僕と私の未来の覚醒。   作:密告です。

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どうも~密告です。今回はかなり長いです。自分の中ではね(笑)これからもっと長く書けたらいいんですけどこれ以上長いと更新ペースが格段に落ちる...今回は視点の切り替えがあります。そして、ちょっとグロイかも...?
ということで~必死に書き上げたこの1話をご覧下さい(笑)


出会い。

出会い。

 

 

 

それから一週間が過ぎ、教会に行く日になった。僕はかなり早く目覚めちょっとだけワクワクしていた。彼女にあったら何を話そう?彼女が魔族だっていうことを知らない振りをした方がいいのか?彼女はどんな魔族なんだろう?そんな事ばかり考えて教会につくとまだ人はほとんどいなかった。そりゃ、神父さんの話まであと一時間近くあるから居ないのも当然か。と、一人納得する。勿論あの少女も来ておらず 暇な僕は時間潰しに想像する。

けれど始めて早々辞めた。あの悪夢の後想像しようとすると、何故かとても気分が悪くなる。そのせいで想像することが出来なくなった。

一人小さく溜息をつく。あの夢のせいで自分の雄一の暇つぶしが出来なくなったのだ。仕方が無いのでひたすらボーとしていると隣に誰かが座った気がした。チラリと横目で見るとあの少女だった。僕は一瞬心臓がドキッとした。あの夢のことを思い出し、物凄い罪悪感に襲われた。そしてどうやって声を掛けようか考えていたら驚く事に向こうから話しかけて来てくれた。

「ねぇ。あなたこの前も会わなかった?」

「う、うん。会ったよ。あの時は起こしてくれてありがとう」

一瞬言葉が突っかえたがどうでもいい。すると彼女は僕の事をジーと見つめて来たので思わず目を逸らした。顔が真っ赤になっているのが自分でも分かる。このままだと自分の顔が爆発するんじゃないかと思ったので、意を決し彼女を見つめ返して「どうかした?」と、聞こうとしたが、言えなかった。

彼女と目が合った瞬間意識がグラッと揺れた。耳鳴りがし、頭が割れそうな程頭痛が酷い。目の前が真っ赤に染まり、気が狂いそうになる。パッと彼女の方を振り向くと何故かとてつもなく殺意が湧いてきた。彼女を殺したい。ぐちゃぐちゃにして、ただの肉塊と化した彼女を見たいと思った。彼女はびっくりした顔で僕を見ている。何か呟いているが、何を言ったのか聴こえない。次第に意識が朦朧としてきたが、彼女は僕の頭に手を置いた。僕はその手を払い除けて相手の首を絞めたくなったが、僅かばかりの自制心で、震える腕を押さえ付けた。彼女は僕の頭に手を置き、何かを唱え始めた。すると、彼女の手からじんわりと温かさが伝わってきた。そして、徐々に僕の変な現象が無くなっていった。完全に異変が無くなると、彼女は手を頭から離し、少し溜息をついた。

僕は先程の現象に恐怖していた。何故自分は一瞬でも彼女を殺したいと思ったのだろう?それにさっきの異変は何だったのだろう?そんな事を考えていたら、彼女がツンツンと僕をつついた。

「ねえ。大丈夫?凄い汗だけど...」

そう言って僕の来ているシャツを指さす。見ると、まるでさっきまで川に浸かっていたかのようにぐしょ濡れだった。僕は大丈夫だと言ったがまだ彼女は心配そうな顔で見てくる。勿論顔は合わさない。そんな行動に気付いたのか、彼女は少しムスッとした顔で言った。

「ちょっと。どうして私を見ないのよ!」

と、言ってきた。本当の事を言えば怒られそうだが、答えなくても怒られそうだ。という事で嘘を言うことにしたが、あっさり見破られた。嘘をつかれたことで逆にもっと怒らせてしまった。そして、いつまでたっても頑として目を合わせない行動に痺れを切らしたのか彼女は無理矢理僕を引っ張り、かなり強引に目を合わせた。

僕は予想外の出来事と、先程の異変を思い出しビクッと体を震わせ、本能的に目を瞑ったが、何も起きなかった。おかしいと想いつつ僕はそっと目を開けると彼女は僕を見て微笑んでいた。その笑顔はまるで天使のようで、僕は不覚にもドキっとしてしまった。彼女は明るい笑顔で話し続けていた。

