まぁこの話を見て読者の皆様がどう感じるかは分かりませんが……取り敢えずご覧頂けたらなと思います‼︎
番外編 見滝原のクリスマスに降臨! 魔法少女聖マミ〈ホーリーマミ〉
12月24日……今日という日に外を出てみればいつもよりも人が闊歩する光景が見られる。都市部はこの日以外にも多くの人達が行き交うが、今日という日……そして明日はそれ以上に街中は人でごった返すだろう。
なにせクリスマスイブとクリスマスの日なのだ。そして今忙しなくレジ袋や紙袋、丁寧に包装された物を持ちながら歩いてる人達は、明日の準備のために大忙しの人が大半だろう。
(まぁ俺もそのうちの1人だが……)
本来ならマミお姉ちゃんとクリスマスの準備をする予定だったのだが、急に予定が入ったのか朝からいない。それでも見送りはした。だが何の用事が入ったのか全くわからない。
「お姉ちゃんの事だからそこまで心配はしてないけど……なんか調子狂うな」
いつもならべったりと俺に甘えるor俺が甘やかされるの2択で……今日という日や明日はその口実も十分まかり通るはずだ。それでも今日はマミお姉ちゃんがいない……
「まぁ俺は俺でいつものように準備しようか。実際この世界に来て初めてのクリスマスだし、お姉ちゃんにも喜んでもらいたいしな!」
俺はそんな独り言を街中で呟きながら家に戻っていった。さぁ! 頑張るぞ‼︎
side マミ
今日は不思議な夢を見た。というよりもお告げに近いと思うわ。私に……普段の魔法少女の役目ではなく、クリスマスを楽しく祝えない子達の下へ向かって楽しませる事……それを誰かから言われた気がして目が覚めた。
本当なら今日と明日は安騎尭くんを甘えさせたり、私が安騎尭くんに甘えれる最高の日だと言うのに……
(でも……無視は出来ないわよね)
そして私は朝から行動を開始したわ。本当は安騎尭くんと一緒に居たかった。朝からお買い物に行って、それで明日のクリスマスに備えるはずだった。でも不思議なお告げも無視出来ない。本当にクリスマスを楽しく祝えない子達がいるのなら、私だけが幸せにクリスマスを迎える事は何故か申し訳なくて、嫌だった。
だから今日だけは我慢して、クリスマスを楽しく祝えない子達に何か贈り物ができれば良いなと思ったわ。
安騎尭くんには申し訳ないけど、今日は急に用事ができた事を告げて、午後になる前には家を出たわ。でもその時に……
「お姉ちゃんの事だから無理な事はしないとは思うけど、これは俺からの……俺なりの元気が出るおまじない」
そう言って安騎尭くんは私の頬を優しく包んで……///
(ふ、普段なら恥ずかしがって安騎尭くんの方からやらないキスを♡)
もうそれだけで私は今日1日頑張れるわ‼︎
それからは見滝原を転々として、暗い顔をした子達に会いに行って、そして話をしてからお祈りをして、その子が今年のクリスマスを楽しく過ごせるように前を向かせたの。
あっ、因みに今の私は巴マミではなく、クリスマスイブに降臨した魔法少女
そして今はある病室の前にいるの。ここは私もお世話になったわ……確か半年ぐらいも前に。
あの時は……とても信じられなかった。私の両親が亡くなって、一人ぼっちで生きなきゃいけないと思ったわ。
(でもあの時……安騎尭くんが私を1人にしないと言ってくれた。側にいるって……だから私は前を向けたの)
そして今度は、私が楽しく過ごせない子達の前を向かせる番なのかなって……勝手にそう思ってるけど、でも私は安騎尭くんのようになりたいと思う。いつもは恥ずかしがって私の方からくっ付いても逃げたりするけど……でもそんな所も可愛い。そしていつも肝心な時に私の側にいてくれて……私を包み込んでくれる。
(まぁ私の方からいつもべったりしてるんだけどね?)
