大魔道士は救える者を救いたい   作:みゃーがわ

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原作にてポップ5歳の時点から手あたり次第に救える者は救うがモットーの2代目大魔道士様が原作ブレイクしていきます。


【ポップ5歳にして同棲を始める】

(ポップさん、明日はお暇ですか?良ければテランまでお越し願いたいのですが)

 

「メルルか。明日なら暇だぜ。何時ごろ向かえばよい?」

 

(では昼食の用意をしておきますので正午頃気下さい)

 

「ん、了解。お休みメルル」

 

(はい、お休みなさいポップさん)

 

ポップとメルルは未来の大戦に備えて逆行した日から毎日精神通話をしている。

互いに未来を知る者として何も知らない他の者とは意識が違うため、自分たちの精神を会話することで慰め合っているのかもしれない。

巨大な秘密を抱える共犯者としても2人は同志なのである。

これから未来で大戦が起こる。

それを5歳の子供2人が叫んだところで「そういう遊びなのだろう」と誰も本気にしてくれないことを精神的には既に成人している2人には解っているからだ。

もし皆に伝える事が出来たなら魔王軍が襲ってくる前に戦いの準備も出来ただろう。

しかしそれは不可能だ。

救えない命が多すぎることに2人の心は負荷を背負っていた。

それをこうして毎夜精神のみでも通じ合わせることで心の安定を保つようにとしていた。

 

 :::

 

ドーン!!

大きな着地音を立ててテランの地へ飛んで来たのはポップである。

まだ正午少し前といったところだ。

逆行してからは行った事のない地でも過去の記憶を頼りにルーラが使用できることが判明した。

これはポップにとって大きなアドバンテージであった。

過去、ポップは世界の全てを回っている。

行った事のない地など無いほどに。

 

「コレなら…アイツを救う事も出来る……」

 

グッと掌に掴んだ希望の光を逃がさないように拳を固めた。

 

「あぁやっぱりポップさんでしたのね」

 

「メルル!」

 

「ルーラの着地音でポップさんだろうと思って急いで出て来てしまいました」

 

そう言うわりにメルルの息はあがっていない。

 

「自己鍛錬を始めたのです。占いの力だけでは貴方の横に立てませんから」

 

どうやらポップの考えが通じてしまったらしい。

メルルはクスクスと笑った。

そのあどけない笑みにポップは思わず赤面する。

 

「どうされました?」

 

「いや、メルルは前回でもあんまり笑っている所は見たことが無かったから新鮮で見とれちまった」

 

「ポップさん…魔界に行って口が上手くなったんじゃないですか///?」

 

ポップの言葉にメルルも赤面する。

5歳児同士が赤面し合って見つめ合っているのは傍から見たならさぞ微笑ましい光景であったろう。

その雰囲気もすぐに終わりを告げる。

 

「メルル!どこへ行ったんだい!!」

 

「ナバラお婆様っ」

 

メルルはポップの手を掴むと声のした方へ走り出した。

 

 :::

 

「それで近頃言っていたポップ、てのがその子かい?」

 

美味しそうな昼食を囲みナバラがポップをジッと見てくる。

その視線に居た堪れなくなったポップだが隣の席で自分の方を見てニコニコ笑う無邪気なメルルの手前下手な行動にも出られない。

 

「はいお婆様!この人が私が人生を共に歩む方のポップさんです!」

 

「ングッ!!」

 

「大丈夫ですかポップさん、はいお茶です」

 

ゴクゴクゴク

突然のメルルの爆弾発言にパンを喉に詰まらポップへメルルがすぐさまお茶を渡す。

 

「ん、サンキュ、メルル。で、突然何言って!?」

 

「ポップさんは私と共に人生を歩むのはお嫌なのですか?」

 

メルルの黒目がちな黒曜石のような大きな瞳が次第に潤んでくる。

外見が5歳児な事も含め非常に庇護欲がそそる姿である。

ゆえに罪悪感が半端ない。

 

「イヤじゃねーよ!な、だから泣なよメルル」

 

ポップン小さな手がメルルの目尻の涙を拭う。

その手にメルルは己の小さな手を重ね瞳を閉じてその体温を感じ取ろうとした。

 

(どうやらポップというこの小僧もメルルの事を知っているようじゃな…ランカークスとかいう山奥の小さな村が出身じゃと言っておったが2人は何処で知り合ったんじゃ?)

 

泣いたカラスがもう笑ったという立ち直りの速さでメルルはニコニコ微笑む。

隣のポップもフワリ、と花咲くような微笑みを浮かべる。

少女めいたポップの顔立ちと相まって、その笑みは性別を感じさせない。

 

(少年…じゃよな……)

 

自分の孫が同性愛者の素質を5歳にして目覚めたわけでは無いとナバラは心からポップが少年であることを願った。

ナバラの目から見て孫の瞳は恋する瞳だ。

いや、恋すら飛び越えて己が孫は隣に座る少年に深い愛を感じさせる。

1か月前、突然大人びて良くしゃべる様になったメルルに一体何があったのか?