「貴方って不思議な人ね。私、貴方みたいな人と出会うのは始めて!ねえ、友達になりましょ?」

友達になろうだなんて初めて言われたので僕は驚いて彼女を見た。当の本人は大真面目なようだが僕は何故友達になりたいのか理由を聞いてみた。

「だって、貴方ってとっても面白いんですもの。貴方といれば楽しい冒険が出来そうな予感がするの。それに...」

ここで彼女は少し目を伏せて言った。

「貴方の周りにあるオーラって私が今まで見てきた中で一番輝いているの」

あまりにも予想外な答えが返ってきたので僕は何も言えなかった。僕の周りのオーラが輝いている?そんな訳ないじゃないか。自分は今まで誰にも存在自体を忘れられていたのだから。チラリと彼女を見やると期待した顔で僕の返事を待っている。僕は断ろうとしたが、少し考えた。そもそも、僕だって彼女ともっと近づきたかったのだ。だったらこの申し出は願ってもない事なんじゃないのか?それに、断らなくても自分にはなんのデメリットもない、逆に断ればそれこそデメリットだらけだ。魔族の友達なんて、作ろうと想っても出来ない事だし...そう考えて僕は彼女と友達になることにした。

彼女は大層嬉しそうで、見ているこっちまで嬉しくなる。早速自己紹介から始める事にした。纏めると、彼女の名前は

『ラミア・フロディ・デス・アルミス』

名前を言うのに苦労していると、彼女はラミアか、アルと呼んでくれ。と言ってくれた。だから僕は彼女の事をラミアと呼ぶことにした。高校は、『聖薔薇女子学園』に通っているそうだ。あそこの学校はお嬢様や、エリートしか入れないと僕の高校でも有名だった。一度は聖薔薇の女子学生と恋人になりたい!というのが我が男子高校生の密かなる夢なのだ。ラミアは現在高校三年生で、もうすぐ卒業らしい。僕と同級生なのか...と心の中で驚いた。彼女はどちらかというと子供っぽい容姿だ。なので最初に見た時は僕より2、3歳年下だろうな。と思っていたのだ。

ラミアは僕に子供っぽいなんて言ったら怒るわよ。という眼を向けていたので敢えて口には出さなかった。殆ど自己紹介も終わり、――どの教科が好きとか、家はどこら辺だとかだ――今度はこっちが自己紹介する番だなと思ったのだが、ラミアはまだ言いたい事があるようで、僕の方をみて口を開くも何も出てこずまた口を閉ざすという動作ばかりしていた。彼女はようやく決心したのか途切れとぎれに少し早口で喋った。

「私ね、まだ貴方に隠している事があるの。あのね、私...貴方達の世界で言う――魔族――なの」

彼女は僕の反応を伺っているようだが、僕は先程のラミアのように優しく微笑んで頷いた。ラミアはそんな反応をする僕に驚いたのか、次々と質問を投げ掛けられた。

 

「何故怖がらないのか?」―勿論怖がったりなんてしない。だって、君は魔族だろうが怪物だろうが、今こうやって僕と話してくれているから―

 

「私は貴方とは違うのよ?」―だから何?僕だって普通の人間じゃないよ―

 

「貴方を襲うかもしれないのに?」―良いよ別に。どうせこの世に未練なんてないし。それに、ラミアみたいな美人に殺されるなら本望だよ―

 

最後のはちょっとかっこつけたが、それを聞いたラミアは顔を真っ赤にして、でもでもとまだ納得していないようだったので、僕は思い切って彼女の手を掴んで目を合わせた。

「大丈夫だよ。僕はラミアを変な目で見たりしないし、怖い事なんて何もしないよ。だから信じてよ」

ここで少し僕は彼女に意地悪したくなった。

「それとも、僕に嫌って欲しいの?ラミアは僕の事嫌いなの?」

彼女は慌てて首をブンブンと横に振った。ラミアはようやく僕を信じてくれたらしい。その後に僕は簡単に自分の自己紹介を済ました。彼女の事をもっと知りたいが、その前にラミアは僕に魔族であることを教えてくれたのだ。僕も本当のことを言う決心をした。

「実はね...ラミアと最初に合った時、『僕の事が見えるの?』

って聴いたよね。あれは、今までの環境のせいなんだ」

 

そう前置きして、僕は語った。彼女は最初は真剣に聴いていたが途中から怒った顔で聴いていた。全て話し終わったると、ラミアは言った。

「そんなのおかしいわ!どうして皆貴方を無視するの?こんなの絶対間違ってる!!」

彼女がかなり怒っているのを見て、僕は不謹慎だと分かっていながらも笑ってしまった。ラミアはそれに気付き、何故なのか聞いてきた。僕は恥ずかしかったが本音をいった。

「実はこうやって誰かに怒って貰うのが初めてでさ。なんか嬉しいんだ。当たり前なのかも知れないけど僕にとっては特別なんだ」

それを聞いたラミアは少し機嫌を治したようだ。それからは二人共他愛もない話をして楽しんだ。話の途中で分かったが、彼女は吸血鬼の魔族らしい。最初聞いた時はびっくりしたが、確かに注意深く観察するとそんなふうに見える。(僕の思い違いかも)

そんなこんなんであっという間に時間が過ぎて、神父がやって来た。いつも通りの話をして、僕達はお祈りをした。協会も終わり、皆三々五々に散って行く中、僕は次の週に会おうと約束していた。ラミアは少し考えた後に快く了承してくれた。僕は軽い足取りで学校へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

*****ラミア視点*****

 

私は彼が協会を出た後に一人考えていた。今までしたことがない程頭をフル回転してさっき話したことの情報を纏めていた。彼は私が魔族と知っても顔色一つ変えず受け入れてくれた。前例が無かった訳じゃない。神父だって私を受け入れてくれた。だけど、皆が私を忌み嫌っているのは重々承知の上だったのだ。なのに何故?