いけないいけない! 今はそうしてる場合ではないわ‼︎ 今は聖マミとして活動しないとね‼︎
そして私は病室をノックした。
「は、はいぃ?」
そんな弱々しい声ではあったけど、どうやら入室を認めてくれるみたいね。私はその返事をしっかり聞いた後スライドドアを開けた。そこには赤縁の眼鏡をかけて、黒髪の三つ編みツインテールにした子がいたわ。でもなんだか元気がなさそう。
「あ、あなたは?」
「私は聖夜前にクリスマスを楽しく祝えない子達に希望を与える者……とでもいう存在かしら? それであなたは……見たところクリスマス間近だというのに楽しそうではないみたい。確かに病院に入院しているのだから退屈なのでしょうけど……でもここでだったパーティーは開いてると思うわ。それなのにどうしてそんなに浮かない顔をしているの?」
「その……ある人とクリスマスを祝いたいなって思って……」
(あら? どうやら彼女には想い人がいるみたいね)
「そのある人って誰の事かしら? 私で良ければお手伝いしたいところなんだけど……」
「ほ、本当ですか⁉︎」
「えぇ。それでその人の名前は?」
「その……あ」
「あ?」
「安騎尭さんっていう人なんですけど……」
(安騎尭さん? これは偶然かしら? 安騎尭くんと同じ名前だし……)
で、でも苗字は違うかもしれないわ。焦る事ないわよ……
「みょ、苗字はなんというのかしら?」
「苗字ですか? 脩鴑って苗字で……」
(こ、これは……まさかこの子なの⁉︎ 毎日とは言わないけど安騎尭くんがお見舞いに行く子って⁉︎)
そこで巴マミ……いや、聖マミはフリーズした。先程までの余裕あり気味な雰囲気は今となっては感じられず、意識してかしてないのか握り拳を作ってワナワナ震えていた。
その様子には病室の子も不審に思ったようで……
「あ、あの……どうかされたんですか?」
そう声をかけた瞬間‼︎
「あ、安騎尭くんは渡さないんだから‼︎」
「えっ? えぇっ⁈ ど、どういう事ですか⁉︎ ちょ、ちょっと待って下さい‼︎」
病室の子の制止も聞かずに、聖マミは走り去ってしまった。
※病院内では走らないようにしましょう。
それから彼女は一目散に自分の家に帰って行ったそうな……
side out
ガチャッ!
(おっ? ひょっとしたらお姉ちゃんが帰ってきたのかな?)
俺はドアの音でそう察して出迎える準備をする。
(だけど変だなぁ〜……いつもならただいまって言うはずなんだが……)
そして俺が玄関に向かおうとしたとk「安騎尭くん‼︎」
マミお姉ちゃんが俺に抱き付いてきた。だが朝出かけた時とは違う服装をしてた。
「ま、マミお姉ちゃん⁉︎ にしてもどうしたのその格好⁉︎」
「うぅ〜……い、今だけは何も聞かないで……」
と何やら事情があるようだ。まぁ服装の件についてはさておいて……
「どう? 落ち着いた?」
「……うん」
「今日は朝から忙しかったんだよね?」
「うん」
「それで用事の途中で……なにか傷ついた事っていうか、ともかくお姉ちゃんにとって辛い思いがあったんだね?」
「うん」
「そうか……よく、頑張ったね」
「えっ?」
「顔見たら分かるよ。今日すごく頑張ったって……だからこれは、俺からのご褒美だよ」
「あ、安騎尭くん? っ⁉︎ んぁ……はむっ……」
安騎尭は、マミにキスをする。それも啄ばむような優しいキスを……
そしてイブの日が終わりを告げる午前0時……
「メリークリスマス、マミお姉ちゃん」
「メリークリスマス、安騎尭くん。それで安騎尭くんへのプレゼントなんだけど……私……で、良いかしら?」
頰を赤らめながらマミは安騎尭に言う。そして安騎尭は……
「うん。俺はマミお姉ちゃんが良いな」
「っ‼︎ 安騎尭くん♡」
その後の安騎尭とマミがどう過ごしたかは……誰にも語られてはいない。