GODEATER 夜明けの空   作:ひちみ

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とある空の下

西暦2071年。地球は突如発生したあらゆる物を捕食する”オラクル細胞”から造られた怪物、”荒神(アラガミ)”により荒廃し、彼等の世界への侵食により人類は絶滅の危機に瀕していた。

人類に残された最後の対抗手段は”フェンリル”という生化学企業によってオラクル細胞を用いて造られた対アラガミ用特殊兵器”神機(じんき)”を操る”ゴッドイーター”だった。

 

ここ、フェンリル極東支部では本当に人類の滅亡となったかもしれない事件が二度起きている。

その一度目の事件を止め、更に数ヶ月後にKIA(作戦行動中死亡)とされていた仲間を救い出したゴッドイーターがいた。

 

北條 ソラ(ほうじょう そら)

 

当時17歳の少女は身の丈より大きな神機を軽々と扱い仲間の為、人類の為にあらゆる神と闘い、喰らった。

それは今でも変わらない。

彼女の鮮やかな空色の髪が喰らった神の血で汚れるのも目に入らず彼女は今もフェンリル極東支部独立支援部隊”クレイドル”に身を置いてアラガミを討伐していた。

 

そんな中で耳にしたのは二度目の事件の時の話だ。

嘗て自分がリーダーを務めていた部隊の仲間と極地化技術開発局”フライア”所属のブラッド隊と共に世界を救ったそうだ。

今その地は聖域と呼ばれる美しい緑に覆われた地となっているそうでその周辺地域の整備やら調査やらでアナグラへ向かった彼等はかなり忙しいらしい。

 

ここ最近、アラガミの感応種なるものが出てきて殆どのゴッドイーターが何故かダメージが殆ど通らず相手にならない中、何故かソラの神機の攻撃は通り、ここのところ出ずっぱりだったのだが、フライアの調査と対応によりやっと感応種に他の者も対応出来てきて落ち着いてきたところだった。

 

攻撃が通る理由としては彼女の中にある、リンドウを助ける時に一度アラガミ化を起こしたオラクル細胞が原因で闘えたのではないかと極東支部支部長であるペイラー榊は言っていた。

まあ、彼女にとってはそんな事はどうでも良く、闘えるのであれば何でも良かったのでただアラガミを喰べるだけだった。

 

極東支部最強と謳われるに相応しい戦闘センスと人並み外れた体力を持つ彼女は人類を守るという目的の下、闘ってはいるが基本は面倒くさがりで動き回るのを嫌うが、今回ばかりはそうも言ってられず極東中を飛び回って闘っていたのだ。

身体の疲れというものは殆どないが、精神的に参っていた。

 

単独出撃ばかりで話し相手の親しき友人達は遠く離れたアナグラ。

少しばかり寂しさを感じていた。

 

だから疲れた思考で思い至る

 

 

「そうだ、アナグラへ行こう」

 

 

クレイドルも闘える者が増えて落ち着いているし、今は心配も要らない筈だ。

 

神機を銃形態に変形させると面前より向かってきている翼を広げたディアウス・ピターの目を狙って引金を引く。

見事に命中したそれはかのアラガミの片目を潰して血を流させる。

雄叫びと共に空高く飛び上がったそれは一度距離を取って体力回復に向かうつもりなのか彼女から背を向けた。

 

 

「あ、逃げるな!」

 

 

素早く散弾型の追跡弾を撃ち込んだが大したダメージを負わす事は出来なかったがこれで見失うことはなくなった。

ピターが逃げた方向としては丁度良いことにアナグラの方向だ。

 

彼女は迎えのヘリに送迎の不要を連絡してそのままアナグラに向かうこと及び緊急時だけ連絡するように伝えて神機を剣形態に変形させて持ち直す。

 

走っていくから此処からなら三日ってところか。

その間にピターを討伐して、出来れば何かお土産を見つけて…

あー、でも保存食も少ないから急がないとなぁ

 

 

「よし、取り敢えずなる様になるか」

 

 

 

久々に見る仲間の顔に思いを馳せて彼女は心の疲れも忘れて軽く地を蹴った。


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