私は365日なのはさんの家政婦のようです   作:蟹ふらん

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5 私は機動六課フォワード陣をよく知らない

「…えっ?顔合わせですか?」

 

「そうそう、家政婦さんはまだ機動六課の皆の事をあまりよく知らないでしょ?知ってる人ってコックさんくらい」

 

「食堂のコックさんの他にはオペレーターの人達、それとヴァイスさんとは顔見知り位の関係にはなっています」

 

「えっ、ヴァイスさんと?」

 

「えぇ、中々気さくな方で話しやすいですよね…意外に汚れてますねレイジングハートさん」

 

『あ"ー…』

 

「…」

 

家政婦の間藤恵也は杖状態のレイジングハートを貸してもらい、磨きながら話を聞いていた。今日から本格的になのはの家政婦をすると言う事で恵也はまず、デバイスの掃除、軽い点検を申し出たのた。

 

「何処か痒いところはありませんか?」

 

『無いです…あ"ぁぁ~…そこ、そこです。そのくびれの所が…あぁでもこれ以上されると…』

 

「ここですか?」

 

『あ"あ"ぁ~癖になるぅ~』

 

「レ、レイジングハート…」

 

相棒が普段上げないような電子音を鳴らしながら家政婦にされるがままにされる様を見て、少し変な気分になったなのはであった。

 

 

 

 

 

レイジングハートの世話を終えると早速六課の中を案内される。事前に建物の構造やバックヤードで働く裏方の人達とは顔合わせは済んでいる。だから今回案内するのは前線で活躍しているスターズ分隊とライトニング分隊だ。

 

「スターズはまだ訓練中だけどライトニングなら…」

 

談話室まで歩くと小柄で紅の短髪のではっきりとした目立ちをしている男の子エリオ・モンディアルと桃色のショートカットで柔らかな雰囲気を醸し出している少女キャロル・ルシエとその肩に鎮座している小龍フリードリヒがそこにいた。

 

「…あっ、こんにちは!」

 

エリオがこちらに気付くと挨拶をする。キャロも気付いて軽く会釈をしていた。

 

「今日はどうしたんですか?そちらの方は?」

 

「あぁ、紹介するね。こちらは…」

 

「家政婦の間藤恵也です、高町なのはさんの家政婦をしております」

 

「あぁ、家政婦の方ですね。僕はエリオ・モンディアルと言いますこちらの女の子はキャロル・ルシエと言います。フェイトさんからお話は聞いています。食堂では美味しいご飯ありがとうございました」

 

「えぇ、こちらもとてもよい時間を過ごせました。お二人は今ご休憩で?」

 

「はい。そうだよねキャロ?」

 

「えっ!?う、うん…」

 

桃色の髪の毛の少女キャロは知らない家政婦に戸惑っているのかエリオ君の後ろに隠れてしまった。

 

(興味を引く話題ならつられて話しかけやすいか…)

 

「良い竜ですね、今はこれですが本来は立派な竜なんでしょう」

 

キャロの肩に乗っているフリードを撫でる、フリードはきゅくるるると気持ちの良い声を出しながらそれを受け入れる。

 

「…分かりますか?」

 

「前に私も召喚魔法にチャレンジしてみましたが…いかんせん自分には難しいものでした。幼少の頃から育てたのですか?」

 

「い、いえ。卵からの付き合いです」

 

「道理で、いくつか契約している友達がいるようですが大丈夫。自分を信じていれば言うことを聞いてくれますよ」

 

「…はい!」

 

その後少し心を開いてくれたのか少しの間談笑し、二人は自分達の業務に戻っていった。今はまだ小さな子供だが将来大きな魔導師になるであろう。

 

「召喚魔法なんて使えるの?」

 

「家財一式収納するのに使ってます」

 

「何処からか箒とかはたきを取り出すのはそれが原因だったんだ…」

 

 

 

 

 

 

 

談話室を後にして今度は医務室へと向かう。ここにはある原因で守護騎士達が勢揃いしている。医務室へと入ると六課に居るものなら有名な人物、鉄槌の騎士ヴィータ湖の騎士シャマル盾の守護獣ザフィーラ…そしてその三名が囲むベットの上で寝込んでいるのが烈火の将シグナム。守護騎士と呼ばれる彼女等がここに勢揃いしていた。

 

「…はっ!貴様!」

 

