他に登校途中の小説があるのですが、私の友人が
「早く書いてくれないと気がおかしくなりそうだ!」
と訳の分からぬ催促をし続けてくるので……というのもありますが、私もまどマギ関連の小説を書きたかったところなので丁度良かったです。はい。
さて、今回は〜諦めない心〜シリーズ第三弾です。まぁ……自分も楽しく、そして読者も楽しみながら読んで頂く。その様な小説を目指したいと思います。
それではご覧下さい。
シュヴァルツェスマ―ケンの世界を救い、その世界で自らを大切に想ってくれた者達と別れた脩鴑安騎尭は、自分が精霊神となった世界……精霊界へと帰ってきた。
「おぉ、精霊神様。此度の世界救済お見事でございました」
そんな安騎尭を迎えたのは、安騎尭が契約する精霊の1人であり、精霊の頂点の1人であるマクスウェルだった。
「あぁ、ありがとう。俺がこうしていられるのも、あの世界を救う事が出来たのも、俺を支えてくれる精霊達がいたからだ。勿論マクスウェルもな。だから、こっちからも礼を言わせてもらうよ。俺を支えてくれてありがとうな」
「そ、そのようなお言葉を精霊神様自らから賜ろうとは……このマクスウェル、ありがたき幸せですじゃ」
「それは大げさすぎないか? 第一に俺よりも物凄く年上で、元はと言えばこの世界を作ったのもマクスウェルだろ? それに俺はその精霊神というのになったばかりだ。だから俺なんかにそう敬う必要はないと思うんだが……」
「いや、そうはいきませんぞ。私は年云々は良いとして、あなた様の器に惚れて契約した身でございますじゃ。ですので私の中では普通の事にござります」
「そ……そうか」
「そうですとも。ささっ、此度はお疲れでございましょう。ゆっくりとお休みくださいませ」
安騎尭は、マクスウェルにそう言われてその日は全て体を休めるのに費やした。その次の日……。
「さぁ、皆出てきてくれ」
「「「はい! 我が主‼」」」
安騎尭は契約している全ての精霊(マクスウェルを除く)を呼び出した。
「皆を呼んだのは他でもない。マクスウェルの言葉を借りるなら……世界救済、ご苦労様だった」
「あぁ……勿体なきお言葉ですが、精霊神様自らがお褒めの言葉を私共に投げかけて下さるとは……感服至極ですわ///」
「私達はただ一重に貴方の命に従ったまで……ですが、やはり貴方様の言葉は嬉しいものがありますね」
まずはウンディーネとセルシウスが反応した。
「ふふ、あの世界で今1番に頑張っておられたのは主自らではございませぬか。しかしながら、その賛辞はとても喜ばしい!」
「$%…4<€♪5〒×6々7|5々2〆‼︎」
「フンッ……主は何もかもを1人で受けようとするからな。少しは俺達を頼れ」
「ハハッ! クロノスったら、誉められるのに慣れないからって照れちゃってさ〜」
「バッ⁉︎ な、何を言っているのだオリジン‼︎ そんな訳なかろう‼︎」
イフリート、ボルトが感謝を告げ、それとは逆にクロノスがいつもの如くの調子で返事をする。それにまたいつもの様にオリジンが返し、場が和んだ様な雰囲気に包まれる。
「さて、そろそろ本題に入っても良いか?」
「うん! 良いんじゃない?」
「おい待てオリジン! まだ話は終わってないぞ‼︎」
「……まぁ続けるぞ。それでだ。今回は無事に世界を救済できた。でも……俺自身、力がもっとあればと……欲が強くて申し訳ないが俺はそう感じた。だからこそ……俺は皆の事をもっと知りたい」
「我がご主人様……分かりました。私の全て……契約してからこれまで貴方にさらけ出したつもりではあります。それでもご主人様がなお求めるのであれば……私はそれ以上をご主人様にお教えてさしあげます」
「あぁ、こんなにも主が俺たちの事を想ってくれてるんだ。俺達がそれに応えない訳がないだろう!」
