魔法少女まどか☆マギカ 〜諦めない心〜2   作:橆諳髃

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サブタイトルだけでは意味が分からないでしょうと私は思います。

ぱっと見私でも分からないですので……とりあえずはご覧下さい!


3話 過去時間軸から新しい時間軸の過去へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はマクスウェルに頼んでこの世界の過去時間軸……最初の時間軸に転送した。

 

最初の時間軸に転送する事自体は成功した。それで、その最初の時間から次の時間軸へ転送する事も成功した。

 

だが……改変はできなかった。俺とマクスウェルが最初に思っていた通り、この世界の修正力が強いようだ。そう、自分たちが思っていた以上に……。

 

俺はそれを目の当たりにした時、自分がまだまだ未熟であると知った。たかだか1000年と100年神になったくらいだ。まぁそれでも十分な年月は経っていると思う。人として見ればの話だがな。だが神で見ればまだまだのヒヨッコで、神格なんて対してあるわけでもない。日本神話で代表的な天照や素戔嗚と比べるのもおこがましいとは思うが、その人達と比べると天と地の差はあるだろうと俺自身は思っている。

 

後は、この世界の修正力があまりにも強いせいで10割の力が発揮できないという理由もある。まぁ、10割の力があったとしても、この世界の過去時間に干渉できたかわからないが……。

 

いや、今はそんな事はどうだって良い。干渉できようがてきまいが、結局はその時間軸だけのもので、その時間軸の未来しか変える事はできない。今の新しい時間軸には微々たる影響も与えられない。

 

それでも俺は関係なく、過去の時間軸も変えたかった。そこに助けを求めている人達がいたならば、俺は過去や未来なんて迷う事なく助ける。だが……それすらもこの世界は許しはしなかった。まるで余所者は黙って見ていろという風に……その存在が神だろうが関係ないというように……俺はそれをただ黙って、立ち尽くして見るしかなかった。手を伸ばせば届く距離にいたとしても、世界はその時間軸で動く事を許してはくれない。発言すらもさせてくれなかった。

 

そんな時間が……月日がどれほど過ぎただろう? 正直に言えば、目を背けたかった。それほどにまでこの世界は残酷だった。絶望の中で助けを求めていた子達の手を……俺は取ることができなかった。それが悔しくて仕方なかった。それで俺は……久々に涙を流した。泣いたのはいつ以来だろうか? 神にもなってみっともないと自分でも思う。だがそれでも涙せずにはいられなかった。俺には救える力があるのに……たかだかのこんな修正力という壁だけでこんなにも制限されてしまうのか?

 

それを考えてしまうと、俺は何をしにここへ来たのかと自問自答していた。俺らしくもないと……自分でも分かっている。こんなのは俺じゃないと……。

 

そんな時に、俺を励ましてくれる存在がいた。それは勿論、俺と契約している精霊達だ。特に女性の精霊達には、沢山励まされたし、慰めてもらった。時には甘えたりもした。子供みたいで恥ずかしくはあるけど、それでも幾分かマシにはなったよ。

 

マシになったおかげで、俺は分かった。いや、最初から分かっていたつもりではあったんだけど、疑似体験とはいえ、ここまで自分が何もできないとは思っても見なかったから、分かっていたことが頭の奥底に沈んでいたんだと思う。でも彼らのお陰で俺はそれを……やっと目を背けずに見守れたんだ。

 

そう、この1ヶ月という短くも長い日を延々と彷徨っている子の事を。その子は、辛くても辛くても何度もやり直した。中学2年の女の子がやる事じゃない。これだけ繰り返しているのに……彼女はある少女との約束を果たすために繰り返している。何もかもを犠牲にしてでも、その子が助かれば良いと……そう思いながら繰り返している。

 

「でも、そんなんじゃ何も救えない……何かを犠牲にして救ったとしても、それはその少女が本来望んだ事なのか?」

 

その疑問が口に出ていた。その時には既に、新しい時間軸の1つ前の時間軸になっていた。

 

【精霊神様……いよいよでございますな】

 

「あぁ……この時間はとても長かった。延々に続くと思うほどのな」

 

【えぇ、私もそう思いますじゃ。それをあの時を遡る少女は延々と繰り返しておりまする】

 

「だからこそ、俺はここにいる……いや、あの子だけじゃない。あの子以外にも辛い思いを、苦しい思いをしている子達がいた。だから俺はその子達を救いに行く」

 

俺は右手を自分の顔の前まで持って行き、ギュッと握った。

 

「今度こそ……この手を届かせて見せる!」

 

【それでこその精霊神様ですじゃ! さて、こちらももうそろそろ準備が整いましたぞ‼︎】

 

俺の目の前に、白く輝くゲートが現れる。俺はそれに向かって、何のためらいもなく進んだ。そう……今度こそ……。

 

「今度こそ救って見せる‼︎」

 

そして俺は、1番新しい時間軸に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのゲートを潜り抜けると、そこは車が行き交う車道だった。まぁ俺は歩道にいたんだがな? それで何だが……こんな光景は過去の時間軸のどれを取っても見たことがなかった。

 

(さて……どこから行けば良いのか……)

 

俺がそう悩んでいると、俺の目の前を救急車が横切った。それを見た俺は、考える事もせずに救急車について行った。勿論、誰にも怪しまれないように隣接した建物の屋上や屋根を伝ってだが……。

 

そんな最中、救急車の行く先で黄色い光が見えた。少し遠いが、視認できる距離だ。それで思い出した。あの光は……あの下衆詐欺師と誰かが契約した光ではないかと……。

 

(いや、今は一刻も早くあそこに行くべきだな)

 

俺は目的地も分かった事から、救急車を追い越してその光が見えた場所に向かった。

 

そう思ってここに着いたのがわずが3秒ほどで、その場には原形をとどめていない自動車が一台あった。

 

俺はそこに向かい、生存者がいないか探した。まず運転席と助手席だが……男性と女性の姿があった。だが、どうやら遅かったようで完全に息絶えていた。

 

悔しい気持ちはあったが、それでも他に生存者がいないか確認した。すると、後部座席の方に1人の女の子がいた。それも、ちゃんと息をしていた。気を失っているようだが、外傷は特に……。

 

(いや待て……何でこの子だけ怪我してないんだ? 車が何らかの衝撃でこうなったのは確かだが、それでもこの子だけに何も無いのはおか……っ⁉︎ この指輪はまさか⁉︎」

 

俺はその少女の左手中指に付けられている、黄色い宝石が埋め込まれた指輪、そして頭を上げてその子の顔と頭を見る。俺の目に映ったのは、金髪であり両サイドを変わった形で纏めている髪型……。それはまさしく……。

 

(まさかこの子が……巴マミなのか?)

 

まさかの新しい時間軸の過去へ転送していたとは……俺は思っていなかったんだ。


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