私は365日なのはさんの家政婦のようです   作:蟹ふらん

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3 私高町なのははお酒が飲みたいだけ

家政婦の間藤恵也が高町なのはの専属家政婦になってあれから四日後、人が住めない程の汚部屋は…

 

なんと言うことでしょう、原作のとおり綺麗な出来る女の部屋へと変貌してしまいました。あのカップ麺と下着が散乱していた部屋とは思えないほど綺麗なお部屋です。

 

「…お手伝いさーん!」

 

「制服の上着ならそこのタンスにあります、それよりも朝食の時間ですよ。今日はハムエッグに…」

 

着替えをして自身の上着の所在を聞こうとする、しかしその発言よりも先に、的確にそれを読まれる。この四日間このお手伝いさんと一緒に過ごして分かったのだけれども…このお手伝いさんはそういう事に長けているらしい。もう食事とか私好みのものしか来ない。

 

お陰様で生活は40越えたおっさんからは脱却できた。本来なら泣いて感謝する所ではあるのだろうなのだけれども…

 

「御主人?聞いていますか?」

 

「…あっ!?聴いてる!ちゃんと聴いてるの!」

 

「じゃあ私が今なにを言っていたのか…分かりましたね?」

 

「うん!ゴハンの事でしょ!うわー美味しそうなの!」

 

「…その後八神さんから話があるから来るようにと話しましたが、それについては?」

 

「あー……い、いっただきまーす!!…あれ?お酒は?」

 

「朝から飲酒とか度胸ありますね。ありませんよ?そんなモノは。暫く呑むのは控えてください」

 

「むぅー!」

 

そう、朝昼夜と続いていた私のアルコールタイムが無くなってしまったの。これは由々しき事態であり早急に解決すべき案件である。私自身の命に関わる一大事なのだ。

 

『なのはは駄目人間コースまっしぐらですね』

 

レイジングハートは黙って。

 

 

 

 

教導が終わってはやてちゃんのいる部屋へと行く。教導中は何故か体が軽く何時もより半分の疲労で訓練を終えることが出来た。今までは終わったら息切れしていたのに。

 

『健康になったお陰ですね、なのは』

 

レイジングハート、貴方はどっちの味方なの?最近お手伝いさんよりだよね?貴方を失ったら私孤立だよ?私ちょっと悲しいな?

 

「やぁやぁなのはちゃん。最近どう?少し肌が艶々になったんとちゃうのかな?」

 

「え?そうかな…?」

 

「うん、心なしか顔つきも明るいしなぁ」

 

「え、えへへ…褒めてもなにもでないよ?」

 

はやてちゃんは私の顔を見ると開口一番褒めてきた。そうかな?そう言えば最近仕事を早く切り上げて寝る時間が多くなったせいか目の下のクマも無くなっていた。

 

「いやー!家政婦呼んで正解だったみたいやね!やっぱり私の判断に間違いは無かったんや!」

 

はやてちゃんがあの家政婦さんを呼んだのだったか。畜生…私のアルコールタイムを奪ったのは親友なんて…因果な運命なの…。

 

「今回呼んだのは他でもない家政婦さんのことなんやけどね?そろそろ給料を決めへんとなーって思ってな?」

 

「…給料?」

 

「せやで、この前給料について家政婦に話したら「給料はそちらで…あぁ、目に見えて効果が現れてないと思ったら払わなくて結構ですから。最初の三日くらいはボランティアと思ってください」と言われてな。今まで払ってなかったんやけど効果でとるし決めとこうと思ったんや」

 

えっ、なにそれは。

 

「いや、何であんな気合い入ってるのか知らへんけどホンマに助かったわ。なのはちゃん原因知ってる?」

 

「…し、知らないなぁー」

 

「そう?それならええけど…取り合えず本部に給料の申請出したら通ったから給料はあっち持ちだから安心して払えるわ」

 

「えっ?許可でたの?」

 

「エースオブエースの心のケアに必要な経費だからーって言ったら快く引き受けたで…せやねぇ…給料は時給800辺りで…」

 

なのはは悟ってしまった、この親友はこの勢いだと追加で私の家政婦(監視)をさせる気でいる。このままだと一週間どころか六課にいる間はあのアルコールの無い生活を送らせられる…それは許容できない。許容できないのだ…アルコールは心の洗濯なのだ…っ!

 

『いや洗濯も掃除も料理もやってくれるからいいでしょう…』

 

レイジングハートは分かってない、飲酒がどんなに素晴らしいものかを。相棒として情けないの。

 

『分かりたくないですね』

 

 

 

 

 

 

翌日の深夜3時、皆が寝静まった後になのはは起きる。辺りをかなり警戒する。

 

家政婦の恵也は隣の部屋で寝ている。それはそうだ、こちらは同棲なんて許可していない。そこのところははやてちゃんに掛け合って別々にしてもらった。

 

タンスの裏に隠してあったおビール様とポテチを取り出す。今までならこれ+芋焼酎+ウォッカとチャンポン呑みをするわけだが…この際贅沢は言えない。

 

暗い部屋の中懐中電灯の灯りを頼りにテーブルにおビール様とツマミを置いて晩酌の準備をする。

 