でも、彼が歩んできた人生を聞くと、自分を受け入れるのもそこまで抵抗がないのかもしれない。だけどあんなに直ぐ友達になってくれるだなんて...彼の笑顔を思い出し、ラミアは思わず顔が熱くなった。だが、直ぐに元の平常心に戻り、彼の情報を纏める。彼の名前は

『新塚 隼人(しんづか はやと)』

私は彼の事を隼人と呼ぶことにした。一度名前を呼んだが、隼人はとても不思議な表情をしていた。自分と同じ高校三年生で、近くにある『林咲空覇高校』に通っているそうだ。

家族構成は母親、父親、そして妹が一人居るだけとの事だ。正直に言って私は彼の事をあまり知らない。隼人は自分の事を詳しく話さなかったし、あまり話したくなさそうだったからだ。元々彼自身そんなに話すことが無かったのかもしれない。

私は小さく溜息を漏らし、神父の所へと向かった。神父は穏やかに私の話を聴いていたが、珍しく神父から質問してきた。

「先程話していた彼とはどんな関係ですか?」

見ていた事に驚いたが落ち着いて話した。彼との経緯や、どういう関係かを短調に説明した後、いよいよ話の本題に迫った。

「神父さん。私見つけました。彼こそが私の探し求めていた人なんです。彼は****の覚醒の力を持っています」

神父はいつも通り微笑み、そうですか。と繰り返すだけだった。結局何も解決出来ぬまま、ラミアも学校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*****視点OFF*****

 

僕は学校に付き、昼休みの休憩で蓮を探した。蓮は自分が見つけるよりも先に僕を見つけ、走って近付いて来た。二人で人気のないベンチに腰掛け、昼食を食べることにした。席に付くと同時に蓮は僕に質問してきた。

「おい。今日は協会の日だろ?彼女と会えたのかよ」

僕は驚いた。蓮はいつも協会の話をすると嫌そうな顔をするのに今日は自分から話題に出すなんて信じられなかった。それほど蓮も彼女の事が気になっていたのだろうか?

僕は少し黙った後に協会であったこと全てを話した。僕が喋っている間、蓮はずっと無言だった。それがなんだか気味が悪かったのだ。一通り話終えると、蓮はまだ一口も手をつけていない弁当を置き、僕と見つめあった。最初は戸惑ったが、蓮の顔は真剣そのものだったので僕は目を反らせなくなった。

「お前、そのラミアって女どう思ってるんだよ?」

質問の意味が分からず、黙っていると蓮はまた質問してきた。

「その女とどうなりたい?付き合いたいとか、キスしたいとかっていう感情はあるのか?」

それを聞いた瞬間僕は驚きのあまりむせてしまった。そして急いで否定した。

「そ、そんな訳ないじゃないか!ぼ、僕はか、彼女と友達でいたいだけだよ!」

この答えを聴いて蓮は少し怒ったように僕に言った。

 

「いいか。あの女は必ずお前に近付いてくる。お前はもう女に近づくな。今でももう危ないのに!」

これを聞いた僕は少し腹が立った。

「なんで蓮にそんな事言われなくちゃならないんだよ!!なんだよ危ないって!?それに、どうして蓮に彼女が会いに来るって分かるんだよ!適当な事を言うなよ!」

そう言って僕は蓮を置いて教室に戻った。あの後から蓮とは話していない。そのまま仲直りも出来ず、家に帰った。少し頭痛がして、イライラしていたので僕は早々に寝てしまった。

 

そして、朝を迎え僕は憂鬱な気分で学校へ行った。蓮が僕に話し掛けようとしたけど僕は敢えて無視した。自分が悪いのは分かっていたが、それでもまだ蓮とは話したくなかった。そして教室につき、先生が入ってきて朝のニュースを告げる。この時僕は直感で嫌な予感がした。そしてその直感は当たっていた。蓮が言っていた事は現実になった。彼女は、ラミアは僕の学校に転校生としてやって来たのだ......。




さてさて、主人公はいったいどうしたいのでしょうか~?そして意味深な言葉を言う蓮君...さらにラミアは一週間も待てずに学校まで追っかけ...物語は急速に進みます~
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