僕と私の未来の覚醒。   作:密告です。

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長らくお待たせしました。えー。約半年ぶりぐらいですかね?
書こうとは思っていたんですが中々やる気が起きず←
今回の放置っぷりは反省しておりますんで次こそはもう少し早く更新出来ることを目標にします(´・ω・`)
追記:タイトルを「謎の出会い。」から「謎の友達。」に変更させて頂きました。さっきみたらもう出会いって他のタイトルに使っちゃってました(汗


謎の友達。

閑静な住宅街では皆が寝静まっている。人々がまだ目覚めるには早いと決めつけ深い寝息を立てている頃一人の少年が目覚めていた。隼人は自分のベッドで横になり、ただ呆然と暗闇を見つめていた。しかしその目の先には暗闇ではなく違うものを見ていた。僕は昨日の出来事を遡っていた。結局あの後頭がパニックになったまま寝てしまい、まだ何も解決出来ていなかった。

取り敢えず昨日起こった事を思い出そうと脳をフル回転させている。虐められている少年を助けようと他の者達を殴り倒したのだ。だけどどうして自分が彼らに勝てたのか分からない。いつもなら1分も経たずにノックアウトされている筈なのだがあの時ばかりはまるで自分が世界最強になったかのようだった。しかし、それよりもっと重要なのがこの後だ。二人の少年を殴り倒し残り一人の少年に僕は魔法を使った。あれはもう魔法としか言い様がない。

何せ手から炎とかまともじゃない。炎が出た手を見ても火傷などの怪我は全くない。自分は一体どうなってしまったんだろう?これは夢なのか?夢ならいっそ覚めてくれ。そうやって現実逃避しようとするが、一つの思いつきで現実逃避を辞めた。もし今ここで魔法を使ってみたらどうなるのだろう?その思いが頭を支配し、直ぐに行動に移した。これで魔法が発動しなかったらあれはただの夢だったと結論づけよう。そしていつもと変わらない毎日を送るのだ。そう期待を込め、頭の中で火を灯せ!と必死に念じた。しかし、その期待もあっけなく裏切られた。

 

―――魔法が発動したのだ。

 

指先から小さな火を出しながら暫くボーッとしていたが慌てて我に帰り声にならない悲鳴を上げた。

そのまま5分間火の消し方が分からずあたふたしていたが、ふと頭の中で消えろと念じれば先程まで指先に灯っていた炎が嘘のように消えた。火が消えた瞬間疲れが一気に襲いかかりドサッという音と共にベッドに倒れ込んだ。

まだ日が昇り始めたばかりなので部屋は薄暗い。しかし、僕は部屋を隅々まで見ることが出来た。これはおかしい。何せ僕は、いや昨日の僕ならこんな暗がりでここまで目が見える筈がないのだ。眼鏡をかけなければいけない程悪くはないが、ここまで暗いと流石にこんなにハッキリ見えない筈だ。

暫く部屋の周囲を伺っていると、僕は気づいた。

違う。目が良くなっただけじゃない。人間に備わっている五感全てが圧倒的にパワーアップしている。

まず視覚。これは先程発見したが、まだ少し違和感がある。

そして聴覚。よく耳を澄ませば隣の部屋から妹の寝息が聞こえてくる。何故か盗聴している様な気分になり、少し不快だ。

次に味覚。思い過ごしかも知れないが部屋の中にある空気などに味がある気がする。こんな事言ってる僕がおかしいのだろうか。

さらに触覚。今触っている布団の細かい線維までハッキリと分かる。これは...羽毛か。

そして最後に嗅覚。なんと、隣の家や目の前の家の匂いが分かる。戸締りをしっかりしていても僅かな隙間から匂いが伝わってくる。これだけはただ単に鼻がいいだけじゃ済まない程異常だ。

自分は化け物にでもなってしまったのだろうか...今まさにこの瞬間FBI等に攫われたりしないだろうか。脳内はまたもやパニックに落ちかけ、慌てて気を取り直した。今ここで頭を悩ませるだけじゃ何も変わらない。そう思い、僕は急いで服を着て街に出る準備をしだした。こんな状態で街に行くのは少々危険だと思うが、今体を動かさないと頭がどうにかなりそうだ。前まで運動はそこまで好きじゃなかったのに。これも異変の一つだろうか。まあ、これは悪い気はしない。

足音を忍ばせ外に出た。まだ夜が明ける直前なので少し外は寒い。街に付くとこんな時間なのに人はかなりいる。それもその筈。ここは都会のど真ん中。言わば眠らない街なのだ。そんな人々の足音や笑い声などを聞きながら自分の足が赴くままに進んでいく。次第に人の足音がうるさくなってきた。僕は人が全くいない公園へと足を運んだ。壊れ掛けのブランコに乗り、リズム良く揺らす。すると目の前に人の靴が見えた。何だと思い顔を上げるとそこには綺麗な顔立ちをした男性がいた。しかし、僕はその顔に見惚れる事もせず恐怖に陥った。何故こいつは足音一つ立てなかったのか?僕の5感は人より強い筈だ。それは色んな所で実感出来た。ならばこの男はどうやって?それに匂いも全くしない。普通人間はどんなに若くても体臭はある筈だ。結論は一つ。

