエマ監察官がやって来た。

 

「まだ探しているんですか?」

 

「ゼェ!......ゼェ!......ゼェ!......何処に行ったの!?」

 

「......一緒に探しましょうか?」

 

「是非、そうして.......ハァ、ハァ、ハァ....」

 

マサトは一旦ミスティがいる館へと向かう。ドアを開けると、二人は倒れているボディーガードを見て、驚く。

 

「っ!?...ミスティ様!?」

 

エマ監察官が部屋を見ると、メイドが倒れていた。

 

「おい!何があった!?」

 

マサトが気を失ったメイドを起こすと、メイドは小声で言う。

 

「アンジュリーゼが.......」

 

メイドはそう言うと、また気を失ってしまった。

 

「アンジュが!?」

 

そしてマサトは急いでジルの元へ向かう。

 

「たっ大変よ~!!」

 

エマがジルに叫び、事情を話す。マサトは何かを察知し、カタパルトへと向かうと、王族専用の輸送機が発進していた。そしてハッチの奥に縛り付けたミスティとアンジュ、それを追っているヒルダの姿がいた。マサトはミスティをあんな風にしたことに怒り、サイレンサーが付けられたハンドガンを取り出す。

 

「待ちやがれっ!!お前ら!!」

 

ヒルダが勢い良くハッチに飛び移ると同時に、マサトを追ってジル達も駆け付けた。そして輸送機は拘束されたミスティとアンジュ、ヒルダを連れて、何処かへと飛び立った。

 

「どっどうしましょう!!??ミスティ様が、ノーマに誘拐.....」

 

エマはあまりのショックに気を失う。

 

「簡単に買収されやがって、何の為の番犬だ!?」

 

ジャスミンは武器をほとんどアンジュに買い占められたことに置かれていたキャッシュを握りつぶし、バルカンに怒鳴る。

 

「くぅ~~ん」

 

「ジャスミン......」

 

ジルがジャスミンに言う。

 

「........あの坊やと"レジスタンス"に連絡を.......」

 

「あいよ」

 

ジャスミンは直ぐにタスクとミスルギに派遣されている隠密部隊に連絡する。マサトや第四中隊が呼び集められると、アストラが作戦を伝える。

 

「今回の作戦は救出だ。幸いな事にミスティ・ローゼンブルム妃殿下は無事だ。アンジュは恐らくミスルギ皇国へと向かっている。ヒルダの方は不明だが、見つけ次第確保を最優先せよ」

 

するとマサトはアストラの言葉に疑問を持つ。

 

「あの、兄さん.....ミスルギ皇国へと言いましたが、ミスルギ皇国は無くなった筈では?」

 

「"名前"がな、今は新皇帝であるジュリオ・飛鳥・ミスルギが統一している神聖ミスルギ皇国となっている.......」

 

「神聖ミスルギ皇国......」

 

「多分、ジュリオ皇帝はあの筆頭侍女を餌にアンジュを殺そうと思うかもしれない.....」

 

アストラの言葉にマサトはハロが発声していた言葉の意味を思い出した。

 

「(そうか!ハロが言っていたあの"家族"と言うのは、そういう意味だったのか.........くそっ!)」

 

「アストラさん、どうやってその情報を?」

 

「向こうにいる坊主(タスク)とレジスタンス達からだ.......」

 

「レジスタンス!?」

 

「マティス達は、知らなかったんだな.....俺たちが通っていたアルケミスト学院の先生や学院長と一部の生徒達はこの世界に抗う抵抗組織なんだ.....」

 

「マジで!?」

 

「信じられないかも知れないが.......事実だ。作戦に戻るが、マサト、マティス、エルマ、セリカはミスルギ皇国へと向かい、タスクと合流しろ........私とリクト、ニコラス、メリー、アイカ、ガイ、モニカはヒルダの捜索をする.....以上だ。何か質問は?」

 

アストラの問いにガイが手を上げた。

 

「アストラさん......ちょっと気になったのですが、レジスタンスと言うことは、世界を相手するのですか?」

 

「答えは簡単..........yesでありnoだ。それだけか?」

 

「え?......はい......」

 

「それじゃ、マサトと第四中隊!発進準備!」

 

《イエス!コマンダー!》

 

マサト達は急いでそれぞれの機体に乗り込む。マサトのレオスのフライトパックはジャスミンが捜索の為、燃料タンクを追加し、さらにレオス専用の新武器『ヴァリアブルライフル』も追加してくれた。

 

「本当に良いの?」

 

「あぁ、良いとも......あの武器はちょっとデリケートでな、ダイヤルで調整しないと銃身がオーバーヒートを起こして使い物にならんくなるのよ」

 

「分かった、気を付けて使うよ.......それとあの武器のお代は?」

 

「良いよ、あの武器のお代はチャラにしておく。それと.....」

 

するとジャスミンがマサトに新しい義手のパーツをくれた。白く、分厚い鋼鉄でできたガントレットであった。

 

「ローゼンブルム製の義手の籠手(ガントレット)だ。その紐を中指に結び付けて、引っ張りな」

 

マサトはジャスミンに言われた通りに、紐を中指に結び付けて引っ張った。するとガントレットからブレードが飛び出してきた。

 

「へぇ~」

 

「刃は超鋼クロム製だから、簡単に折れないようにできている。」

 

「ありがとう」

 

マサトはレオスに乗り込むと、ヴィヴィアンとエルシャ、ココ、ミランダ、ナオミ、リナ、シアが駆け付ける。

 

「気を付けて、お兄ちゃん!」

 

「兄様.....お気を付けて......」

 

皆が祈り、マサトは発進準備をする。

 

「マサト機、レオス フライトカスタム......box out!!」

 

マサトのレオスが夜空に舞い上がると同時に、水中のハッチが開き、マティス達のザクウォーリアが水中用のジェットパックを装備して、発進する。そしてアストラの赤いデルタガンダムがウェイブライダー形態のまま発進した。

 

「さてと、もしもの時だ........」

 

アストラはコックピットに乗せたブリッツの横にある鞄から包帯とマント、そして鳥の仮面と鬘を取りだし、デルタガンダムを自動操縦に切り替え、コマンダー・フェニックスに着替える。そしてマサトに通信をし、各部隊に別れる。マサトはハロの頭を撫でながら言う。

 

「自動操縦頼んだぞ♪」

 

「了解!了解!」

 

マサト達はミスルギ皇国へと足を踏み入れた。


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