「あれ、なのはソイツ誰だ?」

 

「ヴィータちゃん、あの人が家政婦さんよ」

 

「マジかよ。スバルの話本当だったのか」

 

「家政婦の間藤恵也です。皆様御揃いで入院ですか?」

 

「…あぁ、シグナムがスカリエッティの襲撃にあったようでな。撃退こそしたが肋骨が折れて右腕が脱臼してしまったのだ」

 

「そうですか…所で犬が喋っているのですが…」

 

「ザフィーラだ。今は犬だがちゃんとした人間だ」

 

「あたしはヴィータ。こっちはシャマルだ」

 

「よろしくね、怪我をしたら言ってね?力になるわよ」

 

「んでこっちはシグナム、ちょっと前にスカリエッティの襲撃にあって怪我しちまったんだ」

 

「…」

 

「はぁ、なるほど…」

 

なのはが青ざめた表情を浮かべているのを他所に恵也はシグナムに話し掛ける。シグナムは脱臼した右腕を吊り下げていた。

 

「シグナムさん、調子はどうですか?」

 

「…あまりよくない」

 

「何か私に出来る事があったら仰ってください。私の出来ることならば何でも言い付けを」

 

「ん?今何でもやるって言ったよな?」

 

「シグナム?どうしたの?」

 

「今皆聞いたよな?コイツ何でもするって言ったよな?」

 

「言ったな、それがどーしたんだよ」

 

「言質は取ったぞ家政婦…レヴァンティンッ!!」

 

シグナムはにんまりと笑うと脱臼していた右腕を動かす、すると処置のために巻いていた包帯は破裂し代わりにレヴァンティンが握られていた!

 

「覚悟ォ!!」

 

「うおっ!?」

 

「おっと危ない」

 

シグナムが武装して周りが驚く中、恵也だけは冷静にシグナムが繰り出す斬撃を避けていた。

 

「や、止めろってシグナム!初対面の家政婦になんてことするんだ!と言うか右腕治ってたのかよ!」

 

「離せヴィータ!右腕ならもう完治している!私はもう一度あの熱い夜を再現したいんだ!離せ!離せ!!」

 

「それ家政婦さん関係無いでしょう!?スカリエッティにやられたんでしょう!?」

 

「違っ…いやそのとおり…そうだったな…」

 

シグナムは落ち着きを取り戻したのかレヴァンティンを解除する。この女、これをしたいが為にレヴァンティン握りこんでスタンバっていたのか。

 

「すまんかったな、軽いジョークだったんだ。退院したら奢らせてくれ」

 

「えぇ、楽しみに…その時は襲わないで下さいね?」

 

「ふっ、それはどうかな」

 

「ま、まったくぅー、シグナムさんはおちゃめさんなんだからー」

 

「そうか高町?これでもジョークは好きなんだぞ?はっはっはっはっは」

 

その台詞を吐いたシグナムさんの目は笑っていなかった。絶対本気だあの目は、このバトルマニア絶対に家政婦にターゲットをした。

 

「ほ、ほら!家政婦さん行くよ!?」

 

「あっ、はい御主人…あぁこれ見舞いのフルーツです。どうぞ皆様で」

 

「あぁこれはどうも」

 

いつ準備していたのかフルーツの入ったバケットをシャマルに渡す。その後なのはに引きずられるようにその場を去っていった。

 

「…」

 

「し、シグナム?」

 

「はやく肋骨の方を治してくれ」

 

「えっ、えぇ…直ぐに治すわ」

 

(治ったら高町から家政婦をぶんどって四六時中相手をさせてやる…逃がさんぞお前だけは…!)

 

 

 

 

 

 

 

「うぇー…終わんないよー…」

 

「頑張りなさいスバル、終わらなきゃヴィータ副隊長の雷が落ちるわよ」

 

「この前の事件のレポートなんてガーッ!とやってバーットとやって解決したって二行くらいでいいじゃーん…」

 

「アンタは良くても周りが駄目なのよ。と言うかそれ二行もいかないんじゃないの?」

 

「うー…ん?」

 

六課に入って随分時間が日がたってこの職になれたスバル・ナカジマ、ティアナ・ランスターはデスクワークに勤しんでいた。しかしスバルのほうはこういうのが苦手らしく唸るばかり、目の前のモニターには二行くらいな文章しか書かれていなかった。

