IS〈インフィニット・ストラトス〉少女の目に映るもの   作:煌酒ロード

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どうもこんにちはロードでごぜえやす
という訳で新話です。
ここから忌悪ちゃんの快進撃が始まる(予定)


手に入れた明日

side 一夏

 

「スー・・・スー・・・」

 

あれからひとしきり泣いた忌悪を宥めていたら気がついたら寝てしまっていた。ベットに寝かせて立ち去ろうかとも思ったけど、更衣が俺の袖を掴んでいて離してくれないので、今はベッドの横に椅子を持ってきて座っている。

 

「安心しきった顔で寝てるなぁ・・・」

 

今更衣は気持ちよさそうな、嬉しそうな顔で寝てる。それが救われた証なんだと思うとちょっと嬉しくて、その顔に悪戯してやったりもしたくなる。

 

「ま、いいか。」

 

俺も眠くなってきたし、そのまま寝ることにする。こいつが起きた時どんな反応するだろうなーとか考えながら

 

 

side 忌悪

 

「ん・・・、くぁ・・・」

 

目が覚める。体を起こして目を擦ると、

目の前に一夏君の寝顔があった。

 

「ッ!?」

 

驚いた。そりゃもう盛大に。かろうじて声こそあげなかったけれどかなり心臓に悪い。でも意外とあどけない顔で寝てて可愛いなぁとか思ったりって・・・

 

「何考えてるんだ私は・・・」

 

そうボヤいたところで一夏君が目を覚まして私とバッチリ目が合う。そして一夏君が吹き出した。

 

「ちょっ!?人の顔見て吹き出すってなんで!?」

 

「いやだってお前・・・、ククク・・・鏡みてみろって・・・ははは」

 

若干笑いを堪えながら言う一夏君を横目で見ながら私は鏡を見ると、オデコに『肉』って書いてあった。無駄に達筆で

 

「ちょっ!?何で!?」

 

「俺が書いた」

 

笑いをこらえながらドヤ顔の一夏君にちょっとイラッとした。私は慌ててトイレに駆け込み洗面台で顔を洗う・・・が、

 

「ちょっとワンサマー!これ油性じゃん!?」

 

「当たり前だろ!簡単に落ちたら面白くないし。ってかワンサマーって」

 

若干涙目になりながら私はオデコを擦る。しかし落ちない。

 

「ちょっと!落ちないんだけどこれ!?」

 

「そりゃ油性だしな」

 

「どうしてくれんのさ!?」

 

「これならあるぞ?」

 

そう言う一夏君の手には油性のペンなどのインクを落とすためのジェルがあった。

 

「よこせ!」

 

「断る!」

 

「断るな!」

 

一夏君の手からジェルを奪い取ろうとするが、手を上に挙げられてしまうと私の今の身長では届かない。ピョンピョン飛んでも

 

「このっ!このっ!」

 

「はっはー♪」

 

「余裕かましやがってー!」

 

畜生届かない。なんかそしたらピロリンとか言う音がしてよく見ると一夏君の手にはケータイ。

 

「待て、何を撮っているんだ君は!?」

 

「必死になりすぎて若干涙目の忌悪さんを」

 

その言葉に私の顔は真っ赤になる。恥ずかしい姿を撮るんじゃない

 

「なんなの!?一夏君はドSなの!?私虐めて楽しい!?」

 

「とっても♪」

 

「清々しい顔で返すんじゃねええええええええええ!!」

 

渾身のアッパーカットを鳩尾に叩き込む。なんか潰れたヒキガエルみたいな声が一夏君から出たけど無視だ。兎も角ジェルを手に入れなければ。それと写真も消さねば。

 

 

「ひどい目にあった・・・」

 

「悪かったって」

 

あれからジェルを手に入れ写真を消去し、私達は部屋に戻って来ていた。

 

「まさか一夏君が人を虐める様な残虐性の持ち主だとは思わなかったよ」

 

「まて、それは俺が色々な誤解を招くからやめろ」

 

「でも私を虐めて喜んでいたのは事実じゃないか」

 

そう言うと一夏君はなんとも言えない顔をしていた。

 

「怒んなって。ていうかお前、性格変わったな」

 

「性格が変わったと言うよりこっちの方が素なんだよね・・・。ほら、猫かぶれる方が便利だったからね、私の場合」

 

私がそう言うと一夏君は少し複雑そうな顔をしたが、私が笑って大丈夫だと言うと、そっか。とだけ言って笑ってくれた。それにつられて私も笑顔になる。

彼は周囲の人間を笑顔にする特技でもあるんだろうか。

 

「そう言えば、オルコットさんとの決闘って来週だよね?大丈夫なの?」

 

私は正直あの程度に負ける気はしないが、一夏君に関しては不安だ。なにせ彼には専用機がある訳では無い。訓練機と専用機でぶつかる様なものならスペック差で負けてしまう。操縦技術に秀でているのなら兎も角、今の一夏君では瞬殺だ。

 

「それがどうやら俺は専用機を貰えるらしいんだ」

 

「それはまた急な話だね」

 

「なんでも今回の戦闘でデータが取れるのならとかで政府が急遽用意したらしいぞ」

 

「なるほど、確かにそれなら納得か。それに世界で唯一の男性操縦者が専用機もなしじゃカッコつかないだろうしね」

 

「そういう事だろうな」

 

「それなら取り敢えずは互角に戦えるかもしれない可能性が出てきたね。訓練、してたんでしょ?」

 

私がそう言った瞬間。彼が渋い顔をした。何事かと思ったが訳を聞いて呆れてしまった。なんと篠ノ之さんの特訓とは剣道の特訓だったらしく、ISに関しては全く何もしてないとのこと。

私は思わず頭を抱えてしまった。

 

「それじゃあ君はそれをこれから一週間続ける気かい?馬鹿なのかい君は?」

 

「馬鹿じゃない。それにISの特訓もしようと思っている。その事でお前にお願いがあるんだ」

 

「何かな?」

 

「俺にISの特訓をしてくれないか?」

 

「もう一度言うよ。馬鹿なのかい君は?敵に教えを乞うのはどうかと思うけど」

 

「いやでも頼れるのがお前しかいないんだよ。このとおり!」

 

両手を合わせて頭を下げてお願いされる。

教えてあげるのは構わないのだが・・・

 

「一夏君。私は人に物を教えたことが無い。だから君にコーチングが出来るかどうかわからないよ?それでもいいのかい?」

 

「ああ。頼む」

 

即答ですかそうですか。まあここまで頼まれたらやってあげなくちゃいけないね。

 

「じゃあ明日の放課後から。アリーナの使用申請は君が出してね。多分その方がすんなり通る」

 

「分かった」

 

それからは一夏君とたわいもない雑談をし、ISについて一夏君がどれ程把握しているのかなどを確認したりもした。結果全然把握しきれていなかったけど。

これは明日から忙しくなりそうだ。




すげえだろ?この二人まだつきあってねえんだぜ?

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