「…へへへっ、誰も見てないの…今日は邪魔は入らないの…」

 

ビールを開封する。カシュッと聞こえの良い音と共に臭いが鼻腔をくすぐる。一瞬辺りを見渡したが…久方ぶりのビールに我慢できなかったのかすぐにがっつく様に飲む。

 

「くぅーー…キンッキンに冷えて…ないの!!」

 

それはそうだ、冬場ならまだしもタンスに隠しただけで冷蔵庫に入れて無いのだから冷えてないのは当たり前だ。 

 

「でも美味しい!ポテチ!ポテチを開けるの!」

 

ポテチ(うすしお味)も開けて貪る。喉が乾いたらビール、一呼吸置いてポテチ、ビール、ポテチ、ビール…もう言葉は要らない、ただ己の欲求を満たすだけだ。

 

「はぁーー!幸せぇーーーー!!なぁーーにが節度のある生活なの!そんなの糞くらえなの!!あの極悪非道のかせーふさんめ!今日は…あれ!?ビール無いの!ビール無いの!ビールの無いポテチとか存在する意味無いの!」

 

ビール一杯でハイになったなのはは代わりは無いのかと思って冷蔵庫を開ける…すると冷蔵庫には既に処分されたと思われたビールが置いてあった。

 

「…あれ?」

 

『…なのは』

 

「レイジングハート…?」

 

『なのは、家政婦はアルコールを制限こそはしましたが禁酒はしていません。時期を見て晩酌をさせるつもりでした』

 

「な、なんで…じゃあ言ってくれれば!」

 

『言ったら貴女呑むでしょう?』

 

デバイスにも思考を読まれていた、おかしいこのデバイスこんなに頭が切れたっけ!?いつも私のやることなすこと全て二つ返事で了承してくれるのに!

 

…冷蔵庫を良く見るとチャーシャーやらメンマとかの明らかにツマミ用にカットされた品が見える。恐らくは明日…いや、今日の晩に出す予定のオツマミさんだろう。

 

「…」

 

『なのは、まさかと思いますが…』

 

「…」

 

胸元にあるレイジングハートを床に置いて用意されたツマミとビールを抱えてリビングへと移動していく。

 

『なのは、置いていかないで。貴女自分が何をしているか…うわっ、ツマミ始めた。もうあれ豪遊ですね?私がいると都合悪いから置いていきましたね?許しませんよ。この借りは高く…』

 

煩いデバイスを差し置いて、なのはは一人晩酌を楽しむ。最早彼女を止めるものは誰も居ない。ただひたすらに豪遊をしていた…!

 

「あーーーっ!最高なのーーーーー!!かせーふさんはお酒の良さが分からないから禁酒なんてするんだ!ぷんぷんっ!!」

 

『…っ!なのは!なのは!!』

 

「うん!そうなの!私がお酒の良さをかせーふさんに教えてあげれば良いの!」

 

「…」

 

なのはのすぐ後ろには家政婦こと間藤恵也が立っていた。その顔は薄暗く良く分からないがまず間違いなく怒っていることは分かる。何時から居た?恐らくは最初からが正解だ。

 

「そう!まずは私が最初に起きてかせーふさんにゴハンをつくってあげるの!それで水をしょうちゅーとすり替える!気付かないかせーふさんはそれを飲む!これで完璧なの!問題はしょうちゅーの味だけど…へーきへーき!かせーふさんああ見えて気が抜けてる所があるから味なんてわかんないの!」

 

「…」

 

「ふっふっふ!次のちょうしょくがとってもたのしみなの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の明朝、機動六課の屋上でエースオブエースこと高町なのは氏が寝巻き姿で縄で身体を縛られていると言う怪奇事件が発生しました。

 

発見された当初の高町氏は外傷等の傷は見当たらず、氏の首に【極悪非道と罵ったことを深くお詫び申し上げます】と謎の看板が吊るされておりました。管理局はこれを犯人の仕業、今回の事件と関連性があると見て現在調査されてます。

 

高町氏はどうしてこのような事が起こったのかを聞くと

「黒い影が私を拐ったの。それ以外は知らないし話したくない。全部スカリエッティのせい、そうに決まってるの」と話しており、他の局員も「エースオブエースに勝てないからって搦め手で攻めるとは汚いさすがテロリスト汚い」「奴なら何しても不思議じゃない」「どうしてそこで脱がせなかったのか、これはスカリエッティの唯一の汚点なのではないのであろうか?」との発言も出ており、管理局は現在巷で騒がせているテロリストのジェイル・スカリエッティ氏が不思議な発明でこのような事件を起こしたのでは無いのかと調査の方を進めています。

 

「…」

 

「…あら?エースオブエースにちょっかい出したんですか?ドクターもやりますねぇ?今度はどんな発明をしたのですかぁ?」

 

「…クアットロ、私はなにもしていないが」

 

「えっ」

 

こうして本人は全くの冤罪であるがジェイルスカリエッティの悪評がまた一つ増えてしまった。




これも全部、スカリエッティって奴の仕業なんだ(棒)

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