 

そんな集中力を切らしたスバルが来訪者を見つけるのはそう難しくはなかった。

 

「さ、さぁーて!お次はスターズ分隊の子達…」

 

「おいゴラ御主人なんだあのピンク、出会って数分で斬りかかって来たぞ。しかもずっと突っ込まなかったけどスカリエッティってなんだよオイ、なんで人のせいにしたんだよ」

 

「だっ、だって家政婦さんにやられたって言えないよ、そんなこと言ったらネットの晒し者にされちゃうよ」

 

「スカリエッティさんはネットどころか世間の晒し者になってるけど」

 

「スカリエッティさんは元々汚れてるから大丈夫なの、黒に何を足しても黒なの」

 

「管理局ってこんなんばっかなのか…」

 

「な、なのはさん物凄い事言ってるわね…誰かしらあのスーツ?来てる人」

 

「スーツじゃなくて燕尾服だよティア、ちょっと行ってくるね」

 

「なんでそんなこと知ってるのよスバル…スバル?」

 

スバルはデスクから立ち上がり、呆然とするティアナを置いておいて家政婦の元へと早足で駆け寄る。

 

(話には出したけど本当に…本当に…っ!!)

 

気持ちが焦る、その足は徐々に速くなって…次第には走っていた。

 

「良いか御主人?犯罪者でも守るべき物があってだな…」

 

「…っ!恵也!」

 

「あっ?誰…?」

 

恵也のその言葉には返答はなかった。声の方に振り替えって見たものは蒼のショートヘアーの女の子がこちらに体当たりで抱き締めた所であった。

 

「わっ!?」

 

「恵也!久しぶり!会いたかったよ!元気にしてた!?」

 

「は、はぁ!?ちょっと待ってください!人違いです!私貴女のような美人と知り合いになった覚えないです!」

 

「えっ」

 

管理局来て始めての狼狽を見せる家政婦の間藤恵也、知らないと言われてショックを受けるスバル。

 

「お、覚えてないの…?嘘でしょ…?」

 

「えー…」

 

「四年前だよ!四年前!ね?覚えてるよね!?そこの娘だよ!」

 

「四年前…ナカジマさんのお宅の家政婦…確か…」

 

 

 

 

【家政婦回想】

 

「けーや!サッカーしよう!」

 

「良いぜ!ちっとまってな!家事終わったらブレイボールだ!」

 

「よーし負けないぞー!」

 

「家政婦さん、私がやっときますからスバルと遊んで来てください。父さんの許可を取ってきたので大丈夫です」

 

「ギンガちゃんは優秀だな…ごめん宜しく…スバルー!サッカーしようぜー!」

 

「わーい!」

 

【家政婦回想終わり】

 

 

 

「う、嘘だろ…」

 

「ねっ?覚えてるでしょ?」

 

「…ギンガちゃん、随分変わったな…」

 

「はっ?(全ギレ)」

 

スバルは予想と違う返答をされて、怒っているのか額に青筋が立った。旗から見ていたなのはとティアナは尋常じゃない殺意を感じて身震いすら感じた。あのあまり激情しないスバルがキレているのだ。

 

「えっ?違うのか?じゃあ…スバル…なのか…」

 

「そうだよ、なんで思い出せなかったのかな?そんなんじゃ家政婦失格だよ?でも許すよ。だって…」

 

「男の子だと思っていた…」

 

「マッハキャリバー、あの家政婦殺すよ」

 

我慢のならなかったスバルはその場でマッハキャリバーを展開させて家政婦に殴りかかるがなのはに羽交い締めされて止められる。

 

「ストップ!スバルストップ!!」

 

「止めないでなのはさん!止めないで!一発だけ!一発だけだからぁ!」

 

「悪い!俺が悪かった!当時マジで男の子だと思ってたんだよ!ゲンヤさんが男って言ってたからよぉ!!」

 

「父さぁああああああああああああああああん!!」

 

「スバルあんた何してるの!?」

 

「ティア!ソイツを撃って!大丈夫!絶対に死なないから!!」

 

「私アンタからそんな言葉聞くの初めてよ!?」

 

…こうして家政婦の六課顔合わせは無事とはならなかったが一通り終わった。




フェイト「…あれ?私の出番は?」

そして忘れられてしまったフェイトさんであった!

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