比企谷八幡の現実   作:きょうポン酢

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比企谷八幡の現実

 

俺、比企谷八幡は青春をしている

 

 

 

そもそも青春とはどういうことだろうか

 

 

青春、それは社会的カースト上位どもが良く使う言葉であり、ここで言う社会とは学校内でありクラス内を指す

 

 

また、カースト上位というのは奴らの事を指す俗称であり、決して奴らが偉いという訳では無い

 

 

 

 

青春とは現実だ

 

 

クラスのカースト上位どもは日々の自らの行いを"青春は最高だぜ"などと思っているのかもしれない

 

だがしかし考えてみて欲しい、果たして青春とはカースト上位ども専用の言葉なのか?

 

 

 

 

俺はいつも独りであった、そして独りを恥じず、独りである事に誇りを持っている

 

 

人に頼れる事は強みであると言うが

 

 

独りで出来る事は強さだ

 

 

独りで居る事は悪い事なんかじゃない

 

 

独りでも頑張ってきた奴の方がよっぽど青春していると言える

 

 

 

青春は現実だから、俺の現実は独りだから

 

 

俺はいつだって現実に向き合い立ち向かってきたのだ

 

 

 

 

だから、青春が奴ら専用の言葉だなんて俺は思わない

 

 

 

 

だが、現実はそう甘くない

 

 

奴らは独りで行動する者を見れば"浮いている"と評し、友達がいない事は悪い事だと無意識に刷り込まれている

 

 

 

 

小学校の教師などは言うだろう

 

"みんな仲良く"と

 

 

 

 

欺瞞だ

 

 

 

 

本当にみんな仲良くなんて出来る筈が無い

 

 

人は感情を持ち、それぞれに別個の価値観を持つ

 

 

価値観とはその人の経験などにより大きく作用される

 

 

みんな仲良くとは"みんな"に同じ価値観を共有しろと言っているのと違いは無い

 

 

個人には得手、不得手があるのだから、軋轢

が生まれるのは当然の帰結だ

 

 

 

軋轢により虐めや排斥は起こる

 

 

虐めや排斥が起きる事で人は強者と弱者に二分される

 

 

そして、力のある者に人は集まる

 

 

数の暴力は時に凄まじい効果を発揮する、それは真実が白だとしても、白では無く黒であるという事が起こり得るのだ

 

 

そして弱者、つまり虐めや排斥される者は弱者である事を強制されるのである

 

 

人は必ず周りからの評価を受けている

 

 

 

つまりその評価が同じものであり、かつ、多数であればあるほど、そいつはこうであると強制されてしまうのだ

 

 

しかし

 

 

俺は先程述べた通り、独りである事に誇りを持っている

 

 

それは決して周りからの評価や憐れみで独りである事を強制された訳では無い

 

 

俺自身が望んで独りである事を選んだのだ

 

 

 

だから俺は世のカースト上位どもにこう言ってやりたいのだ

 

 

「群れる事は偉いことじゃない、独りで居る事は悪い事じゃない

 

 

ぼっちはお前らよりもよっぽど青春している

 

 

みんな仲良くなんてのは、我慢して、強制されて、上辺だけを取り繕って

 

 

そんな関係は欺瞞以外の何物でもない

 

 

 

 

そんな欺瞞だらけの関係に身を置くくらいなら

 

 

 

お前たちがそんな欺瞞な関係が良いと言うのなら

 

 

 

 

俺はどこまでも孤高の存在であろう、俺はどこまでも独りで突き進もう」

 

 

 

 

そいつらを外から笑ってやればいい

 

 

 

お前たちは欺瞞に満ち溢れていると

 

 

 

結論を言おう

 

 

 

 

やはりお前らの青春は間違っている

 

 

 

 

「比企谷...私が出した作文の課題は何だったかなぁ??」

 

 

「高校生の青春について述べよ、それに伴う根拠を添えて...ですよね?」

 

 

「はぁ...君は前から思っていたがとことん捻くれているな、これのどこが高校生の青春なんだ」

 

 

「青春ですよ、青春とは現実であり高校生である俺は俺の現実に向き合っているんですから」

 

 

「もういい、この作文は再提出だ、異論も反論も認めん」

 

 

 

「はぁ...」

 

 

 

 

平塚先生は俺にはとても厳しい

 

 

 

 

「ヒキタニ君また呼び出されてる〜クスクス」

 

 

 

誰だよヒキタニ君、呼ばれてんぞ

 

 

 

「やっぱりいつも独りでいるから変な人なんだね〜」

 

 

 

そこ、独りでいるから変な奴なんて事は無いぞ、作文にも書いたがな

 

 

 

「ヒッキー...」

 

 

 

ヒッキーだと?俺は引きこもりじゃねえ、俺は現実に向き合っているんだ

 

 

 

「はぁ...世の中は俺に優しくない」

 

 

 

俺は独り言を呟く

 

 

 

教卓から席へ戻り、この作文に消しゴムをかけるのであった

 

 

 

 

 

 


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