魔法少女まどか☆マギカ 〜諦めない心〜2   作:橆諳髃

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さて今回はバトル物を書いてみました。

それでは、どうぞ!


5話 本格始動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マミちゃんの傍にいると約束して1日経った。あの後は、俺は用事があるからと少し抜け出し、病院の外に出た。そして、人気の無いところで俺自身の姿を周りから見れない様な魔法をかけ、そして空に飛び出して先ずは日本全国を巡る。最初ここに来た時は、いきなりの事で気づくのが遅れた。だが、ここ3日4日ほどで、日本にいる魔法少女が何人いるかが大凡見当がついた。平均すれば、1つの県に4、5人ほどだ。まぁ都市部に集中している事は明らかだが……。

 

そしてまず俺が向かったのは南……日本最南端の沖縄県から始める事にした。見滝原の病院から出て僅か3、4分……沖縄上空に着いた。そこで再確認したが、ここに魔法少女は6人程確認できた。ここは少々平均よりも魔法少女の人数が多い様だが……なんとかするしかあるまいと思って、俺は沖縄の地に足を付けた。

 

そこからは、自分が降り立った所から近い場所……そこから発せられる魔法少女の力を感じて、急いでその場に向かう。

 

そうしてしまうと……必然的に魔女の結界に誘われてしまうという事が起きた。辺りを見回せば、先程の様な青い空や先程までいたはずな裏路地の薄暗い通路はなく、代わりにクッションなどで出来た壁や床、通路などがあった。勿論、歩く度にフワッとした感触はしたな。

 

それはさておき、俺はこの結界を張った魔女がいるであろう奥の部屋へと進む。進むにつれて、何やら激突音や衝撃がこちらにも届いてくる。それと同時に魔女の使い魔なのだろう。そいつらが俺に襲い掛かってくる。そいつらに対してだが、俺は小型の銃を顕現させて対応する。走りながら銃を持った方の腕を地面とは水平に上げ、近い敵からどんどん撃っていく。使い魔は1発の銃弾で倒れ伏す。だがそうしていてもいかんせん数が多い。だからここで技を使って一掃する。

 

「降り注げ鉄の雨! レインバレット‼︎」

 

近くにまで来ていた敵を、安騎尭は蹴り飛ばす。その勢いを殺さず、蹴った方とは違う足のつま先を使って1回転する。1回転し終わったと同時に、両方の足を肩幅まで広げて立つ。そして銃を持った方の腕は、地面とは垂直に上へと伸びていた。そして引き金を引く。そこから青い銃弾が高くに撃ち出され、それが限界まで達すると1発の銃弾は破裂して複数の小さな弾になった。その弾は地面に物凄い速さで降り注ぎ、まるで雨の様に錯覚させられる。しかしそれは水では無い。安騎尭が撃ち出した鉄の弾である。それらは使い魔に慈悲など与えない。それに撃たれた使い魔は呆気なく活動を停止した。

 

これで半分以上が減り、後は安騎尭の独壇場だった。それから1分……安騎尭は周りにいた使い魔を全滅させた。

 

「よし……これでこの結界内にいるのは魔女と魔法少女だけか」

 

そして安騎尭は奥の部屋へと一直線に進んだ。そして扉の様なものを見つけて、迷わずその扉の向こうへと足を進める。

 

扉の向こう側に広がっていた光景……それは、魔法少女が綿の様なもので魔女に拘束され、今まさに魔女の攻撃が魔法少女に繰り出される所だった。それを見た安騎尭の行動は勿論……。

 

「そんな事させるわけないだろうが‼︎ イフリート! 力を貸してくれ‼︎」

 

「やっと私の出番か! よし、存分に暴れようではないか‼︎」

 

安騎尭の傍にイフリートが現れ、そして安騎尭の持っていた銃に自分の力を譲渡した。

 

「そこだ‼︎」

 

安騎尭は、魔法少女を拘束している綿に向かって撃った。その弾は先程の鉄の弾などではなく、炎を纏った銃弾になっていた。その銃弾が綿に当たると、綿は炎の銃弾によって燃えちぎれ、拘束されていた魔法少女は地面に落下する。

 

その様をぼぉっと見ている安騎尭ではなく、少女が地面に落ちる寸前に優しく抱き止める。意識は少し朦朧としている様だが、命に別状は無いようだ。

 

「あ……あなたは……?」

 

朦朧としながらも、こちらの方に瞳を向けて言ってきた。こちらとしては本名は名乗るわけにはいかないが、応答はしてこの子を一旦落ち着かせよう。

 

「俺は……君に纏わりつく苦しみの連鎖から解放しようとしてここに来た者だ。だから、安心して今は休みなさい」

 

そんな言葉しか思い付かなかったが……まぁなんとかなるだろう。

 

「あ……ありがとう……ございます。……王子様」

 

そう言って少女は気を失った。どうやら安心したようだ。まぁ俺としても都合は良い……ん? ちょっと待て?