その答えが横の少年であるとナバラは感じ取った。

 

「お婆様、この前のお話ポップさんのご両親に通して下さいますか?」

 

不安そう双眸でメルルがナバラを見つめる。

ポップに心から愛情を抱いているメルルを見てナバラは自分が妥協せねばこの孫は家出しかねないと思いしぶしぶ承諾の声をあげた。

 

「メルル、俺の両親への話しって何だ?」

 

「私がポップさんの家で一緒に暮らす事です!」

 

ブッ

今度こそポップは口に含んでいたモノを噴き出した。

 

 :::

 

「そう言う訳でして我が孫のメルルがお宅様の息子さんのポップ君と一緒に暮らすと申しておりまして……」

 

「はぁ、でもポップはまだ5歳ですが…そちらのお孫さんも同じくらいのお年ですよね?」

 

「はい、5歳になります。義父様、義母様」

 

「ポップ、お前はどう思ってるんだ!」

 

眉間に皺を寄せたジャンクが息子に問う。

いきなり手が出ないあたり前回と違い自分の子供が半分女の子なのだと理解しているのであろう。

 

「俺も、メルルと暮らしたい。メルルと一緒じゃなきゃ出来ないことがあるんだ!」

 

「それはここ1か月お前が教会の魔導書読み漁ったり体鍛えだしたりしたのに関係あるのか?」

 

「親父、知ってたのかよ…」

 

「自分の子供の行動ぐらい知らなくて親が出来るか」

 

「ポップ、女の子と一緒に暮らす意味は解っているの?貴方だけじゃなくメルルちゃんの将来にも響くことなのよ」

 

「分かってるよお袋。俺はメルルと生涯を伴にするつもりだ」

 

「私もポップさんと生涯を伴にする覚悟をしています」

 

2人の眼差しは5歳の子供のモノではなかった。

芯の通った全ての覚悟を決めた瞳。

机の下で強く握られていた2人のてが小さく震えていることに大人たちは気付いていた。

 

「分かった、メルルちゃんだったか?ポップを宜しく頼む」

 

ジャンクがメルルに頭を下げた。

 

「そうね、メルルちゃんポップはちょっとおっちょこちょいな所もあるけど嘘はつかない子よ。ちゃんとメルルちゃんを大切にすると思うわ。これから宜しくね」

 

「義父様も義母様も頭を上げて下さい!こちらこそ、不束者ですが宜しくお願いいたします」

 

「ナバラさん、メルルは絶対不幸にさせたりなんかしないから、メルルを俺に下さい」

 

真っ直ぐな視線がナバラを射抜く。

この少年は間違いなくメルルを幸せにしてくれるであろうと確信した。

 

「メルル。ポップ君と一緒にで良いからたまにはテランに顔を出すのじゃよ。ポップ君、メルルを頼みます」

 

「はい、メルルは必ず護ります!」

 

「有り難う御座いますお婆様!!」

 

2人の事もが椅子から降り、地に頭を付けて大人たちに礼を述べた。

 

「あらあら、ポップもメルルちゃんも何処でそんな事覚えてきたの?これからは皆が家族になるんだからそんな重苦しいことは無しよ」

 

ニッコリ笑うスティーヌの顔は何処か未来のポップによく似ていた。

 

 

 

「で、貴方どうしようかしら?」

 

「無理に引き離したらメルルが泣くからな、まだ5歳なんだし良いんじゃないのか?」

 

メルルは無事ポップの家へ引き取られ同じ部屋で生活する権利をもぎ取った。

 

 

 

「子供の姿も時には役に立つのですね」

 

「何か言ったかメルル?」

 

「いえ、何でもありませんわポップさん。それよりお休みでしたら…」

 

声に出さないメルル。

心を読み取れと言う事だろう。

 

「えぇ////!?」

 

メルルは瞳を閉じてその時を待っている。

 

「~~~~~~エイッ」

 

チュッ♡

 

ポップ5歳。

前の人生では遂に叶わなかったファーストキスを5歳にしてすませる。

そして2人は一つのベッドで寝ることになった。

 

(今は5歳児の身体とは言え精神は30歳だし意識すんなって方がむりだろーーー!!)

 

メルルの方を向かず寝ようとするポップの後姿をバレないようにクスリと笑った。

どうやらメルルは逆行してかなり精神的に強くなり過ぎたようである。




と、言う訳で1つ目のカップリングはメルポプでした!
ポプメルじゃなくてメルポプ!!
ここ重要Σb( `・ω・´)グッ

次回は長兄救出編です。

原作ブレイクしまくりますよー!!
ファイトーー!( ゚д゚)乂(゚д゚ )イッパーーツ!!

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