こいつは人間じゃない。

僕がそう結論付け一層注意深くなると男はニコッと笑い、僕にお辞儀をした。僕はブランコから降り、相手と距離を取った。そんな態度も気にせず男は美しい声で言った。

「初めまして。新塚殿。早速ですが貴方とお友達になりたくて来ました」

僕が疑問を口にするよりも早く男は僕に近寄り、僕の目を思い切り開いた。逃げようと動いたが男は僕の右腕を掴み全く身動き出来なかった。

なんだこれは。まるで金縛りみたいだ。

しばらくすると男はニヤリと笑い離れた。

「お前一体何なんだよ。人間じゃねぇだろ。それに何で僕の名前を知ってる?」

男は怪しげに微笑み人差し指を口もとに持っていった。

「本当はこの話、内緒なんですが伝えておきます。実は...ある人に頼まれて貴方と顔見知りになっておく様に言われたのです」

「ある人って誰だよ」

男はパチンという音が聞こえるのではと言うほど綺麗なウィンクをした。

「それは...まだ秘密です。おっと!私とした事が自分の自己紹介を忘れていました」

男はお辞儀しながら言った。

「私の名前は『ジャハット・フェンロー』

と申します。貴方の従者であり、友人でもある男です。身長183cm。体重69kg。好きなタイプは貴方です。これからよろしくお願いしますね。隼人君」

最後にサラッとタイプがどうのこうのと言われた気がしたが敢えてここは無視しよう。それより重要なのがこいつの...ジャハットの正体だ。

こいつが俺より強いのなんて当たり前かの様に分かる。ではこいつが今言ってきた友達...の様な関係なると言う申し出は受け取った方がいいのだろうか。いや、断ったら何をされるのか分からない今では断るというのは危険な行為だ。ここは素直に受け取っておこう。

僕はニコッと出来るだけ自然に微笑んだ。

「いいですよ。よろしくお願いします。フェンローさん」

ジャハットは目を細め口から息を吐き出した。

「ありがとう隼人君。でも私の事はジャハットとお呼びください」

そう言ってジャハットは右手を差し出してきた。僕はチラッと彼を見たが相手は何か企んでいるような素振りは全く見せない。少し緊張しながらも僕はジャハットの手を強く握った。数秒の固い握手の後、そのまま手を離した。僕は改めて彼の顔をまじまじと見た。

さらさらの黒髪に切れ長の茶色の瞳。普通の表情は優しげだが怒らせるととても怖そうだ。そして綺麗すぎる歯を並ばせたその口を僕はジーっと見ているとジャハットはクスッと笑った。今自分が少しでもジャハットに見とれていたことを知り、顔から火が出るほど恥ずかしくなった。だけど僕はまだ相手の事を信じきっていない。それは彼も分かっているのだろう。だからこんなことを言ってきたのかも知れない。

「そうですね...お友達になってくれたお礼にどんな質問にも一つお答えしますよ」

それを聞いて僕は大いに迷った。いったい何を聞けばいいのだろうか。ジャハットに聞きたい事は山ほどある。ジャハット自身何者なのか?僕はどうなってしまったんだろうか?どうやったら元に戻れるのだろうか?僕はこれからどうなるのだろうか?等、考えれば考える程疑問がでてくる。頭がグルグルしかけたがようやく質問が決まった。僕は大きく息を吐いて言った。

「貴方が言ったある人って言うのはラミアの事ですよね?」

一瞬の沈黙。その後ジャハットは声を殺して笑っていたが次第に大声で笑い出した。そしてとことん笑った後涙を拭きながら僕に言った。

「いや~隼人君。そんな質問がくるとは思っていませんでしたよ。もっとありきたりな私の正体は何か。とか、自分のこれからの事とか聞いてくるかと...何故その子だと?」

僕は落ち着いた微笑みを浮かべて真っ直ぐジャハットを見つめて言った。

「僕も最初はありきたりな質問をしようとしました。ですが、あなたはそんな質問をしても答えないと思ったんです。何故かは分からないけど、僕はこの直感を信じて見ようと思ったんです」

彼は少し驚いた顔をしたが僕は目線を下にしていたので気づかなかった。

「それと何故ラミアだと思ったかはとても簡単です。彼女以外僕に友達を増やそうとする人なんて他にいないからですよ」

ジャハットは少し空を見上げ何か考え事をしていたが直ぐに視線を戻した。

「お見事です。隼人君。どうやら君は中々面白い人の様だ。ますます興味をそそられるね。だけどそろそろ帰らなくては。長いこと留守にすると心配なんでね。では隼人君、また近いうちに会おう」

そう言うと彼は一瞬で消えてしまった。

僕は一人呆然と立ち尽くして困惑していた。せっかく自分の正体を知れるチャンスがあったのにみすみすそれを逃してしまったのだろうか、という後悔が今になって押し寄せて来たが僕はそれを無理やり断ち切った。こうなってしまってはもう後の祭りだ。ここはいっそプラスに考えよう。取り敢えずジャハットとラミアが繋がっている事は分かった。そうすると彼も魔族である可能性が高い。ラミアが前に言っていたのを思い出した。

『魔族の生き残りはかなりいるの。だけど皆身を潜めているだけ。外に出ればたちまち人間の標的にされるから』

それと魔族以外にももう一つ種類があったと聞いたがどうしても思い出せない。また今度ラミアに聞いてみようと考えが纏まり、ふと時計をみるともう外に出てから三時間程立っていた。僕はそろそろ家に帰ろうと家路についた。




さてさて、またもや新しいキャラが登場です。
蓮「それにしてもジャハットってなにもん?」
密告「いやいや、それはまだ教えられませんよ」
蓮「次はもっと早く更新しろよな」
密告「うっ...。が、がんばります...」

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