 

(さっきこの子はなんと言ったんだ? 王子様? いや、最近の事で少し疲れているんだろう。聞き間違いだろうな……)

 

そう思っている間に、魔女は俺に矛先を向けて来た。綿で出来た飛び道具が俺めがけて飛んでくる。俺はそれを普通に避け、少女は床に寝かせて即席の結界を作る。これでこの子には攻撃は加わらない。後はこの魔女についてだが……。

 

「俺は魔女であろうと……元人であった君の命を消滅させることなんてできない。だから、その纏っている殻だけ破壊させてもらう」

 

俺は魔女に照準を合わせて集中する。すると、銃の先に炎が集い始めた。それは見る見るうちに大きくなっていく。

 

「少し熱いだろうが……我慢してくれよ。魂を縛る殻を焼き尽くせ‼︎ ブレイズ・パージェイション‼︎」

 

安騎尭はそう叫びながら引き金を引いた。銃の先に集まった炎は、それなりの大きさの球体になって魔女に撃ち出される。魔女は安騎尭に向けてまた綿の攻撃を仕掛けるが、それらは安騎尭の放つ技の前には炭となるしかなかった。

 

そして魔女に炎の球体が当たった。当たった所から見る見るうちに炎は広がり、魔女の体を覆った。勢いよく燃え盛る。魔女はそれが余程苦しいのか、叫びながらのたうち回る。周りに誰がいようがお構いなく、この炎による苦しみから逃れたいがためにのたうち回る。だが、それも数分間の出来事だった。

 

魔女の表面……体とも言うべき魂を縛っていた殻は、今はもう無い。ただ、その殻に縛られていた魂の煌きは安騎尭の掌の上にあった。

 

[私のこと……助けてくれたの?]

 

「あぁ、君の苦しむ声が聞こえたから……だから助けた。君が既に亡くなっているのは……残念だけど……」

 

[ううん、良いの。私が……何も考えずに願いを叶えた代償だから……]

 

青く光りながら、安騎尭の掌にある魂はそう言う。だが……安騎尭からすればそれが間違いだとは思わなかった。願いは……誰にでも平等に叶えられるべきものだ。例え、年端もいかぬ純粋な女の子がどんな願いを持とうと……それは彼女達が正直に、そして真面目に考えた結果だ。それは誰にも侵されてはいけない。それを平気でやる奴のことを……安騎尭は知っている。下衆の詐欺師……本来地球にいてはならない、そして人間を道具のように利用する、悪しき文明を持つ外来の種族……。

 

魔法少女を誕生させ、その子達を苦しみによって魔女にさせ、その絶望を糧にして宇宙の延命を図る……。

 

少女達はただ……自分の願いを叶えたいがために祈っただけだ。今の絶望を変えたいからと思って願った子もいたはずだ。それを下衆どもは踏みにじる。それも最悪の形で……。

 

(だからこそ……俺は下衆どもをこの星から追い出す。そして、魔法少女達も俺が助ける‼︎)

 

[どうかしたの? お兄さん?]

 

「ん? あぁ、ちょっと考えてただけだよ。なんか心配かけたようでごめんね? それでさっきの続きなんだけど、確かに美味い話にはそれなりの代償は付いて回るさ。だけど……それが自分の命と引き換えになんて誰も思いはしないよ。そう、誰もこんな事になるなんて想像したりしない。だから俺がここに居る。例え魔女に成り果ててしまった子達がいても、その場に束縛され続けて自分の意思とは無関係に人を襲い続けていくなんて……女の子が耐えれるわけがない。それも君達のような純粋な願いを持った子達がさ」

 

[あんなに醜い姿にされてしまった私に対しても……そう想ってくれたの?]

 

「当然だ。どれだけ醜かろうとも、君が縛られているのには変わらないんだから。だから……俺は助けるよ」

 

[……フフッ、お兄さん、何だかカッコいい]

 

「俺がカッコいい? いや、それは君の見間違いだ。高々の……自分なりに正しいと思ったことをやっているに過ぎないからな」

 

[そこがカッコいいの。はぁ……もっと早くに会いたかったなぁ。……もうそろそろ時間だわ。もう少しお兄さんと話していたかったけど……]

 

安騎尭の掌にある少女の魂は、名残惜しそうにそう言った。そして、安騎尭の掌からゆっくりと離れ、上へ上へと上がっていく。

 

[バイバイ……優しいお兄ちゃん。今度会える時があったら……その時はお兄ちゃんと仲良く過ごしたいな……]

 

そう言いながら少女の魂は、その場から天へと召された。それに対し安騎尭は、自分の無力を思い知る。魂の状態の少女は解放した。だが、それ以上の事をこの世界の理は許してはくれない。死者を蘇らせる事は出来ない。

 

「だからこそ……これ以上の犠牲を出さないためにここに居るんだ。イフリート」

 

「どうした? 我が主よ」

 

「この土地の事を……任せてもいいか?」

 

「……ほぅ、成る程。そういう事だな。任せよ。この地を踏み荒すあの者共を粛清してやろう」

 

「あぁ……だが、あの下衆どもに悟られる事なくな」

 

「分かっているさ。我が主よ。では、この地は任されよ」

 

そうして安騎尭達は動き始める。この世界の理を塗り替えた下衆どもを成敗(という名の粛清)するために。そして……少女達の願いがこれ以上踏み躙られないために。




さて、今回の話はいかがでしたでしょうか?

満足はされない人もいるでしょうが……私は……少し満足してる感じです。

さてそれはさておき、今回出てきた技の解説をしていきたいと思います。


レインバレット

銃弾を上に放ち、ある所まで上昇するとそれが爆発して複数の小さな弾に変わり、地上にいる敵にダメージを与えるというもの。通常範囲は1〜10程度ほど。(作者の独自解釈)しかし、安騎尭が使うとその何十何百倍にも膨れ上がる。

ブレイズ・パージェイション

浄化の炎という意味で付けました。(ネットで検索して良さげな単語を拾ってきただけ……)その名の通り、炎の力によって悪い物だけを浄化する技です。(良いものには一切通じない)




さて、解説以上!


では、またの機会に……。

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