IS〈インフィニット・ストラトス〉少女の目に映るもの 作:煌酒ロード
side一夏
爆破された時はもう駄目だと思った。それと同時に諦めたくないとも思った。
世界最強の姉に泥を塗りたくもない。それに、勝てると思ってくれた忌悪の想いを踏みにじりたく無かった。
爆風が過ぎ去った時、俺は『白』に救われた。
「・・・どうなってんだ?」
そんな俺の目の前にウィンドウが開く。
『初期化と最適化を終了しました。搭乗者は
そのウィンドウを閉じて改めて白式を見る。最初よりも白く。騎士になっていた。
「ま、まさか!一次移行!?貴方今まで初期設定のみで戦っていたとでも言うんですの!?」
セシリアが驚いてくるがそんなことは気にならない。視界がよりクリアに見える。さっきよりも体が軽い。これでやっと、
白式は俺専用になった。
自然と笑みが漏れる。この機体なら、白式なら行ける。
「俺は最高の姉を持ったし。最高の友人を持った」
「貴方・・・何を言って・・・」
「俺は護る力が欲しい。そして力が手に入ったんだ」
俺はそこまで言って雪片を正面に構える。
「取り敢えずは千冬姉の名前と、特訓してくれた忌悪の想いを護って見せるさ!」
そう言って特攻を仕掛ける。ここまで言ったんだ。負けてたまるかよ!
side忌悪
ミサイルを食らった時はもう駄目だと本当に思った。それでもその寸前に一次移行が終了し、事なきを得た。
「派手に出たものだ。アイツも。それにしても」
そう言って織斑先生がこちらを見る。
「随分と想われているな、更衣」
そう言ってニヤニヤした顔を私に向ける織斑先生。
「えっと・・・、そうですね?」
「なんだ?不満か?優良物件だぞアイツは。家事全般なんでもできるしマッサージも得意だ。それに何だかんだ気も使えるからな」
「なんの話をしているんですか織斑先生!?」
何でそんな弟を薦めてくるんですかね!?ブラコンなんですかこの人は!?とか思っていたら出席簿で頭を叩かれた。痛い
「なんで叩くんですか!?」
「教師に対して失礼なことを考えただろう」
なんでバレたんですかね!?この人エスパーですか!?
そこまで思ったところで再び出席簿を喰らいそうになったので、慌ててモニターに視線を戻す。
そこでは今まさに決着がつこうとしていた。
一夏side
「チィッ・・・!」
正確無比な射撃と時折飛んでくるミサイル。ビットを落として多少は楽になったとはいえ、それでもまだ俺は厳しい戦いを強いられていた。
「よく耐えましたわね。ビットを破壊されるのも予想外でした。貴方を侮辱した事に関しては撤回しなければいけませんわね」
「認めてくれて有難う。と言いたいところだけどな、多分忌悪が教えてくれなきゃ落とされてた可能性が高いんだよな」
「それでも、ですわ。いくら教えられたからと言ってそれをやる人が出来なければ意味がありませんもの・・・。貴方はもっと自分に自信を持つとよろしいかと」
「へぇ・・・、随分高く評価してくれているんだな」
「評価を改めましたもの」
そう言って不敵に笑うオルコット。それに俺も不敵な笑みで返す。
「ですがこれ以上はありません。ここで
その言葉と同時に最後のビットを飛ばしてくるオルコット。
「それでも負けねえ!勝つのは俺だ!」
飛んでくるミサイルにタイミングを合わせて一閃。爆炎に紛れて一基目のビットを墜す。そしてもう一基のビットに高速で接近して墜す。
「御生憎様!囮でしてよ!」
その瞬間にレーザー飛んでくる。ビット自身を囮に俺の位置を予測。そして狙撃。
「クッ・・・、それでも!」
俺はレーザーを躱す。そして、
「うおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」
「ッ!」
瞬時加速を使って一気に肉薄。そこから金色のオーラを纏った雪片を振る。オルコットは反応できない。
もらった!
そう思ったのに
雪片は空を切った。
「ッ!?」
目の前からオルコットが消えた。それを認識して周囲を探そうとするのと同時に、白式からアラートが鳴る。
「ロックオン!?場所は・・・下!」
下を向く。
「
不敵な笑みを浮かべ、ライフルを構えるオルコットと目が合う。
正確無比な射撃を躱せず。直撃を食らう。
『白式 織斑一夏、シールドエネルギーエンプティ。勝者、ブルー・ティアーズ セシリア・オルコット』
俺は
負けた
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