ルナとヴェリウスがその様に答える。呼び出された精霊は、皆安騎尭の想いを理解してそれに応える。
「皆……ありがとう」
安騎尭はそんな精霊達に感謝した。
そしてシュヴァルツェスマーケンの世界から100年ほどの時が過ぎた。精霊界はゆっくりと時を刻む。その間精霊達と安騎尭は、自分達の知り得なかった物を相互で共有し、強固な絆と今まで以上の知識、技術を手にした。もちろんその中にはマクスウェルも含まれるが、彼は主に精霊界と繋がっている世界に異常がないか監視をする役割を果たしているため、ほかの精霊よりも安騎尭と触れ合う様な機会はなかったが、それでも契約した当初よりも安騎尭と他の精霊達との絆は深まっていった。
そんな日々を送っていた時……。
「精霊神様! 一大事でございますじゃ‼︎」
「マクスウェルか。そんなに慌てふためいてどうしたんだ?」
安騎尭の元に、マクスウェルが普段とは違う焦った様な顔で来ていた。その様子に安騎尭も不審に思う。
「実はですな……精霊神様が100年前世界救済を行なっていた時、丁度別の世界が消滅の危機に瀕していたのですじゃ。しかしすぐにその傾向は治った……と私は思っていたのですが……」
「ん? それからどうしたんだ?」
「はぁ……それがですな……ここ最近その危機が再発したのですじゃ。それも何度も何度も……」
「……分かった。どうやらそれは、俺が行く必要がありそうだな。多分俺が行かなくとも丸く収まる世界ではあるのだろうが……だが俺は目の前で苦しむ人達を放ってはおけない」
「そう言うと思い、既にこちらの方でも準備はできておりますじゃ……しかしながらここで1つ問題が……」
「問題とはなんだ?」
「えぇ、精霊神様の能力の事についてなのですが、その世界に行った際、精霊神様の力が半減されてしまう可能性が出て来ましてな……理由は分かりませぬが、強いて申し上げるなら、外の世界からの干渉にその世界が強く対抗する様でございますじゃ。ですからして……」
「なんだそんな事か。そんなのは心配ない。半減と言っても、多分俺が生まれた世界……その時の全盛期だろう?」
「さ、左様でございます」
「なら問題ない。それに俺には……」
「俺について来てくれる者達がいるからな」
安騎尭がそう言うと、周りにこの100年を安騎尭と濃密に過ごして来た精霊達が集った。
「はは、そうでしたな」
「あぁ、そうだ。マクスウェル、その世界の事を俺に見せてくれないか?」
「分かり申した。これが、この世界ですじゃ」
そして安騎尭は見た。年端もいかぬ少女達が絶望し、自らの生を魔に落としてしまう……そんな世界を。そして絶望の側には……。
……僕と契約して、魔法少女に……
「……下衆が」
「この様な存在……見た事がありません」
「……私も久々の怒りを覚えた。此奴は時の彼方にまでのさばらせてはいけない存在だ」
安騎尭はその存在にとてつもないほどの怒りを覚えた。自分達の利益のために、他の命を蔑ろにし、そして奪う……安騎尭が1番嫌いな存在だった。
「これには私も腹が立ち申した。ですが私は他の世界に直接干渉ができませぬ故……」
「あぁ、お前の怒りも全部込めて、あいつに分からせてやる」
安騎尭はその場から動く。
「もう行きなさるのですな」
「あぁ。俺は行く。その世界を救いに」
マクスウェルはそれを聞き、転送の準備に入る。安騎尭は転送ゲートが開く場に歩いて進む。その後ろから、安騎尭が契約した精霊達が付いて行く。
「精霊神様、準備が整いましたじゃ!」
マクスウェルがそう言うと同時に、安騎尭の目の前にゲートが開く。
「あぁ。……待っていろ、今助けに行くぞ!」
精霊の王……もとい精霊の神が、数多の精霊を引き連れて世界を救いに行く。
世界救済……安騎尭の新たな戦いの幕が開ける。